北海道内を走る特急オホーツク等が、運転区間変更、減便を行うとの報道に寄せて。

2016年6月2日
テーマ 

昔鉄道少年だった私は、よく時刻表を見ていました。

 

そこには全国の国鉄の鉄道網の地図がありました。昔はたくさん鉄道があったと思います。特に北海道は多かったですね。

国鉄分割民営化後、次々に鉄道は廃線となりました。分割民営化を進めた方が、なんで国鉄はダメなのかを説明する例として、元北海道のある路線の駅員だった人が、国鉄が無くなった後に関東地方の会社に就職したけれども、あまりに人が多くて忙しい!を理由に、数日で退社したと言うのです。

 

なんでもその方は、1日2本しか列車が来ない駅につとめていて、仕事とはそういうものだと信じていたからだとのオチを言いたかったのでした。 私はその例を聞いて、あまりいい気持ちがしませんでした。1日数本しか来ない駅に人員を置いたことは、今風に言えば経営のあり方として議論されるにしても、それは駅員さんの責任ではないでしょうと思います。

 

国鉄分割民営化が悪いとは言いませんが、なんか経済効率を言う人たちって、人をバカにしてるなと、そのころから感じました。 これはある地方の駅のことでしたが、SLすなわち蒸気機関車を追うために、この駅にやってきた中学生の私たちに、駅員さんが、外は寒いからと言って、駅舎に招いてお茶を出していただいた経験もあります。

 

私たち都会の子どものつまらない話に、皆さん付き合ってくださいました。きっと過疎と言われる地域の駅は、こんな感じなのかなと、人情を実感しました。 地方は、自動車社会と言われます。東京で生まれ育った私は、都内を車で移動するという発想がなかったので、運転免許は持っておりません。酒を飲みますので、自己防衛でもあります。しかし、地方では、鉄道と車、高速バスは競争関係にあるようです。

 

特に北海道は、その様相が強いようです。札幌から網走・知床あたりまで、高速バスが運行されています。札幌・小樽、札幌・旭川等の『幹線』でも、鉄道よりバスの本数が多いくらいですから。新千歳空港・札幌市内間を結ぶバスは、『快速エアポート』よりも、数多く運行されています。 そんなJR北海道で、ひとつ発表がありました。札幌・網走を結ぶ特急『オホーツク』、札幌・稚内を結ぶ特急『宗谷』『サロベツ』が、運行本数が減り、運行区間が短縮されるようです。この特急、いわゆる電化区間外も走行するため、気動車つまり昔風に言えば、ディーゼルカーが運行されているので、スピードもかなり遅いですし、電力代もかかります。建前は、利用客が少ないを理由にするわけですが、実は車両が老朽化したことで、やりくりを工夫するのだそうです。

 

石北本線・宗谷本線の起点旭川駅からの運行にすることで、数車両を浮かせることができる計算です。これは、『新車両』を購入する財力がないからだと報じられていました。 特急オホーツク等に使用される車両は、32年経過しているそうです。家であれば、とうの昔にリフォームしていたでしょうし、35年ローンと言われるように、築30年もすれば、かなり物としての価値は減殺されているであろうことは否定できまん。

 

特に厳しい自然と向かい合う北海道です。それは傷みもするでしょう。でも、新しい車両を買えないとは……。順次廃車になれば、結局この特急の運命は……。 この『ひとりごと』でも書きましたが、今年北海道に初めて踏みれた新幹線。しかし、北海道新幹線の座席利用率は20%から30%と見込まれています。それなのに新幹線を通さなければならないのは、何かJR北海道、民間会社でありながら、経営に柵があるのかとも思えます。

 

いっぽうでは、不採算路線を理由に、この春根室本線釧路根室間の列車は、多く減便となって、根室・札幌間の日帰りは、不可能になりました。企業として利益にならない、しかし、道民の利便にならないことをやらざるを得ないのは、鉄道会社を私企業にしたことと、どのような関係になるのでしょうか。 JR北海道は、1民間企業です。しかしその歴史と公共性に鑑みれば、他のJRが協力して、あるいは航空会社に対する公的資金投入のように、政治の責任において支援することはできないのかと思います。

 

これまたいつも言う、共存共生の考え方、分配の必要性です。かつて政治の判断で、銀行に対する公的資金の投入がなされました。その結果蘇った銀行は、その御礼に、国民に対してではなく、これを立案遂行した政権与党に巨額の政治献金を行いました。

 

JR北海道だけではないのかもしれませんが、困ったところ、お金に苦しむところに政治の責任において資金を投入したならば、蘇った暁には、『見返り』があるかもしれませんよ。

 

あっそうか。利益誘導型の政治はしないとのことでした。でも、銀行と鉄道とどう違うのでしょう。また、東海道新幹線を運行するJR東海、首都圏を本拠とするJR東日本でも、政治は手を差し伸べないのでしょうか。遠い北海道のこと、何か他人事のように思ってしまうのが、首都圏に住む人間の冷たさです。