本当に不思議だこの国はと思わざるを得ません。安倍晋三内閣総理大臣の「私は立法府の長」発言が出た翌日も、これを大手新聞社が報じないのもなぜだ!と感じますが、当の国会、衆議院予算委員会でも、安倍晋三内閣総理大臣が、『言い間違え』と訂正しないことにも驚きですが、そうであれば、野党を含めて誰も問題視しない、すなわち、「このままでは、本当に内閣総理大臣が立法府の長であり、国会議員である野党民進党の政調会長に対して、国会の委員会運営を勉強するよう助言したことになってしまいますよ」と言って差し上げないのが、全く理解に苦しみます。 ちょっと嫌な予感がしました。「ポツダム宣言は詳らかに読んでいない」と昨年国会で答弁されたときと同じ感じがします。 あのとき、実は先立つこと10年前、安倍晋三氏は、ある雑誌の対談で、「ポツダム宣言と言うのは、アメリカが原子爆弾を2つも落として、日本に惨状を与えた後、『どうだ!』とばかりに叩きつけてきたものです」と述べて、ポツダム宣言が、原爆投下後に通告された、つまり、内閣総理大臣が大好きな同盟国アメリカが、『日本軍国主義が、ポツダム宣言を無視して無謀な戦争を止めないから』原爆を投下したとの説明と言うか、歴史そのものを否定した事実が存在していたため、『念のため』その後理解を改めたかと国会で問われたところ、未だ詳らかに読んでいなかったと答えられたものです。この間2回も内閣総理大臣に就任されるなど、ご多忙とは思いますが、いくらなんでもアメリカ合衆国オバマ大統領が、今月広島市を訪問されますから、是非とも詳らかにこれは読んで欲しいものです。 それで、本当に内閣総理大臣は、ご自身が、立法府の長だと思い込んでおられるのでは?と万が一を考えてみました。 やはり私と同様、この方のファンなのか、安倍晋三氏が気がかりな人はいるものです。以前の国会議事録を調べられたようで、これによると安倍晋三内閣総理大臣、2007年5月、かつての第1次安倍内閣の内閣総理大臣として、『日本国憲法に関する調査特別委員会』に出席され、当時の民主党議員の質問に対し、ご自分が『立法府の長』だと発言されていたのです。 このとき、安倍晋三内閣総理大臣と応答したのは、弁護士でもある簗瀬進参議院議員でした。内閣総理大臣としての憲法尊重擁護や、議院内閣制に関する質疑が行われたところで、安倍晋三内閣総理大臣が、自分は立法府の長だから云々を言われた流れでした。柳瀬議員、即座に安倍晋三内閣総理大臣の『言い間違え』を正し、むしろ行政府の長であるがゆえに、内閣は、国会を重視されるよう、誘導して差し上げておりました。 本当に、安倍晋三内閣総理大臣、総理大臣とは、立法府の長だと思っていたのです。知らなかったのでしたら、中学校の教科書を読めばわかります。お忙しい中、今から高校や大学に再入学するまでもないことです。でもとても気になりますよ。 これまで集団的自衛権と安全保障関連法案の審議に際して、「この国の最高責任者は私だ」と述べるなど、立憲主義や国民主権をわかっていないように思われるからです。あるいは三権分立そのものを理解していないのか否定しているのか、立法府も行政府も関係なく、ご自身がいちばん偉いと勘違いしているのではないかと心配ですね。 『立法府の長』として、議会の運営を勉強された方がよいと内閣総理大臣から『助言』された民進党政調会長の山尾志桜里衆議院議員は検察官出身、つまり司法試験に合格して司法修習を経験した法律家です。かつての簗瀬進参議院議員は、言い間違えと判断してお優しい対応をしましたが、山尾議員、バカらしくてスルーしたのか、『言い間違え』ではなく、本当に安倍晋三内閣総理大臣は、そんな見解であることを熟知していて、わざと国民の前で醜態を晒す、と言うよりも、危険なお考えを持っておられた事実を露わにしたかったのでしょうか?だとするなら、どうしてマスコミは、この安倍晋三発言を取り上げないのでしょうか。 もっとも、例によって1社だけ、安倍晋三内閣総理大臣と山尾衆議院議員とのやり取りを報じている大手新聞社がありました。 曰く、山尾議員、男尊女卑だとヒステリックに噛み付ついたところ、安倍晋三内閣総理大臣から、委員会運営を勉強された方がよいと窘められたですって。ついでに書いたらどうですか、『恐れ多くも賢くも、立法府の長から直々に助言された』と。新聞社にも、表現の自由ありますから。総理も総理、新聞社も新聞社、仲がよろしいこと。マスコミの使命って何でしょう。