内閣が衆議院を解散できる理由を考えたことありますか?

2017年1月13日

昨年来2017年は、衆議院選挙があるだろうとあちらこちらで語られています。

 

ちょっと待って!衆議院議員の任期は4年では?

 

そうなんです!!

 

ただ任期中に内閣により衆議院が解散されると任期満了、衆議院議員総選挙が行われるのです。 衆議院解散とは、要は衆議院議員の資格を失わせる行為、衆議院議員は内閣によりクビにさせられたことを意味します。それがなんで衆議院議長が解散詔書を読み上げたら議員さん、『バンザイ!』するんですかね。クビになって嬉しいなら、なんでまた選挙に出てくるのでしょう。

 

後に行われる衆議院選挙により大幅な議席増が見込まれる政党に属する議員は、解散権を行使した人に対して、『ありがとう!』の気持ちから、『バンザイ!』してるのでしょうか。

 

憲法には、天皇の国事行為として衆議院解散が規定されています。もとより国政に関する権能を有しない天皇が衆議院解散を決めるのではなく、解散権を持つとされる内閣が決めて、衆議院議長が宣言する解散詔書に天皇陛下が御名御璽されるものです。細かいことですが原本は内閣官房に保存され、副本が衆議院議長のもとに届けられます。 さて日本国憲法には、69条で内閣不信任案が可決された場合の内閣による衆議院解散が明記されていますが、仮にそのようなケースであっても、日本国憲法第7条による解散と扱われてきました。

 

この憲法7条に衆議院解散が規定されていることで、内閣は、憲法69条のときに限らず衆議院を解散できると言うのが政治の世界の見解であり、これは憲法学会でも多数説となっています。 それではいつでも内閣は、解散権を行使できるのでしょうか。なぜ衆議院解散が認められているかを考える必要があります。日本国憲法では、三権分立が確固として構築されています。そんな中で国会は、国権の最高機関と規定されています。これは単に政治的美称であるにしても、内閣は、国会に対して責任を持つと言う議院内閣制が採用されていることにも、留意されなければなりません。

 

すなわち、内閣総理大臣は国会が指名します。

 

つまり国会の多数派から内閣総理大臣が誕生し、内閣が組閣されます。内閣は、国会から託された行政を行うに当たっては、国会に対して説明を果たすなど、責任を負います。ただし、行政を執るにあたり、国会と対立して動きがとれない、つまり、行政の停滞が起きると国民生活に影響が出てきます。そんなときの調整が、衆議院の解散と考えるべきです。

 

よく『選挙の争点』と言われます。ここ数年の国政選挙、いつも経済、具体的には『アベノミクスを前進させる。さらにエンジンを蒸す』であります。アベノミクスは道半ば、さらに強い経済を、それともあのころに後戻りするのか!ってなかなかのもんです。道半ばっていつ終点なの?中学校でも3年で卒業だけどと言いたいですが、それが争点なんだそうです。 だけどこれおかしくないですか。道半ばでさらにギアを上げたいが、それを阻止されたとか、国政が議会と行政の対立で停滞し、にっちもさっちもいかなくなる現実があるのですか。衆参両議院で3分の2以上の議席を与党は持っています。内閣と国会の意見が異なることがあるとは思えません。実際内閣提出の法案等は、反対する少数者を無視して、『強行採決』しています。もっとも、与党の総裁は、未だかつて強行採決をしようと考えたことはないと述べられましたが。 よく『国民に信を問う』と言われることがあります。

 

ある問題について、内閣と国会、どっちが正しいの?ってことです。例えば、小泉純一郎首相が行なった『郵政解散』は、総裁の政党からも造反者がでたり、衆参両議院で異なる議決がなされるなどしたので、まさに内閣と国会が対立したと評価できるので、国民の信を問うと言う選択は、おかしなことではありません。 そうしてみると、絶対的安定多数の議席を与党が有しているのに、従って国会運営と内閣の行動がバラバラのはずがないのに 衆議院を解散する、国民に聞いてみるなんて理屈立たないと考えられるのです。

 

内閣の衆議院解散権、これは時として政権与党の政争の具に利用される危険があります。つまり、内閣が何らかの政策・出来事でポイントを挙げたとき、国民受けする出来事が起きたときには、ときの政権に国民は靡くからです。かつて沖縄返還を実現したときの佐藤内閣がそうでした。さらに与党は数を伸ばせると踏んで解散するのです。

 

だから与党議員、『バンザイ!』なんでしょうか。 そんな現実があるので、昨年来『プーチン解散』とか、『真珠湾解散』とか、その可能性が指摘されたのでした。ロシアのプーチン大統領を、安倍晋三内閣総理大臣、故郷と言われるご自身の選挙区山口県長門市に招きました。そして年末には、任期満了近いアメリカ合衆国オバマ大統領と一緒に、ハワイ真珠湾のアリゾナ記念館に献花しました。真珠湾を訪ねた直後、内閣支持率が60%を超えました。解散権を行使するチャンスですね。しかし、タテマエとは言え、解散する大義名分が必要です。国会と内閣が対立していると言えますか。国民に対して、何を聞くのでしょう。

 

2年前の衆議院議員総選挙、かつての3党合意により、消費増税を行う時期になり、『増税しなくて良いか』国民の信を問うとして解散権が行使されました。でもなぜ安倍政権は、増税できなくなったかの理由はともかく、あのとき消費増税に反対しない政党はありましたかね。国民みんな、増税されなくてよかったと思ったのではないでしょうか?信を問う理由見当たりません。念頭の自民党の挨拶で安倍晋三総裁、『今年中の解散は考えたことない』と言ったそうです。

 

それが後になって『今年と言うべきところを今月と言い間違えた』とお付きの方々が『訂正』したようです。わざわざ訂正する性質のものなんでしょうかね。

 

石破茂前地方創生相は、私の1学年上の先輩で、初めて法律を教えてくださった方です。最近放映されたテレビ番組で石破茂氏、こう言いました。『問うことが明確ではない選挙はやるべきではない』。

このところ絶対的安定多数の力で『強行採決』もどきをやっている国会、そんな国会と内閣は厳しい対立あるなんて誰も思いませよ。これ以上数増やして何するの?と半ば諦めにも似た声が聞こえてきそうです。