事例 破産・債務整理 事例 離婚・男女問題

私は、夫の借金問題が原因で、一昨年離婚し、小学生の子2人の親権者となって3人で生活しています。離婚した当時は、借金取りが恐ろしく、取立てを受けておかしくなった夫の暴力からも逃れたく、何も取り決めせずに、親権だけ確保して離婚しました。少し時間も経ちましたので、先日元夫に対し、養育費の支払いを求めました。元夫は、「今は無職で収入はない。オレは破産したから支払わなくてもよい」と言ってきました。夫の主張は正しいのでしょうか。

(2014/02/12)

>> 一覧に戻る

結論から申しますと、元夫の主張は、法的には正しくありません。現在、未成年者を監護しているご質問者は、元夫に対して、養育費の請求ができます。

 養育費とは、未成熟子が、独立の社会人として成長・自立するまでに要する費用を意味します。衣食住はもちろん、教育費・趣味・娯楽の費用も含まれます。

 一般的には、子が成人に達する月まで、養育費の支払義務はあるとされます。これを調停手続等で請求したときから、『過去分』も支払いを求めることができますが、さらに、離婚や別居成立時まで遡って請求できるとされた裁判例もあります。

 この義務は、自らの生活を保持するのと同程度の生活を、被扶養者、つまり、未成年の子にも保持させる義務といわれます。従って、無職・無収入で、かつ、多額の債務を抱えていたとしても、自らの生活が維持されていれば、この義務を免れることはできないのです。

 また、元夫が、仮に、破産後免責決定を受けたことがあっても、つまり、過去の借金(債務)は支払わなくてもよいと裁判所で認められたとしても、養育費については、『非免責債権』とされ、これの支払義務を免れるものではありません。

 要は、元夫に労働能力があれば、現在収入がないとの一言をもってしては、養育費を支払わなくてもよいとは認められないということです。

 元夫に余力があるか、どのような方法で、いくら支払うべきかなどは、家庭裁判所の調停手続の中で、順次、検討・解明されていくでしょう。ですから諦めず、調停等の次の手続の進め方について、弁護士に相談することをお勧めします。