「自民党総裁選を盛り上げることは非常に結構なことだと思う。
だけど極めて重大な安全保障関連法案が参議院に廻って来ている。日本人なら心はひとつなんですよ。やっぱりこの国を守りたい。国民を守りたい。国際情勢も変わって来ている。いろいろあって、この法案をどうするって話ですよ。まして衆議院でどさくさに紛れるような強行採決を行って、参議院ではそんなわけには行かんぞと思っているときに、総裁選や人事に至ることまで話が出ているのは極めて不快。参議院の重要法案の審議の邪魔になっている」。
概ねこんな内容だったと思います。コレ、誰の発言でしょうか?
答えは、安倍晋三内閣総理大臣の夏休みが明け、参議院平和安全法制特別委員会で、いわゆる安全保障関連法案を審議するに当たって、この委員会の委員長の職にある鴻池祥肇参議院議員が、記者団に対して述べたものです。言うまでもなく、鴻池委員長は、自由民主党所属の参議院議員です。
9月末に行われる自民党総裁選では、石破茂地方創生大臣は、早々と立候補しないことを示唆し、他に有力な対抗馬はなく、安倍晋三内閣総理大臣が、無投票当選することは確実と報じられております。安倍晋三自民党総裁は、気分良く束の間の夏休みを過ごされたでしょう。
そんな中で再開された参議院特別委員会委員長の発言でありました。『衆議院の優越』が憲法上規定されているとは言え、参議院は数に物を言わすことなく、『良識の府』として運営する姿勢を示されたのだと思います。
さて、早速再開された参議院特別委員会で、またしても安倍晋三内閣総理大臣は、ヤジを飛ばしたようです。民主党代表代行の蓮舫参議院議員が、防衛大臣に対して質問を準備している最中、「まあいいじゃん。そんなこと」と席からヤジを飛ばし、質問者から「どうでも良いとはどう言うことか!」と釈明を求められ、またしても審議が紛糾する様相を見せました。
以前にも申しましたが、ヤジは、国会議員の免責特権に含まれません。まして議院内閣制のもと、内閣総理大臣は、国会に出席を求められ、国民に向けて答弁しなければならない立場です。それが、こともあろうに内閣の最高責任者が、国民の代表機関に対してヤジを飛ばすなんて……。衆議院特別委員会でも、安倍晋三内閣総理大臣は、民主党の女性議員に対して「早く質問しろよ」とヤジを飛ばしました。ハッキリ言って品がないですね。女性蔑視の傾向があるのでは?と疑いたくもなります。
さて、このとき素早く対応したのが、鴻池委員長でした。安倍晋三内閣総理大臣に対し、「自席での発言は控えて欲しい」と注意したのです。すなわち、委員会で発言が許されのは、議員から受けた質問に対する答弁だけのはずだからです。要するに、ヤジは止めろと言うわけであります。安倍首相は、直ちに『発言』を取り消しました。
自由民主党の国会議員の方々が、安倍総裁に対して、何の異も唱えないことに忸怩たる思いでいた方は、自由民主党を支持するしないに関わりなく、いらっしゃったと思われます。
日頃ほとんど話題にならない参議院で、しかも自由民主党所属の委員長が、毅然とした態度をとられたことに、この暑いさなか、ほんの少し?の清涼剤になったように感じました。
頑張れ参議院!頑張れ鴻池委員長!