事例 破産・債務整理 事例 離婚・男女問題

私は、結婚30年となる専業主婦で、会社員である夫との間には、子はありません。 私は、このたび夫と離婚します。夫も、離婚には同意しました。私たちには、これといった財産はありませんが、私が貯蓄した「ヘソクリ」は、このまま持って行ってよいのか、2年後退職予定の夫の退職金は、全く私はもらう権利がないのか教えてください。

(2012/02/12)

>> 一覧に戻る

ご質問の内容は、財産分与の問題です。財産分与とは、『夫婦が婚姻生活を送っている間に協力して、形成・維持した財産を分ける』ことを意味します。

 夫婦で築いた財産と言っても、通常、片方の名義になっておりますから、これを「清算して分ける」ということです。財産分与に際しては、扶養的要素・慰謝料的要素も含まれると言われることがありますが、基本は、『清算』です。

 さて、実質的には、夫婦二人の財産の清算ということからすると、夫が、妻に対して渡す生活費の中から、妻が節約に努め、『万一のため』に貯蓄していた金銭(または現金)は、夫婦の共同生活を維持するために蓄積されたものと見るべきで、従って、原則的には、ヘソクリは、財産分与の対象となります。

 ただ、夫は、別に小遣い銭をもらって、自由に使っていた、だから妻に渡す金銭(または現金)のうち、いくらかはご自由に、という実態があれば、ヘソクリ分は、夫の妻に対する贈与と認められ、全額妻が受取ってよいという理屈になります。

 退職金が支給され、現金となった時点で離婚となった場合には、かかる現金もしくは預貯金が、財産分与の対象となることは明らかです。夫が長年働くことができたのは、妻の貢献があったからこそです。

 財産分与の請求は、離婚後2年間は可能ですから、ご質問者の場合、先に離婚届を提出し、退職金が支給された時点で、家庭裁判所に対し、先の離婚に伴う財産分与の審判又は、調停の申立てをすることも一つの方法ではあります。

 しかし、2年の間に、夫の会社が倒産するなど、あてにした退職金が支給されない危険性もあります。

 このような場合、2年後に支給されるであろう退職金のうち、婚姻期間に相応する分を算出し、これを現在の額に引き直したうえで、離婚時の清算として、例えば、その半分の額なりを分けて支払いを受ける方法などが調停で試みられております。

 具体的な方法については、弁護士にご相談ください。