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「親権はとれますか?」

(2011/07/11)

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未成年、すなわち、20歳未満の子は、親の親権に服します。

 親権は、婚姻中は、父母が共同して行い、養子の場合は、養親が、親権を持ちます。

 親権を行う者,つまり、親権者は、未成年の子の監護及び教育を行なう権利義務を有します。

 これの具体化が、居所指定権,つまり、どこで暮らすかということ,懲戒権,つまり、子どもを叱り、しつけをすることとされています。

 さて、父母が離婚する場合、未成年の子の親権者を決めなければなりません。

 つまり、離婚自体には、合意があっても、親権者を父母のどちらにするかが合意されていない場合には、協議離婚届を提出することができない,すなわち、離婚できないことになります。

 離婚を合意した父母が、未成年の子の親権者を決定できない,話し合いが進まないとして、家庭裁判所に対して、親権者を指定するよう求めることはできます。

 この場合、家庭裁判所は、父母どちらかを親権者に指定する決定をします。

 これが、『協議に代わる審判』という手続です。

 もっとも、離婚を希望する父母のいずれもが、自らを親権者とすべきと主張している場合,あるいは、「親権をくれるなら離婚しても良い」と主張された場合には、離婚そのものの手続に進むことがなく、話し合いや調停は不成立,結局、離婚の裁判に至ることが多いのが実例です。

 このようなケースで、しばしば、「親権とれますか?」と、質問を受けます。

 裁判所が、離婚判決をする場合、未成年の子がいるときには、常に、判決と同時に、父母のいずれかを、親権者と決定します。

 ですから、離婚は認められても、相手方が親権者と指定されてしまうリスクを感じて、離婚そのものに踏み切れない,そんな境涯の方から、上記のような質問を受けることがあるのです。

 ご質問に対しては、

親権は取るもの、つまり、『権利』ではなく、
子どものために『授かるもの』、『責務』である。

 と、申します。

 その後に、

  ● なぜ相手方は親権を主張するのか。 
● 親権を主張するのは、愛情や責任からなのか。
● 見栄や嫌がらせで親権を主張するのか。

 という点を考えていただきます。

 そして、親権者と指定されるかどうかのポイント,そのために、何を主張し、また、心構え,準備しなければならないかを、一緒に考えていきます。

 具体例を参考に、次回以降にお話しいたします。