事例 破産・債務整理 事例 不動産の問題

私は、間取り3LDKの一軒家を家主さんから賃借して家族と暮らしております。 このたび家主さんから頼まれたという不動産屋から、「契約期間が切れるので、契約書を取り交わす。そのとき1ヶ月分の更新料を支払ってください」と言われました。 この物件の賃料は月額13万円です。私が「支払いができないときはどうなるのですか」と尋ねましたら、「そのときは出て行って下さい」と回答がありました。 13万円を用意するか、家を明け渡すしか方法はないのでしょうか。

(2012/02/12)

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ご質問の件は、「賃借人は、更新料を支払う義務があるか」という論点として、古くから議論されてきたものです。

 教科書的回答としては、「更新料を支払う法的義務はないが、通常、契約書等に明記されているので、形式的には契約違反の問題が生じる」ということです。

 それでは、実際どうなのかと言えば、万一新しい契約書を取り交わすことなく(更新料を支払うこともなく)、契約期間が終了したとしても、引続きその物件を使用し、これまでと同額の賃料(使用料)を支払っている限り、当面住み続けられます。
これを法定更新と言います。

 ただし、更新料の支払いが明記された契約書を取り交わし、もう何十年も請求を受けながら、新しい契約書の作成にも、更新料の支払いにも対応せず、最初と同額賃料を支払い続けているようなケースでは、契約違反が信頼関係を破壊する程度に達したとして、賃貸人からの契約解除が認められる可能性があります。その意味で、『当面』と申し上げたのです。

 更新料の性質や、相当額等については、いろいろな考え方があります。

 ご質問のケースでは、不動産屋の言うがままに、13万円を支払う必要はないけれども、更新料を必要とする理由や、新しい賃貸借契約の内容、家主さんのお考えなどを聞いて、対応すべきと思われます。そして、そのまま現在の契約期間が終了したとしても、出て行く必要はありません。