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最近調停で感じるところについて ――思いつくままに (3) ――

(2013/12/20)

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「調停は、必ず弁護士に委任して行なうこと」

 

「弁護士を頼まない調停は、やってはいけない」

 

 これは、本稿で繰り返し申し上げることです。

 

 依頼者の代理人として調停に臨みながら、困った調停委員に遭遇することがあります。

 

 調停委員会が結論を急ぎ、解決までのプロセスを無視していると感じることがあります。

 

 たとえば、夫婦関係調整調停で、離婚するかしないかの結論を先に求めることが、その例です。

 

「愛せなくなったら離婚」

 

「愛されなくなっても離婚」

 

これは、そのとおりです。

 

しかし、当事者は、それがわかっていても、葛藤を抱えているのです。

 

 心を落ち着かせ、収まるべきところに収まるには、一定時間のプロセスが必要です。

 

 これがまさに、「調停の機能」であるはずです。

 

 当り前のこと,わかっていることを頭ごなしに突きつけられたら、反発してしまうこともあるでしょう。

 

 調停委員会は、よく、「協力して欲しい」,「(その内容の調停条項案は)調停では用いない」等と、当事者(代理人)に言うことがあります。

 

 これもまた、簡単に、パターン化して、事件処理をしたい表れなのかもしれません。

 

 しばしば「事件を落とす」という言葉が使われます。

 

 「協力して欲しい」は、当事者間で基本的な部分では合意をみたけれども、細部の詰めのところで、最終合意まで時間が掛かっているケースにおいて、よく述べられる言葉です。

 

 「協力して欲しい」,これは、主客転倒ですね。

 

 『調停』という場を設定し、主役である当事者に協力するのが調停委員会の役割です。

 

 以前お話ししましたが、代理人が就かない離婚調停の調停調書は、至って単純です。

 

 最近では、これに、『子の面接交渉を認める,月○回程度とし、日時・場所等、具体的な面接の方法は、子の福祉に配慮して、当事者が協議して決定する』との定型文言が附加されます。

 

 しかし、互いに信頼関係がなくなっている,あるいは、いがみ合っていた当事者元夫婦は、『調停』という場であるからこそ、これまで、かろうじて、『話し合い』ができていたのです。

 

 調停という場が終了した後(離婚した後)に、一体どのような協議をするというのでしょうか。

 

 この面接交渉に関しては、当事者の代理人として、具体的詳細な調停条項案を用意する側なのですが、ほぼ調停委員会と『衝突』します。

 

 それは、簡潔ではない、定型化した内容ではないからです。要は、面倒で、面喰っているのです。

 

 中には、官僚のように「先例がない」なんて言われたこともあります。

 

 調停が成立した後、当事者は、相互にやり取りはしたくないはずです。

 

 調停成立後、相互にやり取りをしなくて済む,いわば、「調停条項を機械的に当てはめて行動すればよい」という内容の調停条項が構築されるべきなのです。

 

 当事者代理人として、弁護士福本悟は、冒頭に挙げたような言辞・対応を調停委員会がされたとしても、毅然と対応いたします。

 

 これはときに、「喧嘩」と映ることがあるかもしれません。

 

 しかし、当事者あっての調停,依頼者あっての弁護士です。

 

 ぜひ、弁護士福本悟と一緒に、調停に臨まれるようご案内します。