地下鉄な駅で起きたベビーカーがドアに挟まった電車が発車したトラブルに関する報道に寄せて。

2016年4月13日
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電車内、特に通勤時間帯のマナー違反は困ったものです。よく議論され、苦情が出るのは、ベビーカーを広げて乗車されることに関してです。しかし、これについては、議論は決着しているのです。


すなわち、国土交通省は、2014年3月に、電車やバスの中では、ベビーカーをたたまなくても良いとする共通のルールを決めたからです。これが『ベビーカーマーク』であります。確かにベビーカーは、『大きくて邪魔』なことは否定できないと思いますが、子どもを連れて、荷物を抱えている保護者がベビーカーをたたんで持ち歩くことのほうが、転倒や挟まりの危険があるからと判断されたからでした。このこと自体は、「そうだろうな」と思います。

このベビーカーマーク、ベビーカーを押した人を表すイラストで、目にすることがありますね。なお、エスカレーターは、ベビーカー禁止ですから、お間違いのないように。しかし、いまひとつ認知度が低いのか、邪魔とかぶつけられたとかの苦情は絶えない感があります。昨年あたりから、JR東日本では、ベビーカーや車椅子の利用者のため、全車両にスペースを設け、該当の場所には、ステッカーが貼られています。今後鉄道会社では、車椅子用スペースなどにこれを貼ることで、トラブル防止に務めると、ベビーカー利用者が肩身が狭い思いをしないように、配していくそうです。


さらに進んで、ベビーカー専用車両を設けるべきとの意見もあります。女性専用車ができたとき、これほど広まるとは思えなかっただろうとも言われます。子どもは大切、子どもの姿が見えて声が聞こえるのは、喜ばしいことです。でも、通勤時間帯に、ベビーカーだらけの車両があるのはなんかしっくりしません。西武鉄道では、来年春から、10両編成の1両のうち3分の1を、ベビーカーなど大きな荷物がある乗客向けに、窓枠の色を変えて、目立つようにアピールする計画が発表されています。


さて、ベビーカーは大きくて邪魔と言うよりも、私は、乗降に時間がかかることのほうが気になっていました。混雑時最初に乗り降りしようとしたら、他の乗客が詰まってしまい、時間がかかります。これは列車の遅れに直結します。ベビーカーを持った乗客は、たいてい最後に乗車するでしょう。でも、これは、他の人たちが乗車したことを確認してから安全に乗ろうと言う意味であって、ドアが閉まろうとするときに、無理に乗ることを認めるものではありません。どうしても急いで乗らなければならないと思っている方のために、横浜市営地下鉄では、駅での停車時間を長くしたそうです。ベビーカー利用者も、落ち着いて安全に乗り降りして欲しいからと説明がなされております。


ところで最近、東京メトロのある駅で、ベビーカーがドアに挟まったまま電車が発車するトラブルがありました。さいわい?ベビーカーに子どもは乗っておらず、挟まったまま電車が走行したため、駅の端の防護壁にベビーカーがぶつかって破損しただけですみました。よかったと言うべきですが、なんでカラのベビーカーが押されていたのかわかりません。挟まった異物が1.5cm以下の場合には検知されず、ドアが閉まったことを合図するランプが消えます。今回は、ベビーカーの前方の車輪を支える細い棒が挟まったので、検知されなかったとされます。ただ、車内およびホームから、相次いで異常通報装置が押されていたのに、車掌はこれに気づいたのに、電車を停車させずに、次の駅まで走行させたと言われており、これはベビーカー問題以前のヒューマンエラーだと思います。是非とも再発防止を徹底していただく必要があります。


ただベビーカー問題として気になるのは、カラのままベビーカーを広げて乗車しようとしたことと、そして、時間帯としては、ラッシュ時ではないのに、どうしてドアが閉まろうとしているのに、ベビーカーを押し込んだのかと言うことです。前輪を支える細い棒が挟まったと言うことは、ベビーカーそのものは、ほとんど車外にあり、これを押した人は、当然ホームに残っている状態だったでしょう。東京メトロによれば、いわゆる駆け込み乗車ではないようです。

これは想像でしかありませんが、ベビーカーを押していた人の前に子ども、あるいはお連れさんが先に電車に乗り込んでいて、ドアが閉まったとして、慌ててベビーカーを押し込んだなんてことはないでしょうか?ドアが閉まろうとしたときに無理に乗り込むのは、安全上の問題に加え、挟まれて列車
遅延の原因になるので、絶対にやめてくださいとアナウンスされていますね。

電車やバスは公共のものです。ですから、必要がある人がいらっしゃる以上排除することなく、ベビーカーマークをして安全と共存を図っているのです。私は、車内にベビーカーが広げられていること自体は、子どもはいつもお父さんお母さんと一緒、そして社会性を身に付けるためにも好ましいと思っています。ただし、例えば、ベビーカーの子どもそっちのけで、大きな声でおしゃべりに夢中なママさんたち、ベビーカーを広げ、座席を複数分占領して荷物を置き、子どもにお菓子を食べさせているのはとても良い気持ちになれません。マナーって、こういうことを指すのではないでしょうか?


そう考えると、ベビーカーが良いか悪いかではなく、乗客のマナーの問題だとなるのです。今回報道されるベビーカーが挟まって壊れた事故?、なんで電車は止まらなかったのかの検証と再発防止は大切ですが、なんでベビーカーは挟まったのか、これも様々な面から検証していく必要があると思います。本当に、ベビーカーに子どもが乗っていなくて良かったです。