離婚・男女問題一覧

離婚を求められた側は、なかなかその事実を受け止めません。

 

例え自ら家を出て別居しても、残された側から離婚を切り出されると反発したくなるものです。自分に反旗を翻した。自分が否定されたと感じるらしい。

 こういう本質ですから、私ども代理人は、依頼者の相手方の本音を汲み取り、話し合いのテーブルに乗せ、決して追い詰めず、リスペクトしつつ、解決を目指します。

 

もっとも、これは受任弁護士として行うのであり、依頼者本人の立場・感情はまた違います。これまでの恨みつらみはあるでしょう。代理人弁護士が入った途端、おとなしくなったケースでは、「信用できない」「先生は騙されている」と言われることもあります。これは反対に、こちらが相手方の意をうまく汲み取って持ち上げる形をとって、騙しているとも言えるのですが。

 

相手方と話ができるようになれば、その主張は相当対立していても、いずれは解決に向かいます。絶対に離婚すると強い決意があり、相手方が――対立はあるが、――話自体はできる状態ならば大丈夫です。

 

 

ところが、そうはいかないケースはあるのです。

 

前回離婚したいのに離婚できない、あるいは膠着状態が続くケースとして「相手方と本人通しが直接やり取りしたこと」を挙げました。その例は、主として

依頼者側からアプローチしたケースです。

 

しかしこのことは、相手方にとっては狙い処です。「直接本人と話をさせてほしい」これを認めたら「おしまい」です。

 相手方は、何とかあなたをコントロールしたい、手のひらに乗せておきたいのです。まあ、いろいろ言いますよ。

 「離婚の話は全くなかった」「昨日まで話をし、ともにご飯を食べていた」「一度も不満・不安を言われたことはなかった」あたりは序の口。だってそんなあなた(相手方)が恐くて、支配されていたから何も言えなかったのですから。

 

次に出てくるのは、弁護士に騙されている、家庭の問題に口を出すな、あんたたにわかるはずがない等々。こういうも、私は慣れっこになっています。

 それでもダメなら、今度は親族・勤務先、さらに議員や町の有力者?を使って仕掛けてきます。そんなもの、私には通じませんけど。

 

その後調停、そして裁判と進みます。悪態は続きます。しかし、さすがにわけがわからなくなるのか、やがて私の依頼者、つまり離婚を求める人を非難します。こうなると、もはや同居生活は不可能で、婚姻関係の破綻を自ら証明したことになります。

 

それでも私は、依頼者もこんな人に対しても、腹八分目を忘れないのですが、収まらないこともあります。調停委員会や裁判官に対しても、「直接話合わせてほしい」なんて言いますから。

 

こういうケースは、首に鈴をつける人が現れてくれない限り、この相手方となった人は救われない。困ったことに、こういう人に迎合する弁護士もおりますから。

 

ただし、さすが裁判になれば弁護士が入るでしょう。そうなれば、どんな結果になっても、相手方の弁護士さんが引き受けてくれます。

 ですから、話を聞いてくれない相手方であっても、離婚したい意思を堅固として手続を進めれば、最終的には離婚になります。

 

5年以上かかったケースもあります。諦めたら、相手方の手のひらに乗ったらおしまいです。

 

こういう人を相手方にして、何とか調停合意にこぎつけそうになったとき、やはり離婚しないと言い出されたケースがいくつかありました。相手方に代理人が就いていないケースは、結局調停不成立となり、「そのまま」となったこともあります。

どーでもいいようなことに難癖をつけるのですが、本当は、自分の思い通りに操縦できなかったことが悔しいのでしょう。離婚するしないは、どうでもよくなった人です。私たちは、そういう人を追い詰めません。

 

そんな場合、時を得て再度調停申立てし、あるいは裁判を起こして離婚となったケースはあります。しかしここで疲れたのか、ガッカリしたのか、依頼者の意向で「そのまま」になってしまったケースもあります。依頼者本人が希望しないなら、裁判は起こせません。

 

あるいは相手方は、そこまで見込んで対応していたのかもしれない。そうであれば、私が依頼者をしっかり引っ張り、つなぎ止めていなかった失敗例です。

 

とにかく、本人通し直接話をさせない、代理人弁護士として話し合いに乗せる。これは揺るがない鉄則です。

 

相手方(その代理人)と積極的に話をする、これが解決への道筋です。

――全て代理人弁護士としての経験から(総論)

以前から申し上げておりますが、家庭裁判所に係属する案件で、当事者間に合意が成立し、あるいは審判等によって裁判所の判断が示され、決定した内容について実効性に乏しい、つまり実現可能性に問題が残るのは面会交流、いわゆる非監護親の未成年の子に対する面接交渉です。

 

離婚事件を終結に向かわせることよりも、遥かに困難と実感します。そもそも子の父母には峻烈な対立があり、確かに子には葛藤が生じています。ゆえに、それを理由に子を監護する側(たいていは母親)は、面会交流に消極的です。

 

曰く、「子が落ち着いていない」「会いたいと言えば会わす」、さらには、子の福祉の観点から慎重にしたい等々。

 

これは監護親である自分の気持ち、主張を、子の考えや子の利益だと言い換えているに過ぎません。子は、あなただけが親ではない!

 この限度では、家庭裁判所も一応わかっております。会わせたくないから、もっともらしい理由を監護親は挙げていることを。

 

面会交流に関しては、確定した審判があります。結論だけ申せば、「面会交流の禁止、あるいは制限事由がない限り、監護親は、面会交流をさせなければならない」のです。

 面会交流そのものを、およそ禁止しなければならない具体的事例はちょっと浮かびません。子と面会した瞬間に非監護親が、子に対し確実に危害を加えることが明らかと認定されるようなケースでしょうか。

 

面交制限事由とされるのは、例えば同居中非監護親が、子に対し暴力・暴言があった、同居中父母の間に、相当激しい暴力・暴言があり、子が影響を受けていた、非監護親が子を連れ去った(連れ去ろうとした)、非監護親が別居後も、ストーカーのように違法性が高い行動をしているようなケースです。これも審判例にいくつか要件が現れておりますので、興味のある方は検索してください。

 しかし注意を要するのは、このような面交制限事由が存在しても、面会交流そのものは――制限を受けた範囲内で――実施させなければならないことです。

 

例えば、FPICと呼ばれる第三者機関の支援を受けるとか、当事者代理人が受け渡しや連絡調整を担当するなどです。

要するに、面会交流は、させなければならない。監護親は、様々な理由を挙げて、これを回避しようとしますが、面交そのものは必ず実現させなければならない結論は変わらないのです。ですから監護親の代理人となる弁護士の力量は、大きいと言わなければなりません。

 

私も監護親を説得します。しかし、私に離婚事件等を依頼される方は、既にわかっておりますから、面交を渋る人はおりません。離婚がスムーズに進む要因でもあります。

 しかしながら非監護親側で離婚事件に臨むとき、しばしば面会交流に難儀することがあります。

 

その原因の最たるものは、監護親代理人が熱心ではなく――逃げ腰であること、もっと言うなら面交をさせたくない――本音はほとんどの方がそうです――監護親の言いなりになっていることです。

 それに加え、どうしても言っておかなければならないことがあります。

 

それは家庭裁判所が、裁判所を離れた後の現実を見ようとしないこと、さらに調停等で面交がうまく進まないときは、決まって非監護親の「悪いところ」を持ち出し、これを理由に監護親がその気になれないかに同情、もしくは言い訳することです。

 

私は、しばしばこの場面に遭遇します。そして、調停委員会や裁判官に言います。「裁判所はなめられている!」と。

 面倒なことは誰だって、本当はやりたくない。これが明確に出るのが、面会交流事件です。これから調停手続やその後の現実から、いくつか例を出してご説明します。

 それでも絶対に諦めない、子と離れた場所で暮らすあなたが子を愛し、大切に思うなら、必ず面交は実現させなければならない。←その必要がない、その気持ちが失せたなら話は別です。

 

そのためにどうすべきか、一緒に考えていきませんか。

話し合いによる離婚ができないときは、家庭裁判所に調停が申立てされます。

 

調停委員会(民間から選ばれた調停委員2名)が現実に担当し、主任裁判官が統括します。調停が開かれる日、つまり調停期日は、1ヶ月半から2ヵ月の間に催行される例です。

 この期日が空くのは、調停室の確保、調停委員や代理人弁護士の都合にもよりますが、調停期日間に「宿題」が出たり、準備し、調べなければならない事柄があることも理由になります。

 

例えば財産分与の場合、不動産の評価額やローンの支払方、養育費の場合、在学校・進学予定先の学費を調べる必要があります。

 

また「宿題」は、調停が熟した時期に出されることが少なくありません。

例えばいくら受取って、いつ物件から退去するか、あるいは相応の負担をして、一定時期まで住み続ける選択をするかなどです。

 この期日間の準備・調整が、代理人弁護士にとって重要です。相手方の協力を得なければ、対応できない内容もあります。

 

特に、どのような調停案を出すか、どのような調停条項案を用意するのかは、特に私がお引き受けする事案では大切なことでもあります。しっかり構成し、事前に相手方代理人に示し検討してもらって、調停期日を迎える必要があります。

 このような流れは、時間が経過するように見えても、確実に解決に進んでいます。依頼者も実感していますから、終結は間近です。

 

しかしながら、単に時間ばかり経過している、あるいは同じことの堂々巡りに遭うこともあります。依頼者もイラっとくることがあります。

 これは宿題をやらない、準備をしてこないことが原因となることが多いです。

特に、代理人が就いていない、本人だけが調停に出てくることに顕著です。

 

これに加えて調停委員が、前回期日で行われたこと、自ら告げた内容(宿題等)を正確に説明しない(できない)ことでも拍車がかかります。

 

少なくとも離婚事件で、弁護士に依頼したいが、弁護士が就かないというケースは考えられません。費用が問題なら、分割払いなど応じる弁護士がほとんどですし、さらには法テラスによる立替制度もあります。

 

もっとも、どうしても100%自分の要求を通さなければ済まない人が相談した弁護士の助言・指導に従わないために、引き受け手がないことはあるかもしれません。

 

そして、そういう人こそ調停の相手方となると厄介で、時間を要します。しかし私は、そういう人には慣れています。私の依頼者も、よくわかっています。

 

問題は、いつになっても調停委員がはっきりしない、毅然と対応しないことにあります。調停委員は、どちらの味方でもない中立だと言うのは、実務の場ではなく、教科書・ネットでの話です!

 

調停委員は、あくまで裁判所の立場です。無理難題には、少なくとも法的に成り立ち得ないことまで、黙って付き合うべきではありません。

 

調停委員が出した宿題がありました。もうこの1点についてイエスかノーを答えることで、調停が成立するか、あるいはもうこれ以上やっても成立の見込みがないケースがありました。例えて言えば、相手方は、100万円を受け取って、離婚するかしないかを答えればよかった。

 

ところがこの宿題について、イエスもノーも言わない。しかし納得できないと言う。その理由は、これまで検討し、議論し、調整されてきたところと同じことを挙げている。離婚したくないなら、単に宿題に対してノーと言えばよい。

 

このような状態のとき調停委員は、公平だか中立だがわかりませんが、最初に戻って延々とこの人の話を聞く。こちらに対しては、これこれ言っているので難しいと。

 

違うでしょう。単に宿題に対する答えがこれだったから、調停成立(離婚)は難しいと説明すればよいのです。

 

調停委員がこうであったなら、相手方は、自分の話に乗ってくれたと思って、どんどんはずれた方向に行ってしまう。これでは調停を続ける意味がありません。これまで時間をかけた意味は、なかったとなります。

 私はよく調停委員(裁判官にも)に言います。離婚に限ったことではありませんが、あまり相手の話、理不尽な調停の進行と関係のない話は聞かないようにと。

 

さらに言います。調停がナメられないように対応してほしいと。調停委員は、常に最後まで緊張感を持ってやってほしい。調停がダラダラ続く原因の1つとして、調停委員が無駄な話に付き合うこともあるのです。

私たち弁護士が離婚事件に関わるときは、当事者間での話し合いが無理となっている、あるいは当事者の双方か一方が、直接その相手方と話をしたくない、できない状態に至っているケースです。

 

長くこの種案件に関わっておりますと、「うまくいかなかった」ケースもあります。具体的には、依頼者との委任契約を解消せざるを得なくなったケースです。端的に言えば、私の失敗例です。

 

もちろんそのケースでは、依頼者なりの言い訳はあります。ですから、信頼関係がなくなった故に、合意解約する対応がほとんどです。

 委任契約書には、依頼事項の処理を不可能とした場合、例えば代理人弁護士の了解なく、直接相手方とやり取りしたケースなどが書かれております。

 

このようなケースは、主に2つの場面で生じます。これは、30年以上弁護士の業務に携わった者の経験です。

 

一つは、委任契約締結後、比較的早い時期に訪れます。私は、弁護士が入った直後には、必ずリアクションが起こると申し上げます。人間予想もしないことが起こると、合理的な行動が取れなくなる、咄嗟の思いつきで、その場を逃れようとする習性があるからです。

 別居したときの置手紙にも、当然受任弁護士からの通知書にも、これから弁護士が代理人となって離婚のお話を進めるので、直接本人には接触しないよう申し出が書かれています。

 

しかしこれを見たら、もはや直接やり取りできなくなる、これまでのように、自分の手のひらに乗せておくことができなくなる故に、「未だ見ていない」フリをして依頼者本人に連絡し、たらしこもうとする例です。

 

これまでと打って変わって、丁寧に優しく、何でも話を聞くかの態度で迫ることが多いようです。そして、弁護士が入ったらお金がかかるし、裁判とかになれば時間がかかることとか。こういうアプローチがなされるであろうことは、予め依頼者にはご説明してあります。

 しかしそれでも、まんまと相手方に乗せられてしまう人がいる。自分たちで解決できますと。加えて、弁護士さんに頼むと面倒になるから、などと言われることもありました。

 

さらに手の込んでいる例がありました。別居した私の依頼者の子のラインに、しつこくメッセージを寄越し、入口は子どもを大事に思っている、心配ないからから始まり、ついで代理人弁護士である私を非難し――話をしたこともないのに――とんでもない奴だと言い、子どものために話し合いをしようとか、子どもは関係ないから、これからもここに連絡するとかやる例でした。

 

実は、4~5件あります。そのうち1件は、まんまと相手方の誘導に引っ掛かり、委任契約解消を余儀なくされました。それで話し合いが無事にでき、離婚できれば良いことでありますが。

 他の例は予想の範囲内で、「なんともみっともない」「バカな人だ」で終わっています。そしてこの後、こんなことをした相手方には、自らを追い込む終結がもたらされたのでした。

 

本日は、一つ目のケースのここまでご紹介いたします。

例を出しましょう。

 

夫Aと妻Bは、婚姻5年後に代金4800万円でマンションを購入した。このとき婚姻後夫の給与の中から積立てしていた貯金500万円を頭金にし、残金4300万円は、Aが30年ローンで支払うことになり、マンション名義はAとした。Bは専業主婦で、AB間には婚姻2年後に生まれたC子がいる。

 

Aは、Bとの離婚を求め、婚姻10年後(マンション取得5年後)にBが強く拒絶したことから、マンションを出て別居した。Aは、住宅ローン・管理・税金等を全て支払い続け、「婚姻費用」を本で調べ、適正と考える金額を毎月Bに送金していた。このときのマンションローン残高は、3800万円だった。

 

なおAは、別居直前に勤務先を退職し、婚姻前から勤務した会社から退職金200万円を受取ったが、転居費用としばらくの無職の間の生活費に全部使い切って、別居後次の職場に勤め現在に至った。

 

Aは、別居5年が経過したとき、次のような条件を示して、Bに対し強く離婚を求めた。すなわち、マンションのローンは完済まで全て責任を持って支払う。このまま住み続けてよく、Cの大学学費は全て支払う。しかしBは、離婚に応じなかった。

 さらに5年経過した時点で、Aは弁護士に依頼して、Bに対し離婚を求めた。

なお5年前、つまりマンション取得後10年時点のローン残高は、3000万円だったが、Bは別居後高給取りになり貯金もできたので、いわゆる繰り上げ返済を続け、この時点(マンション取得後15年)でのローン残高は、1500万円になっていた。Aとしては、後10年のうちに、1500万円を支払うのは容易な状態にある。現在マンションは、別居時と同じ時価4000万円程度とされる。

 

Bは、Aに弁護士が就いたので、もう離婚しても良いとも見えた。そこで5年前と同じ条件ならと考え、弁護士に相談した。すると相談した弁護士から、意外な回答がなされた。

 

「あなたが暮らすマンションを維持するのは、難しいかもしれない。」

 

これは、財産分与について説明したものです。以前ご説明したとおり、離婚による財産分与は、「基準時」の財産を対象に考えるからです。

 本件では、別居時のA名義で存在する婚姻中夫婦が共同して築き上げた財産はマンションだけだからです。別居時、すなわち基準時の評価額は4000万円でした。

 

ところで、その時点でのローン残高は3800万円でした。マイナスの財産も、分与の対象となります。そうすると、分与の対象となるマンションの価額は、200万円です。夫婦の割合は均等ですから、この時点でAは、Bに対し、100万円の請求ができる計算です。

 

(4000万円-3800万円)÷2=100万円

 

つまり、100万円を受取って、マンションを――離婚により――退室しなければなりません。以後Aは、マンションのローンを支払うことを前提に、これを維持できます。Aはマンションを売却処分しも構いません。

 何年別居が継続し、いつ離婚となるかに関わりなく、離婚時の財産分与は基準時のそれによるので変わりません。

 

つまりBは、いつ離婚に応じても100万円を受取る替わりに本件物件を使用・占有する権利を失い、ここから退去しなければならないことに変わりはないのです。長く無償で使用できたのが利益であり、この間に人生設計すべきでした。

 

もしBが、離婚後も引き続き本件マンションに居住し、これの所有権を取得したい場合は、どういう計算になるでしょう。はっきりしていることは、このマンションを売却処分したとしたら、AもBもそれぞれ100万円を得るという結論です。正確に言えば、Aは、売却代金からこのときのローン残高と100万円を引いた金額を受け取れます。Bの協力なく、一人で本件マンションを維持してきたからです。

 

Bがマンションの所有権を取得するということは、当然ローンは完済されなければなりません。理論上・観念上Bは、マンションに対して100万円の「権利」しか有していないからです。

 

そうするとBは、A名義の基準時のローン残金3800万円の半額と、Aが権利を有する100万円をAに渡さなければなりません。そして金融機関は、ローンを完済しないと名義変更は認めませんから、少なくとも離婚による財産分与時点でのローン残を支払う必要があります。

 

自らの権利が100万円なのですから、4000万円の財産を手に入れるには、計算上当然と言えます。繰り返しますがBの権利は、100万円ですから。

 

実質的にみても、基準時のローン残が3800万円だったところ、別居後Aの努力のみでローン残が1500万円になったのですから。要するに、Bが協力してローンが減ったのではないのですから、4000万円の物件を手にするBが、別居後のAの繰り上げ返済分の利益をそのまま受けるのは、公平ではありません。

 

この理屈を相談した弁護士から説明されたBは、こう言いました。Aは、別居後高給取りになって貯金もある。Aは、相当多額の退職金を得られるはず。それらを考慮して欲しいと。

 

結論から申しますと、一切考慮されません。基準時以降に取得・形成された財産だからです。分与の対象とはなりません。Aは言うでしょう。別居してよい仕事ができるようになった。一緒に暮らしていたら、今の自分はないと。

 

納得できないBは、なおも尋ねました。ならば、別居時に勤務していたAの会社の退職金は、分与の対象となるはずだと。先に示した200万円のことでしょう。しかし、これはカウントされません。

 

別居時、つまり基準時には既に退職し、退職金200万円は現金となったからです。そしてこの現金200万円は、ほぼ別居のころまでに、Aが全て使ってしまって存在しないからです。

 

基準時に存在しない財産は、分与の対象とはなりません。

 

なお今年4月より、18歳で成人になります。

 

この事例では、Aは、もともとこのマンションは要らないのでしょうから、これを売却してBに対し、100万円を渡すことを希望すると思われます。

 

この時点での残ローンは1500万円ですから、4000万円で売却できたとすると、Aは、100万円を渡しても2400万円を取得できます。

 

これは、別居後ひとり努力して繰り上げ返済してまで支払ったことの「ご褒美」と考えるかもしれません。

 

今回の結論は、はっきりしています。Bの勘違い、あるいは誤りは、早く離婚しなかったことです。

 

昔歌にもありました。「いつまで待っても来ぬ人は、死んだ人と同じこと。」

そういうパートナーを心底あなたは愛せますか。本当に愛していたと言えますか。

 

理不尽を受けたら、ご自身の幸せを考えるべきです。あんな奴(私を捨てた、ないがしろにした奴)に未練はない。

 

私は、これから幸せになってみせる。あんな奴が、私と別れたことで後悔しても、そんなこと知ったことではない。

 こういう考えに至って欲しいものです。そして、こういう境地に達した方は、実は、パートナーに対するリスペクトのお気持ちを持っておられます。

 

そういう方は、とても素敵だと感じます。

離婚を求められて、離婚をしない理由はいろいろあります。

 

いちばん多いのは、理不尽な要求であること、また自分には、離婚を求められるような理由・原因はないというものでしょう。

 

このような不当な納得のできないことを言い放たれても、なおそんなパートナーを心から愛していると思える方については、そのような気持ちが失せるまで、私からは何をしようとは申しません。

 この状態が継続することで自ら考え、自分の幸せのために何をすべきなのか考えられるようになりましたら、私の出番となるでしょう。

 

次に見られるには、離婚しなくても、つまりパートナーの要求に応じなくても特に困らないケースです。

 

例えば、パートナーは家を出ましたが、住む家のローンはパートナーが支払っているし、それなりの生活費も送ってくるなら、あるいは同じ空間に留まらず、嫌な空気が生じなくて返ってよい状態かもしれません。

 この状態の延長上に、別居期間が長くなると、離婚請求は認められやすいという説明がなされる例です。

 

実際別居期間が相当長くなった時点で、パートナーに弁護士が入るとか、調停の申立てを受けるなど動きがあって、もう離婚しても仕方がないかなと感じられる方も少なくないと思われます。

 ちなみに、離婚が――裁判手続上――認められるかどうかは、別居期間など現実にはほとんど影響はないです。この部分を誤解し、また実務と違う回答をする弁護士が少なくないことは問題です。

 

ここはこれまで何回かお話してきましたし、これからも別途お話することがあるでしょう。要するに、「離婚したい」ブレない気持ちと受任弁護士の対応によることです。

 

さて本日は、「そろそろ離婚してもよいかな」と思われた方が、そのような判断をそのときになって行ったことが、「こんなはずではなかった!」と思うことがないよう戒めとなるような例を出して、考えていただくこととしたいです。

 すなわち結構勘違いがあり、その勘違いを弁護士等から指摘して、「やはり離婚しない」と固まってしまうことで、さらに先送りする誤りが生じることが少なからずあるのです。

 実際の例として、こんなケースがありました。夫から離婚を求められた奥さんは、頑なに離婚を拒絶しています。いろいろ言うのですが、その中に「あと数年で住宅ローンは完済になる(だからそれまでの生活を保障して欲しい)。」という考えがありました。

 

このケースは、夫はローンや管理費を支払い、かつ相応な生活費も送っています。奥さんは無職無収入ですが、全然困っていないのでしょう。つまり、このままの生活が維持できると考えているのでしょう。

 

ここに大きな落とし穴があります。次にこれを述べていきます。

先日、「何年別居したら離婚できるか」のテーマについて書きました。

 その際、離婚の請求が信義に反するような、いわゆる有責配偶者は別としてと申しました。別居期間の長短が、ストレートに離婚の成否に関わることはありません。

 

ただし、未だ家庭裁判所の実務では、有責配偶者からの離婚請求では、パートナーが離婚を拒絶する場合は、離婚を容認するのに慎重な面があります。正確に言えば、「要件」があり、ハードルを設けます。

 

何をもって、有責配偶者と決定されるかは、そのこと自体が大いに争われることもあって、一律に、教科書的には明示しにくいところです。

 ですから、裁判実務で出てくるのは、法文上これがあれば離婚原因とされる不貞行為が、ほとんどの感があります。不貞行為とは世に言う不倫、配偶者がある人が、配偶者以外の異性と性的関係を持つことです。

 

不貞行為があっても、それが一時的なもので、その異性とはその後一切関りがないケースや、既に損害賠償請求訴訟等により、相応な金員の支払いを配偶者に対して履行したケースなどは、不貞行為があったことそのもので、離婚が認容されないことはないとお考えください。従って、このようなケースで不貞行為があった人が、別居を継続している場合は、他の事情も相まって、相当程度婚姻関係が破綻に近づいていると評価されます。

 

しかし、不貞行為による有責配偶者として離婚を求める人の多くは、特に私に依頼される方は――その「不貞行為」のパートナーと同居していたり、交際が継続している例があります。確かに、信義に反する理不尽な要求と言えなくもないとは思います。ただはっきりしていることは、もはや婚姻同居生活には戻らないということがあります。

 この場合、ならば何年別居したら離婚になりますか?と尋ねられます。

 

これに対しては、ハードルは高いが年数の決まりはないとお答えします。要は、客観的に婚姻関係は破綻していて、婚姻を継続し難い重大な事由があるのに、信義に反するゆえに、その権利・主張ができない状態です。反対に言えば、その主張が信義に反しない状況に至ればよいということです。

 

私は、いつも相手方パートナーに対する手篤い保護と申します。生活の不安等を払拭し、感謝するに――不貞とは別の――金員の支払いなどが必要です。また、婚姻関係の形骸化の要件として、別居期間を考慮する例もありますが、それは一見して明白な形骸化だからであって、他に形骸化の要因が存在すれば、別居期間に替わり、あるいはこれに補完する事情とみなすことができます。

 

例えば、徹底した非難や攻撃をされたとか、行為者やその相手となった人に対する社会的評価の低下とかあり得ます。

 

更に重要なのは、当事者間に子がいるか、その子が何歳かの点があります。

一般的に、この年齢が低いほどハードルが高いです。と言うよりも、現実の実務は、この年齢と未成熟性がかなり考慮されていると感じます。これは、子は不貞行為をした親に対して、慰謝料請求などできないとされるところと、均衡を取っているように感じられるところです。

 

未成熟子とは、社会に巣立っていない子を意味し、必ずしも未成年かどうかには関わりません。大学生は、未成熟子に分類されます。この場合、確かに別居期間や子に対して学費を払ったかなど、どのように対応してきたかは影響します。

 

反対に言えば、わかりやすく言えば、子がいない、成人して独立しているケースは、かなりハードルが低くなる例です。

 いずれにしても、真に離婚を希望している人が、離婚できないことはおかしいのです。離婚を強いられる側に対する配慮、手篤い保護は、単に「離婚を認容しない」ことで達成されるべきではないこと、裁判所の実務も、そのような方向に進んでいることを理解する必要があります。

 

どのような事情であっても、離婚したい人は、行動を起こすべきです。

 

何もしなければ、幸せはありませんから。

ホームページをご覧になって、私のところに相談に来られる方のほとんどは、既に他の弁護士による相談を経ています。

ですから、一応の法律的知識を得ておられます。なぜ、複数の弁護士に相談するのでしょう。

 

一番多いのは、相談者ご自身が受けた法律相談に納得していないことです。

 はっきり申せば、ご自身の期待する答えが得られなかった。つまり、期待する答えを受けられる弁護士を探しているということです。

 

この点に関しては、今回は論じません。経験上、期待する答えを得ることは難しいし、そもそもご相談者のその時点の立場・状況で、そのような答えを期待することが間違いであり、悩み・紛争を解決できない原因となっていることが多いからです。

 

次に経験するケースは、相談を受けたところはわかったが、自分でそれをしようと思っても、できなかったという例です。この場合は、ご相談者は、その(かつて相談した)弁護士のアドバイスを理解し、それを実践しようとしたことを意味します。

 

ここで「失敗」なのは、ご自身で行うとしたことです。つまり、弁護士に依頼しなかった(あるいは、その弁護士が依頼を受けなかった)ことが問題でした。

 

私ならそれはありません。いつも申しますとおり、離婚・男女問題は、弁護士に依頼しない限り――少なくとも弁護士事務所に来て、相談を受ける状況に至っているような事案は、――解決することはあり得ないからです。必ず事件受任が必要になるからです。

 

弁護士から「助言」を得て、それを実行しようとしても、「あなた」と対立する反対の考えを持っている人が、「はい、わかりました。」と応じるわけがありません。

 

結局解決できなかったので、次の弁護士としてご相談に来られるのだと思います。しかし、このとき既に、より事態は悪化していることが少なくないです。

 

直接話し合いをしたくない、しても解決できない人を相手にされたわけですから、それは辛かったと思います。

 

さて、本日のお話はここからです。意外とよくあるなと思うケースは、法律相談を受けて一応知識を得たけれども、「何もしなかった」というケース。

 それで何も変わらないか、返って酷い状態になったので、どうしたらよいかの相談です。このようなケースは、以前相談に伺った弁護士には、相談しにくい事情があると思います。

 

私もよく思うのです。ご相談者がお帰りになってしばらくしても、「そのまま」になっていると、「どうして依頼しないのか」と。もちろんこの場合は、他の弁護士に依頼したのであれば、それはそれで結構です。

 

当り前のことですが、何もしないと何も変わりません。相手方は、あなたが動かなければ、自らあなたの希望するような結果を、作ってくれることはありません。往々にして、離婚事件がこう着すると評価されるのは、決めたのに動かないからです。それには、様々な理由・要因があると思います。それを除去するのも、私たち弁護士の役割です。

 

ときどきあるのは、相談にお越しになって、「そのまま」になっていたところ、しばらくして、ときには数年して、またご相談されるケースです。この場合でも改めてお話を伺い、この時点で私から申し上げた到達点、落としどころを目指す覚悟を持たれた方からは、ご依頼を受けます。

 ただし、「あのとき」申し上げたとおりに対応されなかったこと、端的に言えば、「あのとき」すぐに私に事件依頼されたなら、少なくとも今このような状態には、至っていないと感じることがほとんどです。

 この場合は何もしないのではなく、余計なことをして、返って事態を悪化させてしまったことを意味します。

 

離婚・男女問題でご相談に見えられた方は、相談後よく考えて、是非とも弁護士に対し事件依頼すべきと申し上げておきます。

配偶者とはいずれ離婚をしたいので別居した方、別居を考えている方から、何年くらい別居したら離婚できますか?と尋ねられることがあります。

 以前にも同じようなことを書きました。

 

だいたいネット情報などで、それなりの情報を得ての質問です。これについては、まず「決まりはありません。」とお答えします。法律に規定されていないので、当たり前といえば当たり前です。

 ただし、こういう質問をされる方は、ネット等から仕入れた裁判例などを持ち出します。

 

だいたい「5年はダメですよね。」とか、「7~8年ですか。」とか具体的な数字を言われます。そしてほとんどの方が、既に他の弁護士の見解も受けています。

 

ご質問に対する単純な回答等としては、いわゆる有責配偶者とされるか、そうでないかで実際の裁判等では違いますとお答えします。

 次に、私の方から、「なぜ別居するのか、したいのですか」とお尋ねします。するとだいたい「離婚したいから」と返ります。

 

私は、「ならば離婚しましょう。離婚するにはどのようにすればよいか考えましょう。」とご案内します。つまり離婚したい人と、離婚を拒絶する人がいる。

 この場合、離婚したい人が――最終的には裁判で――離婚が認められる要素として「別居」をどの程度重要視されるかです、とご説明するのです。

 

有責配偶者とされる側は別として、婚姻関係が破綻して、修復が困難なケース、法文上「婚姻を継続し難い重大な事由がある場合は、あくまで別居期間は、離婚が認容される要素の1つに過ぎません。全く論じられない――判決文に出てこない――ケースもあります。

 

あくまで別居期間も、例えば――暴力・暴言などの――他の事情の1つとして、どの程度勘案されるのかです。

 100%DVが原因で家を出て、「別居」となった場合、裁判所は、「別居期間」を問題にして離婚の可否を判断すると思いますか。

 

別居するということは、別居をせざるを得ない事情が――その人なりに、それまでの同居生活中に生じていたということです。程度の差こそあれ、既に婚姻関係の正常化が損なわれ、破綻に進んでいたということです。

 

この点家庭裁判所の調停委員にも誤解があります。実は、裁判官は調停委員を立てるので、当事者に対して、調停委員の間違いや不適切を言いません。

 

ここにも調停は、必ず弁護士に委任して行わなければならない現実があります。

 

「未だ別居して〇年だから(調停不成立となって、裁判になっても)離婚は認められません。」なんて平気で言う調停委員も、また弁護士もいます。これは完全な誤りです。

 「絶対離婚したい」と考えれば、今あなたが別居しているか、していないかに関わりなく、まずは弁護士に相談することです。

 離婚するためにどうするか、道を示せる弁護士のサポートが、何よりも離婚を実現できる最大の要素ですから。

私は若いころ、絶対離婚をしたいと願う人に対して、よく申し上げたことがあります。

 財産やお金の方に気持ちが向ったら離婚できない。

 これは、夫・妻どちらの立場でも同じです。もちろん絶対に離婚するという心構えを言ったもので、財産分与の申立てなどしないという意味ではありません。誰だって離婚する、しないに関わりなく生計は大事です。

 

お金や財産が気になって、離婚の気持ちがブレることがある。しかし、絶対に離婚するとの気持ちがブレなければ、お金なんて後からついてくるのです。

 そうは言っても、イメージがつかめないかもしれません。

ここでは、もとご依頼者の「相談者の声」などをご参考いただくなど、お願いするしかありません。

 それに経験を重ねるに従い、本当に決意が固い人ほど、ブレない人ほどお金や財産がついてくると実感できました。

 

むしろ年々気になるのは、「外野の声」です。

 

かなり前にも、このことには触れました。具体的には、親族・友人・上司等が、あれこれ口出ししたり、依頼者・相談者がそちらをチラ見することです。

 

依頼者が、そんな心境になったのは、実は、弁護士と依頼者の間の信頼関係に、問題が生じたことを意味します。依頼者は、不安・心配なのです。

 率直に言って、これも最近感じ取られるようになりました。

 そもそも離婚したい人は、一番近いところにいた人に対する信頼を失った人です。頼りたい人・信じたい人・大切だった人に、裏切られたと思っている人です。

 

そういう人の依頼を受けるには、安心・信頼は基本中の基本です。どうやってそれを築くか。

 これは話を聞く、顔を合わせる、じっくり時間をかけることだと思っています。

 先程依頼者が、外野の声を聞くことについて言いました。それは、解決を遅らせ、また困難にし、よいことはほとんどありません。

 

しかしなぜそうなるのか。それは、依頼を受ける側の私たち弁護士の配慮のなさや、何となく話しにくい、近づきにくいと思われてしまうこと。

 つまり、心配・不安な人に対して、知らず知らずのうちに、バリアを設けてしまうことだと思っています。

 

これは、経験を重ねた末の私の反省です。

 外の人に話を聞いてもらいたいということは、一番近い位置にいる依頼した弁護士が、実は話を聞いていない証です。最近このことが、わかるようになりました。

 ならばどうする。何でも話してくださいでは解決しません。次回以降、私なりに心掛けることを、少しずつ書いていきます。それは反面、離婚を決意した人が「やってはいけないこと」と表裏の関係でもあるからです。

以前、「離婚しないメリット」について書きました。

 当面楽になれば、特に困らなければよいというケースです。

 

例えば、夫が妻に対して離婚すると宣言して、所有する物件を出た場合、住宅ローンや管理費・光熱費等は、夫名義の口座から引落され、別途生活費の支払い(法的には婚姻費用分担)があれば、残された妻は困らないかもしれません。

 この場合、夫側から離婚請求調停等を進めなければ、事態が動くことがないことはわかります。夫としても、同居中の嫌な空気がなくなったので、多少の出捐は伴っても、「これでよい」と思えば何もしないかもしれません。

 これに対し、離婚したい夫が、妻所有の物件から出て、「生活費」を入れなかった場合はどうでしょう。もし妻が、ほとんど収入がなく、物件の住宅ローン等も夫の収入により支払われていた場合は、妻はとても困ると思います。

 一定の婚姻費用の分担は、調停や審判で決められたとしても、夫はさほど困らないかもしれません。

 なぜなら住宅ローンの支払いは、基本資産形成とこれの維持の面があり、「婚姻費用」については、当然には含まれないとされるからです。

 

つまり夫は、同居のときより実質「生活費」の分担額が減り、楽になるということです。とすれば、困っていないので動かない可能性があります。

 

ここまでは、既にお話したことの繰り返しです。

 今回お話するのは、いわば「離婚の撤回」の如き例です。

つまり、離婚する!と息巻いていた側が、撤回もしくは躊躇するケースです。

 いくつか例を挙げますと、

 

① 夫と離婚したい妻が、夫には沢山(財産分与の対象となる)財産がある  と判断していたが、実は、不動産は親名義で、退職金の前借りや投資の失敗等で、多額の債務があった。

 

② 別の女性と結婚するために、妻と別居して離婚したい夫が、妻との離婚協議が長期化している間に、件の女性に逃げられて、行き場所がなくなった。

 

③ 夫と離婚したい妻が、親権者に指定されると疑いもなく、幼児を残して家を出たが、夫との間の離婚協議が長期化し、「現状を変えるべきではない」として、親権監護について厳しい状況に至った。

これは、ほんの例です。予定・計画、あるいは思い込みが狂ってしまい、離婚できない、あるいはしたくない、また離婚すると困る事態に陥る場合です。

 

なぜこうなるのか、どうすればよかったか。

 

離婚をするという意思は、不退転でなければならない。そして、これを決めた以上、後戻りはないという覚悟を持つことです。

 

「離婚する」と決めた段階で、必ず弁護士に相談すべきです。

 

最終局面までのプロセスを説明し、また「この件」の落とし処、見通しを最初に申し上げるはずです。

別居は、離婚を前提に行われるものです。離婚まで考えていなくて、とにかく現状から逃れたいとして、どこかに非難するケースもあるかもしれません。

 

命にかかわる場合は、避難を要します。例えば、自分や子に対する暴力・虐待など頻発しているケース。これはその段階で、必ず法律専門家に相談しなければなりません。

 とりあえず、警察に駆け込むことでも良いです。ただし、余程切迫・緊急した場面ではない限り、――そもそもこのような場面になる前に動くべきですが、――必ず未成年のお子様は、同伴して「逃げて」ください。

 さて、避難であれ別居であれ、次に何を行うかです。とにかく相手方(配偶者)とは、直接やり取りできない。つまり連絡・交渉、そして離婚等に進むために、代理人を立てる必要があります。単に「逃げた」「行方をくらました」状態だと、必ず「勝手に出て行った」とのくだらない主張を受けます。

 すぐに、代理人に委任することです。避難所のような場所にかくまわれた場合には、施設やケースワーカーが、然るべき相談機関を案内してくれます。

 代理人、つまり弁護士を委任した場合、まずあなたの生存は確認されましたので、行方不明となって心配して探していた、連絡を取ろうとしていたとの抗弁を、封じることができます。まずは、当面の生活をどうするかです。

 法的には、別居後の婚姻費用の分担請求がありますが、貴重品等の引渡しを求めたり、ここ数日中に、「その住居」宛に起きることへの対応が必要でしょう。

例えば、家に何々の書類が届くとか、締切が迫る何々を出しておかなければならないなど。

 次に、当面が落ち着いたら、離婚に向けた話し合いが進められます。ただし相手方は、あなたが別居したことに怒っておりますので、「はい、わかりました。」とはならない。「別居の同意」を得ることなどができる夫婦関係なら、逃げるように別居するはずもないのですが・・・。

 協議離婚ができない場合は、次に調停の申立てをします。弁護士に委任した場合は、あなたの住所を明示する必要はありません。

 一般的に「離婚だけ」合意して全てが清算され、解決となるケースは稀有です。未成年者がいれば、法的に親権者の指定を要します。また、養育費の請求・財産分与、あるいは面接交渉等を決めなければならない場合もあります。

そこまでの法的な要求や、整理すべき事項がなくても、例えば家に残した荷物をどうするか、口座引落しが分けられている人、健康保険証はどうするかなど、事務処理を要することは必ずあります。これらを決めるのも弁護士です。

 

私どもからいたしますと、別居して離婚が成立するとき、上記のような処理対応をしなければならないことがわかっておりますから、できれば別居を敢行する前に、段取りしておきたい事項があります。

 

つまり、別居する前にやっておきたいことです。

 

別居前に、つまり離婚を考えたとき、一緒に居ることについて不安・危険を感じた時には、即弁護士に相談しましょう。

 次の機会に、これを前提に相談に来られた方に対して、申し上げる事項をお話しいたします。

離婚事件の鉄則は、「愛せなくなったら離婚」「愛されなくなったら離婚」です。

 

離婚を求められる理由はない、理不尽だと思われても――そんなパートナーをご自身は未だ愛していると思っていても――愛されなくなったら離婚すべきです。

 そして、理不尽・身勝手な主張・要求にはしっかり反論対抗し、離婚を強いられる側の不安や不満は、明確に述べなければなりません。

 当事者両人も、もう元には戻らない、戻れない。愛してもいないし、愛されてもいないと認識しているのに、別居して何年経過しても離婚しない夫婦がおります。

 両当事者が、それでよいとお考えならそれでよいのです。それがこのご夫婦の婚姻の在り方であり、周囲がとやかく言うことではありません。

 しかし以前にも言いましたが、離婚すると言ったのに、その後の手続に進まない、あるいは離婚は嫌だと言ったのに、別居状態が続く、今の状態を受け容れているケースはしばしば見かけます。

 これは、「離婚しないメリット」があるからです。

 困ったときにならないと、基本的に人間は動きません。心が離れてしまっていても、今の状態で困っていないから事態は動かないのです。

 それで両当事者とも不満はない、困っていなければ、これまた周囲がとやかく言うことではありません。しかし片方の当事者は困った、あるいは不満が生じることはあります。しかしパートナーは困っていない、つまり「離婚しないメリット」があるのです。

 例えば、毎日喧嘩ばかりしている夫婦が、離れ離れに暮らすことで、あえて離婚手続を執ってあーだこーだと言い合うよりも、安寧なこともあります。

これもまた、「離婚しないメリット」です。これがある限り、こういう人は動きません。

 このような状態に陥っているパートナーの方、このままで良いと判断され、状況を変えないこともまた「離婚しないメリット」です。つまり、当事者双方にメリットがあるのです。

 これに対し、本質的な問題は解決していない。このままでは将来が不安だとお感じになる方は、自ら動かなければなりません。

 つまり、パートナーの「離婚しないメリット」は、私は受け容れられないということを宣言しなければならない。そういう夫婦形態は受け容れられないと言うことを。

 つまり婚姻関係は、客観的に破綻していて、もはやこのご夫婦両者が納得し、同意できる婚姻関係の継続は不可能ということを意味します。

 つまり、「こんな状態」が嫌だと意を決して動いたならば、必ず離婚になるとうことです。こんなケースよく見かけます。

 事態を動かすためには、ご相談にいらっしゃることがその第一歩です。

離婚の際、財産分与の論点が出てきます。

 

財産分与とは、夫婦が婚姻中に形成してきた財産の清算のことです。婚姻中に形成してきた財産も、名義は夫婦いずれかになっていることがほとんどですから、この『実質的共有財産』を離婚にあたり分ける作業です。

 例えば、夫が給与所得者、妻が扶養を外れない範囲のパート収入の夫婦が婚姻後、夫名義で不動産を取得した以外にはこれといった財産がない場合、離婚にあたり妻は夫に対し、不動産の評価額の2分の1の価格の請求ができます。

 ところで巷ではいろいろ言われていますが、実務上動かないと言うよりも、決まっている判断があります。

 例えば、夫婦の実質的共有財産に対する割合は1対1、つまり他方名義の財産に対して、2分の1の請求権があります。

 また、いつからいつまでの財産の清算かについては、『同居期間中』となります。婚姻届の日と同居の日が、それほど離れていない場合は、婚姻日がスタートと扱われることもありますが、財産形成の終期、これを『基準時』と言いますが、これは同居生活が失われた日となります。

 この点家庭内別居が続いていたとか、別居後も子育てその他で『協力』してきたとか主張されることがありますが、一見明白な『別居した日』を基準時として、それぞれに財産の評価を主張・整理させるのが、裁判の現場です。

 つまり裁判所は、それぞれの名義の財産を明らかにさせ、それぞれにその価格を主張させた一覧表(対照表のようなもの)を作成し、争いがある部分のみ判断します。

 なお、『絶対離婚しない』と言い張っていても、仮に離婚となる場合は財産分与の申立てをする例です(これを付随的処分の申立てとも言います)が、こうなると、離婚となります。

 つまり、財産分与一覧表が確定すると和解離婚するか、判決で離婚となるかのいずれかとお考えください。

 財産分与額は、基準時、つまり別居時のそれになります。

 

もっとも不動産の評価などは、別居が数年前となると当時の査定書を用意することは難しいと思います。いちいち不動産鑑定などしない実務です。この場合は、現在の査定書からある程度の数字を推定して評価します。

 かつて私は、ある不動産の査定書を当事者それぞれが合計5~6通集めた例があり、なんと裁判所は、その合計平均値をその不動産の価格とした例を経験しました。

 一般的に不動産の評価は、売却したい側は高値を、引き続き居住するなどこれの所有権を確保したい側は低い数字を出してきます。この裁判所のやり方は、あまりにもアバウトですが、これが現実です。

 今回は、分与の対象となる財産の評価は、別居時が基準となると覚えていただきたいと思います。

離婚したいのに、なかなか離婚できないケースの中に、配偶者(夫又は妻)が絶対に離婚しないと、強く離婚を拒絶しているケースがあります。

 

嫌なものは嫌、というよりも、納得できない、また理不尽には屈しない思いはよくわかります。

離婚を求められたが、自分は――今は――離婚したくない、応じられないと言われて相談に来られる方も少なくありません。

 

このような思いの方に申し上げるのは、自身が納得できるやり方筋道で、夫婦関係を考え、結論を出しましょうと言うことです。端的に言えば、「納得して離婚しよう」であります。

 

愛せない、愛されなくなったら離婚。

 

これは私の確信です。未だ愛している、愛されていると感じておられる方には、離婚を強いることはいたしません。やがて愛されていない、否自分は(本心では)、決して(もはや)愛することができないことに気付きます。そこまで徹底してお付き合いします。そこから離婚に舵を切ります。

 なお男女関係については、答えははっきりしています。嫌なら、嫌いなら、嫌がられたら、嫌われたら関係解消です。これ以外の結論はありません。

 

もちろん関係解消、清算を巡って整理・解決しなければならない問題はあります。

 「離婚したくない」と思って相談に来られた方も、配偶者に離婚の意思が強く、また上記のとおり愛せない、愛されていないことを実感され、私福本悟と委任関係を締結した方は、最終的には離婚になります。離婚すべきなのです。

 

しかし、「離婚を絶対にしない人」が、依頼者の相手方になることはあります。

むしろ私の依頼事件は、ほとんどがそのケースです。以前お話したかもしれませんが、ご依頼を受けて5年以上経過した例は少なくありません。

 

「そんなに時間がかかるのか。」「必ず離婚できる。」と思われるかは人それぞれです。

 

どうしても離婚したい方は、依頼されるでしょう。面倒だ、大変だ、あるいはそんな弁護士ならやってられないと思われて、このコーナーから離れるのもご自由です。

 

ただ言えることは1つ。「離婚を希望して離婚できなかった人はいない。」途中で投げ出したり、諦めた人は、私の依頼者にはおられなかった事実です。

 

しかし、ご依頼を受けて依頼者と進む過程で、常に思うことがあります。必ずいずれは離婚になるのに、どうして相手方の代理人は、離婚を説得しないのだろうか。離婚を前提に、リスタートする選択を与えないのかであります。

 

気に入らないこと、指摘を受けたことに反発反論すること自体が、目的のような調停そして裁判になっていると感じることが多々あります。「時間がかかる」要因の1つです。「納得して離婚」が大切です。依頼者に納得してもらうために、時間をかけるべきなのです。

 

それは依頼者に納得してもらうために、何をどうするか、何を獲得するか、依頼者と代理人弁護士との信頼関係によって導かれるものです。

そこに至るには、時間をかけることが大切です。ネットや書物では得られません。

 

まずは、時間制限のない初回無料相談からスタートします。

きさらぎ法律事務所福本悟にご相談ください。

 

 

離婚を希望しても、なかなか離婚できない方がおられます。

 

なぜそうなのか。一番わかりやすい答えは、配偶者(夫又は妻)が離婚に応じないからです。理由・事由は何であれ、「嫌なものは嫌。」「できないものはできない。」それはそうでしょう。

 これとは別に、なかなか離婚に進む手続を執らない例があります。

 例えば、①夫婦の問題だから「他人」に相談すべきではない。②調停とか裁判は、時間やお金がかかる。これをよく聞きます。

 そこでご本人が希望するとおり、離婚になればよいのです。そういう方はこのコーナーを、ご覧になっていないでしょう。

 

いつも申します。

離婚・男女問題で「紛争」となっている、少なくともご自分の意図した解決にはなっていない。まして悶々としてストレスとなり、精神的に辛い・・・。これらは、自分一人で解決しようとするからです。

 

家庭や男女問題を解決できない・・・うまくいかない・・・大きな事情の1つに、弁護士に相談し、依頼しないことがあります。

 

離婚・男女問題こそ当事者間で話し合っても、解決できるものではないと心得てください。人に、特にサポートする弁護士に話すだけでも、話を聞いてもらっただけでも、随分気持ちは楽になったと言われる方は少なくないです。

 弁護士に相談できない事情の1つとしてよく聞くのは、どこに、誰に相談してよいかわからない。専門性や得意分野がわからないと言われることがあります。ネットなどで何々が得意とか発信している事務所は、信用してはなりません。

 かく言う私も、自分が男女問題等の専門とは思ったことはありませんし、離婚事件をアピールしているものではありません。ただ「経験がある。」と言うだけのことです。

 

協議離婚が成立しない状態のときは、調停の申立てをします。ここでも調停は、時間がかかるとよく聞きます。しかし、その手続に進まなければ離婚にはなりません。話し合いでは解決できない、離婚という成果は得られないのですから。

調停は時間がかかるのではなく、じっくり時間をかけて解決に向かっているのです。経験上調停(離婚に限りませんが)成立する場合は、じっくりと時間をかけています。だいたい3~4回期日を重ねますと、つまり調停手続が続いていれば、調停は成立すると見通せます。

 

ダメな場合――最近はほとんどありませんが、――期日2回まででわかります。これは経験です。

 

調停に時間をかけるのは、解決に向けて1つ1つ丁寧に積み上げていくからです。つまり、積み残しをしないために、真剣に集中して行われているからです。

 

離婚・男女問題の解決が長引くのは、そのようなイメージを持たれるのは、早期に弁護士に依頼しないこと、また調停手続等へ進むことに逡巡抵抗をお持ちの方が少なくないからです。

 

解決への第一歩は、弁護士に相談することに尽きます。

 

相談時間制限がない、きさらぎ法律事務所弁護士福本悟の初回無料相談をご利用ください。

離婚を希望する人が求める判決は、『原告と被告とを離婚する。訴訟費用は、被告の負担とする。』です。

 

もし夫婦間に、未成年の子がいる場合には、『原告と被告との間の未成年の子〇〇の親権者を原告(又は被告)と定める。』が加わります。

 つまり、離婚を希望する側が、養育費の請求や財産分与の申立てをしない限り、上記の判決主文です。

 離婚したくない、つまり請求棄却の裁判を求めるだけで、離婚を容認する判決が出た場合に、離婚される側が、財産分与等の申立てをしていなければ、『離婚だけ』の判決になります。

 ですから離婚を希望しない、離婚を拒絶する側(被告)も、念ため予備的に『仮に離婚が容認された場合に…』と財産分与の申立てなどをする例ではあるのです。

 そうすると裁判所では、必ず財産分与や養育費の審理もします。特に財産分与については、表を作って対比させる例です。これにより仮に離婚する場合は、どんな財産分与になるのか、事実上の和解に向けた進行になります。

 

 これは、離婚を前提とした和解です。

 

これに対し、このような申立てが(予備的にも)一切なかった場合は、冒頭挙げたとおり、『離婚だけ』の判決になります。

 しかし、原告となった離婚を求める側も、『それだけでよい』と思っていても、離婚後の事務処理を要することでしょう。

例えば、扶養を外す、健康保険証を返却してもらう、自動引落しや光熱費の名義を変える。あるいは私物が残っているとか、まあ気付かないことがいろいろあるものです。

 それでもどうしても離婚したい、あとは野となれ山となれの心境なら、さほどに思えないでしょうか。

 これに対し、まさか離婚判決になるとは思わなかった側は、例え財産分与の予備的申立てはしていたとしても、保険はどうする、ライフラインはどうなるとか、措置しなければならない事柄が必ず出てきます。

 

しかし、もう離婚しており『他人』ですから、協力は求められないでしょう。

 

そうならないためにどうするか、裁判ともなれば代理人弁護士が選任されているでしょうから、弁護士の指導どおりその説得に応じて、対応しなさいが一応の答えです。

 

しかし弁護士であればこそ、判決になってこのような面倒な?事務処理は、好ましくないと思っているのが現実です。

 ならばどうするか。まず和解離婚の場を設けるべきです。『和解』ですから、細々としたところも合意できます。

 離婚は、和解だけということを、ここでは申し上げます。

離婚を考えている方の中で、離婚届を書いてもらった、預かっているといわれるケースがあります。

 当事者が離婚を合意したから、離婚届が作成されたのでしょう。協議離婚は、役所に離婚届を提出したときに成立します。

 

 離婚届を保持したままのケースは、だいたい2つの理由があるようです。

 ひとつは、このときは直ちに離婚するまでの考えに至っていないが、将来のために書いてもらって(書かせて)、いつでも出せるようにしておこう。これがよくあるケースです。

 

 ところで離婚は、届出書作成時及びこれの提出時に、離婚の意思がなければ無効です。実際の争いは、それぞれの時期の意思を立証できるかになりますが、少なくとも冗談で書くことになったのではない限り、その時点で既に、当事者間の婚姻関係は正常を欠いていたと認められるでしょう。

 

 つまり手続き踏めば、最終的に離婚を求める側の希望が通ることにはなります。しかし、そんなことをしなくても、婚姻関係が正常を欠き、この関係を維持継続することが困難となった場合は、結局離婚となります。

 いつも言うように、離婚を希望して離婚にならない例はないのです。

 

 ですから離婚届を書いてもらって保持することが、将来の担保とか、この先有利になるなどの考えを捨て、既に正常を欠いているのですから、この先どうすればよいか、どのようになるのか、ご自身の幸せのために、弁護士にまず相談することから始めてください。

 証拠を確保してからとか、相手がどう出るかわからないから・・・と躊躇するのではなく、まず相談することが先です。

 

 離婚届を書いてもらって保持したが、これを提出しない、できないケースの他の理由としてあるのは、離婚後が見えない、離婚するにあたって何をすればよいかわからない不安がある、と感じられて、これの提出を躊躇されるケースがあります。これがもう一つのパターンです。

 

 例えば、家を出て行くところがない、養育費について話ができない、夫婦共有名義の物件で、ローンが残っているなどいくつもあり得ます。

 法的には、離婚の合意と未成年者がいる場合には、親権者の合意さえあれば離婚は有効であり、協議離婚届は受理されます。しかし、得てして上の例のような、「積み残し」があるのです。

 

 積み残しをしないためには、離婚届を出す(書く)前に、弁護士に相談することが不可欠です。離婚届を提出してしまったら「他人」であり、話し合いをするのは生理的にも嫌ではありませんか。

 

 離婚届を出して離婚になったとしても、現実に、このような「積み残し」をされるケースは、少なくありません。子の養育費や面接交渉(面会交流)を決めていないこともあります。

 荷物を残したまま、健康保険証を持ったまま(保険から抜けていない)など、しばしば聞かれます。

 

 弁護士に依頼すれば、積み残しはさせません。そして万一積み残しをした状態が続いた場合には、「離婚後の紛争調整」という家事調停手続を利用することで、解決が可能です。これも弁護士に依頼して行うべきことは、言うまでもありません。

 

 離婚を考えた時点で、ぜひとも弁護士福本悟にご相談ください。

離婚・男女問題を数多く担当させていただく過程で、一番苦労し、裁判所の理解不足・非力を痛感するのは、「面会交流」です。

 

「面会交流」とは、別居や離婚により未成年の子と離れて暮らす親(これを非監護親と言います)が、子と同居する親(これを監護親と言います。離婚後は、ほとんどの場合親権者となっています)に対して、子どもと会う機会を設けてほしいと求めるもので、「面接交渉権」と言う人もいます。もっとも面会交流は、「子の利益」のために行なわれるものであり、非監護親の当然の「権利」のごとく捉えることは誤りです。

 

 未成年者は、特に年齢が低いときは、両親の不和等で片方の親と離れる場合は、母親が監護養育するケースが多い実情にあります。今回は、その原因・理由や是非は申しません。

 

 そこで大抵の場合は、父から母に対して、「子どもに会わせてほしい」と求められることになる例です。このとき親は親、親と子の関係は別だと言われます。面会交流の必要性を言われるのです。子を監護する親も、一応はそう言います。しかし、実際面交を行わなければならない具体的状況に至ると、なかなか実行されない現実があります。

 

 もともと別れた、別れる者同士であり、信頼関係がないのが前提です。私も相手を信頼しろとは、どちらの立場にある依頼者に対しても申しません。

しかし、あなたは変わらなければならない。そうすれば相手も変わるとは申します。

 

私は、非監護親・監護親いずれの立場の代理人も務めます。ただ基本は、親が別れても親と子は別れられない。分かれてはならないという視点です。

それはDVや虐待など、面交禁止または制限事由が認められるケースでも、「なんとかして」「可能な限度で」「工夫して」「いつの日にか」親子の面会交流ができるよう、少しずつ時間をかけて行うということです。

 

これらの事柄、私の経験したところ、そして調停等司法の現状の報告も兼ねてこれからお話してまいります。

 『別居』という言葉は、文字通り別に居を定める、別々に居ることを意味しますが、私たちの業界で使われるときは、家庭内不和があり、配偶者のどちらかがそれまで暮らした生活の本拠を離れることを言っています。

 

 この「別居」が問題とされる場面・実例は結構あるのです。

 

  ○どれくらい別居が続けば離婚できるのか。

  ○財産分与を決めるときの夫婦共同財産の評価の基準は別居時だ。

  ○別居後には生活費、婚姻費用の分担請求ができる。

 

 などまだありますが、これとともに「家庭内別居」という言葉も耳にすることがあります。これも俗語ではあります。

 

 ただ、俗語であるが故ではないとしても、法律事務の世界では「家庭内別居」が、「別居」と同じ効果を生むとは限りません。そもそも法文上では、別居がどうのの定めはなく、「同居」に関する注文の解釈から、ならば別居の場合どうなのかの解釈に進む例です。ですから「家庭内別居」は、より効果が少ない。

 

 例えば、「妻とは家庭内別居状態だから・・・」の甘言に乗ってはいけない。

年中行事になっている「婚姻関係破綻後の行為だから不貞ではない」は、裁判所は認めません。同居中の人と性的関係を持ったらアウトです。

 

またネット上では「家庭内別居中」でも、婚姻費用の分担請求、つまり収入の少ない側(一般的には妻)から、多い側(一般的には夫)への生活費の請求はできると書かれておりますが、現実的にはなかなか容易ではありません。

審判に至って認められても「別居」の場合より、相当下がる例です。

 

つまり家庭内別居は、別居の状態が外から見えにくい、見えてもその捉え方、解釈がいかようにもあり得るところから、「別居」と同じ効果が認められることは、ほぼないということです。

 

ですから私は、離婚を希望する夫婦の一方から相談を受けた場合、まず別居を勧めます。私は、別居敢行の日をXデーと言っています。Xデーに向けた準備から入るのです。

 

そもそも、たとえ会話はしないとしても、同じ空間に留まることは精神衛生上よろしくないでしょう。葛藤を取り除くこと、冷静な気持ちで判断できることがスタートです。

 

別居期間何年で離婚できるか?―よく聞かれる質問です。これに対する私の答えは決まっています。「別居期間に関係なく、離婚したい人は最後まで   その気持ちがぶれない人は、必ず離婚できる」からです。

 

しかし、よく判例などで別居期間に言及されるのは、婚姻関係の形がい化の要素としてとらえられるからです。要するに、外から見やすいからです。もちろん形がい化の―強い―要因が他にあれば、総合的に判断されます。

 

離婚による財産分与の基準時が、別居時点だとされるのもわかりやすいからです。別居により夫婦共同し合って夫婦のために財産を維持形成させるという機能は失われたとなるからです。

 

このように、「別居」は、明確かつ強力な効果が実務上あるのです。「家庭内別居」は違う。むしろ別居できなかった、しない事情、言い訳に、「家庭内別居」が使われていることに留意されなければなりません。

 

離婚の折、決めなければならない事柄があります。

法律的には、未成年の子がいる場合に、親権者の選定だけです。

 

ただし、調停離婚の場合には、未成年者がいる夫婦は、必ず養育費の支払いと子との面接交流について、調停委員会から諮られます。これは、民法766条Ⅰ,Ⅱ項で、子の監護をすべき者(通常は親権者),子と非監護親との面会交流,子の監護費用について協議して定めると記載されているところに基づきます。離婚届出用紙にも、このような協議をしたかどうか、定めているかどうかチェックする欄があります。

 

ですから、実際調停離婚の場合でも、調停が成立する場合には、養育費の額と面交(面接交流を略して『面交』といいます)は、必ず記載される例です。

 

以前から申し上げるとおり、愛せない,愛されなくなったら離婚すべきです。もちろん、不条理に離婚を強いられる側,つまり、愛されなくなった方に対する相当な手厚い保護は必要です。最近では、離婚を求める調停や、代理人としてそれを求める交渉に入った途端に、「はい、わかりました」と応えられることはないものの、ある程度調停等が進行すると、離婚に進みます。むしろ子の監護に関して、あるいは財産分与等の金員面で、解決が長期化する感じがいたします。

 

なかでも面交はいちばん悩ましく、解決までの時間がかかるうえに、一定の取り決めがなされても、調停等が終了後、そのとおり履行されないケースが多々あるのです。

民法766条のⅠ項は、「子の利益を最も優先して考慮しなければならない」と規定しています。この「子の利益」を巡って、監護親(親権者)と非監護親との間で激しい対立が生じるのです。

私は、離婚を希望し、あるいは現に別居状態にある方から、夫婦関係の調整を巡る事件のご依頼を受けることが多いです。離婚,男女問題だけではありませんが、この年齢になり、地裁(高裁,簡裁)事件よりも、はるかに家裁事件が多くなっています。

 

そして離婚についていえば、また、子の監護,同居の点からいえば、離婚したい側,これを求められる側いずれからも、また、子と同居している側,していない側いずれからも依頼を受けております。

 

ただし、面接交渉に限っては、子を監護している,つまり、未成年の子と同居しているのは、ほとんど女性(母親)ですから、面接交渉を求める側の代理人を務めるときは、依頼者は男性(父親)となります。

私の実感は、夫婦関係事件で最も難関なのは面交です。裏返して言うと、もともとスムーズに非監護親と面交していたケースは別として、実際別居後面交できていないのに、いとも簡単に面交に関する合意ができた,そのような協議や調停が成立するのは眉唾物,ちょっと疑問を持ったほうがよいということです。

 

この面交に関しては、「お父さん,お母さんに対するお願い」として、数年前にこのコーナーに少し書きました。しかし昨今は、言葉で説明できるような案件では済まなくなった実感があります。

次回以降、この点経験を踏まえて少しずつ書いてみます。

ただし、私の基本は、「子は両親に愛されなければならない」ということです。すなわち、面交は行われなければならないという立場です。これは監護親、即ち子と同居して養育している親の代理人として活動するときに、まず依頼者に強く求め、説得することです。

男女に関する案件を担当させていただいて、私は「年中行事」と呼ぶ現実を目にします。いくつかあるのですが、その1つは、「婚姻関係破綻の抗弁」といわれるものがあります。

 

 これは、配偶者(夫または妻)がいる人と(いる人が)性的関係を持ったが、そのときは、既にその人と、その配偶者との婚姻関係は、修復が不可能なほど破綻していたから、その人には貞操保持義務はない。従って「不貞行為」にはならないから、例え配偶者がいる人と(いる人)が性的関係を持っても、その人の配偶者(夫または妻)に対して不貞行為に基づく損害賠償義務はない、というものであります。

 

 まず、私のところにいらっしゃる方は、圧倒的に配偶者(ほとんど妻)がいる人と性的関係を持って、その配偶者から損害賠償請求を受けた立場にあることが多いです。

 

 なぜ損害賠償請求を受けるまで、その関係を継続したのでしょうか。バレなければ良いと思ったならば格別、しばしば言われるのはそのパートナーとなった方(ほとんどが夫)から、配偶者(ほとんどが妻)とはうまくいってない、いずれ離婚する、あるいはもう夫婦ではない、関係は破綻していると言われて関係を持ったと言われます。

 

 もう関係してしまったことは仕方ありません。ただし、いかなる理由・事情があっても、婚姻中の人が性的関係を持ったらアウトと考えなければなりません。これが肝です。

 

 それと私は、このような相談を受けた方の立場であっても、パートナーとなった方が、その配偶者との婚姻関係が破綻していたとは抗弁させません。

 それはあなたが言うことではない、パートナーが言うべきことです。

 

その手続については、別のところに書きました。

 

 裁判所の実務でも、例えば長期別居していた後に関係を持ったようなケース、あるいは最初から最後まで、そのパートナーに配偶者がいるとは思えなかったケース(要するに騙されていたケース)のようなごくまれな場合以外は、容易に婚姻関係破綻の抗弁は認めません。

 

 端的に言えば、現に婚姻中であれば、仮に関係を持ったパートナーが、既に破綻していると判断していたとしても、その配偶者が離婚にNOである限り、破綻は容易に認められない。

 つまり、離婚できない、まして離婚を拒否されている人と関係したら(そういう人が関係したら)貞操保持義務は消滅しておらず、不貞行為となるということです。

 

 さて、不貞行為の慰謝料ですが、まず裁判所では「1本」と言われます。即ちどんなケースであっても、賠償義務がある以上、100万円を切ることはないと考えてください。このあたりはネットでも、実にいい加減な例が紹介されていますが、信じてはダメです。

 

 もちろん実際の裁判で、100万円未満になったケースはいくつも私は経験しています。だからと言って、本来はやはり「1本」が正しかったと思っています。もちろん上限はありません。ただし、ここ10年くらい200万円超になったことは1回限りです。

 

つまり、100万円~200万円の間に収まることが多いのです。ですから、婚姻関係がほとんど破綻していると思われている、そう言いたいときでもやはり、「そのあたり」になるということです。

 

むしろ大切なことは、金を払えばおしまいということではない。

 

どうしてこういうことになったのか、不貞関係となったその人とはどうするのか、どうなるのか、またあなたが配偶者ある身でそうなったとするなら、その配偶者(だいたいは妻)との関係は、どうなるのかが大切です。

 

つまり、登場する関係者(たいてい3人)それぞれ、この―件の後どうなるのか、あなたは何をしたいのかを考えて、解決しなければならないということです。

 

これも繰り返しになりますが、離婚したくないと言っておきながら、配偶者(たいていは夫)の不貞行為で、その相手方に対する慰謝料請求をすることは、ほとんど私は勧めません。この理由も別のところに書きました。当該箇所もぜひご覧いただければと思います。

現在、当事務所の受任事件の6,7割は、家庭・家族等『人』に関する案件となっています。

 

 親族間の紛争・離婚・相続・遺産に関する問題・親子関係・後見や財産管理、そして婚姻外男女関係などです。

 

 従って、自ら家庭裁判所に出掛けることが多くなります。

 

 最近は弁護士の数も増え、また社会経済も複雑となってきましたから、さまざまな場面に遭遇します。私ども事件の依頼を受ける弁護士も、依頼者から、また、事件から学びます。どれ一つとっても同じ事実関係はないのです。

 

 私はいつも、「あなたにとって何がよいのか」を一緒に考えましょうと申します。他の人のケースがこうだった、誰からこう言われた、あるいはネットで調べたらこういう判例がある等々を、言われる相談者がおります。いろいろ調べ、情報を仕入れるのは、心配だからでしょう。

 

しかし、まず弁護士に依頼してください。

 

家庭家族・男女に関する案件は、ひとりであれこれ考えても、また専門家ではない他人に言われたから解決できるのではないのです。

 

 私のところにいらして委任契約を締結された方が、まず仰るのは、依頼して気持ちが楽になったということです。

 

 スタートはそこからです。

 

それでは、どういう弁護士を選ぶのか。

 

まず費用で決めてはなりません。誰だって、経費はかけたくありません。

もちろん安かろう、悪かろうは困りますし、現実論として工面できなければ、受けられないと言う弁護士もいるでしょう。

 

私が申し上げたいのは、ここから入ってはならないことです。

 

ネット等で、弁護士費用の高低から決めるようなことはしないでください。

 

先ずは相談に行き、話を聞いてもらって、その弁護士さんに解決するまでついていけるかどうか、時間をかけてじっくり吟味してください。

 

きさらぎ法律事務所では初回相談は無料で、相談時間の制限は設けておりません。

 

費用は委任契約をしたときに発生し、それは面談相談時にご案内します。

 

 弁護士福本悟の経験として、「費用が払えないから依頼できない」とされた方はおられないと信じます。

 

 現在、いわゆる法テラス対応はいたしておりませんが、解決までの強い意思をお持ちで、委任契約をと求められた方をお断りしたことはございません。

 

 このことは、初回ご相談時にお話します。

 

 今日はHPのこのコーナーを更新するにあたり、まず『経験が大事』ということを申し述べさせていただきます。

 

 その経験から、依頼されたあなただけの解決のために、力を尽くします。

世間では離婚を求めている人がいて、その相手方に弁護士が就くと、その人とは離婚はしない意思だとか、離婚を争うつもりだとか捉えているのでしょうか。

 弁護士の立場からすると違います。

 弁護士は、どちらの立場になっても、依頼者が納得して夫婦に関する問題を解決するために入るのです。

  それでは、離婚される理由はない、納得できないという側の方の場合、それはそんなあなたに寄り添い、安心してもらい、納得のいくプロセスであなたにとってどうすればよいのか一緒に考えサポートするために関わらせていただくのです。

 

 本当にあなたにとって、何でパートナーは不満があるのか、心当たりはないかもしれない。その場合は、じっくり話を聞きましょう。

  気づくことがあるかもしれない。気づいて互いに認識を共通にし、調整がかなうことだってあるでしょう。

  反対に、そんな理由で嫌いだとか離婚するなんて思うのだったら、生涯を伴にするのは無理だと感じるかもしれない。

  あるいは、離婚される理由はないと言い切るのは、あなたの強がりかもしれない。その先に進むことへの不安から、予防線を張っているのかもしれない。

  あたなたにとって何が一番よいか、一緒に考え、解決までサポートするのが私たちの仕事です。

  私が依頼者に必ず言うのは、男女に関する問題は弁護士が入らなければ解決しない、着地できない。しかしあなたが弁護士に依頼すれば、必ず解決するということです。

  また依頼を受けて、最初にその相手となった人に連絡するとき、これを受任通知と言いますが、「あなたも弁護士に依頼してください」と文書に添えます。

 よほどのことがなければ、弁護士が就きます。

  相手方に弁護士が就かないケースは、私からすると、その方が相談したであろう弁護士から受けた、解決への道筋を受け容れないからです。

 その大半は、気が強い方と見受けられます。

私は離婚をしたいと考えている方、離婚をパートナーから求められた方、いずれからもご依頼を受けます。

 ただし、離婚を求められた例の依頼者で、この方にとって絶対に離婚しないことが幸せである、それが目指す着地点だと認めて対応したケースは、私の記憶する限りございません。

 確かに途中調停が不成立となったり、離婚請求が棄却されたことはありました。

 

 しかし、そのこと自体で依頼者は満足し、解決したのではないのです。

  ここに納得・安心を得るかの重要性が導かれます。

 

 丁寧に、慌てることなく、納得いくまでご一緒するということです。

 

 離婚されるのかわからない、離婚を求められる理由はないと思って悶々としている方、ぜひ話をお聞かせください。

 

 また、相手はどうせ離婚しないだろうと思って、その先に進まない方も、ぜひ話をお聞かせください。

 

 

離婚協議が整わないとき、離婚に関していきなり裁判は起こせません。必ず家庭裁判所の調停手続を経る必要があります。

 

 調停とは、裁判所での話し合いです。民間から選ばれた男女各1名の調停委員が、双方の話を聞いて調整を試みます。

 

 調停は、裁判官を含めた3人の合議体を構成する調停委員会が担当しますが、裁判官は法的な判断を要するところや、調停の成立不成立の終局場面で出てくることが多く、基本的に2名の調停委員が中心となっています。

 

 調停で話し合いが成立すると、調停合意と言って、調停調書が作成されます。

 

 離婚の場合は、調停成立日が離婚の日となり、後日これを本籍地役場に届出します。

 

 ところで調停で話し合いがまとまらないとき、調停成立の見込みがないとして調停委員会は、調停不成立を宣言します。

 

 調停が不成立となった場合、離婚を求める側は、家庭裁判所に離婚請求訴訟を提起します。

 

 人事訴訟手続法が改められ、訴訟を提起する場合、調停の経過等を説明し、この裁判の争点は何だったかを予め書いておく例です。

 

 もちろん訴えを起こした側、即ち原告の見立てによるところが書かれます。

 

 事実関係にも争いがあり、当事者双方は認否・反論しますが、離婚訴訟では『争点』とされたところが、ほぼ審理の中心となります。

 

 調停は、事実関係をはっきりさせる手続ではありません。

 

しかし、調停を経たけれども終結しなかったということは、概ね何が問題だったのか、その解決のために何をすればよいのか、法律専門家である裁判官は、経験上わかるからと考えられます。

 

 例えば、財産分与に折り合いがつかなかった、具体的には不動産の評価や退職金の扱い計算に開きがあったとすると、裁判所は双方の主張を表にして、証拠となる資料を出させて焦点を絞る作業を行ないます。

 

 裁判になった場合、基本的には当事者の感情、つまり心に訴えるやり方では進められません。それでは調停が不成立となったのと、同じことになってしますからです。

 

 しかし、双方主張立証がほぼ完了した、あるいは裁判所なりに心証を固めた落し処を考えた段階では、やはり和解を勧められます。

 

 即ち『和解離婚』です。

 

 私は、これまで離婚したいと希望した人で、最終的に離婚できなかった人はひとりもおられません。しかも、ほぼ調停離婚が成立しています。

 

 しかしここ2~3年、調停が不成立となるケースがいくつか出ています。それで裁判になるのですが、全部和解離婚となっています。

 

 つまり、最後は話し合い、裁判所で離婚協議がまとまったということです。

 

 裁判を経験してわかったことがあります。それは、感情的に激しく対立していても、それだからこそ収めるのは、調停や和解が相応しいということです。

 

 つまり判決等で、『やりっぱなし』にしないことが肝要だということです。

 

 裁判は、比較的進行が早いです。そして、当事者の出頭を求められることはほとんどなく、最後の最後で裁判官が説得するため、つまり、当事者が納得して紛争の終止符を打ち、リスタートできるよう当事者本人が、『顔合わせ』に裁判所に来るような感じです。

 

 最後はやはり、本人が決めるということです。

 

 こういうことがわかってきますと、調停委員の対応もありますが、延々と調停を続ける必要がないケースが出てきます。

 

 私も10年以上前に、調停委員を拝命しておりましたが、当事者の説得の場、葛藤を収める場は、まだその先にあることに気づきます。

 

訴訟になっても和解できる、すべきである、この姿勢は大切です。調停では見えなかったこと、別の角度から気づくこともあります。

 

 裁判は嫌だ、怖い、厳しいと考えがちで、しかも調停を経ておりますから、「まだ先が長い」と暗たんたる思いがしがちです。

 

 でも実際は、依頼者と代理人弁護士が同じ目線で目指すところにブレなければ、意外と早く、しかも確実に結論がついてくるのが、離婚裁判といえるのです。ですから調停段階で、弁護士に依頼する必要があるのです。

家を出た,別居した夫又は妻が、残された妻又は夫に対し、なかなか離婚を求めない,しかし、戻ってくることはないケースについて、何回かお話ししました。なぜそんな事態になっているかと言えば、出て行った夫又は妻は、とりあえず、『困っていない』からなのです。

 

家に残されたほうは、納得できない以上に、不安でしょう。そんな事態を動かす方法は、これまで申し上げてまいりました。夫婦関係(円満)調整申立てや、婚姻費用分担調停の申立てなどです。そして、たいてい、離婚に進みます。

 

 今回は、家を出て行った,しかし、困っていない人に対する戒めを申します。結論を先に言えば、いずれあなたは離婚になります。

 

別居して安心していられるのは、生活費は送られてくる,何よりも、嫌な人と同じ空間に留まることがない,精神衛生上とてもよろしい状況なのでしょう。

 

 

確かに、別居せざるを得ない状況に至ったことについては、酌むべき事情があり、やむをえなかったのだと思います。しかし、夫婦は、同居して、互いに助け合う義務があります。これができないならば、夫婦ではありません。つまり、婚姻関係は、解消されなければなりません。これが、社会の公序であり、ルールです。

 

同居義務を尽くせない,別居したあなたにとっては、やむを得なかった,自分の責任ではないと言うことと、別居を続けてよいこととは、違うのだということです。

 

 別居は、離婚の前提です。

 

もちろん、残された側から、夫婦関係(円満)調整の調停が申し立てられるなどして、専門機関を介して、真摯に話し合い、調整をし、ルールを作って、同居が復活することはあるでしょう。しかし、それが叶わないときは、離婚すべき,しなければならないのです。

 

別居して、その先に進まないあなた、少し落ち着いたでしょう。しかし、その反面、残され,また、間に挟まれ困惑している人がいることを忘れてはなりません。

 

たとえば、夫婦の間のお子様はどうでしょう。あなたからすると、あんな夫(又は妻)のもとで子どもは育てられないといわれるのでしょう。しかし、それは、夫(又は妻)に対するあなたの目であり、子どもにとっては、お父さん(お母さん)なのです。

 

離婚問題に携わらせていただく過程で、家を出た人には事情があり、やむを得ないとはいつも感じます(だから、『勝手に出て行った』との抗弁は、私は、自分の依頼者にも認めません)。

 

しかし、出て行った側,別居した人,その後『何もしない人』は、ずいぶんわがままだなと感じます。少し安心し自分勝手,全て自分の目線で、聞く耳持たない人もいます。

 

いっぽうで、夫(又は妻)が別居して、残された妻(又は夫)に対しても、同じことを感じることがあります。帰ってくるはずがない妻(又は夫)を頑なに待つ,幸せなのでしょうか。自分の本心を、偽っておられないでしょうか。

 

そんなケースは、ほぼ例外なく、『その人』に代理人弁護士が就いていないのです。バランスを失ったまま、自己満足,あるいは、片意地を張っている状態が続いているのです。少しも幸せではありません。

 

そんな方を説諭し、支えていくのが弁護士です。私は、相手方の代理人となった弁護士にも、大いに期待しているのです。最近感じることを申しました。

 離婚すると言ったのに離婚しない…

 

 こんな例は、よく聞かれます。

 

妻子ある男性が、「妻とは離婚する」,「妻とはうまくいっていない」などと言って、女性に近づき、交際に発展する例を言いたいのではありません。

上の例、そんなの男の常套文句だからです。もし、これを読まれたあなたが、件の男性に交際を求められて、迷っているのでしたら、

 

 「止めなさい」,あるいは、「きさらぎ法律事務所にお越しください」

 

と申し上げます。

 

また、「離婚する」と言って家を出たのに、全然先に進まない,あれだけ「離婚する」と騒いでいたのに、こちらから離婚を切り出したら離婚しない

こんな例は、あまたです。以前こんな例を、この「離婚・男女問題」のコーナーで、お話ししました。

 

今回挙げる例は、たとえば、何十年別居している,あるいは、夫も妻も、別途パートナーが存在する,とうてい愛し愛される仲とは思えない,ましてはたからみれば、双方とも離婚するのにさしたる障害がないと思える夫婦が、なぜ離婚しないか,であります。

 

こんな疑問を持たれるあなたは、上の例で、形だけの夫婦であるいっぽうと交際中、また、婚姻をお考えなのでしょう。

 

そんなあなたに申し上げます。あなたが気になる件の異性は、『離婚しないメリットがある』のです。

メリットとは、たとえば、子どもが独立し、結婚してからとか、会社を退職してから(退職金が出る,あるいは、ローンを完済する)とかのもっともらしい理由もあるでしょう。

 しかし、単に世間体,社会的立場を気にしてのことかもしれません。

「まさか!」と思われるかもしれませんが、『離婚するのが面倒』のケースも結構あるのです。

つまり、書類を取り付け書く,そのため相手と連絡するのが嫌だ程度のことだってあります。

 

特に申し上げたいのは、「別に離婚しなくたって困らない」,これが常態化しているケースです。

 

それは、先に挙げたパートナーなんていないケースでもありえます。あなたの配偶者は、今となってあえて離婚届を書いて出す必要を感じないのでしょう。

 

嫌いな相手と連絡を取ることはない,お金にだって困らない(お金の請求をされない),別に、『次の人』と婚姻する必要もない,そんな人たちは、あえて離婚手続を執る必要もないでしょう。

 きさらぎ法律事務所にお越しになる方,その相手となる人には、最近この例が増えていると感じます。そんな人を相手にしても離婚したいあなた,また、パートナーにはどうしても離婚してほしいあなた,それは、あなたが動くしかありません。

 

相手は、離婚しなくても、そんな手続を執らなくても困らないのです。困っていない人は動きません。

きさらぎ法律事務所弁護士福本悟に依頼して、あなたのため、事態を動かすしかないのです。

 離婚事件を担当させていただいて、ほぼ例外なく感じることがあります。

 

 きさらぎ法律事務所弁護士福本悟の依頼者をX,その相手方となる配偶者をYとしましょう。Xは、福本に対し、離婚事件を委任しました。

 

 Xの離婚の申し出に対し、Yは、これを拒絶することです。さらに、Yは、Xを攻撃するのです。

 

 離婚を希望するXは、Xなりに、Yとの婚姻関係を継続することは困難だと判断しています。と言うよりも、Xから詳しく事実関係を伺い、こちらからいくつかお尋ねもし、Xの到達点,獲得したいところを熟考したうえで、弁護士福本悟が、Xのためには、離婚が相当であると判断して、これをお受けしたのですから、Xは離婚すべきであり、それができなければおかしいのです。

 

 ちなみに、離婚を希望すると言ってご相談に来られても、詳しくお話を伺う過程で、現時点では、それは相当ではないとご助言することはございます。

 

 さて、このところ多い例は、パートナー,配偶者のYから、既に離婚を求められ、あるいは、それをほのめかされていたケースです。

 

 「離婚届出用紙にサインしてほしい」旨申し出られているような例です。また、パートナーYは、もう自ら別居してしまったケースもあります。

 

 別居の敢行や離婚届出用紙へのサインをする気もないのに、冗談でやったのでしょうか。仮にそうであったとしても、そんな状況自体、まともな婚姻生活とは言い難いですね。

 

 むしろ、まさかXが、自ら離婚すると言い出し、まして弁護士に相談するなんて、Yは、全く予想していなかったと認められます。このようなケースでは、Yは、Xをバカにしていたか、事態を甘くみていたことを意味します。Yに取っては不意打ち、Yは、Xが、自分に反旗をひるがえしたことそのものが許せないのです。

 

 さて、Xはどうしましょう。これは断然、離婚しやすくなったと考えられます。

 

 離婚をほのめかしていたYが、Xより離婚の意思を告知された,正確には、Xは、Yの求めに応じようとしている、しかし、Yは、Xからの離婚の申し出を拒絶した。これはおかしいですね。

 

 こうなってYは、Xとの夫婦関係円満を求め、これを言い立て妙案を出すのでしょうか。それは違いますね。

 

反対に、「これでもか」といった具合に、Yは、Xを批判します。その結果どうなるか、誰が見てもXYは、もう元の愛し愛される関係に戻れません。

 

 そんな例に遭った場合、どうするか。私は、Xの立場の方には、「必ずリアクションが起こる」旨申し上げます。Yは、「ワー」となるのです。積極的にXを非難します。離婚しないと言い張ります。しかし、これは一刻のことであります。

 

 その葛藤をどのように鎮めるのかも、Xの代理人として、適切な対応が求められます。いずれにしても、当事者間では解決できません。しあわせになれません。

 

 このあたり、実際にご相談を受け、あなただけの事実関係のもと、どのように対処するか、ご依頼を受けて進めていく過程で、実感されることになるはずです。

 

 どうぞ、きさらぎ法律事務所弁護士福本悟に、お話をお聞かせください。

夫(又は妻)の不倫相手に対し、慰謝料請求をしたい!

 

よく聞くケースです。なぜ請求したいのでしょうか。

 

「法律や判例で認められている」は、答えになりません。

 

『権利』があっても、常にそれを行使するわけではないでしょう。

 

まして、弁護士に依頼し、あるいは裁判を起こしてまで。

 

夫または妻(以下まとめて『パートナー』と言います)の不倫相手を苦しめたい,報復したいだけが理由で行う人はいないでしょう。

 

「そんなことをして何になるのでしょうか」ということです。

 

きさらぎ法律事務所にお越しになる方は、既婚者と不倫(法律上は、『不貞』と言います)したところ、その人の配偶者から請求を受けたケースが多いです。

 

もっとも、先の例で、パートナーに浮気された方からのご相談もございます。

 

請求したい理由をお尋ねすると、

 

「浮気した夫(又は妻)に目覚めて欲しい,浮気相手と切れて欲しい」

 

とお答えになる方がほとんどです。

 

 ところで、夫婦円満を確保するやり方として、これがベストでしょうか。

 

 不倫をしたパートナーは、夫婦間の基本中の基本である貞操義務に違反したのです。

 

素直にこれを許すことができますか?

 

 あるいは、不倫をしたあなたのパートナーは、いきなりあなたがそのような請求をしたら、不倫相手を庇うかもしれません。

 

 また、あなたのパートナーは、自分の『非』を棚に上げて、「(不倫相手に)慰謝料請求なんて、どうして黙ってやったんだ」と、あなたを非難するかもしれません。

 

 不倫相手と切れるどころか、大切なパートナーを不倫相手の方に追いやってしまう可能性があります。

 

 不倫相手が、妻から請求された慰謝料全額を、夫が、不倫相手のために支払ったというケースがありました。

 

 ある意味、当然といえば当然です。

 

 あなたのパートナーと不倫相手は、請求者に対して共同不法行為をしたのですから、『加害者』のいずれかが、生じた損害を賠償すれば、他方の賠償責任は、消滅します。

 

 内部的には、不貞(不倫)をしたあなたのパートナーの方が、その不倫相手になった人よりも、責任は重いのです。

 

 一方で、不倫相手が、慰謝料請求をしたあなたに対して金員を支払ったら、それで『解決』でしょうか。

 

 それは違いますね。

 

 不倫相手は、共同不法行為であるあなたのパートナーに、求償権を行使するでしょう。

 

 なぜなら、繰り返し申し上げるとおり、両名間では、あなたのパートナーの責任が重いのです。

 

 むしろ、不倫相手がすんなり(ではないかもしれませんが)賠償金を支払うのは、後日、あなたのパートナーに請求(回収)する意図があるからと考えるべきです。

 

 結局あなたは、パートナーの不倫相手からお金を取っても、取られた不倫相手は、あなたのパートナーから相当額を取り戻します。

 

 要するに、お金の還流です。

 

 夫婦円満であれば、財布は共通のはず。悔しくはありませんか。

 

 このようなことで夫婦間で言い争いをしては、何のためにパートナーの不倫相手に慰謝料請求をしたのか、意味がわかりません。

 

 実際、このような案件を担当する弁護士の立場から、「なぜ不倫相手に慰謝料請求をしたいのか」と問いますと、

 

「『夫(又は妻)の不倫相手に、慰謝料を請求できる』と、インターネットや書籍に書いてあったから請求したい」

 

と言われるケースが、非常に多いと感じます。

 

 いつも申しますとおり、男女問題には、教科書も判例もありません。

 

 あなたが何をしたいのか,何を望んでいるのか,これを見極めることなく進めてしまうことは、あってはならないと思います。

 

 パートナーの浮気,不倫でお悩みの方、あなたにとって、何が幸せなのか、一緒に考えていきたいと思います。

きさらぎ法律事務所のホームページ内『離婚・男女問題』は、これを多く担当する弁護士の実感を述べたものです。

 

 決してアカデミックではありません。これまで折に触れて申しますとおり、離婚・男女問題には、教科書,判例はないと思っております。

 

 ひとりひとりの生の事実があります。

 

 さて、今回は、『面接交渉』について感じるところを記します。

 

 面接交渉(交流)とは、離婚や別居により、未成年者を監護していない親(多くは父)が、子を監護する親(多くは母)に対し、自分の子と「会うこと」を主とした接触,交流を持つことを意味します。

 

 面接交渉の重要性は、最近至るところで論じられるようになり、家庭裁判所の離婚調停申立書にも、親権者の指定,養育費の取り決め(希望)とともに、離婚を求める方に、子の面接に関する考え方を記入していただく書式が用意されております。

 

 面接交流の必要性,根拠等は省略します。

 

 実際、離婚そのものよりも、これを担当する弁護士として難儀するのが、面接交渉です。

 

 そして、調停等で、一定の取り決めがなされても、これが現に履行されていないことが実に多いのです。

 

 なぜなのか。

 

 簡単に言ってしまえば、もともと信頼関係がない者同士が、子を鎹にして、うまくやりとりすることは難しいからでしょう。

 

 絶対に会わせたくない!と言い切る元妻(母)の声をよく耳にします。

 

 そんなとき、裁判所の実務がどうだとか、子の福祉のため必要だとか、説得(説教?)しても、心を開いていただくことは困難です。

 

 特に、元夫(父)の暴力により、離婚に至ったケース等では、ひどいトラウマに至っているのは当然でしょう。

 

 離婚した途端に、子どもに会わせろ,会わせる必要があると言われても、とうてい素直にはなれないと思います。

 

 未成年の子を持つ母(妻)が、離婚後親権者として監護したい場合(ほとんどそうでしょう)、離婚成立前にも、相手方となる父(夫)に対し、子の様子を知らせるよう示唆します。写真を撮影して送るとか、幼稚園の行事や、昔でいう小学校の通信表等、成長をしるした資料を送ります。

 

 これを、間接面接ということがあります。

 

 そうすると、直ちに会わせろとは言いにくいものです。

 

 少しずつ母(妻)側も、心の準備ができていきます。

 

 それと、大切なことは、離婚によってリスタートする、相手(父)も変れるのだ,きっと遠くから、養育費を支払うかたちで、子どもに対して、愛情と責任をもってくれているのだと思うことです。

 

 もっとはっきり言えば、母(元妻)は、心の中では、父(元夫)に対するわだかまりは消えない,彼は変わっていないと思えても、彼も変れるのだと思うよう、決めることが必要だと思っています。

 

 数年前、頑なに面接交渉を拒む母(妻)に対し、担当した年配の女性裁判官が、とてもよいことを言われました。

 

 父親との接点を持たないまま子どもが成長したとき、もし、母親であるあなたが、病床に伏すなど、充分監護できない状態になったとき,あるいは、子ども自身が、母親にはどうしても相談できない事情を抱えたとき、子どもが、父を頼りにできないことを、きっとあなたは、ご自分を責めるでしょう。

 

 そんなつらい思いをさせたくないと、語りかけられたのです。

 

 人間は変れる,離婚時の気持ちから、少し脱皮する努力が必要です。

 

 それが、愛する子どもに対する責任なのかもしれません。

 

 何をどうするか、一緒に考えていきましょう

配偶者Aがおりながら、Cと不倫したBの責任ついて考えてみます。

 

 これまで述べたように、A,B,Cの中で、最も悪いのは、Bです。

 

 Bより、Cの責任が大きい場合とは、不倫,すなわち、Bが、Aとの関係で不貞を働くことに至ったのは、Cによる暴力や、いやがらせなどの違法行為があった場合,あるいは、これに類する積極性,主導性があった場合です。

 

 配偶者がいるBと、積極的に肉体関係を持とうとした事実を認定して、CとBの間では、よりCの責任が大きいと判断された例はあります(東京地判平17.11.21)。

 

 しかし、不倫不貞の相手となったCよりも、配偶者Aがありながら、Cと肉体関係を持ったBの責任が重いと考えるべきです。

 

 裁判実務でも、「不貞行為による平穏な家庭生活の侵害は、不貞に及んだ配偶者が、第一次的に責任を負うべきであり、(配偶者の)損害への寄与は、原則として、不倫の相手方を上回るというべき」とされております(東京地判平16.9.3)。

 

 しかし、妻Aから、不倫のパートナーCのみが、慰謝料を請求されたケースで、第一次的責任の主体であるBは、その自覚がない現実があります。

 

 もちろん、Cとの不倫を継続したがために、「なんとかする」などと言うのは論外です。

 

 他方、Cを巻き込んだ自責の念(?)から、Bが、「全部自分が支払う」という対応もダメです。それでは、Aの心が癒されません。(→『不倫倫相手が、夫(又は妻)から訴えられた方へ』)

 

 

 要は、CもBも、Aに対する責任はあるが、CとBとの間では、Bが、より大きな責任を負う結論を導かなければなりません。

 

 Aから、Cに対して、慰謝料請求訴訟がなされた場合、よく、Bの立場の者から、Cの支払額が減るよう――証人になるとか――『協力する』という声が聞かれます。

 

 しかし、減額への協力ではありません。主たる責任があるBが、自らの責任を自覚して、自身の問題ととらえ、自分のために、その責任を果たす必要があるのです。

 

 具体的に言えば、その事案において、相当とされる慰謝料の額の少なくとも50%以上の金額を現に用意して、当該訴訟に参加すべきなのです。

 

 これを、補助参加といいます(民事訴訟法第42条)。

 

 この手続を経ることにより、同時に、不倫のパートナーCとの間の求償(負担割合)の問題も解決します。

 

 Bの立場にあるあなた、Cに対する減額の協力ではありません。自らの責任を取って、Cとの問題も、落ち着かせる場が与えられたと考えるべきなのです。

 

面接交渉が難しいのは、基本的に、父(元夫)と母(元妻)との間に、信頼関係が損なわれているからです。

 

 前回、未成年者を監護する,すなわち、面接を履行する義務がある母親にお願い事をしました。(『面接交渉に躊躇される方へ――お願いを込めて』)

 

 

 本日は、父親に対する希望を申します。

 

 離婚に至った経過については、言いたいこと,納得できないことはあるでしょう。離婚したからといって、その憤懣,鬱憤は、容易に消えるものではないとはわかります。

 

 しかし、子どもに対する愛情と、成長を見守りたい気持ちがあることも真実です。

 

 父(元夫)と母(元妻)は、互いに信頼することは難しい。これは、そのとおりです。

 

 どうすれば、子どもとの面接が実現できるでしょうか。

 

 母(元妻)に対し、さらなるダメージを与える所為をしてはなりません。

 

 元夫であるあなたが、離婚に至る過程で、ダメージを受けたことは事実でしょう。

 

 離婚の交渉,調停等で、いろいろ主張することは結構です。しかし、追い詰め過ぎてはなりません。既に、リングから降りている者に対し、パンチをくらわせて何になるのでしょうか。

 

 離婚話の過程で、出ていなかった事項を持ち出す(とってつけたようないやがらせに聞こえる),法律的にも、現実的にも成り立ちえない主張をする(紛争を解決しようとするのではなく、非生産的なやりとりを続ける)人がおります。

 

 たとえば、調停等で、何の根拠もないのに、突如として、「妻が離婚を求めるのは、別に男がいるからだ」といったり、夫の暴力が原因で、障害を負った妻に対し、「そんな身体では、子どもは育てられない」というなど、実に悲しい現実を目にしてきました。

 

 このような経過によって、調停や裁判で離婚ができたとしても、母(元妻)は、父(元夫)との調停等の態度・対応がトラウマになって、子どものために、父(元夫)と面会させる気持ちになることは、ほとんど困難です。

 

 主張すべきところは主張する,しかし、それ自体不合理で、ためにする言い方である場合、まして、それが、人道にもとるようでは、離婚した途端に、リスタートはできるものではありません。

 

 子どもと会いたい,この先も、面接交流を続けたいと願うお父様、どうぞ、離婚調停等で、母(元妻)を追いつめないでください。頑なになった心は、なかなか開かれません。

 

 結局、母(元妻)が、精神的に立ち直れなければ、愛する子どもに影響がないわけがありません。

 

 弁護士は、離婚調停が係属中に、依頼者の相手方となる代理人弁護士と諮って、面接の準備を行ないます。離婚が成立した後、当事者間で、細部にわたってやりとりする必要がないよう努力します。

 

 どのような場所で、だれが出てきて、どれくらいの時間で、どれくらいの頻度で行なうか、また、面接の前に、何を準備しておくか、これらは、離婚後の父母(元夫・妻)の間で、話し合って合意するのは難しいです。

 

 離婚等の男女の問題,そして、調停は、必ず弁護士に依頼する必要があるということです。

 

「妻は勝手に出て行ったのだから、生活費は支払わない。」

 

 よく聞く言葉です。私からお尋ねします。

 

 「あなたとは一緒に暮らせない。別居させていただきます。」

 

 あなたは、「はい、わかりました。」と同意しますか?

 

 同意できない,認められない,イコール「勝手に…」ではありませんか。

 

 夫婦は同居する義務があり、互いに生活を保持するよう求められます。

 

 生活費の支払い,これを実務上、『婚姻費用の分担』といいますが、婚姻関係が継続する限り、基礎収入が多い配偶者が、少ない配偶者に対して不足した生活費,すなわち、婚姻費用の支払いをするのです。

 

 さて、勝手に妻に別居された夫は、何を希望しているのでしょうか。

 

 別居は、婚姻関係が正常を欠く大きな要因です。ほとんどの場合、別居を敢行した妻は、夫に対する離婚を希望しているでしょう。

 

 ここで夫が、妻が求める離婚に応じれば、婚姻関係は解消され、従って、もはや生活費を支払う必要はありません。

 

 つまり、「勝手に出て行った…」と不満をいう夫であるあなたは、離婚には応じていないのです。

 

 離婚したくない,それを言うあなたは、妻を愛しているのでしょうか。本当に愛しているなら、奥さん,子どもさんの生活は心配ではないのでしょうか。

 

 なんらかの理由,事情があって、ちょっとした行き違いで、妻がとっさに出て行ったと思うのならば、生活費を送り、あなたが家族を心配している姿を見せましょう。信頼を取り戻すことです。

 

 もっとも、「勝手に出て行った…」と非難するほとんどのケースは、ただ妻が、夫である自分の意思を無視した,反旗を翻したこと自体が気にくわない心境から発せられる実態にあります。

 

 このような夫の真意を理解せず、単に「勝手に出て行った」から、妻への非難を繰り返す夫の主張を鵜呑みにして、間違った対応,すなわち、決して夫のためにならない対応をする弁護士が見受けられることは、誠に残念です。

 

 別居に至った理由が、専ら又は主に婚姻費用の未払いを請求する側にある場合には、分担額は、現に監護している未成年の子の養育費部分は別として、請求する側(妻)の分については、支払いをしなくてよいという判例(東京高決昭和40年7月16日等)があります。勝手に出て行った妻が悪いと言い張る夫の側から、しばしばこの趣旨の判例が、引用されるのです。

 

 しかし、裁判所(調停委員会および家事審判官)が取り上げることはまずありません。別居もしくは婚姻関係破綻の原因は、婚姻費用の調停・審判では、考慮しないのが実務であり、実際、審判書の中に記載されてもおります。

 

 婚姻費用は、調停申立て等により、請求を受けたときから、支払いを命じられます。意味なく長く争っていては、支払額が加算されるだけです。

 

 妻の態度,主張がどうしても納得できない方,どうかその不満を、生活費の支払いはしない――これがこうじて、離婚後の養育費を値切る――ような対応はしないでください。その不満は何なのか、どうすればよいのか、それをあなたと一緒に考え、解決していくのが弁護士であります。

 

 妻が別居を敢行した,そのことが気にくわない,あるいは、どうしてよいかわからない夫であるあなた、ぜひ、きさらぎ法律事務所にお越しください。

 

 万一にも、「生活ができなくなって帰ってくるだろう,しばらく放っておこう」などとお考えであれば、失うものが大きくなるだけです。

 

 何もしないのに、現状が変わることはありません。配偶者が別居を敢行したらすぐ、弁護士に相談すべきです。

養育費とは、未成熟子を監護していない,つまり、一緒に暮らしていない親が、その子の成育にかかる費用を支払うことを意味します。

 

調停等実務では、監護親(未成熟子を実際に手元で育てている親)が、非監護親に対し、『子の監護費用の分担』として求めることになります。

 

少し堅苦しい説明になりました。

 

親子の縁は切れない,離れていても、自分の子どもは気にかかる,我が子に対する愛情と責任の証として、非監護親(一般には、監護する母親より、経済力があるとみられる父親)が、監護費用の分担として支払うのが養育費です。

 

こうして、非監護親も、共に子どもを育てる役割分担をしているのです。

 

ところが、離婚・男女問題を担当する際、養育費をめぐって、悲しく感じることが起きます。

 

それは、養育費を支払う側(父親)が、なんだかんだと言って、養育費の額を値切ることが1つ。

 

それと、養育費を受取る側(母親)が、子どもの様子,成長の過程を知らせようとしないことが1つ。

 

現在、家庭裁判所の実務は、平成15年4月に、東京・大阪養育費研究会が発表した『簡易迅速な養育費等の算定を目指して――養育費・婚姻費用の算定方式と算定表の提案』(以下、今後これを『提案』と略称します)に従って算出されます。ちまたに出廻っている『算定表』といわれるものがそれです。

 

提案の是非は、ここでは論じません。

 

実際、司法手続の場では、資料の提供を受けて、客観的な数字が出されます。振り幅は少ないのです。

 

にも関わらず、あれこれ言っては減額を求めるのはなぜでしょう。

 

その多くは、離婚を予定する配偶者(主に妻)に対する不満,あるいは、意地やプライドから、離婚そのものを容易に受け容れ難い憤懣のはけ口が、養育費に向けられているのです。

 

愛する自分の子どもの成長に要するお金を値切って、何になるのでしょう。離婚に至る葛藤の収め方は、別の方法・やり方で、受任弁護士と一緒に考えてまいりましょう。

 

いっぽうで、監護者側は、養育費を支払っている非監護者(父)が、子に対する責任と愛情を示す唯一の方法は、養育費の支払いであることを理解されるべきです。

 

往々にして、「調停で決まったから」「義務だから」等に留まり、父もまた、離れて子どもを育てていることをわかってあげない監護者(母)を目にします。

 

子どもの成長をはげみに養育費を送金している非監護者(父)からすると、「金だけ取られている」と感じるかもしれません。

 

自分も、一生懸命子を育てている,でも、子どもを気にかけて、養育費を送ってくれて有難うの気持ちを持っていただければ、当の子どもが、父,そして母に対する感謝の気持ちを持ち続けるでしょう。ぜひ、子どもの成長の過程を知らせてあげてください。

 

弁護士は、依頼者である監護親,非監護親と一緒に、子どもに対する愛情と責任の示し方を考えていくのです。

妻Aがいる男性Bと不倫,法的に言えば、不貞行為をした女性Cが、ある日Aから、慰謝料等の請求を受けた場合、あなたがCの立場なら何をしますか。

 

最初に、絶対にやってはいけないことを申します。

 

それは、『その事実』を、Bに言ってはならないということです。

 

正確に言えば、問題を解決に導く弁護士等法律専門家や、ご家族等信頼のできる方(要するに、最後まで、Cの立場のあなたを支え、守ってくれる人)より先に、件の不倫相手,本件Bに、事実を打ち明けてはならないということです。

 

なぜCは、Aから請求を受け、そして訴えられたのでしょうか。

 

それは、Bが悪いからです。

 

Bが、責任を取っていないからです。

 

しばしばBの立場の人間は、Aとはうまくいっていないとか、いずれ離婚するとか言ってCに近づき、交際,つまり、不倫が続きます。

 

Bが言うことが真実なら、離婚していなければおかしい。

 

これができていない,無責任状態で、Cに甘言を弄したのです。

 

そんなBが、事が発覚して、Cを本当に最後まで守ると思えますか?

 

事が発覚したと知らされたBは、当然自己保身をはかります。

 

「心配ない」「迷惑かけない」「自分が解決する」云々を言うでしょう。

 

なかには、B自らが、Aから請求された金額を支払うというかもしれません。

 

しかし、それは、Bは、Bのためにやっているのであって、決して、心底Cのためにやっているのではないのです。

 

その結果、どうなるか。

ひとつは、またBC間の男女関係,不倫が継続する可能性があります。

 

ひとつは、Cが、真実を見抜く機会を逸することを意味します。

 

それと、Bが、Cに代わって慰謝料を負担するなどした結果、たとえCが、当面Aからの請求にさらされなかったとしても、Aが、『真実』を知ったらどうなるでしょうか。

 

以前申しましたが、Bが、Cをかばうことが、最もAの癇に障ることなのです。

 

すなわち、本当の問題は、解決していないのです。

 

Bは、Cを紛争に巻き込んだ張本人です。

 

妻との婚姻関係をうまく収めることができずして、どうしてCを助けることなどできましょうか。

 

より直截に言えば、Bが最も嫌うことは、Cが、自らの意思で、自分の問題ととらえ、弁護士等に打ち明け、相談することなのです。

 

Cから相談を受けた法律専門家は、BとCは、利害が対立する関係にあること,一番悪いのはBであり、本当の敵を見誤まらないよう助言・指導します。

 

Bは、不倫が続けられなくなるうえに、Bから求償を受ける立場に身を置きます。

 

もともとBは、妻Aを裏切っていたのです。

 

そんなBが、Cを裏切ること,つまり、最後まで責任を取れないことは自明です。

 

責任を取れない人間の言葉は、信じてはなりません。

 

かつて取扱ったケースでは、Bが、CとAの間を動きまわり、最終的にAについたというものがありました。

 

すなわち、Bは、「Cに誘われた,Cとは別れたかった,Aとやり直したい」云々を平気で述べたのです。

 

ただし、Cが弁護士に相談し、事件処理を依頼した弁護士から、Bにアプローチすることはあります。

 

それは、Cの利益を守るための行動だからです。

 

たとえば、AとBの婚姻関係は、長期間の別居等で明らかに破綻していて、離婚協議中であるようなケースでは、Bは、もはやAに対する愛情も未練もないかもしれません。

 

さらに、Bに対する単なる嫌がらせのために、Aが、Cを訴えたとして、心底Bは、Aを憎んでいるかもしれません。

 

その場合、Bの敵はAでしょう。

 

巷間、『敵の敵は味方』という言葉があります。

 

思いもよらず、Aから請求を受けたCは、形式的には、Aは敵になります。その敵に対して、敵対関係にあるのがBだとしたら、あるいはCにとって、Bは、味方になる可能性があります。

 

しばしば婚姻関係破綻後に、配偶者以外と肉体関係をもっても、配偶者に対する不法行為にはならないといわれます。

 

しかしながら、こんなことをAと法律上無関係のCから言われれば、Aは、単純に、「Cに言われたくない」と思うでしょう。

 

そんなとき、Bが、訴訟告知(夫(又は妻)がある人と不倫した責任について) を受けるなどして、Cのため主張すれば、Cは助かります。

 

ただし、これは、Cが弁護士に相談し、弁護士の判断で対応する場合に限っていえることです。

 

決してCが、直接Bとやりとりしてはなりません。

 

要するに、男女問題の解決には、必ず弁護士が必要ということです。

 

 

今回は、妻Aがいながら、C女と肉体関係をもった夫Bについて考えます。

 

Bが、Aに対する貞操義務に違反したこと,Cとともに、Aに対し、共同(連帯)して、損害賠償義務を負担することは、ご説明したとおりです。

 

Bとすれば、Aに対し、愛情を失い,あるいは、Aの所為により、婚姻関係が破綻し、もはや修復は困難な状態にあって、C女と関係を持ったのかもしれません。

 

しばしば引用されるのは、夫婦の婚姻関係が、既に破綻した後の不倫,不貞の場合には、不法行為は成立しないという最高裁判所平成8年3月26日の判例(判例タイムズ908号284頁他)です。

 

もちろん、そのような事実が、裁判所で認定されたなら、そのような結論になるでしょう。

 

もっとも、実務では、本事例のB,Cの立場で、ところかまわず、このような主張がなされている感がぬぐえません。

 

あるいは、Bの立場では、本当に、Aとの婚姻関係の修復は、無理なのかもしれません。

 

また、Bは、Cを巻き込んでしまったとの負い目,後悔があるのかもしれません。

 

しかし、BまたはCから、上記主張を出されたAの気持ちはどうでしょう。

 

人間は、本当のことをズバリ指摘されたら救われず、とても悔しいものです。

 

他人の夫婦関係に、Cが口出しして、Aの気持ちが鎮まるとは思えません。かえって、Aは、Cに対する反感を強めると思われます。

 

まして、Bが、Cを庇うように映ることは、Aには絶対に容認できないはずです。

 

このような場合、Bとしては、黒子に徹するべきです。

 

つまり、Cを庇い立てしているように見られずに、Aの気持ちを収拾することです。

 

端的に言えば、Cの立場で、事実の認否・反論を用意しつつ、相当とされる損害賠償金を、Bが用立てることでしょう。

 

Bが、主犯格であると考えれば、当然ではないでしょうか。

 

もっとも、Bとしては、Aとの関係は、完全に破綻している――しかも、その責任の大半は、Aにある――と考えられるのに、なんで自分が金を支払うのだとの思いがあるかもしれません。

 

しかし、破綻したと言いながら、なぜ離婚しない,できていないのでしょうか。

 

あるいは、Bにとっても、離婚に逡巡する理由,つまり、離婚しない一応のメリットがあるのであれば、それとの引換えとでも割り切るべきです。

 

むしろ、破綻したと言いながら離婚できないのは、Aの意思が強い,要は、Aが、離婚を拒絶しているというケースが多いと思われます。

 

Bは、離婚手続を執らず、Cと関係を持つこと自体が間違いであり、無責任といわざるをえません。

 

ここで、Bが隠れて(Cの名で)、Aに対し、相応の賠償金を支払うことは、離婚を希望するBに、プラスとなります。

 

なぜなら、共同不法行為となるBの不貞行為については、Cが、賠償金を支払ったので、Bの責任も、その限度で消滅するからです。

 

従って、後の離婚手続において、Aより、Bが、Cと不貞行為に至ったと指摘されても、それは、解決ずみと言えるのです。

 

Bの立場で、いちばんやってはならないことは、逃げること,無関係を装うことであり、次によろしくないのは、Cを庇うような対応をすることです。

 

もし、Bの立場のあなたが、配偶者であるAとの関係を、はっきりさせたいとお考えならば、AのCに対する本件請求は、問題の本当を解決する絶好の機会となります。

 

執るべき途を誤まらないよう、どうぞ、きさらぎ法律事務所弁護士福本悟にご相談ください。

 

配偶者のいる人と性的関係を結ぶことを、不倫といわれます。

 

もっとも、不倫は、ひとりでは成立しません。

 

不倫に応じた配偶者のある人は、配偶者に対し、貞操義務に違反したことになります。

 

そして、不倫した人は、配偶者の貞操義務違反に加担した共同不法行為として、損害賠償義務を課せられるのです。

 

前回の例にならって、妻Aのいる夫Bが、C女と肉体関係を持った場合を考えます。

 

BとCは、Aに対し、共同して、Aが被った全損害を賠償しなければなりません。法的には、(不真正)連帯債務といいます。

 

ところで、Aが、Cのみに対して請求し、又訴えた場合はどうでしょう。

 

Cは、Bの違反行為に加担した,つまり、共犯的立場であり、しかも、一般的にいえば、『主犯』はB,Cは、Bに従ったのだといえるでしょう。

 

Cが、ABの婚姻関係が平穏・平和であることを認識しながら、積極的にBを誘い,あるいは、暴行・脅迫等、それ自体違法性ある方法により、Bと関係を持った場合は、社会的にみても、BよりCが、強く非難されるべきです。

 

しかし、BC間では、一般的に、貞操義務を担うBの責任が大といえるでしょう。

 

そこで、万一Aが、Cのみを訴え、Cが、Aに対し、損害賠償を果したとしたら、相応の責任をBに取らせるのは当然です。

 

これを、BC間内部での求償関係といいます。

 

BCの共同不法行為の結果、Aに金1,000,000円の損害が発生し、これをCのみが、Aに対して支払ったとしたら、一般的には、最低その半分相当は、Bに対して求償できると考えられるのです。

 

上記例で、ABが婚姻中であり、財布は共通だった場合、Aは、Cから、金1,000,000円を取っても、結局その半分以上の金額を、Bが、Cに対して、支払いをしなければならず、要は、家庭内でお金が還流するだけです。

 

Cは、最終的には、自らがAに対して支払った金額のうち相当額を、Bに対して請求し、回収できる理屈です。

 

もっとも、その前に、Aから損害賠償(慰謝料)請求訴訟を提起された場合、Bに対し、訴訟告知することにより、自己の権利(求償権)を確保することができます。

 

これは、民事訴訟法53条に規定するところで、訴訟の結果に利害関係を有する第三者に対し、このような訴訟が係属していることを、裁判所を介して通知することにより、その者に対し、この裁判の効力をおよぼす制度です。

 

たとえば、Aからの損害賠償請求に対し、Cは、Bが、配偶者の存在を隠して関係を求めてきたとか、配偶者とは離婚することになったので、Cと結婚したいと言ってきた等の事情があったと抗弁し、これが事実と認定されて、損害賠償額が決定された場合には、仮に将来、Bが、これと異なる主張をしてきたとしても、CA間の裁判の結果と異なる判断を受けることはないのです。その場合、Bは、Cに対し、少なくない金額を求償できるでしょう。

 

不貞行為の張本人,主犯は、上記例ではBです。

 

Aが、Bとの婚姻関係をどうするか触れることなく、Cに対し、請求することの是非は、別に述べます。

 

要は、一番悪いのはBであり、Bを逃さないよう法律はできているということです。

 

このような例に遭遇された方、どうぞ、きさらぎ法律事務所にご相談ください。

 

 不倫とは、法的に言えば、配偶者以外の異性と性的関係を持つこと,配偶者がある人と、そのような関係に至ることを意味します。

 

 夫(又は妻)がある人と不倫して、その人の配偶者から、損害賠償請求を受けた,訴訟を起こされたと聞くことがあります。

 

 夫婦は、婚姻中、互いに貞操を守る義務があります。

 

 不倫とは、この貞操義務に違反すること,つまり、不貞行為といわれます。

 

 貞操保持義務は、不倫のパートナーとなった人ではなく、婚姻中の夫(又は妻)が負うものです。

 

 つまり、不倫相手は、この貞操義務違反に加担したとして、不倫した夫(又は妻)と共同して、夫(又は妻)に、裏切られた(?)一方の配偶者に対して、損害賠償責任があるということです。

 

 一口に不倫と言っても、両名が肉体関係に至った事情,態様等で、負うべき責任の度合,賠償すべき損害額は異なります。

 

 ただし、1つだけはっきりしていることがあります。

 

 それは、不倫・不貞は、ひとりではできないということです。

 

 すなわち、貞操義務に違反した夫(又は妻)と、これと肉体関係を持つことによって加担したパートナーとは、『損害を受けたと主張する妻(又は夫)に対し、共同不法行為責任を負う地位にある』のです。

 

 共同不法行為を原因として、損害を受けた被害者は、共同不法行為者それぞれに対し、損害額全額を請求することができます。

 

 そして、損害賠償債務は、いわゆる不真正連帯債務といって、共同不法行為者のひとりが、損害を賠償した場合には、その限度で、他の共同不法行為者の賠償義務を、消滅させる効果があるのです。

 

 たとえば、妻Aのいる夫Bが、C女と不貞をし、Aが、BCに対し、金3,000,000円の請求をしたところ、Bが全額支払ったとしたら、Cは、Aに対する損害賠償責任を免れるということです。

 

 そして、共同不法行為者間の内部関係が、問題となります。

 

これについては、機会を改めてご説明します。

 

不倫・不貞は、ひとりではできない,つまり、夫(又は妻)は、自分を裏切った,貞操義務に違反した妻(又は夫)に対しては、損害賠償請求をせず、不倫のパートナーに対してのみ、その請求をすることは、何を意味するのか,それをして、どのような効果があるのか、また、現にひとり請求を受け、訴えられた場合、どうすればよいのか、冷静,真摯に考えなければなりません。

 

しばらく、このテーマにお付き合いください。

以前、『男女問題を担当する弁護士から見た相談者の心理について』お話しました。

 

 ご相談者は、ご自分が期待し、信じる結果が欲しいものです。

 

 期待する回答が得られるまで、何ヶ所か法律事務所を廻る方も多いでしょう。

 

 きさらぎ法律事務所は、無理なものは無理,できないことはできないと、はっきり申し上げます。

 

 しかし、『ダメ』『できない』は、往々にして、法的に不可能というよりも、そもそもご相談者にとって、そのような『期待』を実現することが、本当に問題を解決したことにはならないと考えられるがゆえに、『無理』『できない』とお答えすることも多いのです。

 

 たとえば、長年妻(又は夫)とは不仲で、夫婦の実態がない,もちろん愛情もないケースで、妻(又は夫)以外の異性と性的関係を持った場合、しばしば主張されるのが、婚姻関係が破綻した後に配偶者以外の異性と肉体関係を持つことは、違法ではない(損害賠償義務はないし、有責配偶者とされない)というご相談であります。

 

 教科書的には、そのとおりです。これを認めた多くの裁判例があります。

 

 しかし、そのような主張をし、対応を続けることで、ご相談者に何かメリットがあるのでしょうか。また、ご相談者は、何をしたいのでしょうか。

 

 婚姻関係が破綻したという自覚があり、その認識でいて、異性との交際を継続しながら、配偶者と離婚できないのは、なぜでしょうか。

 

 ご相談者が、離婚を希望しているのであれば、配偶者が、離婚致し方なしの心境に至らせる努力をすべきです。

 

 往々にして、人間は、「本当のこと」をズバリ指摘されると腹が立ち、意固地となり、殻にこもってしまいがちです。

 

 婚姻関係が、もはや正常な状態に復帰する見込みがないそんなとき、パートナーだけさっさと新しい幸せをゲットしようものなら、癪に障るのは当然ではないでしょうか。

 

 火に油を注ぐともいえましょう。

 

 ではどうするか。

 

 きさらぎ法律事務所では、お越しになった方に対し、『ダメ』『無理』とお答えして、それで終わりではありません。この先のことを、一緒に考えてまいります。

 

 先の例では、どうすれば離婚できるか,現在交際中の異性との将来を含め、どうすれば幸せをつかめるのか、相手方の心情にも鑑みて、ご相談者の目指すべきところを押さえ、そこにたどりつくよう、お手伝いさせていただきたいと思っております。

 

 このあたり、抽象的でわかりづらいかもしれません。実際に、きさらぎ法律事務所の初回無料相談を経て、ご依頼者になった方が、『相談者の声』に投稿されています。

 

 言えることは、離婚等の男女問題に関しては、教科書や判例はないと考えて、臨まなければならないということです。

 

 法律相談を受けて、弁護士から期待するとおりの答えをもらった,しかし、問題は解決していないと感じられる方、どうぞ、きさらぎ法律事務所でご相談ください。

 

男女問題に限らず、紛争,トラブルとなっている相手方が、「裁判にする」とか、「弁護士を雇う」などと言い放つことがあります。

 

 これが本当ならば、やがて紛争は落ち着きます。

  なぜなら、離婚等の男女の問題は、法律問題であり、法律専門家のサポートなくして、解決することは困難だからです。このことは、これまで随所で述べてまいりました。

  ただし、上記のように、裁判,弁護士云々と声高に言う人が、自ら積極的に、そのような手続・段取りを執ることは、ほとんどありません。

  それは、相手方に対し、さまざまな要求・主張をされるあなたを牽制するため、いわば、こけおどしに、『裁判』『弁護士』を使っているにすぎないからです。

  男女問題で、本当に、相手方に弁護士(民事の場合、『代理人』といいます)が就いた場合、どのように理解し、どうすればよいのでしょうか。

 

 まず、相手方は、この問題を解決したいと考えていると受取ることができます。

 

 相手方としても、自分ひとりでは、解決できないと判断し、勇気を持って、お金をかけてまで、弁護士に相談し、依頼したのです。

 

 次に、相手方は、逃げない,逃げられないという効果が認められます。

 

 これまで、この問題に関し、あなたを避けていた,逃げていた相手方が、弁護士のところに行ったということは、単に弁護士を盾にしただけではなく、弁護士を介して、あなたと向い合うことを意味します。

  そして、最大のプラスは、これで直接相手方と話をし、また、顔を合わさなくて済むということでしょう。

 男女問題は、当事者間の感情的対立が激しく、これを収めて着地するには、相当な精神力を要することが多いと思います。

 特に、相手方の声を聞き、顔を合わすだけでストレスになる,それどころか、相手方を思い出すだけで、どうにかなってしまう方も、少なくないのではないでしょうか。

 相手方に代理人が就いたらどうするか。

  あなたも、直ちに弁護士に依頼してください。もっとも、相手方に代理人が就く,就かないに関わりなく、男女問題に見舞われたら、弁護士に依頼されるべきですが。

  たとえば、相手方から、慰謝料請求の民事訴訟を提起されたようなケースでは、当然相手方には代理人が就いており、裁判手続ゆえに、自らも弁護士を立てるしかないと考え、相談に来られる方も、少なからずおられます。

  しかし、裁判等に至る前の段階、いわば話し合い,交渉の過程で、相手方に代理人が就くケースは、結構増えていると感じます。

 

 このような段階こそ、あなたも弁護士に処理を依頼してください。

 

 それこそ、裁判等に至らず、代理人間で終結することもあるのです。

  そして、私が担当する男女問題では、最近は、ほとんど相手方にも、代理人が就いております。

  これは、当事者間のトラブルを収めるためには、相手方にも代理人が就く必要があり、私たちは、相手方もまた、弁護士に事件処理を依頼するよう、働きかけるからでもあります。

 私の感覚では、相手方に代理人が就いて紛糾した,反って解決が遅れたというケースは、あまりございません。結局、相手方が、弁護士に依頼したということは、今困っている,苦しんでいるあなたが、これを脱する第一歩となることを意味します。

 男女問題は法律問題、当事者いずれもが、弁護士のサポートを受ける必要性が高いといえるのです。

法律問題であれ何であれ、悩み,トラブルを他人に相談することは、とても勇気のいることです。

 特に、抱えた悩みが男女問題,まして、性的関係が伴なう相談をされるには、いくつもの階段を上って、法律事務所,弁護士にたどりつかれるのだと思います。

 私は、事務所を訪問される相談者に対し、あなたのその勇気があれば、そして、今日受けた相談内容を理解することができるならば、解決できない問題はないと申し上げます。

 ところで、相談内容を理解するとは、どういうことなのでしょうか。

 きさらぎ法律事務所は、事務所内での初回相談は無料であって、相談時間の制限を設けていないことから導かれます。

 すなわち、きさらぎ法律事務所では、ご相談者がお尋ねになる質問に対し、「イエス」「ノー」のみをお答えするのではなく、ご相談者の本当の悩み,解決すべき事柄は何なのか、そして、相談者を含む関係者に、問題の積み残しをしない収め処を押さえた着地をするにはどうすべきかを一緒に考え、ご相談者が目指すべき終着点を、お示しすることを心がけているからです。

  このような立場から申しますと、多くのご相談者は、当初、ご自分の期待する答えを得たくて、いろいろな相談機関に行かれるのだと感じます。

 

 これは、人間の習性上、当然といえば当然です。

  しかし、ご自身が期待する答えを得られたからといって、本当に問題は解決したことになるのでしょうか。

  最近は、ネット社会といわれ、パソコンで検索用語を入れると、その説明をした法律事務所や概説書に行き当ることができます。

  たとえば、『婚姻関係破綻後の不倫・不貞は許されるのか』と入れた場合、最高裁の基本となる判例を引用して、「許される」「違法ではない」「損害賠償義務はない」等々を説明するサイトが、いくつも出てくるでしょう。

  これを読んだ方が、別に問題はないと軽信したらどうなるか。

  ご相談者にとって、ご自分が希望する結論,すなわち、終結が得られないことがあります。

  特に、数ある同種事例の中で、1つか2つ、ご自分の現在の状況と合っていると思われて、その説明をそのまま相手となる方にぶつけたら、あるいは、ご自身で、調停等の手続を執っていた場合どうなるか、『解決』とならないことが多いのです。

  次回以降、具体例をお示しします。

 

 

前回、『離婚後の紛争調整』調停について、言及しました。

 離婚が成立したにも関わらず、積み残しがある場合に、利用する手続です。

 たとえば、荷物を引取りたい(引取ってもらいたい),子どもにかこつけて、様子を探られる,連絡してくる,住居や光熱費等の契約名義を変更したいなど、ありえると思います。

 離婚したから、もう関係ないとして、協議ができない,したくない現実があるのでしょう。

 このようなケースは、家庭裁判所に対し、離婚後の紛争調整の調停を申立てすることにより、事務的にも,心理的にも、終結に向かうと思います。

 ところで、婚姻外男女関係の解消の場合はどうでしょう。

 婚約したわけでも、内縁関係だったわけでもないのであれば、「別れる」「別れよう」で終わりのはずです。

 しかし、別れたはずの元パートナーから、連絡・接触が続くことがありませんか。

 そして、『復縁』を迫られることはないでしょうか。本当に、『関係は終わった』といえますか。

 いっぽうで、交際中に撮影した他人に知られたくない写真等、元パートナーの管理占有下に残した状態で、気になりませんか。

 さらに、別れた後、新たな事実が判明することも、なくはないでしょう。元パートナーに配偶者がいた,彼の子を身ごもっていた,貸したお金を返してもらっていない等々、よく聞く話です。

 そんなとき、『男女関係解消後の紛争調整』の調停を申立てしましょう。もちろん、弁護士に依頼して。

 常々申し上げるように、男女問題は、法律問題であり、法律専門家のサポートが必要です。

「別れたが不安」をお持ちの方、どうぞ、きさらぎ法律事務所弁護士福本悟に、ご相談ください。

離婚が成立してひと安心,新たなスタートが切れると思いきや、悩ましい事態に見舞われるケースがあると思います。

 協議離婚,調停離婚,裁判離婚、いずれの形態でも、ありうると思います。

 協議離婚は、当事者が離婚を合意して、役所に届出することで、効力が生じます。

 この場合、よく話し合って、離婚が合意されたのであり、その前提として、当事者間の葛藤の程度が、苛烈ではなかったと考えられます。

 従って、協議離婚が成立後に問題が生じる,あるいは、積み残しに気づくことは、比較的少ないと思われます。

 たとえば、健康保険証の切替,住居の退去に伴なう私物の搬出等の事実上の作業のみならず、子の養育費や面接交流等、法的権利義務に関しても、予め話し合いがなされることが期待されるからです。

 『協議離婚』であるにも関わらず、問題が生じるのはどのような場合でしょうか。

 それは、上記設問の反対が回答でしょう。すなわち、当事者間で、よく話し合いがなされず、離婚届だけが届出されたケースが典型です。

 予めパートナーに離婚届を書いてもらって、自分が保管していた,いつでも出してよいといわれた

 と、お聞きするケースがあります。

 離婚届を預った側は、パートナーが、今度違反(?)をしたら、離婚されても仕方ないと認めて、サインしたものだといわれます。

 しかし、「今度違反したら云々」の条件付合意は、離婚の合意そのものではありません。

 このようなケースで、しばしば起こるのは、現に予めサインした離婚届がいつ提出されたか、パートナーは知らなかった,自分は、離婚を認めていないという主張です。

 このパートナーの主張は、そのとおりなのでしょう。

 すなわち、かつて離婚届にサインしたことは事実だが、現実にこれが提出されたことは知らず、従って、そのときは、離婚に合意したおぼえはないということです。

 この場合、離婚無効が争われることになります。

離婚とは、これを届出するときに、その意思が、相互に明確であることが必要です。

 上の例は極論としても、たとえば、夫のDVから早く逃れたい,養育費はいらないから、早く籍を抜けたい,あるいは、他に好きな異性が出現したから、後は野となれ山となれ…の思いで、離婚届にサインだけして(してもらって)提出することはあるでしょう。

 このような場合であっても、先に例とした健康保険や、いわゆる年金分割,子の学校,児童手当の変更手続等役所関係の手続で、元配偶者の協力を得る必要が生じうるのです。

 酷い場合は、元パートナーが、ストーカーに変身することさえあるのではないでしょうか。

 これらは、離婚を急ぎすぎた,とにかく離婚さえすれば…という、厳しい言い方をすれば、後先を考えず、当時の心境としては、もう自分のキャパを超える現実に直面し、考えて行動するゆとりはなかったということから生じるものです。

 そんなときどうするか、パニックなったら、ご自身で対応できない状態に見舞われたら、…

 離婚等の男女の問題は法律問題、法律専門家のサポートにより、着地しうるものです。そのときこそ、弁護士に依頼するのです。

 このことは、これまで本ホームページで随所に申しましたので、ここでは取り上げません。

 しかし、こうして離婚後に、現にトラブルに見舞われた,また、問題の積み残しに気づいた場合、どうすればよいのか、それは、

 家庭裁判所に対し、『離婚後の紛争調整』の調停を申立てすることです。もちろん、弁護士に依頼して。

 この手続,内容等は、次回以降にご説明します。

夫又は妻から、「離婚する」と言われた場合、どうしますか。

 まず、パートナーから離婚を求められる,つまり、離婚される理由はないと憤慨される方は、少なくないと思われます。

 しかし、怒っていても、決してハッピーではありません。

 あなたに離婚される理由があるかどうか,悪いところがあったのかどうかということと、パートナーが離婚したいと思う気持ちは、別の問題です。

 あるいは、あなたを愛する以上に愛したいと思う異性が、出現したのかもしれません。

 あなたにとって、この理不尽をどう対処するか,パートナーに何を求め、あなたは、この先の人生をどのように過ごすかは、機会を改めてお話しいたします。

 「離婚する」と言って、パートナーが家を出てしまった,あるいは、「離婚したい」と言われて、一緒に暮らせないと思って家を出たけれども、離婚になっていない,離婚の話が進んでいないケースは、少なからず存在すると思います。

 この状況は、離婚を突きつけられた側からすると、さらに不安な状況と思われます。

 このような事態に至った原因は、概ね2つ考えられます。

 1つは、今の状況で、離婚を希望するパートナーは、困らないということが挙げられます。

 たとえば、「離婚する」と言われたことで、ショックを受けたパートナーが別居した場合、離婚を求めた側は、顔を会わさない生活が続いて、好き勝手なことができれば、あえて離婚手続を執らなくても、「平穏」は継続されるでしょう。

 他の1つは、本来法律上離婚が容易に認められない,たとえば、有責配偶者の場合、離婚を告知し、夫婦の実態が形骸化していくこと,つまり、何もしなくても、時間の経過により、心身とも離れていくことで、離婚が認められやすくなることがあると思われます。

 離婚を突きつけられた側は、先が見えない不安がつのるばかりです。

 そんなときは、家庭裁判所に、『夫婦関係円満調整』の調停を申立てしましょう。

 夫婦間の家庭裁判所の調停は、『離婚』だけではありません。離婚もまた、『夫婦関係調整』の調停の一類型にすぎません。

 たとえば、パートナーが別居したが、夫婦円満を求めたい場合には、『夫婦関係(円満)調整』の調停を申立てすることができます。

 さて、先のケースで、離婚を突きつけたパートナーから、『円満』を求める調停が申立てされたなら、本当に離婚したいのであれば、積極的に離婚を求める申述をすることになるでしょう。

 つまり、このような調停を申立てされた相手方は、自分が離婚を求める理由を申述し、かつ、『離婚の条件』についても、提案せざるをえません。

 ここに、事態は動きます。

 この夫婦関係調整の調停の手続の中で、そもそもこのご夫婦は、離婚すべきかどうか、慎重に調整されることもあるでしょうし、愛せず,愛されずの状態であっても、離婚を強いられる方が、過酷な状態に至らぬよう、諸々の配慮がなされて、離婚に至ることもあるでしょう。

 こうして、離婚するといわれたけれども、何も変わっていない状態は打開されます。すなわち、事態は、あなたにとって、よりよい方向に動くことができます。

 調停は、必ず弁護士に依頼して行なうべきことは、これまで随所でご説明しました。

 すると言われた状態で、何も変わっていない方、どうぞ、きさらぎ法律事務所弁護士福本悟にご相談ください。

夫婦,男女の問題で、弁護士に相談される方は、現状に不安・不満,あるいは、危険を感じ、「このような日常から脱したい」のだと思われます。

 たとえば、相手のことを嫌いになった,生理的に受け付けなくなった,同じ空間に留まることが耐えられなくなった等、理由は多々あると思われますが、このような思いを抱え、悩まれている方は、結論として、別れるべきです。

 離婚も、婚姻外男女の関係解消も、法律問題であることは、これまでご説明したところで、ご理解いただけるかと思います。

 法律問題だからこそ、専門家である弁護士がおり、家庭裁判所等の司法機関が存在するのです。

 ところで、きさらぎ法律事務所にお越しになり、弁護士福本より、離婚等の法的手段(あるいは反対に、裁判所を介して、『夫婦関係円満調整』等)を執るのが相当とご助言し、「次の手順に進むべきである」とご案内した後、『そのまま』になってしまうケースがございます。

 ご相談者は、当事者間で話し合うことは無理,もはや専門機関に委託しなければ解決できない,自分一人で対応するのは厳しい等の理由で、法律相談に訪れ、弁護士による法的手続を進言されました。

 それにも関わらず、「もう少し当事者間で話し合ってみる」,「周りから、弁護士に依頼するほどの問題ではない,間に入ってあげると言われた」等の理由で、次の手順に進まない方もいらっしゃいます。

 何度も申し上げますが、離婚も婚姻外男女も、法律専門家ではない人を入れても、解決することはありません。

 良くも悪くも、日本独自の文化として、「争い事を好まない」,「他人に恥を知られたくない」,「お上のお世話になりたくない」という気風があることは、否定できません。

 しかし、ご相談者の『悩み』『苦しみ』は、『争い事』ではありません。誰でも、辛く、苦しい環境に陥り、そこから脱しようとすることが、なぜ『恥』なのでしょうか。幸せになりたいと思うのは、誰でも当り前ですし、そのような考えは、ごく自然なことです。裁判所や弁護士は、『神』ではありません。市民・国民に、適切なサービスを提供し、生活の安寧を支える機関にすぎません。

 きさらぎ法律事務所にお越しになった後、――他の弁護士に依頼するからではなく、――事件依頼そのものをお断りされる方のケースとして、下記のような理由があるようです。

   ● 親族・知人等に、「弁護士に相談した」と伝え、今後の進め方について話をしたこところ、他のアドバイスをされた
 ● 親族から、「身内の恥をさらすようなことをして…」と言われ、弁護士に依頼することを止められた
 ●「たかが男女の問題に、弁護士が口を挟むべきではない」と、友人・知人に言われた

 等々、様々な理由があります。

 その方々が言うには、「もっとよく話し合うべきだ」,「(調停等は)時間がかかる」,「(弁護士等が出てくるのは)大げさだ」という理由があるようです。

 しかし、「話し合いなどできない」,「自分では解決できない」と思われたからこそ、勇気を持って、法律相談にお越しになったのです。

 親族等の支えは必要です。

 しかし、声を大にして申し上げたいのは、専門的アドバイスは、弁護士や調停委員会,裁判所等が為すべきで、『法律問題』に、親族や知人等が介入するのは、相当ではないということです。

 むしろ、これから先は、「専門家にお願いして良かった」という後押しこそ、望まれるというべきでしょう。

 これも、何かの機会に申しましたが、手続に時間が掛かる云々は、口巷、よく耳にするところです。

  しかし、何もしなければ、何も解決いたしません。
これまでの苦しかった時間をお考えください。
これから先は、一人で悩むことはありません。
専門家のサポートがあります。

 そして、ご相談者のことを案じ、これから先も支えになってくださる親族や知人・友人の方には、「これから先は大丈夫,もし、気にかかることがあったら、いつでも私の弁護士に尋ねてください」と伝えてみてください。

きさらぎ法律事務所は、事務所内での初回の相談は無料です。
相談時間の制限も、いたしておりません。

 じっくりとお話を伺い、ともに検討し、相談者の目指すところ,事案の納まりを考え、そこにたどり着く手順をご案内いたします。

 きさらぎ法律事務所は、ご相談者が、ご依頼者になられることを想定し、解決に至るまで、対応させていただく所存です。

 どうぞ、お気軽にお越しください。

前回は、『離婚編』のお話しをしました。

 今回は、婚姻外男女の場合について、お話ししたいと思います。

 婚姻外男女場合,つまり、婚姻していない男女の問題ですが、離婚のように、『契約関係』にはありません。

「では、簡単に別れることができるのか?」

 そんなことはありません。

 ストーカーのようなケースではなくても、うまく別れられない,いろいろ心配なことがある,この先、大丈夫だろうか等々、不安を抱えて相談に訪れる方は、数多くおられます。

 そもそも、

「離婚ではない,ただの男と女の問題である
『こんなこと』を相談して良いのだろうか…」

 と、思っておられる方もいらっしゃるのではないでしょうか。

 婚姻関係にない,つまり、約束事を法に反映した関係にない男女関係は、むしろ、『ああ言えば、こう言う』で、なかなか先に進まないのが実態でしょう。

 このケースこそ、当てはめるべき法規そのものが見当たらない,いわゆる常識・良識を持って、対処するしかないと思われるのです。

 そんなとき、最も大切なことは、ブレないことです。

 つまり、「何が何でも、嫌な相手とは絶対に別れるのだ」という確固たる意思が必要です。

 これが簡単なようで、実に難しい。

 別れを切り出すと、あるいは別れることを約束していても、嫌がらせや報復をされるのではないか,また、付きまとわれるのではないか等々の不安に悩まされるのです。

 しかし、ブレてはいけません。

 ブレないために、そして、相談者・依頼者をサポートするために、弁護士が居るのです。

 確かに、きっぱり、きっちり『別れる』ためには、時間を要することはあります。

 これは、巷問、『調停や裁判は時間が掛かる』と、言われるところに通じると思います。

 しかし、何もせずに、諦めてしまったら、何一つ解決いたしません。

 『嫌なものは嫌』,この嫌な状況から脱するなら、心を決めて、行動に出ることです。

 その第一歩が、きさらぎ法律事務所にご一報され、ご相談いただくことだと思っております。

 きさらぎ法律事務所弁護士福本悟は、26年間にわたり、多くの男女問題に関する事件のご依頼を受け、ご依頼者と共に、真摯に対応させていただいたと思っております。

 むしろ、ご依頼者から、また、事件の相手方から、学ばせていただくことも多数ございます。

 『別れたい,絶対に別れるのだ』という強い信念と、ブレない姿勢を、確固として持ち続けられれば、必ず別れることができます。

 いま、このページをご覧になっている方,具体的なお話を、ぜひお聞かせください。

 お話しされるだけでも、少しは楽になるかもしれません。

浮気,すなわち、婚姻中の夫婦の一方が、配偶者以外の異性と、肉体関係を持つこと,これを、『不貞行為』と言います。

 不貞行為に至った場合、『貞操保持義務』に違反したものとして、損害賠償義務を負い、また、離婚原因とされています。

「夫(又は妻)が浮気した。どのような証拠を押さえれば良いですか?」

 このような質問を、よく受けます。

 相談にお越しになる方で、既に調査会社に依頼して、尾行等を続けた結果、夫(又は妻)が、異性とホテルに入る瞬間の写真を用意されたケースもありました。

 そんなケースでも、浮気をした本人は、しらばっくれたとも言われます。

 ここで大切なことは、『証拠』ではなく、『事実』です。

 肉体関係そのものの直接証拠など、存在しないことが通常でしょう。

 よく裁判で、『弁解は信用できないという判断がなされた』と聞くことがあると思います。

 要するに、その主張,弁明に、合理性が認められない場合は、直接証拠がなくても、事実認定されるということです。

 これを、浮気の例で言えば、

  ● 携帯電話の料金が急に高くなった 
● 携帯電話にセキュリティーをかけるようになった 
● 家族と一緒に居る時間や、行動を共にする時間が減った 
● 行動範囲と関係のなかった場所,店舗等の領収証が出てきた

 さらに、

  ● 夫婦関係を回避するようになった 
● 帰宅したら、すぐに入浴し、就寝する 
● 衣服に不審な汚れがついていた 
● 不審な電話(無言等)が入る 
● 心当たりのない異性と夫(又は妻)が、歩いている姿が目撃された

 これらの例で、合理的な説明ができるかどうかということです。

 きさらぎ法律事務所に相談に来られた時点で、調査会社からの報告書や証拠写真等をお持ちになっている方は、多くおられます。

 相談に訪れた方から、時間を掛けてお話を伺い、配偶者の行動と、予想される弁明を検討し、これが不合理であることを印象づけるにはどうすべきか,何を準備・段取りするかを一緒に考えていくことになります。

 つまり、私の方から、「証拠を集めてください」,まして、「調査会社に頼んだ方が良いです」等と申し上げることはありません。

 夫、又は妻の浮気でお悩みの方,ご自身で動く前に、まずは、きさらぎ法律事務所にご相談されてみませんか。

 そして、大切なことは、浮気を認めさせた(認められた)かどうかではなく、なぜご相談者は、配偶者の浮気を質すのか,そして、今後どうしたいのかを一緒に考えていくことにあるのです。

男女の問題で、上記のような典型例は、離婚の場面です。

 これは、男女が婚姻することは、1つの契約関係となること,しかも、家族・家庭制度の維持に関わることは、公の秩序ともなっているからです。

 約束したこと,つまり、『ひとたび形成した秩序は、簡単に変えることはできない』ということを意味します。

 離婚したい,しかし、相手は拒絶している,1つの契約,秩序を解消するには、一定の要件が必要となります。

 これが、『離婚原因』で、民法770条1項①~⑤に規定されているところです。

 とは言え、契約,秩序をそのままにしておくことで、個人の幸せ,社会の安寧が守られない場合、『契約は守るべき』とは言えません。

 誤解を恐れずに申せば、無理に一緒にいることで、誰も幸せになれないとき,むしろ、人間の尊厳を損なう場合には、個人も社会も、勇気を持って、契約,秩序を解消することが必要です。

「離婚したいけど、相手が応じない。それでも離婚できますか?」

 このようなご相談の方に対しては、

「離婚できます」

とお答えします。なぜなら、

 

  ● 嫌いになった 
● 愛せなくなった 
● 生理的に受け付けなくなった

 このような思いを抱いている人と同じ空間にいる,共に生活することができるのでしょうか、ということです。

 また、なぜ相手は、「別れたくない」と言っているのでしょうか。

 あなたのことを、本当に愛しているからなのでしょうか。

 もちろん、離婚を希望する側の理由,たとえば、「嫌になった」,「別れたくなった」というものは、離婚を求められた相手からすれば、理不尽だと思われるかもしれません。

 あるいは、社会・世間から見たら、「別れたい」と、離婚を希望する方が、非難されるような動機・理由に基づく場合もあるでしょう。

 しかし、『嫌なものは嫌』,これは、どうしようもありません。

  ● どうしたら離婚できるのか? 
● 本当に別れられるのか?

 これは、依頼者の方と心を通わせ、信頼関係を築き、最後までブレずにやり遂げることが大切であるとしか、言いようがありません。

 ただ、経験上、申し上げられることが、一つだけあります。

 それは、離婚事件等の男女問題は、杓子定規に法律の条文を当てはめるだけでは、解決しないということです。

 きさらぎ法律事務所にご相談に見えられ、その後、ご依頼者となった方々は、先にも申しましたように、弁護士と信頼関係を築き、正直に全てをお話しくださり、最後まで気持ちをしっかりと持って、決してブレることなく、離婚という大きな問題に立ち向かっていきます。

 一方で、相手の方に対する尊厳を忘れることはありません。

 その結果、ご依頼者が納得される結果を得て、皆様、新しい途へと進んで行かれるのだと思っております。

 具体的なお話しは、また別の機会にさせていただくことがあろうかと思います。

 では、『契約関係』と言い、『公の秩序』と言った婚姻関係の解消と異なり、婚姻外男女の場合は、簡単に別れることができるのでしょうか。

 長くなりますので、こちらについては、次回以降に、お話ししたいと思います。

未成年、すなわち、20歳未満の子は、親の親権に服します。

 親権は、婚姻中は、父母が共同して行い、養子の場合は、養親が、親権を持ちます。

 親権を行う者,つまり、親権者は、未成年の子の監護及び教育を行なう権利義務を有します。

 これの具体化が、居所指定権,つまり、どこで暮らすかということ,懲戒権,つまり、子どもを叱り、しつけをすることとされています。

 さて、父母が離婚する場合、未成年の子の親権者を決めなければなりません。

 つまり、離婚自体には、合意があっても、親権者を父母のどちらにするかが合意されていない場合には、協議離婚届を提出することができない,すなわち、離婚できないことになります。

 離婚を合意した父母が、未成年の子の親権者を決定できない,話し合いが進まないとして、家庭裁判所に対して、親権者を指定するよう求めることはできます。

 この場合、家庭裁判所は、父母どちらかを親権者に指定する決定をします。

 これが、『協議に代わる審判』という手続です。

 もっとも、離婚を希望する父母のいずれもが、自らを親権者とすべきと主張している場合,あるいは、「親権をくれるなら離婚しても良い」と主張された場合には、離婚そのものの手続に進むことがなく、話し合いや調停は不成立,結局、離婚の裁判に至ることが多いのが実例です。

 このようなケースで、しばしば、「親権とれますか?」と、質問を受けます。

 裁判所が、離婚判決をする場合、未成年の子がいるときには、常に、判決と同時に、父母のいずれかを、親権者と決定します。

 ですから、離婚は認められても、相手方が親権者と指定されてしまうリスクを感じて、離婚そのものに踏み切れない,そんな境涯の方から、上記のような質問を受けることがあるのです。

 ご質問に対しては、

親権は取るもの、つまり、『権利』ではなく、
子どものために『授かるもの』、『責務』である。

 と、申します。

 その後に、

  ● なぜ相手方は親権を主張するのか。 
● 親権を主張するのは、愛情や責任からなのか。
● 見栄や嫌がらせで親権を主張するのか。

 という点を考えていただきます。

 そして、親権者と指定されるかどうかのポイント,そのために、何を主張し、また、心構え,準備しなければならないかを、一緒に考えていきます。

 具体例を参考に、次回以降にお話しいたします。

離婚に関する相談で、よく聞かれます。

 このような質問をされる方は、

  ① 離婚したいが、自分は有責だから、簡単には離婚できない。何年待てば(我慢すれば)良いのか? 
② 別居になって数年経つが、夫(又は妻)と、行き来がない。出て行った夫(又は妻)は有責だから、
  自分はこのまま離婚に応じないつもりだが、別居期間が長くなると、離婚が認められてしまうのか?

 というご相談内容の方が多いです。結論としては、

一定期間(たとえば5年とか10年)経てば、
離婚になるという決まりも、法律もない

 ということです。

 同居は、婚姻関係の本質的要素です。

 その意味で、別居が継続すればするほど、『婚姻関係が形骸化した』とは言えるでしょう。

 しかし、婚姻関係が破綻して、その復旧が著しく困難な状態に至ったと認められるならば、別居期間の長短は、関係ないと言えるのです。

 たとえば、別居期間が1年未満でも、婚姻関係が破綻して、修復は不可能となったと認定されたケースはありました。つまり、

離婚が認められるかどうかに関して、別居期間に拘って、
その次に進むことに躊躇してはならない

 ということなのです。

 それでは、婚姻関係を破綻させたことについて責任がある者(有責配偶者)から、「破綻した」と主張され、事実『破綻した』と認定された場合には、常に婚姻関係は解消すべきだ,つまり、離婚は、認められることになるのでしょうか。

 このことについては、次回以降、ご説明いたします。

タイトルのようなお話は、よく聞くケースです。

 婚姻した夫婦には、互いに『貞操を保持する義務』があります。

 また、配偶者としての平穏な生活をおびやかされない権利,これを『妻(または夫)としての権利』と言われますが、そのような人格的権利が認められるべきことも、また然りです。

 浮気相手に対する慰謝料請求として、「妻の浮気相手に請求したい」という相談を受けることもありますが、経験上、冒頭に挙げた『夫の浮気相手に対する慰謝料請求』のケースが、圧倒的に多いです。

 さて、冒頭のご質問に対して、こちらからお尋ねする事柄があります。それは、

  「ご主人を愛していらっしゃいますか」
何のために、行動を起こすのでしょうか。

 家庭を守りたいため,夫を目覚めさせるため,理由は色々あるでしょう。

 浮気をした夫は、『貞操保持義務』に違反したのです。

 つまり、浮気相手となった女性とともに、妻に対する共同不法行為(民法719条)を侵したことになります。

  ● 夫は許すことができる,しかし、愛する夫を惑わせた女を許せない。 
● 夫が一時期迷ったことに、精神的苦痛を伴った。 
● けじめをつけて、再び夫婦平穏な生活を取り戻したい。
 夫もそれを望んでいるはず…

 相談者には、こんな話をし、じっくり時間を掛けて対応するよう心掛けています。

 ご主人の心が離れてしまったら、夫婦平穏は瓦解してしまうでしょう。

 決して意地や見せしめで、行動してはなりません。

 そんなお話をし、理解された方から、弁護士は、事件の委任を受けるのです。

 そして、その結果、夫婦手を携えて、「ありがとうございました」と仰っていただくとき、「良かった」と思えるのです。

 夫、または、妻の浮気相手に対する慰謝料請求をしたいとお悩みの方、きさらぎ法律事務所で、お話しされてみませんか。

婚姻関係にない男女に関する事案において、よく聞かれる質問です。

 『慰謝料』とは、精神的苦痛に対する損害賠償を意味します。

 ご相談者には、ご本人にしかわからない精神的苦痛,衝撃等があったのだと思います。

 ただし、その苦しみや痛みが、慰謝料請求として成り立つには、法的に保護される権利に対する侵害があり、損害が発生したことが要件です。

 つまり、法律で当然に守られている権利を害する出来事,それにより、何らかの被害を受けたという『事実』が、慰謝料請求ができる権利となります。

 そして、侵害者(損害を与えた人)の故意・過失が必要となることも当然です。

 たとえば、「妻とは別れるから付き合って欲しい」と言われて、交際を開始したが、やはり「離婚はしない(できない)から、別れて欲しい」というケースの場合、原則として、慰謝料請求はできません。

 妻ある男性と男女関係に至ることは、公序に反するからです。

 「離婚するから…」も、そのような約束自体、法的効力は認められません。

 しかし、経緯から見れば、男女の関係であっても、侵害された権利の内容によっては、実は、男女問題ではないケースもあります。

  ● 交際している相手から、暴力を受けて怪我をした 
● 妊娠中絶を余儀なくされた 
● 「結婚しよう」と言われ、専業主婦になるために失職した 
● 結婚するつもりで新居を用意して転居したが、一方的に別れを告げられた

 これらのケースは、検討の余地があります。

  暴力は、それ自体が、違法性がある(許されない)ことであり、入院・手術等、さらなるダメージを与えられたこと,精神的な出捐や、有していた権利(利益)を失ったこと等は、その原因が、男女間トラブルであったからといって、慰謝料(損害賠償)請求ができないものではありません。

 成人男女が交際し、そして別れることは自由です。他方を束縛することはできません。

 しかし、行為の態様が問われることがあります。

 数年同棲し、社会から見れば、「二人は婚姻するのだろう」と思われるようなケースで、突然に関係を解消されたら、それ自体、ダメージを伴うでしょう。

 信頼関係に背いたことで、慰謝料が発生する余地があります。

 要するに、ケースバイケースだということです。

 きさらぎ法律事務所ホームページで繰り返しお話しするとおり、電話やメール等で、簡単に「イエス」、「ノー」で回答できる問題は存在しないということです。

 相談者が関わった事実関係を、時間を掛けてお伺いし、相談者が何を求めるのか,どうすれば相談者が落ち着きを取り戻せるのか等、じっくりと話を聞きながら、一緒に考えていきたいと願っています。

きさらぎ法律事務所は、個人事務所です。

 きさらぎ法律事務所内での初回の法律相談料は、相談内容に関わりなく、無料 です。(『無料相談の理由』)

 相談時間の制限は、設けておりません。(『初めての方へ』)

 事務所にご相談にいらっしゃる方は、個人の方が多く、相談内容も、日常生活上、どこにでもある、誰もが経験する可能性のある事案がほとんどです。

 いつでも、どこでも、だれでも、ちょっとしたことでも、きさらぎ法律事務所にご相談していただきたいと希望する私どもの考え方が、少しずつご理解いただけるようになり、心強く思うものです。

 さて、そんな姿勢で、日々業務に携わっておりますが、ここ数年、離婚,内縁,婚姻外男女,親子,親権,監護といった家庭,親族,幅広い意味で、『男女』に関するご相談・ご依頼が、とても多くなったと感じます。

 これは、当法律事務所のコンセプト,50代となって、人生の半分以上を、弁護士として過ごした福本悟が、この間、多くの方々と巡り会い、学び、感じ、また、話し合いを重ねたところ、皆様から、少なからず信頼と安心を得られたからではないかと、秘かに自負するところであります。

 きさらぎ法律事務所のホームページのそれぞれのところで、『事件の筋』『落ち着き』や、『依頼者にとっての本当の利益』をお話しし、また、かつて調停委員を歴任した経験から、『調停委員』の立場、あり方などを率直にご説明したことも、この種事案のご相談,ご依頼が多くなった要因ではないかと思っております。

 は、きさらぎ法律事務所弁護士福本悟が、日常業務の中で関わる男女の問題の事例、対応、解決への道筋や考え方、さらには、事件の相手方,裁判所,調停委員会との関係,感じたこと等もお話しし、皆様のご相談への一助となり、また、安心してご依頼に進むことができるよう願い、このとおり、ホームページの中で、別項を設けました。

 男女問題が、法律問題であり、弁護士が関与する必要性が高いこと、本当の解決に至るには、弁護士のサポートが不可欠であることを原点として、この先、お話しを進めさせていただきます。