ギャンブルにカジノをミックスした新たな経済政策を、カジノミクスと言うのでしょうか?

2016年12月9日
テーマ 

統合型リゾート(IR)の整備促進法案、すなわち『カジノ解禁法』が、わずか数時間の審議で成立することになりました。

 

そうです。カジノ解禁法に限らず、現在の国会議員の構成からすると、行政府の長たる内閣総理大臣がやると決めたら、そこに所属する議員はNOとは言えませんから、成立してしまうのです。TPP、年金、カジノ、み〜んな結論決まってました。与党は、『強行採決』すればよいのですから。 このカジノ解禁法、アベノミクスの三本の矢、最後に放たれる成長戦略の目玉とされています。

 

カジノにより海外からの観光客を呼び込み、年間数千億円以上の民間投資を見込まれる、雇用も数万人規模となる等消費の活発化を言うのです。カジノとは、日本人に馴染みがない遊戯ですが、その収益は、パチンコの比ではないとされます。カジノだけが流行るのではなく、ホテルやテーマパークのごとく、まさに総合リゾート施設として一体化するのだそうです。 アベノミクスって、ギャンブルではなく、デフレから脱却して消費を起こす、雇用も増え、新たな業種業務が次々に生まれて国民生活が向上するって話だったのでは…。

 

成長戦略の目玉がギャンブルとは…。カジノは、様々な面から問題あり過ぎ、私は強く反対します。

 

そもそも日本には、カジノを業とする産業形態はありませんでした。まず外資が入ることは確実で、日本の金融資産は海外に流出することが確実視されます。アベノミクスの金融緩和、すなわち日銀が市場にジャブジャブ金を流し込一時的に円安が起きたものの、結局は海外の投資家が通り抜けて、利ざやを稼いだに過ぎませんでした。スタートラインから差がついている上、後に述べるとおり、もう海外ではカジノは下火と考えられています。

 

くだらない、無用の長物を造ってどうなるんでしょう。これは各国のオリンピック後のハコモノの処理でも気づきそうなものです。 お隣の国韓国では、カジノによる弊害が顕著です。先日テレビ放映されたリゾート型カジノ『江原ランド』では、夜間煌々と灯りが照らされているカジノの施設の外側では、道路は閑散、ゴミだらけ、路上で寝転ぶ人があり、そして古ぼけた建物や汚れた電話ボックスには、いわゆるヤミ金のチラシが所狭しと貼ってありました。この地区では、犯罪も増えたと報じられていました。

このところ日本では、『パチンコと生活保護』を論点に、金をなくして生活苦に陥った人たちをバッシングする傾向が見受けられます。これは『福祉のお世話』になっているのに昼間からパチンコとは何だ!の観点から指摘されたもので、私なりの意見はあります。しかし資産家もしくは普通の人が、ギャンブルをして資産を失い、生活苦になったら、単に自己責任だと言えるのでしょうか。

 

現在でも日本には536万人のギャンブル依存症の人がおります。これを放任しておいて、国がギャンブルを進めるのは何だと感じるのは、ギャンブルで破滅し、悩み苦しむ関係者たちだけではないと思います。日頃『税金で』と生活苦になった人たちをバッシングしている方々から、カジノ解禁に関する意見は聞かれません。 日本の刑法は、賭博を処罰します。単純賭博罪から賭博開帳図利罪等いろいろです。よく賭博に関する法律違反で被告人とされた人に対して、検察官は、健全な公営ギャンブルを乱したと非難します。

 

私自身は公営ギャンブルなら良いとは思えませんが、カジノを合法化するには、刑法との関係をどうするか見えてきません。カジノは民間事業者が実施するのでしょう。民間どおしですから、これまたアベノミクスの自由競争により淘汰され、結局は自治体?等の恒久的な収益増には繋がらないと思います。実際アメリカの州ではその問題が提起されています。 だいたいカジノの収益は、負けた客から入った金です。他人不幸で金儲け?と言われても仕方ないでしょう。昔の時代劇ではありませんが、賭博に犯罪組織が介入するのはつきもの。

 

反社会的集団が、合法化を装ってカジノ産業に参入すれば、マネーロンダリングが懸念されます。この法案は、総合的なリゾートなんてうたっていますが、子どもたちも、カジノがある施設内に出入り可能でしょう。わずか数時間の審議で急ぐ理由ってあるのですか。まさか今回党議拘束が外れた公明党から来年の都議選への影響、そしてプーチン解散だか真珠湾解散だかを模索している内閣総理大臣の思いを部下が忖度して、選挙前にやっておこう、しかも議員立法でとなったのでしょうか。

 

カジノ解禁は、政権の経済政策の目玉商品であるとともに、成長戦略の最後の砦。ホントにギャンブルに出たのでしょうか。アベノミクス…ア◯ノミクス…カジノミクス…。