安全保障関連法案について、声をあげたタレント芸能人たち

2015年9月18日
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安全保障関連法案は、シルバーウィークの前に、参議院で可決、成立することは確実です。国会前、テレビの前、そして街の中、日本各地で起きている国民の声は、全く政府与党には、どこ吹く風です。ここに来て、来年の参議院選挙が怖いのか、改選される参議院議員を抱える『野党?』3政党が与党と合意し、「国会の承認を『閣議決定』することを条件に、この法案に賛成する意向を示しました。これで与党は、野党の意見を聞くことなく、『強行採決』したとの批判をかわせることになりました。

そんな採決まで、着々準備のある日、国会では、公聴会が開かれ、6人の国民が、意見を開陳しました。その中で、与党推薦の2人は、法案に賛成する意見を述べました。私は、この人たちの賛成理由に呆れました。だって『こんなこと』誰だって言えるからです。すなわち、国際社会の変化に政治が対応しなければならない、平和のあり方も変わりつつあるから、『この法案』を、今、成立させる必要があるのだと言うことです。

私も、その理屈は否定いたしません。こんな意見を述べた大学教授の横には、『改憲派』の重鎮、小林節慶應義塾大学名誉教授がおられました。小林氏も、ここまでは同じお考えでしょう。だから、憲法改正が議論され、国民に問われるべきなのだとなると思います。問題は、この法案が憲法に違反するかどうかです。国際情勢が変わったから、違憲の法律を制定して良いと言うのでしょうか?小林節氏は、憲法を無視するのは独裁政治の始まりだと言われます。そう言えばこのセンセイ、過日衆議院山口4区のある山口県長門市に赴いて、講演されましたね。完全アウェイかと思いきや、「アベ家がキム家になる!」と述べられて、ブーイングではなく、拍手喝采を浴びたようです。

国会前で、デモ行進する若者の中から、23歳の大学生が、意見を述べました。自分たちは、組織はない、動員されたのでもない、ただ、個人として戦争反対を訴え、この法案に反対している、たとえこの法案が成立しても、国会前に集まった者たちは諦めない、ずっと反対を言い続ける、そして、次の選挙で意思表示すると述べました。議員各位には、個として判断して欲しいとまとめられました。

国会前でのデモ行進に参加こそしていないが、このところタレント芸能関係者からも、この法案に関する意見が、相次いでおります。世界的な音楽家坂本龍一さんが、国会前に現れたことはニュースになりました。戦争に関わるテレビ番組や映画に出演した渡辺謙さんや笑福亭鶴瓶さん、プロレスラー髙田延彦さん、女優竹下景子さん、また、母校早稲田大学で講演した吉永小百合さん、沖縄出身の今井絵理子さん等等続々です。

そんな中で、「あれっ」と思わせる場面に遭遇しました。安倍晋三内閣総理大臣は、よく出演されるのは日本テレビとフジテレビですが、フジテレビのバラエティ番組で、あるタレントが、反対運動している若者を指して、憲法9条があったから――平和だったかもしれないが、平和ボケして――なめられているとの自説を述べ後、「ニュースに誘導されている」なんて感想を披瀝したそのときです。SMAPの中居正広さんが、「若い子が声をあげるのは良いことだ。このままでは法案は通ってしまう。僕は嬉しかった…。」と応じたのです。フジテレビ、そして○○新聞社、まさかでしたか?

憲法があったから平和だった、それでなめられていたとして、何が悪いのですか。なめられたって実際戦争をしない、巻き込まれないことが大切だと思います。日本国憲法には、日本国民は、世界に先がけて、「国家の名誉をかけて、この崇高な理想と目的を達成することを誓う」と書いてあります。

そんな各自さまざまな意見を持ちながら、いよいよ安全保障関連法案は、成立します。意見がないのは、自民党議員だけの気配です。

 

自衛隊員が、現地で判断を要するのは、災害時だけではないと思います。

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先日の鬼怒川の堤防決壊により、茨城県常総市が水没した災害で、屋根の上で救助を待っていた住人2名が、犬2匹とともに、自衛隊員により、ヘリコプターに吊り上げられて助けられた様子が、全国放映されました。

 

これを見た愛犬家の意見は、「本当に良かった。自分も、犬を置いて出て行くことはできない。」「犬も家族、自衛隊員の機転に感動した。」でありました。

 

概して、あの危険が迫る中で、犬の命まで助けた自衛隊員に対する賞賛の声が、寄せられております。 ところが、この様子についてあるTweetが、「自衛隊が、要救助者に抱えられた犬を救助するのはルール違反。しかし、要救助者から、『家族』との申し出があったので融通を効かせた」と出たことから、ネット上で、さまざまな議論がなされたようです。

 

「そんなルールあるの?」の素朴な意見です。

 

このTweetをした方は、身内が、自衛隊員であることを明かした上で、『あくまで国民の人命救助』が任務であるけれども、ルールに縛られる中、なんとかして『国民の小さな家族』を救おうとした現場の自衛隊員には、好意的な立場で問題提起したようです。

 

確かに、そんなルールが自衛隊法?にあったとしても、自衛隊員は、人命優先で活動していた過程で、たまたま『小さな家族』を引き受けたのであり、違反とは言えないでしょう。これは、警察や消防でも同じことがあり得るわけで、どうなっているのか興味はあります。ただ、東日本大震災の後、環境省が出した災害時のガイドラインでは、災害時には、ペットと一緒に避難することが、勧められております。もっともこれは、置いてきぼりとなったペットが、野獣化して、人畜や環境を破壊しないようにとの意図が読み取れます。

このネット論争がたけなわになって、防衛省広報室から『正解』が発表されたようです。結論としては、ペットの救出に関する根拠法令はないが、人命救助を最優先する中で、要救助者からの要請には、対応できるようにしていると言うことです。私は、2点申し上げたいと思います。ひとつは、何処かで述べたかもしれませんが、国民は、自衛隊を、災害救助のエキスパートと見て、強い信頼と尊敬の念を持っていると言うことです。

 

これは、その使命感から、自衛隊を志望する若者が多いことと表裏の関係にあることも意味します。 もうひとつは、自衛隊の裁量、現場の判断と言う問題です。我が家にもわんこがおります。この救出劇を知ったときは、単純に良かったと思いました。しかし、仮に自衛隊員が、この2匹の犬を袋に入れ、ヘリコプターで吊り上げる作業をしている間に、別の人命が危険に晒されたらどうかと言う意見は無視できません。

 

あの場面は、人命尊重と、その要救助者の求めに応じた『小さな家族』の救出でした。しかし、世界の何処かで、当の自衛隊員そのものが、人命をかけた場面に遭遇したら、その場面では、臨機応変、適切な対応ができるのか、また、自衛隊員にそれを求めて良いのかと言う問題です。

 

今まさに国会で成立するであろう安全保障関連法案は、安倍晋三内閣総理大臣がなんと言おうとも、存立危機事態の解釈は曖昧で、集団的自衛権か個別自衛権か、PKOとの違いは何処か、政府そして現場での判断に委ねられることは、避けられません。

 

そこは、国民が挙って自衛隊に期待する災害救助の場面ではなく、『現に戦闘が行われていない日本の同盟国が、攻撃されている場所』であります。要は、非戦闘地域とは限りません。自衛隊員が戦争に巻き込まれたとき、法律による歯止めがなく、明確なルールもなく、ひとえに現場の判断によるのです。それで良いのでしょうか。

 

いろいろ考えされられるわんこの救出劇でありました。