『至誠にして動かざる者は未だ之れ有らざるなり』孟子、そして吉田松陰先生の言葉に寄せて
2015年9月23日
安全保障関連法案は、成立しました。この結果は、先の総選挙で衆議院に3分の2を与え、参議院は過半数を与党が占めている以上、どうにもならない結果でした。ただし、採決が行われ、決議が有効である場合は。テレビで見る限り、なにが行われたか理解できた人はおりましょうか?
成立前夜に、国会前に行って来ました。その前日、参議院特別委員会で、『強行採決』されたわけですが、以前疑問を呈したとおり、アレは採決とは言えませんね。委員長が開会宣言し、議案を読み上げ、各議題ごとに採否を採らなければなりません。あのとき、鴻池祥肇委員長は、何も発言しておりません。
確かに、あかりちゃんにいろいろ教えてもらったはずの髭の隊長こと自民党佐藤正久議員は、何か議員席に向かって喋っていて、自民党山本太一参議院議員が、同僚に対して、立ち上がるよう促しておりましたが、これって、自民党の自作自演ですね。
そもそも前日地方公聴会が開かれて、その結果を委員会で口述する手続きが必要なところ、これがカットされたので、当然委員会議事録に、記録がされていないのです。このことを、口述人から指摘された民主党の理事福山哲郎参議院議員より、委員会の決議そのものが無効となる可能席が、密かに自民党理事の佐藤正久議員に伝えられ、佐藤氏が、『検討する』と述べた一幕が暴露されたのです。参議院本会議で、この経緯が、福山議員から述べられたところ、佐藤正久議員は、知らん顔して野次さえ?飛ばしませんでした。
株主総会でもそうだと思いますが、議長が、手続上決議可能な状態になっていることを確認し、議案の説明をし、各議案ごとに採否を取り、数を数えさせることは当たり前でしょう。それは、たとえ結果が明らかな場合であっても。
まあ、結論はわかっていましたから、ストレス発散?後悔したくないがゆえに、国会前で思いっきり叫んでやりました。『○○は辞めろ!』『戦争反対』『憲法守れ』そして、夜も深まるころ、参加者の声は、『賛成議員全員落選』…。こうして場外民主主義を実感した次第です。繰り返しますが、自民党議員、この法案に誰も異を唱えません。実に情けない!
さて、そんな1日が終わったら、自民党側は、件の特別委員会で、民主党議員が、自民党女性議員に対してセクハラをしたと大騒ぎです。なんでも、議長席とは離れた場所に居た自民党女性議員を、民主党男性議員が羽交い締めにして引き倒し、怪我をさせたと言うのです。この様子が、全世界に動画発信されたもので、刑事告訴をするのだそうです。
全世界に動画発信された恥ずかしいシーンは、この国会では、他にも幾つもありますが、このセクハラ破廉恥事件、コレって明らかに強行採決批判を躱す狙いが有り有りですね。あれが、セクハラですって。セクハラの定義はなんでしたっけ。他にもたくさん『暴行シーン』ありましたね。議会開催さえ強行してしまえば、全部与党の決議とおりになるのです。問題は、先の地方公聴会の口述を省略してでもやってしまったような議会運営にあるのではないですか。
まあ、告訴したければしても良いでしょう。民主党議員1人くらいいてもいなくても影響ないですから(失礼)。それこそ全世界は、国会前での様子を含むあらゆる状況を、動画発信しています。政府与党は、こんな事態になったことは、全然恥ずかしくないようです。以前30年安保の昔話をしました。将来2015年安保として、この反対運動と政府与党の対応は、歴史に名を残すでしょう。こんなセクハラ事件、暴行騒動なんて、ハッキリ言ってレベル低いです。
それよりもなんだ!と思うのは、法律が成立したら途端、与党議員らは、挙って『言い訳』に終始していることです。説明が十分ではなかった、理解を得られなかったと、連休中選挙区に帰って言い訳しています。それなら、賛成するな!です。これから説明するような法案に賛成するってこの方々の頭の構造、さっぱりわかりません。
法案成立した翌日、国会前に参集した市民らは、『賛成議員落選運動』を行うことを明らかにしました。参議院で与党過半数割れを招き、廃止法案を出す、衆議院で否決されたら、参議院はことごとく審議拒否しーーつまり、あの日あのとき与党がやったと同じことをしーー、国会前では、内閣総辞職を叫び、参議院の協力が得られぬことを理由に、衆議院総選挙に追い込むことなのだそうです。
その意味では、安倍晋三内総理大臣は、『民主主義って何だ!」「これだ!」を国民に知らしめる大きなお仕事をされたことになりましょうか。そんな思いを強くして、安倍晋三氏そして私福本悟が尊敬してやまない吉田松陰先生の『至誠にして動かざる者は未だ之有らざるなり』を思いました。
もともと孟子の言葉で、本来の意味は、『誠意を持って事に当たれば、どのようなものでも必ず動かすことができる』です。ただし、松陰先生は、『不誠実な態度で事に当たれば、何ものをも動かすことは決してできない』とされ、こちらが誠を尽くしたと思っていても、まだこころを動かさない人がいるとすれば、それは自分の誠が足りないからだとされるのです。
さて、安倍晋三内閣総理大臣、いかが思われますか?
貨物室の犬から、難民の受け入れに思う
2015年9月22日
『心温まるいい話』『命は何より大切』『カッコイイ』等ネット上でも、好評な記事がありました。
イスラエルからカナダに向かっていたエアカナダの旅客機が、貨物室に預けられていた犬を救うために行き先を変更して、ドイツに緊急着陸する出来事についてです。
エアカナダによると、テルアビブからトロントに向かう途中で、貨物室の暖房装置にトラブルが発生、貨物室には、乗客が預けた7歳のオスのフレンチブルドッグ犬がいたので、この高度でそのまま飛行を続けると、犬の生命に危険があると判断した機長は、行き先をフランクフルトに変更して着陸、この犬は、別の便に乗り換えて助かったと言う内容であります。
結果、この便には約75分の遅れと、燃料が嵩んだものの、犬が危険にさらされる恐れがあって、行き先変更したことで、その安全が確保されたことを知ったこの便の乗客は、間違いなく正しい判断だったと機長を讃えたようです。遅延が生じるなどしたことについて、エアカナダとこの犬の飼い主は、迷惑をかけたことを詫びたところ、概ね乗客からは、好意的な返答がなされたとのことであります。 たかが犬、されどひとつの命、救出できた機長のプロ意識に感動しました。たとえ貨物室の『荷物』であったとしても、これを損傷することなく目的地まで届けるのはまさにプロです。
また、エアカナダの乗客の民度の高さにも感動、ゆとりがある、大人の対応ですね。
振り返ってどこかの国だったらどうでしたか。商談に遅れるとかキレる人あり、果たして航空会社も、機長の判断を認めたでしょうか。
心に余裕を持つこと、命の大切さは、こんなところから教えられるのではないでしょうか。
今、ヨーロッパでは、シリア等からの難民流入問題で、さまざまな意見が出されています。
各国間でも協議の必要性が言われています。島国日本では、国民の間では、あまり実感がないようです。難民認定が極めて少ない日本の現状には、国際社会からは、『鎖国』と疑問視されているのです。 2014年の日本での難民認定数は、5.000人の申請に対し、わずか11人でした。ヨーロッパでの難民危機を巡っては、今月EUの欧州委員会が、加盟国に対して、新たに12万人の受け入れ義務化案を示したと言うことです。
これを受けてオーストラリアが1万2.000人の受け入れを表明したほか、アメリカも、ケリー国務長官が、受け入れに前向きな意向を示したと言われております。 どころが、菅義偉内閣官房長官は、「難民対策は、これまでも国際社会と連携して対応している。現状では、具体的な政策を追加することは考えていない」と述べました。
どこが国際社会と連携?と思いました。また、法務省が出した第5次出入国管理基本計画では、新しい形態の迫害を受けたケースを含むとされましたが、就労目的等の申請は、偽装難民であるかの視点があって、日本弁護士連合会は、『申請抑制策に特化した内容』と批判しているところです。 積極的平和主義ってなんでしょうね。
世界の平和、全世界の人々が、等しく恐怖と欠乏から免れる生活ができることとは違うようです。集団的自衛権なるもので、国外まで出て、同盟国の面倒まで見ると言うのに、日本国内には『来るな!』と言うことでしょうか。難民受け入れを広く行うかどうかに関するネット上のアンケートでは、80%の日本人が、難民受け入れに消極的です。
これは、島国日本の伝統なのかもしれません。ならば、集団的自衛権のときだけ、島から出て行くべきなのでしょうか。なんか心が狭い感じがいたします。おそらくわんこの一件でも、日本の航空会社の便でしたら、乗客の民意を押し測って、機長は、エアカナダのような対応はできなかったのでは?と考えてしまうのは、わんこを飼っている私の穿った見方なのでありましょうか?
カツ丼を注文したら、天丼が出て来ました。
2015年9月21日
日本マクドナルドが、赤字の連続だそうです。
私が子どものころ、アメリカから入って来たマクドナルドのハンバーガーは、かなり高価で、なかなか手が出るものではありませんでした。
大学生のころには、あまり売れ行きが良くないからか、ハンバーガーを注文すると、「ポテトはいかがですか。お飲み物はいかがですか?」と店員から必ず言われたものでした。ある漫才師が、「俺はハンバーガーだけが食いたいんや!」とネタにしておりました。
マクドナルドだけではありませんが、その後のファーストフードと言われる業界では、飲み物等とセットにして販売するメニューが登場しました。
買い手には割安感があって、売れ行きを伸ばしたと思います。今や、各社凌ぎあっている牛丼業界でも、味噌汁等とのセットメニューがあるのです。それでもファーストフード業界は、客離れが進んで、どこも経営は厳しいと伝えられております。
ここに数年庶民に迎え入れられ、サラリーマンの味方であったファーストフード業界が苦戦したのは、全部円安や消費税が原因とは申しません。
円安株価高騰で潤う大企業の社員らは、優雅な昼食を嗜んでおります。会食の場は、高級店に移行しているのでしょう。ファーストフードや食べ放題のお店は、海外からのお客様が増えて来たと聞きますね。 マクドナルドが業績悪化に至る過程に、店員らによる異物混入や、海外の工場での杜撰な品質管理が暴かれました。コンビニの弁当等も、同じ問題が提起されました。品質衛生は、物を売るときの基本中の基本、これがいい加減であれば、信頼を失うのは当たり前です。
でも、品質管理、衛生以前の問題として、お客様が求めない商品を出したら、とても買う気になれないと思います。
これは、先のハンバーガーを欲しい客に、「ポテトはいかがですか?」のケースを言うものではありません。 安保保障関連法案は、審議時間を経るごとに、問題点が次々に浮かびあがり、私は、と言うよりも、国民ほとんどが、成立に反対の考えであります。ごく限られた場所地域、すなわち永田町もしくは国会内での『世論調査』以外には、国内どこでも同じような数字になると思っています。この法案がいかに酷いものであるかは、国会での答弁を見ていると、誰でも感じられると思います。
自信をもって答弁をし、また、答弁を求められないときでも野次を飛ばす等、いくらでも喋りたい方がおられる反面、担当の中谷元防衛大臣は、もう、見ているのは哀れを誘います。 政府与党が根拠とした砂川判決が、集団的自衛権どころか、専守防衛の任にあたる自衛隊の合憲性にも触れていないことは、法律家の端くれである私でも、理解できております。数日前、この判決に関与した元最高裁判事のメモが公表され、政府与党の説明が欺瞞であることは、歴史的にも明らかとなりました。
また、先日の公聴会で、元最高裁判事から「昔はあった」と表現された内閣法制局は、安倍内閣になるまでは、一貫して集団的自衛権の行使は憲法違反として来ました。 それでも、ついこの間、参議院特別委員会で、こんなやりとりがありました。集団的自衛権が認められないのは当然であり、歴代内閣法制局は、砂川判決が、集団的自衛権なんぞ意識していないゆえに、この点のコメントは、残していなかったと言うことです。
そしたら、与党の重鎮は、内閣法制局が認めないとは言っていないとして、だから集団的自衛権は憲法上認められると述べたのです。もう、ああ言えばこう言うで、年寄りが、子どものごとく駄々をこねるようで滑稽ですね。
しかし、当時防衛庁の内部資料には、『集団的自衛権の行使は認められない』と解されるとの極秘文書があったことが明らかにされたのでした。
このことについて、防衛大臣として、内閣の一員として、集団的自衛権は憲法上認められるとして、歴代内閣そして防衛省は対処して来たのか問われた中谷大臣、『整合性はある』『集団的自衛権行使を可能とする法律は、憲法に反しない。』『これまで政府や防衛省の答弁と(この法案は)矛盾しない』と、こちらは堂々としてではなく、目は宙にあり、とても気が入らないご様子にて、お答えになったのでした。
この答弁を受けた野党議員、このように仰いました。「店でカツ丼を注文したら、天丼が出てきた。」でも、街中で、こんなふうにお客様の注文と違う商品を出したら、そんなお店は潰れますね。潰れないのは安倍内閣、倒産しないのは自民党だけのようです。世の中の常識とはかなり違う世界が、そこにはあるようです。
安全保障関連法案について、声をあげたタレント芸能人たち
2015年9月18日
安全保障関連法案は、シルバーウィークの前に、参議院で可決、成立することは確実です。国会前、テレビの前、そして街の中、日本各地で起きている国民の声は、全く政府与党には、どこ吹く風です。ここに来て、来年の参議院選挙が怖いのか、改選される参議院議員を抱える『野党?』3政党が与党と合意し、「国会の承認を『閣議決定』することを条件に、この法案に賛成する意向を示しました。これで与党は、野党の意見を聞くことなく、『強行採決』したとの批判をかわせることになりました。
そんな採決まで、着々準備のある日、国会では、公聴会が開かれ、6人の国民が、意見を開陳しました。その中で、与党推薦の2人は、法案に賛成する意見を述べました。私は、この人たちの賛成理由に呆れました。だって『こんなこと』誰だって言えるからです。すなわち、国際社会の変化に政治が対応しなければならない、平和のあり方も変わりつつあるから、『この法案』を、今、成立させる必要があるのだと言うことです。
私も、その理屈は否定いたしません。こんな意見を述べた大学教授の横には、『改憲派』の重鎮、小林節慶應義塾大学名誉教授がおられました。小林氏も、ここまでは同じお考えでしょう。だから、憲法改正が議論され、国民に問われるべきなのだとなると思います。問題は、この法案が憲法に違反するかどうかです。国際情勢が変わったから、違憲の法律を制定して良いと言うのでしょうか?小林節氏は、憲法を無視するのは独裁政治の始まりだと言われます。そう言えばこのセンセイ、過日衆議院山口4区のある山口県長門市に赴いて、講演されましたね。完全アウェイかと思いきや、「アベ家がキム家になる!」と述べられて、ブーイングではなく、拍手喝采を浴びたようです。
国会前で、デモ行進する若者の中から、23歳の大学生が、意見を述べました。自分たちは、組織はない、動員されたのでもない、ただ、個人として戦争反対を訴え、この法案に反対している、たとえこの法案が成立しても、国会前に集まった者たちは諦めない、ずっと反対を言い続ける、そして、次の選挙で意思表示すると述べました。議員各位には、個として判断して欲しいとまとめられました。
国会前でのデモ行進に参加こそしていないが、このところタレント芸能関係者からも、この法案に関する意見が、相次いでおります。世界的な音楽家坂本龍一さんが、国会前に現れたことはニュースになりました。戦争に関わるテレビ番組や映画に出演した渡辺謙さんや笑福亭鶴瓶さん、プロレスラー髙田延彦さん、女優竹下景子さん、また、母校早稲田大学で講演した吉永小百合さん、沖縄出身の今井絵理子さん等等続々です。
そんな中で、「あれっ」と思わせる場面に遭遇しました。安倍晋三内閣総理大臣は、よく出演されるのは日本テレビとフジテレビですが、フジテレビのバラエティ番組で、あるタレントが、反対運動している若者を指して、憲法9条があったから――平和だったかもしれないが、平和ボケして――なめられているとの自説を述べ後、「ニュースに誘導されている」なんて感想を披瀝したそのときです。SMAPの中居正広さんが、「若い子が声をあげるのは良いことだ。このままでは法案は通ってしまう。僕は嬉しかった…。」と応じたのです。フジテレビ、そして○○新聞社、まさかでしたか?
憲法があったから平和だった、それでなめられていたとして、何が悪いのですか。なめられたって実際戦争をしない、巻き込まれないことが大切だと思います。日本国憲法には、日本国民は、世界に先がけて、「国家の名誉をかけて、この崇高な理想と目的を達成することを誓う」と書いてあります。
そんな各自さまざまな意見を持ちながら、いよいよ安全保障関連法案は、成立します。意見がないのは、自民党議員だけの気配です。
自衛隊員が、現地で判断を要するのは、災害時だけではないと思います。
先日の鬼怒川の堤防決壊により、茨城県常総市が水没した災害で、屋根の上で救助を待っていた住人2名が、犬2匹とともに、自衛隊員により、ヘリコプターに吊り上げられて助けられた様子が、全国放映されました。
これを見た愛犬家の意見は、「本当に良かった。自分も、犬を置いて出て行くことはできない。」「犬も家族、自衛隊員の機転に感動した。」でありました。
概して、あの危険が迫る中で、犬の命まで助けた自衛隊員に対する賞賛の声が、寄せられております。 ところが、この様子についてあるTweetが、「自衛隊が、要救助者に抱えられた犬を救助するのはルール違反。しかし、要救助者から、『家族』との申し出があったので融通を効かせた」と出たことから、ネット上で、さまざまな議論がなされたようです。
「そんなルールあるの?」の素朴な意見です。
このTweetをした方は、身内が、自衛隊員であることを明かした上で、『あくまで国民の人命救助』が任務であるけれども、ルールに縛られる中、なんとかして『国民の小さな家族』を救おうとした現場の自衛隊員には、好意的な立場で問題提起したようです。
確かに、そんなルールが自衛隊法?にあったとしても、自衛隊員は、人命優先で活動していた過程で、たまたま『小さな家族』を引き受けたのであり、違反とは言えないでしょう。これは、警察や消防でも同じことがあり得るわけで、どうなっているのか興味はあります。ただ、東日本大震災の後、環境省が出した災害時のガイドラインでは、災害時には、ペットと一緒に避難することが、勧められております。もっともこれは、置いてきぼりとなったペットが、野獣化して、人畜や環境を破壊しないようにとの意図が読み取れます。
このネット論争がたけなわになって、防衛省広報室から『正解』が発表されたようです。結論としては、ペットの救出に関する根拠法令はないが、人命救助を最優先する中で、要救助者からの要請には、対応できるようにしていると言うことです。私は、2点申し上げたいと思います。ひとつは、何処かで述べたかもしれませんが、国民は、自衛隊を、災害救助のエキスパートと見て、強い信頼と尊敬の念を持っていると言うことです。
これは、その使命感から、自衛隊を志望する若者が多いことと表裏の関係にあることも意味します。 もうひとつは、自衛隊の裁量、現場の判断と言う問題です。我が家にもわんこがおります。この救出劇を知ったときは、単純に良かったと思いました。しかし、仮に自衛隊員が、この2匹の犬を袋に入れ、ヘリコプターで吊り上げる作業をしている間に、別の人命が危険に晒されたらどうかと言う意見は無視できません。
あの場面は、人命尊重と、その要救助者の求めに応じた『小さな家族』の救出でした。しかし、世界の何処かで、当の自衛隊員そのものが、人命をかけた場面に遭遇したら、その場面では、臨機応変、適切な対応ができるのか、また、自衛隊員にそれを求めて良いのかと言う問題です。
今まさに国会で成立するであろう安全保障関連法案は、安倍晋三内閣総理大臣がなんと言おうとも、存立危機事態の解釈は曖昧で、集団的自衛権か個別自衛権か、PKOとの違いは何処か、政府そして現場での判断に委ねられることは、避けられません。
そこは、国民が挙って自衛隊に期待する災害救助の場面ではなく、『現に戦闘が行われていない日本の同盟国が、攻撃されている場所』であります。要は、非戦闘地域とは限りません。自衛隊員が戦争に巻き込まれたとき、法律による歯止めがなく、明確なルールもなく、ひとえに現場の判断によるのです。それで良いのでしょうか。
いろいろ考えされられるわんこの救出劇でありました。