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調停期日での待ち時間について

(2013/04/12)

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調停は、基本的に、申立人・相手方それぞれが、交互に調停室に入り、調停委員と話をするシステムです。

 

調停は、『互譲の精神』といって、自分の主張・要求ばかり通そうとするのではなく、調停の相手となった側の言い分も聞き、いくらか受け容れること,これを調整する役割が、調停委員会に課せられているといわれます。

 

調停期日に出頭して、ずいぶん待合室に待たされる経験はありませんか。

 

調停委員会は、調停を開始するにあたり、よく、双方の話を、均等に時間を割り当ててお聞きしますと言われることがあります。

 

しかし、30分どころか1時間待たされた,さらには、たとえば2時間行なわれた期日で、自分のほうは、わずか10分しか調停室に入っていないなど、ありえないことではありません。

 

弁護士に依頼せず、調停に臨まれた方からは、とても不安になるとお聞きします。

 

自分ではなく、相手の話ばかり聞いている,相手のほうが正しいと考えているのではないか,不公平だ,この先心配だ…

 

この不安は、もっともです。

 

もちろん、調停委員会が、声が大きい人の方ばかり向くなど、あってはならないことです。

 

待ち時間が長い調停,実は、私が代理人として担当する案件は、ほとんどがその側なのですが、その理由はなんでしょう。

 

代理人として関与する弁護士の立場から申しますと、それは、調停委員会が、こちらの主張・提案を相手方に伝え、その内容が、当該紛争の収拾にふさわしい,落し処を押さえたものであるがゆえに、なんとか相手側を、説得しようとしているからです。

 

調停に臨まれる方は、相手の方は分からず屋,おかしいのだと思っておられるでしょう。

 

その難しい人に対して、決して追い詰めることなく、着地できるよう説得するのが、この種事案における調停委員会の役割です。

 

特に、当事者の感情的対立が峻烈な家庭裁判所の調停事件を、比較的多く担当する経験から申しますと、2時間待たされた,午後1時30分に始まった調停が、午後6時過ぎまでかかったなど、よくあることなのです。

 

これは、悪いことではありません。調停委員会が、なんとしても解決したいと考え、相手の側を説得しているからです。

 

このようなときは、調停委員会の労を多として、さらにこちらが、ほんの少し降りること,ハードルを下げることも肝要です。きっと解決します。

 

しかしながら、これは、弁護士が、代理人として関与した場合の話です。

 

代理人,すなわち、あなたをサポートする法律専門家がいないケースでは、誠に残念ながら、本当に調停委員が、「声の大きい人」の話に翻弄され、落ち着かせることなく、時間を徒過されているのかもしれません。

 

実際、本人申立て(あるいは、相手方となって出廷)した方の案件で、途中から代理人に就任したケースでは、ほとんど例外なく、「調停委員の態度が変わった」「調停室での話の内容も、全然前と違う」との感想を述べられます。

 

要するに、調停は、必ず弁護士に委任して行なう必要があるということです。