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調停不成立後の離婚裁判の進行につて

(2018/03/18)

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離婚協議が整わないとき、離婚に関していきなり裁判は起こせません。必ず家庭裁判所の調停手続を経る必要があります。

 

 調停とは、裁判所での話し合いです。民間から選ばれた男女各1名の調停委員が、双方の話を聞いて調整を試みます。

 

 調停は、裁判官を含めた3人の合議体を構成する調停委員会が担当しますが、裁判官は法的な判断を要するところや、調停の成立不成立の終局場面で出てくることが多く、基本的に2名の調停委員が中心となっています。

 

 調停で話し合いが成立すると、調停合意と言って、調停調書が作成されます。

 

 離婚の場合は、調停成立日が離婚の日となり、後日これを本籍地役場に届出します。

 

 ところで調停で話し合いがまとまらないとき、調停成立の見込みがないとして調停委員会は、調停不成立を宣言します。

 

 調停が不成立となった場合、離婚を求める側は、家庭裁判所に離婚請求訴訟を提起します。

 

 人事訴訟手続法が改められ、訴訟を提起する場合、調停の経過等を説明し、この裁判の争点は何だったかを予め書いておく例です。

 

 もちろん訴えを起こした側、即ち原告の見立てによるところが書かれます。

 

 事実関係にも争いがあり、当事者双方は認否・反論しますが、離婚訴訟では『争点』とされたところが、ほぼ審理の中心となります。

 

 調停は、事実関係をはっきりさせる手続ではありません。

 

しかし、調停を経たけれども終結しなかったということは、概ね何が問題だったのか、その解決のために何をすればよいのか、法律専門家である裁判官は、経験上わかるからと考えられます。

 

 例えば、財産分与に折り合いがつかなかった、具体的には不動産の評価や退職金の扱い計算に開きがあったとすると、裁判所は双方の主張を表にして、証拠となる資料を出させて焦点を絞る作業を行ないます。

 

 裁判になった場合、基本的には当事者の感情、つまり心に訴えるやり方では進められません。それでは調停が不成立となったのと、同じことになってしますからです。

 

 しかし、双方主張立証がほぼ完了した、あるいは裁判所なりに心証を固めた落し処を考えた段階では、やはり和解を勧められます。

 

 即ち『和解離婚』です。

 

 私は、これまで離婚したいと希望した人で、最終的に離婚できなかった人はひとりもおられません。しかも、ほぼ調停離婚が成立しています。

 

 しかしここ2~3年、調停が不成立となるケースがいくつか出ています。それで裁判になるのですが、全部和解離婚となっています。

 

 つまり、最後は話し合い、裁判所で離婚協議がまとまったということです。

 

 裁判を経験してわかったことがあります。それは、感情的に激しく対立していても、それだからこそ収めるのは、調停や和解が相応しいということです。

 

 つまり判決等で、『やりっぱなし』にしないことが肝要だということです。

 

 裁判は、比較的進行が早いです。そして、当事者の出頭を求められることはほとんどなく、最後の最後で裁判官が説得するため、つまり、当事者が納得して紛争の終止符を打ち、リスタートできるよう当事者本人が、『顔合わせ』に裁判所に来るような感じです。

 

 最後はやはり、本人が決めるということです。

 

 こういうことがわかってきますと、調停委員の対応もありますが、延々と調停を続ける必要がないケースが出てきます。

 

 私も10年以上前に、調停委員を拝命しておりましたが、当事者の説得の場、葛藤を収める場は、まだその先にあることに気づきます。

 

訴訟になっても和解できる、すべきである、この姿勢は大切です。調停では見えなかったこと、別の角度から気づくこともあります。

 

 裁判は嫌だ、怖い、厳しいと考えがちで、しかも調停を経ておりますから、「まだ先が長い」と暗たんたる思いがしがちです。

 

 でも実際は、依頼者と代理人弁護士が同じ目線で目指すところにブレなければ、意外と早く、しかも確実に結論がついてくるのが、離婚裁判といえるのです。ですから調停段階で、弁護士に依頼する必要があるのです。