アメリカ発マカデミアナッツとピーナッツ
2014年12月19日
大韓航空前副社長が、アメリカ合衆国ニューヨーク発韓国仁川行き自社航空機の機内サービスがマニュアルとおりになされていないことに激昂して、駐機場から滑走路に走行中の機体のUターンを命じ、機内サービス責任者を降ろした事件が報道されています。いわゆる『ナッツリターン問題』です。
大韓航空のファーストクラスでは、マカデミアナッツは袋から出して、銀の皿に盛ってから提供すべきところ、CAが袋のまま前副社長に差し出したことから、事件は起きたということです。
航空機の国際線、まして、ファーストクラスなんか縁がない人間からすると、「ナッツはナッツ。袋まで食べるわけじゃない。どうでも良いのでは?」と思うものの、マカデミアナッツの生産地ハワイあたりの専門家によると、マカデミアナッツは、もともと上級クラスの方々が召し上がるもので、確かに銀の皿に盛って、「どうぞ」との慣習があるのだそうです。
さて、今日は、この『ナッツリターン事件』について喋りたいのではありません。『航空機とナッツ』で思い出したことがあるのです。
マカデミアナッツほど高価なものではないのかもしれませんが、航空機の売り込みが、ピーナッツになぞられて、社会問題になったことがありました。そうです。昭和51年初春に発覚した『ロッキード事件』がそれです。
これは、アメリカのロッキード社が、当時ボーイング社、ダグラス社がほとんど航空機販売のシェアを握っていたところに、自社開発の『トライスター』機を全日本空輸株式会社に売るため、日本の政界財界に金をばら撒いた事件であります。このとき5億円の賄賂を受け取ったと認定された田中角栄元内閣総理大臣は有罪判決が確定しましたが、渡す賄賂、すなわち金額の隠語が、ピーナッツで語られておりました。
この事件、内部告発もあったかもしれませんが、アメリカの報道機関が、市民団体等が知り得た情報から暴いたものでした。
これと似た事件は、ニクソン大統領を辞任に追い込んだ『ウォーターゲート事件』が思い出されます。市民の知る権利がいかに大切か、これこそ民主主義の根幹だと思い知らされたものです。
情報公開による政府企業等を監視し、その不正を暴き、インチキを正す仕組みは、アメリカでは根付いております。最近のアメリカで暴かれた真実として、イラク戦争の大義がありましたね。
最近のアメリカを真似する空気からして、なんで圧倒的多数の国民の支持を受けている政権は、国民の知る権利、情報公開に関しては、なぜアメリカの真似をしようとしないのでしょうか?それとも、特定国家秘密保護法は、その趣旨の法律でしたか。
民主党政権時代に、沖縄返還時の日米で取り交わされた秘密が明らかにされました。これは、『外務省機密漏洩事件』として、関係者が有罪判決を受けてもいるのですが、その裁判で証人となった官僚らが、『真実』をようやく明けらかしたものでした。
民主党政権は終わりました。先の選挙の際、政権与党は、「この道しかない!」「民主党政権時代に、後戻りしてはならない!」
と、盛んに叫びました。これから、情報公開や消費税等、アメリカを模倣して行くのでしょう。
欧米か、北欧か
2014年12月18日
「日本の消費税率(現在は8%)は低すぎる」
「福祉の国と言われるスウェーデンは25%だ」
よく言われます。誰が言っているのでしょう。
「少子高齢化社会となった日本の社会保障のため、どうしても消費税に頼らざるを得ない」
これもよく聞く言葉です。誰が言っているのでしょう。
消費税を福祉の財源にするしかやり方がないならば、消費税(増税)を求める声は、福祉を受ける側から出されて当然だと思います。
たとえば、生活保護世帯,介護保険に依存する高齢者,子育て中の女性等々…。ところが、消費税は、本当に福祉を受ける立場の弱い人には、有難い税金なのでしょうか。これは、絶対にそうではありませんね。
年収100万円の人も、年収1000万円の人も、生きるために1個108円のパンを買う必要はあるでしょう。108円のパンを買うのが苦しい人に対して、「人間として生まれたのだから、皆平等」と言えますか。もっとも、年収1000万円の人は、あえて108円のパンを買う必要はないかもしれません。
私は、消費税の必要性,その税率アップを主張するひとは、「金持ち」と思っています。きれいに申せば、「高額所得者」であります。
「所得の再分配」という言葉があります。平たく言えば、自分の金を出してまで、他人を助けられるかということだと思います。お金持ちが、政府の施策により、弱い立場の人にお金が流れることを容認するのか、お金持ちであっても、弱い立場の人であっても、全て「国民」である以上、皆同額のお金を出して、弱い立場の人を助けるのかの選択です(私はあまり使いたくありませんが、あえてここでは、「弱い立場の人」と表現します)。
現在の日本の消費税のシステムは、「所得の再分配」とは真っ向から対立するものです。しかし、ヨーロッパ諸国の「消費税」の運用は、まさしく福祉に根差した仕組みとなっています。
消費税率20%を超える国は、学校・医療は原則無料です。住宅取得,金融まで、かなりの非課税項目があります。そして、先の選挙で連立与党が盛んに言っていた軽減税率が、生活必需品には執られているのです(この「軽減税率」に関する疑問は、また改めて述べます)。
その結果、消費税が国の税収に占める割合は、消費税が5%であった「今は昔…」の時代でさえ、日本とヨーロッパはほぼ同じ――8%になれば、おそらく日本がスウェーデンを上廻る――というのが現実です。
要するに、日本は消費税5%の時代であってさえ、その国庫収入が同じヨーロッパ諸国より、少子高齢化社会が進みながら、福祉は著しく遅れていること,それを言われると、政治の世界からは、「財源がない,だから消費税アップだ」との論法となるわけであります。
ここで愚痴を言えば、なんでもアメリカ経済を見本としたい空気がある中、なぜ「消費税率」の部分だけ、福祉先進国の数字を持ち出すのでしょうか。ちなみに、アメリカの消費税(附加価値税)が、日本より高いと聞いたことはありません。
ヨーロッパでは、国民から受け取った消費税で教育・医療等を充実させ、国民に還元されているのです。よくテレビで、北欧の学校が放映されますが、実にきれいですね。消費税は、国民に再分配されていると考えます。
日本の現状で、消費税を8%にしても、先般の選挙で「民意」となった10%に上げても、5%時代でさえ、こんな状況でしたから、そもそも消費税を社会保障費の財源とするシステムは、機能していないと認めるべきではないでしょうか。
もちろん、これは福本悟のひとりごとです。
現に消費税8%を達成出来なかったことを理由に、選挙直後、2015年の介護報酬の削減が、9年振りに決められたようです。本当にヨーロッパ並の福祉の国になりたいのならば、まさにヨーロッパ諸国でなされている所得の再分配しかないと思っています。
次はこのことについて、ひとりごとをつぶやくかもしれません。
二度あることは三度ある?
12月14日は、赤穂浪士の討ち入りの日として知られております。しかし、2014年(平成26年)12月14日は、もしかすると、後世の歴史に名を刻す戦後日本の分岐点となっているかもしれません。
このとても意義のある日、私は、これまでに経験しなかった出来事に遭遇し、自ら経験いたしました。
第47回衆議院議員総選挙は、かなりの低投票率が予想されていました。寒波に見舞われた地方もありますが、そのような地域の方々はたいへん真面目で、雨にも負けず風にも負けず…必ず投票に行かれるようです。投票率が低いのは、概して都市部の有権者です。
しかも、与党の圧勝予想が報じられていて、変わらないからと考え、わざわざ行かなくても…との意識に至った向きも、ないではないと思います。
真面目な?私は、投票所に行くときは、それなりに緊張しているというか、気持ちの高ぶりがありました。
今回投票所の前で、ユニフォーム用のジャンパーを纏った女性から声をかけられました。手に、何か用紙を持っています。
一瞬「これは出口調査かな?」と思ったのですが、投票前ですから、「ちょっと早いな。投票してからにしてよ」と思いました。
するとこの女性、投票所の入りでニコニコしながら、「よろしくお願いします」と言って、私に対してマンションのパンフレットを渡したのです。この区域の最寄駅からほど近い場所に建築中のマンションがあって、その勧誘でありました。
もう、選挙なんて結果は決まっていて、どうでも良いというか、このマンション販売会社、政府与党の経済政策のおかげで、業績好調なのでしょう。
投票所前に営業マン(営業ウーマン)が居て、投票直前に営業をかけられた経験は初めてでした。
そして午後8時の投票締め切りと同時に、各局いっせいに、出口調査に基づく各党の獲得議席数の予想を発表します。以前の『ひとりごと』でも言いましたが、最近、ことに小選挙区制になった後は、この予想はほとんど当たっております。
それでもあまのじゃくなのか、諦めが悪いと言うのか、かつての郵政選挙でも、政権交代選挙でも、そして2年前の自民圧勝となった選挙でも、私は、投票日の午後8時には、きちんとテレビの前に構えて、開票速報を見ていたものでした。
しかし、今回は、午後8時には、事務所で所用をいたしておりました。つまり、ハラハラドキドキなどないことはもちろん、『選挙予想』とおりになることは間違いないと納得してしまったからであります。
私と同じ思いのマスコミもあったようです。
今をときめくお方から、常日頃目の敵にされていた?局は、開票速票そっち除けで、羽生結弦選手らが出演するアイススケートグランプリファイナルのエキシビションを放映しておりました。
私も、これに同意して、元気になられた羽生選手に魅入ってしまいました。
開票速報開始時刻に、テレビの前に居なかったこと、まして、帰宅するや開票速報ではなく、別の番組を見ていた自分に驚いた次第です。
さて、初めてずくしの私とは異なって、また同じ経験をされた方がおられます。だれあろう菅直人元内閣総理大臣です。
菅直人氏は、今回475議席の最後の当選者となられました。ちなみに、この瞬間に、海江田万里民主党代表の落選が決定したものです。
驚いたことに、前回2012年の選挙でも、菅直人氏は、惜敗率がモノを言う比例復活により、最後の当選者となっておられます。
これは、やろうと思ってできることではありませんね。
菅直人氏は、市川房枝さんのもとで、市民の手になる民主主義を学んだと言われます。その菅直人氏は、今回は選挙区に張り付いてビール瓶箱に乗って、支持を訴えたと聞きます。投票日前日、その姿を見た女子高生から、「あの人誰?」「総理大臣だったらしいよ」「へぇ~、」と会話されて、写メの人となりました。
ところ変わって、投票日前の秋葉原には、安倍晋三内閣総理大臣が、若者を前に、何事か訴えております。テレビ局のインタビューを受けた若者は、総じて投票には行かない、感心がないと言っていました。
私にとっては、二度と経験したくない、菅直人氏にとっては、三度は経験したくない。
さて、秋葉原がこのときばかりは、お好きなご様子の安倍晋三氏はいかがでしょう。
2017年から消費税は10%になります。
2014年12月17日
財団法人日本漢字能力検定協会のキャンペーンとなっている『今年の漢字』に、『税』が選ばれました。衆議院議員総選挙の2日前となった12月12日、京都の清水寺の森清範貫主が、今年も和紙に毛筆で揮毫される姿が放映されました。
今年は、かつてのいわゆる三党合意により法制化され、消費税は8%に増額されました。アベノミクスは確実に先進していて、その効果は、近いうちに国民隅々まで齎されると信じられているわけでありますが、この秋、
「①2015年秋には、消費税は上げない。②2017年4月には、そのときの景気、経済情勢がどのようなものであっても、絶対に10%に上げる。」
このことの是非を問うとして、政府は衆議院を解散し、先般選挙が行われました。もっとも、選挙戦では、「アベノミクスを進めるのか、(民主党政権時代のような社会に)あと戻りするのか!」が叫ばれ、「2017年には絶対に増税します」と言った政府与党の声は聞かれませんでしたが。
民主党最後の(失礼!)内閣総理大臣を務めた野田佳彦氏に対して、近時意外なところから評価がされているようです。かつて自民党の中枢にいた方々です。
少子高齢化社会が進み、社会保障の財源確保が言われてもう何年も経っているのに、選挙を意識して、誰も増税を言えなかった。この間何人も総理総裁は代わっても、問題の先送りをしてきた。選挙が怖かったからだ。野田さんは、三党合意という形で泥を被ってくれた。これでもう争点隠しなく、堂々と政策論争ができる。腫れ物が取れた思いだ。
こんな感じです。
ハッとしました。軽薄な私は、民主党野田佳彦氏を、あのときボロクソに言いましたから。
そうです。これからは、税金問題、増税可否は、もう選挙で語られる必要性はなくなったのです。まして、それについて、「国民の信を問う」理屈は、成り立たなくなったのでした。
今回選挙の投票日の2日前、まさしく清水寺での様子が放映されていた番組で、待機児童問題と介護の問題について、街の声を聞くシーンがありました。この局、「アベノミクスの実感はない」「景気が回復した感じがしない」の声ばかり流していると、番組に生出演された方から、お小言を頂戴しておりましたが、投票日直前には、しっかりと、「消費税増税が先送りされて、待機児童の問題等子育て支援策への財源が心配」「介護施設への負担は大きく、介護報酬の引き下げなどなされると、もう成り立たなくなる」などの現場の声を伝えておりました。
そして選挙は終わりました。
16日、早速政府は、2015年度の介護報酬の引き下げを打ち出しました。9年ぶりの引き下げとなって、介護事業者が被るため、結局介護サービスの低下や過酷な労働にもつながりかねず、業者の不正請求などあると、社会福祉そのものが、強き者から袋叩きにあう可能性も指摘できます。
でも、これは消費税率アップをしなかったからなのでしょうか?子育て支援策は、消費税で賄うべきなのでしょうか?少子高齢化社会の社会保障の財源は消費税だと、いつから、どうして決まったのでしょうか?
選挙期間中は、「子育て支援、介護制度などの社会保障には、どうしても財源が足りないんです。それには消費税率の引き上げしかありません。2017年から絶対に消費税増税して、アベノミクスを成功させます」という説明は聞かれませんでした。
それはそうでしょう。だって、野田政権時代に、「もう、税金の話は選挙の争点にしない。だから選挙戦ではその話はしなくても良い」合意ができたのですから。
でも、なお私は、少子高齢化社会の社会保障の財源は、消費税しかないのか、また、増税された国庫の収入が、本当に社会保障のみに回されるのか、まだ疑問が氷解しておりません。このことについては、このあとも、ブツブツ呟くことをお許しください。
地方の中核都市がジャックされた日
2014年12月12日
12月7日は、福岡国際マラソンが開催されました。昭和58年の12月、福岡で生活していた私は、福岡国際マラソンは、毎年12月の第1日曜日に開催されることを知っています。
「そうだ!福岡国際マラソンの日だ」と、カレンダーを見て気づきました。その後なんとか工夫して、行ってくることができましたが。
そして、この時期にしては珍しく、6日と7日は、福岡空港行きの便が、どの航空会社も満席状態でした。
機内には、幾つもグループができ、それがツアー客ではないことは、すぐにわかりました。
この両日、福岡市内では最大級の収容規模である『マリンメッセ』で、あるアーティストグループのコンサートが開催されていたのです。
地方の中核都市では、しばしば見られる現象です。著名な学会や代表クラスのスポーツなどが行われるときに、ホテルが満室になることがあります。でも、人口移動が起き、街がジャックされるのは、アイドルグループのコンサートが行われるときでしょう。
2年前の11月、札幌のホテルが全て塞がっていて、どうにも困ったことがありました。「なんで」と不思議に思い、Yahooの検索で、『◯月◯日札幌市内のホテル満室?」と入れましたら、嵐のコンサートの情報がたくさん出てきました。地元の人に聞いたところ、アイドルグループ嵐の全国コンサートツアーは、雪の前の11月に札幌ドームで行われることが市民の間ても周知されていて、地下鉄福住駅近くに行かないとか、コンサート終了後は、タクシーが拾いにくいなどの情報が、共有されているのだそうです。
凄いですね。出張旅慣れしている私でも、この民族大移動、街をジャックされたら、戸惑うかもしれません。
ところで、今年の8月下旬、先様の都合で、12月6日と7日に、1泊福岡に行く用事が出来ました。通常、こんな早くに予定が確定することなど、滅多にありません。それで、ホテルの手配などしようと思いましたら、どこも受付してもらえません。
今、東京一極集中、都市と地方の格差が社会問題になっています。多数議席が約束?
されている政党は、これからなんとかミクスの効果は、地方にも波及すると言われますが、その地方にお金を落とす手っ取り早い方法は、入れ替わり立ち代り、アイドルグループに国費を投じて、全国津々浦々まで回ってもらうことではないでしょうか。
あ、これはただのつぶやきです。
そんなことを思いながら中洲を歩き、いかを食べ、飛行機を眺めていました。