きさらぎ法律事務所では、男女に関する法律問題を担当することはかなりございます。離婚事件は、男女が婚姻していることが前提になります。内縁関係も、婚姻届けは出していないけれども、生活、経済は、夫婦と同じと見られる実態があります。そうではない男女、これは婚姻外男女関係と言いますが、これが実に多いのです。 なぜ福本に?はともかく、昔なら、こんなの法律問題じゃないとして、相談すらなされなかったような事案でも、私たち法律専門家が入ることにより解決したい、解決できるのだとの市井の声が高まったようで、喜ばしいことです。トラブルが増えた、あるいは権利意識が変わったというものではないのです。 婚姻外男女問題、いろいろあります。婚姻あるいは内縁のように約束、契約関係があるとは限らない、規律する、当てはまる法規がないがゆえに、難しいと言えます。それはときとして人間性が試される、人柄が表れるとでも言うしかない解決に至ることもあります。こんなとき、弁護士と依頼者の信頼関係が基本であり、力だと思うのです。 マスコミを賑わしたり、テレビドラマの世界とはおよそ異なる生の世界、依頼者にしかこの経験はない現実があります。ですから、例えば不倫したとか、性的行為がどうだとか、誰と誰が別れてなんだとか、マスコミが取り上げて騒いでいる『事件』ホントどーでもよいと思うことがほとんどです。 私が読む今日の朝刊紙に、今年の箱根駅伝で優勝した大学を卒業した当時4年の元部員が、駅伝直後に、ファンだった女性に暴力を振るって骨折させたことで、捜査が行われると言う記事が掲載されていました。今日は参議院議員選挙の公示日、この新聞社も、こんなこと記事にするんだとの感慨は別として、社会的に関心を持たれる重要事なんでしょうかね。発生してから数ヶ月した傷害事件ではありますが、犯罪が減っている日本と言えども、この間もっと悪質、重大な被害を齎した傷害事件はあったと思われます。 報道によりますと、なんでも駅伝ファンだった女性が、元陸上部員の件の男性とデートすることになって、7~8万円する時計をプレゼントして、一夜を共にしたところ、翌朝男性から、心ない言辞を吐かれ、その後謝りに来たけれども、時計を返してと言ったらこれを拒絶され、暴力を受けた言う内容であります。どうやら一夜の恋らしく、その後は、被害者加害者の関係?ですから、当然交際していないようなケースであります。 巷の声の中に、箱根駅伝で優勝したこの元部員が所属した大学、そしてその監督さんを妬んで陥れようとした策略と言うものもありました。被害を受けた女性が、美人局のような危険な目にあうことを承知で、こんな企みに加担するはずがありません。興味本位の随分と失礼な物言いです。また、事情はどうであれ、暴力はいけません。この男性、元々『そんな人』だったのか、一躍時の人となって、勘違いしたのかわかりませんが、レベルの低い人間ですね。私も、いい気になっている人、勘違い人間は好きではないです。 でも、なんで『こんなこと!』被害者は、マスコミからインタビュー受けるのでしょうかね。悔しいのでしょう。何が悔しいかって。問題は、そこですね。恋愛は自由、男女を規律する約束や法規はないのです。初めてデートしたとき、数万円する時計をプレゼントしたのは本当にこの男性が好きだったからなのでしょうか?傷ついた言葉を吐かれたのでしょうが、プレゼントを返してとは。この男性、そんなことなら返してやれば良いのにと、思ってしまいます。 法規はないと申しましたが、プレゼントは、法的には贈与であり、一つの契約です。取り消すことはできません。贈与の中にも、負担付き贈与と言う形態もあり、貰った側も、一定の負担となる約束を、履行しなければならないことはあります。例えば、親の面倒を看るから親の不動産をあげるなんてありますね。この女性、付き合ってくれるからあげたとなるのでしょうか。それは無効です。誰と誰が付き合うかは、強制できるものではありませんから。時計で釣ったが見込み違いとまで言ったら失礼ですが、余程悔しかったのでしょうね。 悔しいのは、自分の予定思い計画が、そのとおりにならなかったからでしょう。この気持ちどうするか、どこで収めるか、そのために何をするかが、男女問題の相談を受ける福本悟の立場であります。 いちばんやってはならないことは報復です。こんなセコイ男、見込み違いで済んで良かったのです。 悔しさを晴らすため、やりすぎはいけません。マスコミの餌食にしてしまうなんて、自分の価値を下げるだけですね。インタビューをよく受けられる気持ちありますね。そもそもご自身の男性との交際、端的に言えば、下半身のことを、よく言えるなと思います。 改正刑法が審議されています。性犯罪を厳罰化する動きの中、強姦罪は、親告罪としない方向だと聞き及びます。私は反対します。私は、保守的な人間なんでしょう。性的な被害を受けた人は、それを知られたくない、忘れたいと思うのだとの観念があるからです。社会が、他人が、被害者の意思と関係なく、暴いてのものでしょうか。セカンドレイブと言う言葉がありました。 そんな考えの私からすると、時計一つを返してくれなかった一夜限りの男性から暴力を受けた事実、これを露わにして傷つかないのか余計な心配をします。男女問題をやっていると、ときにマスコミの人から、電話など受けることがないではありません。私の依頼者が、そんな方向に話を持って行かれたのであれば、私なんかお手伝いしなくても、その方なりの解決方法を採られたのですから、私の出番はありません。 ですから、私の依頼者には、『そんな人』はおられません。 人に言えない、弁護士福本悟にようやく話すのに、どれだけ勇気を出したことでしょう。そんな依頼者に、必ず申し上げることがあります。「大きな階段を上がって、きさらぎ法律事務所にいらっしゃった、こうして福本悟に依頼された、そうであれば、解決できない問題はありません」。 余計なことですが、某大学元陸上部員から『被害』を受けた女性、きさらぎ法律事務所に来ていただきたかったです。