伊勢志摩サミットが、閉幕しました。 いつも政府与党を持ち上げる新聞社は、早速安倍内閣の支持率が10%アップしたと報道しております。それはそうでしょう。 予想したとおりオバマ大統領の広島訪問、沖縄での事件への抗議、消費税10%アップを2年半延期する等、それは支持率上がりますよ。でも、ちょっと待ってください。 官邸や自民党が大嫌いな新聞社は、安倍晋三内閣総理大臣の発言に批判的です。何がって?。消費税率アップを先延ばししたことです。なぜかこの消費税に関してだけは、日頃の政府与党から、批判的・好意的な言辞を頂戴する新聞社への評価は、逆転しているのです。もちろん私は、消費税そのものが天下の悪税だと思っているので、あたかも消費税率アップをすべきてまあるかの新聞社の論調は、是としません。この新聞社曰く、「消費税によらなければ、社会保障費の財源がない」ですって。この新聞社、本当に政府与党を信じているのですね。実は、安倍首相のファンですか。 この『ひとりごと』で常々言うように、民主党最後の内閣総理大臣野田佳彦氏と、当時は最大野党の総裁だった安倍晋三氏、国会で、国民注視の党首論戦しましたね。その前に、いわゆる三党合意で消費税引き上げが決められ、法律化されました。これは、お人好しなのか、歴史に名を残したかったのか、野田佳彦氏、財務省の目論んだとおり、これまで先送りされていた社会保障費の財源不足に関して、消費税を充てることを決めました。 つまり、これまでの自民党政権下では、選挙が怖くて増税できなかった、そこで、「三党が合意したのだから、もはや増税が選挙の争点になることはない」と合意し、なんと民主党政権のもと、消費税率アップが決まったのでした。そして、三党合意の中には、消費税は、全額社会保障費に充てることは当然とされていたわけです。そう信じているこの新聞社の論調でした。 でも、私は、そんなの信用していません。実際、自民党政権になって、消費税は、全額社会保障費には充てられていません。それで、社会保障費の財源不足を言いながら、アベノミクスの成果なのか約束なのか、法人税を減税したうえ、大企業には、『政策減税』をしています。おかげで大企業は空前の高収益を上げ、銀行までも与党に政治献金しました。これで庶民に等しく負担がかかる消費税、アップできますか?要は、民主党が泥を被ったは良いが、アベノミクスの果実は庶民に落ちて来ないゆえに、デフレ脱却どころか、ここで消費税をアップしたならば、消費を苦しくするだけです。この経済政策、ハナから庶民を向いておりません。消費税アップの前提を欠いているのです。 この『ひとりごと』でも書きましたが、安倍晋三内閣総理大臣、熊本地震に随分冷たいですね。 曰く、「リーマンショック、大震災が起きない限り、消費税率は予定とおりアップする」と、震災直後の4月に言いました。熊本地震は、大震災じゃないのだそうです。このときは、消費税率アップを止めたら、アベノミクスの失敗だと野党から言われたり、本当は、やりたくてやりたくて仕方ない衆議院解散総選挙の理由とするために、すなわち、「消費税率アップを見合わせて良いか、国民に聞いて見たい」と言いかったからです。しかし、これも、この『ひとりごと』で書きましたが、衆議院解散総選挙と言う千載一遇のチャンスを、生かすことはできなかったようです。 衆議院を解散しないで消費税率アップを見合わせる理由として、安倍晋三内閣総理大臣、伊勢志摩サミットでの各首脳による意見が一致したと言っています。曰く、「世界経済のリスクを回避するため」ですって。これは、明らかなウソですね。世界経済は、リーマンショックのころの危機的状況を脱したと言うのが各国一致した見解でしょう。安倍首相、今後先のリーマンショックのような経済危機が起きかねないから、世界各国は、それを予知した経済政策を行うべきだとひとり仰っています。でもこの理屈おかしいですよ。だって、熊本地震が大震災だと認めない理由として、「リーマンショックのような経済危機や大震災が起きない限り…」と自ら仰ったのです。 しかしながら伊勢志摩サミットのときには、風雲急を告げ、リーマンショック級の経済危機に世界は見舞われたとのご認識に、立たれたのでしょうか。 参議院議員通常選挙の直前に、消費税率アップの見合わせを、正式に表明されるそうです。野田佳彦氏との約束のもと、「もう、税金は選挙の争点としない」はずでした。でも、増税を見合わす、先延ばしすることを、選挙の前に表明することは構わないのでしょう。 折角三党合意と言うかたちで、民主党の自滅によって生まれたアベノミクス、消費税率アップができないのは、庶民にトリクルダウンは起きていないし、そもそももともと安倍首相は、アベノミクスはトリクルダウンではないと言われました。消費税率アップの先延ばしは、アベノミクスの失敗ではなく、アベノミクスって経済政策は、庶民に向けられたものではなかったことをハッキリ仰れば、スッキリすると思うのですが。 アベノミクスなるものが成功したか失敗したか議論することは意味ありません。大企業等金持ちには成功と言うか有難い、しかし庶民、特に格差に苦しむ層には、本当に経済的弱者は這い上がれない仕組みだとなるからです。そういう意味では、消費税率アップしなくてよかったです。 安倍晋三内閣総理大臣、ご自分が総理総裁任期中には、増税しなかった歴史に名を残す宰相になるでしょう。問題を先送りしたなんて、盟友野田佳彦氏の決断により、もう言われませんから。