今月開催される伊勢志摩サミットに先立ち、先週仙台市で、G7主要7か国財務相・中央銀行総裁会議が行われました。
金融政策の重要性は、世界の共通認識ですが、アベノミクスが奏功していることになっている日本としては、経済成長のためには、世界規模での財政出動により、需要を生み出す必要がありますので、各国が足並みを揃えるよう、求めたものです。 根回しではないと思いますが、ゴールデンウィーク中に安倍晋三内閣総理大臣は、サミット参加国に足を運び、特にドイツのメルケル首相には、なんとしてでも良い返事を得たかったわけです。
メルケル首相と会えたことを評価した新聞紙はともかく、予想されたとおりドイツ、イギリスはむろんのこと、フランスやイタリアも、日本の援軍にはならなかったようです。
イギリスでは、例のパナマ文書により窮地に陥ったキャメロン首相が、EU離脱をめぐる国民投票が来月行われるので財政再建こそ急務であり、一部では、日本の天敵ともされているメルケル首相率いるドイツは、元来財政規律に厳しく、しかし難民を受け入れて黒字の経済を実現し得ており、これら財政の健全化を実現しようとする国々からすると、少子高齢化社会が進む日本が、国債を発行して市場にお金をつぎ込み、そして経済成長を訴える姿をどんなふうに見ているのでありましょうか。
麻生太郎財務大臣は、「経済を成長させていくためには、需要が必要だと言うことはみんな一致している」と述べたそうですが、それ自体は当たり前です。問題は、『政策総動員』の演出をして、サミットに引き継ぎたかった、要は、選挙前に、先進国から財政出動のお墨付きをもらったことにしたかったわけですが、そんな簡単な話ではなかったようです。
かねてメルケル首相は、日本を意識して言ったいるのかどうかはわかりませんが、構造改革こそ重要で、経済格差を生み出す景気刺激策には反対の姿勢であります。経済黒字を持つドイツに対して、他国が内需の拡大を求めたり、政権交代して積極予算を組んだカナダが、財政出動するのはわからなくはありませんが、成長を訴えながら、実は国際社会に積極財政の出動を求める日本っておかしくない?とわかってきたのではないでしょうか。2015年の経済成長率が7か国の中で最下位である日本です。
要は、日銀が誰かの役に立つべく異次元緩和なんかしても内需は起きず、それでも『第3の矢』を放たなければならなりせんから、世界各国も日本のように、ジャブジャブお金を出してよと言われてもねぇでしょう。付き合ってはいられないです。 だいたい一億層活躍社会とか、女性の社会進出とかをキャッチコピーにしている割には、再婚禁止規定、夫婦別性等の価値観に関わることはもとより、保育園保育士問題に見られるような現実政治のギャップ、児童扶養手当の減額、配偶者控除の廃止、40歳から64歳までの介護保険料、難病患者の医療費本人負担分増額等、女性や障害者が働ける環境を作るためにお金をかけるなんて本当なの?と日本国民ではなく、外国から疑われるような政策ばかりが目立つのかもしれません。
仮に財政出動して、世界規模に日本経済が動き出したとしても、それは円安にほくそ笑んだ大企業だけであり、それは返って各国の内需の妨げになるかもしれません。まあ、ここ2年くらい実質賃金が低下し続けていて、国内の非正規雇用率はやがて40%にもなると言うのに、何かにつけて未だ「民主党政権時代と異なり我々は…」を枕詞に掲げるトップの経済政策にはついていけないと先進7か国の方々は、お気づきになられたのかもしれませんね。 この先進7か国財務相会談は、上手くいったと判断されたのでしょうか、翌日放映された番組で、政府与党の関係者から、消費税率10%の引き上げは予定とおり行われるかとの発言がありました。
曰く、『リーマンショックや大震災でも起きない限り』予定とおり行うのだそうです。
以前この『ひとりごと』でも書いたかもしれませんが、どうやら熊本地震は大震災ではないようです。阪神淡路大震災とマグニチュードはほぼ同じ、観測史上初の同一地域で震度7が2回のこの地震、ずいぶん冷たいのですね。
私は、いつものとおり、安倍晋三内閣総理大臣の勘違い、言い間違いかと思っていましたよ。
公明党担当者も、ハッキリと、大震災は起きていないと言いましたから。 私が徹底的に批判する民主党最後の内閣総理大臣野田佳彦氏と国民の前で約束したはずです。税と社会保障との一体化、消費税は、全て社会保障費に充てるのではなかったのですか。
法人税を減税した分が、消費税アップに跳ね返っています。ゼネコン業界に4億円以上の政治献金を求めたのは、ゼネコンも儲けたからでしょうか。その政治献金、消費税に苦しむ貧困層に回してほしいですね。
インフラ整備だとか新規事業だとか、どんどんお金を使おうとしても、完成した道路やオリンピック後のハコモノはどうなるんですか。使い物にならないものを赤字国債を発行してつくっても、誰が尻拭いするんですか。
おそらく先進7か国、アベノミクスの本質にお気づきで、うまいこと日本を使ったに留める算段だと思われます。私は、日本語不得意、英語得意の麻生太郎財務大臣、ひとりでお喜びのように思えてなりませんでした。