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最近調停で感じることについて ――思いつくままに (2) ――

(2013/04/08)

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前回は、調停を『しきる人』について、お話ししました。

 

調停に臨まれた際に、せかされる,すぐに答えを求められるような経験はありませんか。

 

もちろん、常々申し上げる弁護士が代理人となって調停に臨まれる限り、そのように感じられることはないはずです。

 

たとえば、「分割払いにしなさい」とか、「その問題は、別の機会に」などと、当事者の希望,説明を充分聞かないで、調停を進めよう,まとめようと感じることはあるのではないでしょうか。

 

申立人が、金3,000,000円を請求している事案で、相手方は、それは不当であり、金1,000,000円しか支払義務がないと争ったようなケースで、足して2で割るがごとき、「それなら、双方2,000,000円で合意したらどうですか」と、調停案(?)を出されることも、ないではありません。

 

なぜそうなるのか,なぜそう感じるのか。

 

良く言えば、調停委員の経験上、同種案件を踏まえた『落し処』を見ているのかもしれません。

 

しかし、中には、当事者が言っていることが、よく理解,整理できていない事案や、少なくない法的論点,専門性を要する事案にあたったとき、本音として、「よくわからない」「面倒だ」と思って、「早く終わりにしよう」「深入りはしない」調停委員会が存在することは、否定できないと思っています。

 

当事者に代理人が就いているケースでは、主張が整理されておりますから、調停委員会が、「わからない」と感じることはありません。

 

このようなケースでは、調停委員会が、急ぐ必要はないのです。調停は、場の提供であり、これを活用する当事者に、まかせておけばよいからです。

 

また、調停委員が、「法律を知らない」ことが見受けられます。

 

全ての調停委員が、法律専門家ではないので、当然といえば当然です。

 

そんなケースでも、当事者に代理人が就いていれば、問題はありません。

 

しかし、当事者に代理人が就いていない,そして、調停委員が、法律専門家ではない組み合わせでは、自ら難解な法律解釈に、立ち入ることはできないのではないでしょうか。

 

そんなとき、隠れた問題点を見過ごし、うわべだけの検討・調整に限ってしまうとか、調停を成立させた後に、本当に当事者の希望が実現できる調停内容となっていたのか、問題の積み残しをしてしまう危険性があるのです。

 

調停委員が、「急いでいる」「早く結論を求めている」と感じられるケースがありましたら、本当に調停委員会は、問題点を理解し、当事者の主張を整理できているのか、端的に言えば、法律をわかっているのか、考えられるべきです。

 

残念ながら、このような経験をされた方もまた、法的素人です。これでは、上手な実効性のある調停が、進められることは困難です。

 

常々申しますとおり、調停は、必ず弁護士に依頼して行ないましょう。