天皇皇后両陛下が、熊本地震の被災地避難所を、日帰りでご訪問されました。 両陛下のご年齢、公務のご負担等を考れば、誰もが積極的にお勧めできるものではないでしょう。それでも被災地に臨まれたのは、常に国民を思う陛下の優しいお人柄ゆえでありましょう。無事お帰りになり、被災者に留まらず、国民皆、有難いことと拝します。 陛下がお心を痛められた大きな震災でありました。チョッと話は遡りますが、「あれっ」と感じた内閣総理大臣の発言がありました。 それは、本震とされる2回目の震度7を記録した週明けに刊行されたいつも政府与党を讃える新聞社のさりげない記事です。 折から、消費税率のアップはしないのか、衆参同時選挙が行われるのか、震災そっちのけ?で、決断をするのではないかと一部では囁かれていた時期でした。その記事は、「安倍晋三内閣総理大臣は、4月19日に行われた衆議院環太平洋戦略的経済連携協定特別委員会で、熊本地震を受けて、来年4月に予定されている消費税率10%への引き上げは先送りするのか、おおさか維新の会の議員に問われたのに対し、『リーマンショック級、大震災級の事態にならない限り、予定とおり引き上げていく基本的考えに変わりはない』と述べ、従来の説明を繰り返しました」と。 サラッと聞き流したのでしょうか。 コレ、新聞と言う文字になると、言っていることわかってんの?とツッコミたくなります。 数日前に発生した熊本地震は、大震災ではないのですか?でも、安倍晋三氏特有の『言い間違え』ではなかったようです。それは激甚災害の指定をなかなかしなかったことで裏付けられました。震度7を2回記録した熊本地震、マグニチュード7.3は、阪神淡路大震災と同規模で、一連の地震で2回震度7を記録したのは、気象庁観測上初めての事態です。東日本大震災後後に限っても、一昨年の長野新潟地震をはじめ、台風や豪雨でいくつも政令で指定されました。 熊本県知事から、4月15日の段階で、激甚災害の指定を求めれた安倍晋三内閣総理大臣、先の『大震災でも起きない限り…』の答弁をした前日、「事務的な数字を積み上げていかなないと法律的にできない」と答弁したうえ、「激甚災害の認定が、今日、明日、明後日なったとしても、災害支援には、なんら変わりはない」と、つれないとも取れる回答をされていたからです。 でも、おかしいですよ。心優しい内閣総理大臣、3年前の7月末、山口県に甚大な被害を引き起こした豪雨災害のときは、その4日後、「山口、島根両県で発生した豪雨災害を、激甚災害に指定し、復旧を支援する」と決めました。 そのとき、死者行方者4名の深刻な事態となっていたからだと思いますが、菅義偉内閣官房長官は、激甚災害の指定には時間がかかっていたが、できるだけ速やかに地元の要請に応えるようにしたと会見し、これを受けた新聞社は、被害額が確定していない場合であっても、速やかに激甚災害の指定ができるようにしたと評価したと思います。そして安倍晋三内閣総理大臣、このときその数日後、未だ避難勧告が解除されていない地元、これはたまたま安倍晋三氏の選挙区だったようですが、危険を顧みず、地元の要請に応えに訪問されたのでした。 今回も、すぐに熊本県に行きたかったのだと思います。実際最初の地震が発生したのが4月14日夜でしたが、翌朝には、「16日に現地に行く」と公言していましたが、誠に残念なことに、16日に『本震』が発生したからか、視察は中止となりました。一昨年の広島土砂災害のときとも、いちはやく「行く!」と言ったものの行けませんでした。 一部では、即座に行くと公言して人気取り、「行く行く詐欺だ」なんて声も出ていましたが、衆議院北海道5区補欠選挙の投票日の前日と言うとても与党総裁として大切な日に、ついに被災地を訪れ、避難所で膝をついて手を出し、被災者を励ます姿が全国放映されました。そしてその選挙の翌日、熊本地震は、ようやく激甚災害の指定をされたのでした。 まあ、今回の震災に関しては、先年の東日本大震災のとき、安倍晋三氏は、直ぐにヘリコプターに搭乗して被災状況を視察した当時の内閣総理大臣について、騒いで混乱を引き起こしただけだとして、徹底的に批判されましたから、ご自分は、同じ轍を踏まないと考え直したのでしょう。 そして、国民に負担を強いる消費税率のアップは、弱い方を助けることを心掛ける安倍晋三内閣総理大臣は、リーマンショックや大震災だからアップできなかったと言う、以前から誰もが例示したことが、本当に起きたからなんて理由ではなく、ご自身の政治判断で行ったとハッキリさせるために、なかなか熊本地震は大震災であって、激甚災害の指定をするとは言えなかったのだと理解できました。 こうしてみると、「リーマンショック級、大震災級の事態にならない限り…」と、熊本地震が大震災であることはわかっていながら、あえてあのような言い方をした苦渋がわかると言うものであります。 さて、選挙、あるんでしょうか?