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調停委員会は、記録を見ていない?

(2013/04/19)

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当事者代理人として、調停に臨むにあたり、いろいろな書面を提出します。

 

調停申立書は、既に裁判所に提出されておりますが、調停の進行に従い、当事者(依頼者)の立場で主張書面を出し、また、それを裏付ける,あるいは、説明に供する資料を多く提出することがあります。

 

主として、事実に関する認否や反論,法律的な主張をまとめたものを、民事裁判にならって、『準備書面』といい、事案の解明に有用な、依頼者の主張等を裏付け,補充するものを、『証拠書類』といいます。

 

民事調停・家事関係で、調停期日の前に、準備書面等を裁判所に提出してあるのに、調停期日で、「調停委員は、読んでいない」と感じることが、少なくありません。

 

担当する調停委員から、「よく見ていません」と申し出されることもあります。

 

なぜ調停委員は、記録を読み込んでいないのか、少なくとも、当事者代理人として、そのように感じるのか。

 

1つには、調停委員は、常勤ではなく、その事件のために裁判所に出向くので、記録を持ち歩くことも、手元に置くこともできない事情があります。

 

たとえば、ある日の午前10時から開始される調停に執務するのに、開始10分前に裁判所に出勤するのでは、予め当事者が提出しておいた準備書面を読んで理解し、当日の進行を諮ることは、容易ではないでしょう。

 

それでも、当事者に代理人が就いている案件では、開かれた調停期日の中で、代理人弁護士より、整理された主張等を聴取できるので、代理人弁護士の立場では、――あまり気分が良いものではありませんが、――実害はないと思っています。

 

しかし、弁護士に依頼せず、ご本人のみで調停に臨む場合はどうでしょう。

 

調停委員が、提出した書面等を見ていないと感じられる(実際見ていない)のは、なぜなのか。

 

次回は、このケースについて、お話ししたいと思います。