8月のある日、夕方の通勤ラッシュの時間帯に、東京と横浜を結ぶ東急東横線が、約4時間運転見合わせとなるアクシデントがありました。これは、信号システム等を集中管理する信号機器室の電気ブレーカーが、なんらかの原因により落ちたためと発表されています。この信号機器室は、東横線多摩川駅付近にあって、東横線と合わせ 多摩川駅を通る多摩川線、目黒線もストップする事態ともなって、利用客36万人に影響が出たと報じられています。 このところ首都圏では、信号系統等のトラブルで、長い時間、広範囲に渡って運転見合わせとなる交通機関のアクシデントが発生しています。先日も、横浜港花火大会の夜、その最寄り駅JR桜木町駅近くの信号トラブルで、長時間に渡って電車の運行ができないことがあったばかりです。このときも、京浜東北線のみならず、桜木町駅を通らない東海道線等も、長時間運転見合わせとなりました。 以前にも申したかもしれませんが、首都圏の鉄道は、各社相互乗り入れをしているところが多く、例えば東急東横線は、みなとみらい線、東京メトロ副都心線、西武池袋線もしくは東武東上線に繋がっているので、遅れや運休等各方面様々な路線に影響が避けられない仕組みです。ある路線が止まっているとき、振替輸送はされますが、ひとつには、待っていればやがて動くだろうと判断して駅周辺に残る人、また、その駅でタクシー待ちする人で混雑し、またひとつには、振替の案内は同じ方向に同じルートを勧めるため、振替輸送に関連する別の交通機関にも混雑が集中して、今度はこれらに遅れ等が、波及してしまうのです。 それにしても、集中管理がどんなものかわかりませんが、たったひとつのブレーカーが落ちただけで、これほど多くの影響が出るとはなんとも脆い感が否めません。故障が生じるのは仕方ないと思いますが、トラブルが起きたとき、これを収拾させる能力が必要でしょう。これも広く言えば危機管理となるのでしょうが、私は、よく『危険の分散』を申し上げます。 ちょっと話題は逸れるかもしれませんが、大切な書類は、原本を然るべき方法で保管する他、幾つかコピーを保存して別の場所、信頼できる家族等に預けて保管することをお勧めしています。裁判の結果が記されている書類だから大切に保管されるよう申し添えしたケースで、数年して『紛失した』と連絡される方がおられます。そんな方に限って、コピーを残さないなど、しっかり管理されていない実情が露わになる例です。 子どものころ、ハイキング、ちょっとした登山に参加させていただいた機会に、リーダーが言われるには、隊長、責任者、ベテラン等は、率先して参加者を連れて行くのではない、先頭は、ある程度経験がある者が務め、責任者ある者は最後尾に付く、そして列の真ん中にも、ある程度勝手を知った者を配列させると仰ったことがあります。お陰様で、こんな私でも、富士山に2回登頂することが叶いました。機械の場合は、そうはいかないのかもしれませんが、便利が嵩じて不便が起きたら元も子もありません。 この東急電鉄のアクシデントが、『集中管理』と関係することを聞き、考えを述べたくなりました。権力でも人口でも、一点に集中させることには、凄い違和感があります。よくトップダウン方式の会社が登場しますが、確かに直ぐになんでも決められるでしょうが、果たしてそれが良いことなのか、良し悪しの判断ができる仕組みなのか、ひとたび間違った方向に走り出したらもう止められないのは歴然としています。『集中』と『分散』、少し考えてみませんか?