民主主義は川中島にあり!
2014年12月6日
民主党の野田佳彦元内閣総理大臣は、怒っているそうです。
2年前全国民注視なの中で、こんなやりとりがありました。
野田佳彦元内閣総理大臣 「国民に消費税率を上げるご負担をお願いする以上、国会議員も身を切る努力をしなければなりません。議員定数削減、直ぐにやりましょう。◯◯党総裁として、この場で国民に約束されるなら、私は衆議院を解散します。」
◯◯党総裁 「するんですね。選挙するんですね。」
現在弁護士グループが、衆議院議員総選挙の差止の裁判を起こしています。これは、一票の格差を問題にするものです。この2年前、繰り返し裁判所から、格差是正をしない現行選挙制度の憲法違反を指摘されながら国会はこれを是正しないので、このまでは法の下の平等に反する選挙が行われるから事前に権利侵害を差し止める趣旨であります。すなわち、議員定数削減は、先の選挙で約束されたから、司法の場に持ち込むまでもないのでしょう。
ところで、一票の格差や定数削減より重要な論点があると思います。
それは、日本では、あるときから小選挙区制が用いられたからです。
これは、選挙区内ではたったひとりしか当選せず、あとは全部死票になってしまうからです。2年前の衆議院議員総選挙では、過半数どころか30%台の得票率であるのに、巨大与党が誕生しました。すなわち、小選挙区制のもとで選挙戦は、いわゆる『一騎討ち』なのです。
『一騎討ち』は、戦国時代永禄4年の川中島の合戦で、上杉謙信が、馬に跨りたって、ひとりで武田信玄目掛けて切り込み、咄嗟に武田信玄が軍配で防いだという歴史の事実が起源になったと言われます。
川中島の合戦の一騎討ちでは、上杉謙信も武田信玄も命長らえました。その後このふたりは、越後、甲斐それぞれの領民に慕われ、数多くの功績を残されました。
どうにも死票ができる小選挙区制には賛成しかねるので、一騎討ちの起源、川中島に行って来ました。
このときの川中島の合戦では7000人を超える戦死者が出たそうです。死票は民主主義に反するなどと言うことに、ハッとしました。亡くなった方は、そのまま放置されたのでしょうか。
いえ、違います。
川中島の合戦跡地に、首塚と言う祠がありました。武田方武将高坂弾正昌信が、後に敵味方関わりなく、名もなき死者を丁寧に埋葬して、戦国時代の終結を願い、無念の霊を供らったのだそうです。
このことに感激した上杉謙信は、後に駿河の国からの塩の供給を停止された甲斐の人々のために、日本海越後で採れる塩を送ったのでした。いわゆる『敵に塩を送る』の故事がこれです。
実際川中島に行って見て、歴史を知り、感動いたしました。亡くなった方は、決して無駄死にではありません。
さて、今回の衆議院議員総選挙、仮に死票が出たとしても、これら一票は、先人の努力によって得られた人類普遍の原理である民主主義を守るため、決して無駄にされないのだと信じることにいたしたした。
民主主義とは、この道しかありません。
流行語大賞
2014年12月5日
最近気になることがあります。統計の取り方まとめ方、比較の仕方です。
例えば、景気が回復したかどうか?ある人は、円安株価の上昇を挙げるでしょう。またある人は、賃金と消費のバランスを言うでしょう。
個人の消費の関係で言えば消費税です。ある人は、人間であれば誰にでもかかる公平な税金と言われます。またある人は、同じ1080円の食材を買うにも、富裕層とそうではない人では、負担感は全然違うから、極めて不公平な税金だと言われます。
雇用に関しても同じです。ある統計では、雇用率は上昇したと出て、ある統計では、実はいわゆる非正規雇用が増加したのだとなっています。これは、感じ方の問題なのかもしれません。どのように感じさせるか、なんでもヒトラーを例に出すのはどうかとは思いますが、統計を利用する側、説明する側のやり方に依ること大だと思います。
ところで、今年のユーキャン新語流行語大賞が発表されました。そのトップテン年間大賞には、お笑いコンビのダメよ~ダメダメと『集団的自衛権』が選ばれたとのことです。集団的自衛権は、そのインパクトにおいて、笑いコントと同列のようです。
以前「あなたとは違うんです」で受賞した政治家の人は、出場を辞退されましたが、時節柄を理由にされたのか、『集団的自衛権』を流行らせた方は、映えある授賞式に、お越しにならなかったようであります。
『集団的自衛権』カッコイイ言葉ではありませんか!困った人を見つけたら、その人をみんなで守って上げるのだから‥‥‥。訳もなく攻撃されたら、みーんな自分を、守りたいよね‥‥‥。
ところが、何故か?安倍晋三内閣総理大臣になるまで、政府は一貫して、日本国憲法では、集団的自衛権は認められないと表明して来ました。
そんなバカな。安倍内閣は、閣議でこれまでの政府解釈を変えられました。素晴らしい!
今まさに衆議院議員総選挙の最中です。旬となった集団的自衛権について、どのような説明がなされるか、流行語大賞の会場には忙しくていらっしゃれなかった安倍晋三氏のお話を、是非お聞きください。
その後、日本国憲法の前文を読んでください。しばしば安倍晋三氏は、比較の対象にされますから。
もっとも、「選挙の争点は政府が、決める」のだそうです。こんなに国民的人気のある『集団的自衛権』でも、今回の選挙では語られることがないのでしょうか?
巨星墜つ
2014年12月4日
高倉健さんに続いて、菅原文太さんが逝去されました。巨星相次いで落ちる感があります。
ご両名の作品はあまたありますが、なぜか私は、北海道のイメージが強いのです。
高倉健さんは、『幸福の黄色いハンカチ』であります。夕張まで行った折に、見事に繋がった黄色いハンカチを見ました。網走市にも行きましたが、『網走番外地』は経験しておりません。
菅原文太さんが、「なんで北海道?」という向きもあろうかと思います。実は、『北の国から92巣立ち』のイメージが強烈だったからです。
北の国からは、私が大学を卒業した翌年昭和56年にフジテレビで放映されたドラマで、予定した24回が終了した後も、平成14年まで何回か特番がもたれた名作です。その中で、菅原文太さんは、主人公黒板五郎(田中邦衛さん)の子黒板純(吉岡秀隆さん)の交際相手の叔父役で出演されました。
五郎さんが、純の不始末を詫びるため、富良野からかぼちゃをたくさん持って上京した折、『誠意って何かね』と答えたシーンがなんともーーある意味、菅原文太さんらしくなくてーー素晴らしい。
富良野地方では、かぼちゃを模したものが『男の誠意』の名で土産物になっておりましたが、果たして誠意とは何なのでしょう?因みに、ドラマでは、後日五郎さんが送ってきた現金100万円は、純を介して五郎さんに、戻されました。
私たち法律家の世界では、男女関係の調停などで、しばしば誠意を見せろとか、誠意がないとかの言葉が出されます。または、「謝れ!」と言われることも多いですね。
苦しんだ人の心をわかるように、しっかり話を聞いて差し上げること、葛藤を取り除いて、ガス抜きして差し上げること、気持ちを落ち着かせて、『その次』に進むことができるようにサポートすること、法律相談にいらっしゃた方には、こんなお話をします。
でも、この世界では、お金を支払ったことが謝罪であり、いくばくかの誠意なのだと言ってしまうこともまた事実であります。形としては、これで示すしかないとも言えましょう。でも、お金で解決できるケースはまだ救われると思うことも事実です。
こんな日常を送っており、この歳になっても全てを包含するようなズバリの解決策は、見出せない無力感に苛まれることがございます。
そんなとき、いつも菅原文太さんのセリフ「誠意って何かね」が思い出されるのです。
高倉健さん菅原文太さんのご冥福をお祈りいたします。
スポーツには終わりがある。弁護士業務は?
2014年12月3日
サッカーJリーグは、大詰めを迎えています。
実は、福本悟は、昔日本サッカー協会の4級審判員の資格を持っておりました。尤も、ピッチに立つことなく、資格は消滅しましたが。
さて、既にJ2とJ3は、公式日程は終了し、現在J1昇格のプレーオフ、J2とJ3リーグの入れ替え戦が行われています。
J1では、ロスタイムで同点を追いつかれた浦和が、最終節を前に、首位から転落しました。
この浦和戦まで、数字の上では優勝の可能性を残していた鳥栖は、ロスタイムに同点に追いついたものの、勝ち点1しか積み上げられず、優勝の可能性が消滅しました。
代わって首位に躍り出たガンバ大阪は、昨年は、J2に降格していたものです。
勝負の世界は厳しいです。
J1への昇格をかけたプレーオフは、さらに劇的なゲームだったようです。
引き分けならプレーオフの決勝に進出が決まる磐田は、後がない山形との後半ロスタイムに、まさしく『後がない』状態になった山形のゴールキーパーが、コーナーキックからのボールに頭を合わせた見事なヘディングが決まって負けてしまいました。J2J3入れ替え戦は、0ー0の引き分けとなり、次週に勝ったチームが来季J2で戦います。
スポーツには、時間内で勝敗を決めるものとそうではないものがあります。ラグビーやサッカーは、時間内勝負です。野球やバレーボールは、回数はありますが、基本的に勝負が決まるまで続けられます。
どちらもそれぞれ見応えがあります。尤も、時間を気にして観戦する人は、ラグビーやサッカーの方が、計画を立て易いかもしれません。
弁護士業務に携わる経験から、私は、時間内勝負を好みます。それは、自分の反省を込めての思いからであります。
昔『ながら族』という言葉がありました。ダラダラ意味なくやっている
ような状態を指すのだと思われます。
会社で、明日までに仕上げなければならないとか、この時期はめちゃくちゃ忙しいなんてよく聞きますね。大変だけど明日までにやり遂げればホッと一息だからガムシャラに頑張るしかないと決意されるのでしょう。
しかし、弁護士の仕事は、終わりがないのです。そう言ってしまえば、たいへんですねと同情もされるのですが、実は、いつやっても構わない性質も含まれているとも言えるのです。ですから、裁判などの直前にならないとやらない悪い癖が出てきます。もちろん、決められた期日までに何をしておくと言う制約はありますが。
ですから、ときとして「明日やればいいや」と先延ばしてしまう。ラグビーやサッカーのように、終わりが決まっているが故の緊張感はないと認めざるを得ません。
もちろん、常に何かに追われているとの意識ばかりあっては、落ち着いて良い仕事はできないとも言えます。
でも、時間内勝負で試合終了のホイッスルがあるのは、いろいろな意味で感動的だなと思います。反省と憧れの思いから、私は、時間内スポーツを好むのだと思います。
いかにも贅沢
2014年12月2日
このところ、『おもしろい』お話ができず、面白くない思いの向きもあろうかと存じます。この辺りで、『おいしい』ひとりごとをお聞きください。
日本は、世界一のイカの消費国と言われます。年間消費量は、世界の半分を占めるとされ
、特にスルメイカは、日本で最も消費される魚介類です。スルメイカは、八戸、函館など北の食材のイメージがありますね。
『いか』の語源が、『いかめしい』形から来たと言う説があるくらい、イカはお笑いネタにされるようで、いささかいかファンからすると不満があります。いかの漢字が『烏賊』を
当てられたのも、黒スミを吐く黒い烏の賊をイメージされたとの説があるようです。
イカサマ
いかがわしい
いかれぽんち
等等あまり嬉しくない使われ方です。
でも、酒の肴としてイカの塩辛は定番で、酒呑みには有り難い限りです。こちらは、スルメイカが主に使われます。
北の代表がスルメイカなら、西の代表は、剣先イカです。
佐賀県唐津市の呼子は、イカの漁獲量日本一(陸上げ量ではない)ですが、良質の剣先イカが上がります。尤も呼子では、剣先イカを『ヤリイカ』と呼びます。市場に出回るヤリイカとは別種で、剣先イカは、二の足が長くて全体のサイズが大きく、色は赤かかっています。
私は、この剣先イカの活造りを、年に何回か食べるのがとても楽しみです。どこで食べられるか?
呼子は当然です。呼子では、店の生簀にはそのまま海水が注がれて、いかが泳いでいます。いかは、捌かれるまで、釣り上げてから人間の手に触れることはありません。透明で透きとおっています。身は、柔らかくて甘いのです、
さて、私は、わざわざ呼子まで行きません。剣先イカは、福岡で食べれるからです。福岡市内の和食店居酒屋には大抵生簀があって、いかが泳いでおります。
そうです。剣先イカは、玄界灘が産地なのです。今や呼子ブランドと言われるごとく、いかと言え
ば呼子ですが、呼子からも、福岡県沖の玄界灘までイカ釣りにやって来られます。
いかの活造りを食べずして、イカを、日本の魚貝を語るなかれと言うよりも、これを知らないで食べ物に満足するのは勿体無い。生きたままのいかを食べた後作りは、ゲソの部分を天ぷらにしてもらいます。
いかにも贅沢!
ぜひ福岡にいらして、せいかを実感してください。イカは、とてもイカす奴ですよ。