国会前のデモ行進に、ムキにならなくても良いと思います。
2015年9月12日
「今やっている反対運動やメディアの報道は、本当は選挙前にやるべきだ。朝日新聞を中心に選挙を軽視する連中に限って後から大騒ぎする。」
これは、橋下徹大阪市長のTweetです。橋下氏によれば、現在審議中の安全保障関連法案に関しては、昨年末の衆議院議員総選挙の時こそ反対運動を展開すべきだだったのであり、日本国憲法のもとでは、国を動かすのは選挙しかないと書いてあると述べ、先の『サザンオールスターズのコンサート』に関する自説の補強とされたようです。
サザンオールスターズ、桑田佳祐さんも、いい迷惑だ思いますし、選挙を軽視すると名指しされた朝日新聞も、特にコメントは発していないようです。橋下徹氏によれば、安倍晋三内閣総理大臣は、昨年の総選挙前に、集団的自衛権を認めると言っていたのだから、反対運動は、ここでやるべきだったとのことであります。 現在参議院で審議中の安全保障関連法案に関しては、橋下徹氏が最近離党した維新の党も、政府案には反対し、橋下徹氏にも報告の上、修正案を提出しております。つまり、維新の党は、政府与党に反対の姿勢を示しているわけです。
この政党に所属した橋下徹氏が、先の総選挙のとき、安倍晋三氏を批判したり、集団的自衛権反対!を言っていたでしょうか?
私個人は、こんなことになることは予想しておりましたから、自由民主党全体の政策を、過去に遡って検討して投票に行きました。でも、橋下徹氏によれば、結局議席に繋がらない投票や反対運動は、民主主義国家として無意味、なぜなら、憲法には、『日本国民は、選挙で正当に選ばれた代表者を通じて行動する』と書いてあるからだとなるのでしょう。
日本国憲法の前文のあの部分は、過去の日本を反省し、民主的手続きではない、例えはシビリアンコントロールを脱した軍隊や、テロにより政権が運営されることを国民は絶対に認めないと言う当たり前のことを言っているのだと思います。法律家多しと雖も、選挙以外の方法で、反対意見を訴えることは無意味だとか、憲法前文のあの規定に反するなんて見解は、未だ嘗て聞いたことがありません。 よく思い出してください。昨年の総選挙の折、『アベノミクスを進めるか、後退するか』が争点だと言ったのは誰でしたか。特に、集団的自衛権や辺野古沖移転問題、議員定数問題等政治が直面する問題は多数あるのに、わざわざ行った総選挙にあって、なんでアベノミクスだけが争点なのか、かなりマスコミから指摘されておりました。
これに対し、菅義偉内閣官房長官は、「衆議院議員総選挙の争点は、内閣が決める」と言いましたね。私は、テレビの生放送に出演された安倍晋三内閣総理大臣が、「アベノミクスに反対する、うまく行っていないような街の声ばかりでおかしいじゃないか!」と発言した場面を、ハッキリ覚えております。そして、先の官房長官の発言です。
このとき、選挙を大事にする橋下徹氏は、大の仲良し菅義偉氏、安倍晋三氏に苦言を呈したでしょうか?集団的自衛権反対を維新の党は大々的に訴えたでしょうか。そして今、安全保障関連法案が採決されるか、また、これに反対する野党が、内閣不信任案を提出するかの凌ぎ合いなされています。
こんなときに、国会では、野党の立場で、安全保障関連法案に反対している政党を離党する本意はなんなんですか。『維新分裂』なんて報道され、少なくとも政府与党には、マイナス影響はありませんね。
踏切内に取り残される危険を感じたとき、非常ボタンを押したら
2015年9月11日
67歳の無職の男性が、自宅近くの東武東上線の踏切にある非常ボタンを、なんの異常もないのに押し、電車を停止させたとして、偽計業務妨害の被疑事実で逮捕されたと報道されていました。
一口に業務妨害罪といっても、『虚偽の風説の流布』『偽計』『威力』の3類型があり、偽計とは、被害者を騙して業務を妨害する型と言えます。 よく摘発されるのは『威力業務妨害罪』で、例えば物を投げつける、怒号する、暴れる等よく聞くと思います。
『虚偽の風説の流布』は、潰れるとか、粗悪品を売っている等虚偽の噂を流すこと等が考えられます。
これに対して『偽計』とは、聞きなれない言葉かもしれません。
この事件で言えば、見えないところでまんまと騙されたと考えると、ピッタリ当てはまるのです。有形力が見える威力との違い、ハッキリ嘘を言い回ったような虚偽の風説の流布との違いがわかるかと思います。 でも、被疑者とされたこの67歳の男性、バレないように、見えないように、『被害者』となる鉄道会社をまんまと騙ましたつもりはなかったのでは?と思われます。報道されたところでは、この男性、膝が悪く、思うように踏切を渡れない鬱憤を晴らすために、踏切内には異常がないのに、非常ボタンを押したとその動機を述べたと言われています。
でも、「チョット待って!」と言いたいです。
この男性、本当に、『鬱憤』なんて言葉を吐いたのでしょうか。膝の具合が悪くて、踏切を渡ることはかなりの不便不自由が予想されます。
確かに日常生活で、件の踏切を利用せざるを得ないならば、相当なストレスになっていたのではないでしょうか?もしかして、自分が、安心安全に踏切を通行するため、そんな『利己的な自己中心主義』の考えから、こんな『犯罪』に手を染めたのかもしれません。
東武東上線ではありませんが、ある私鉄会社の路線で、ある駅近くにある踏切は、本線とその駅から分かれる支線を纏めて通過していることから、しかも、線路内の道路が、幾分斜めになっていることから、歩行時間を要するお年寄りが、しばしば踏切内に取り残された状態で、遮断機が降りることが指摘されておりました。実際踏切を渡りきれず、電車に跳ねられて命を落とした方もおられます。
よく、『開かずの踏切』が指摘されますが、踏切内に取り残される危険性は、もっと大事だと思います。 鉄道会社は、可及的に踏切を無くし、高架線または地下化を進めてはいるのです。これは、単なる交通渋滞対策ではありません。高齢化社会を迎える日本ですが、国の予算の配分から、社会保障関係費の削減が叫ばれ、お年寄りは、在宅にて看護の方向が打ち出されています。老人のひとり暮らしは、これからどんどん増えるでしょう。事故が心配です。 この非常停止ボタンを押して、『偽計業務妨害罪』で逮捕された老人を評して、「最近の老人は、何をするかわからない」なんてTweetがありましたが、果たしてこの被疑者の男性、そんな大それた事件を起こしたとの自覚はあるのでしょうか。
何と無く報道の仕方と、一般の受け取り方は、なんか違うのではと感じた法律実務家のひとりごとであります。
ネット社会が決定づけた五輪エンブレム使用中止
2015年9月10日
東京オリンピックパラリンピック競技大会組織委員会が、渦中の大会エンブレムについて、これを使用中止にする方針を固めたと、一部メディアが報道しています。この件では、数日前、組織委員会は、このエンブレムの原案を示し、デザイナー佐野研二郎氏の盗用疑惑を否定したばかりでした。
東京五輪エンブレムは、『東京』『チーム』『トゥモロー』を表す『T』の字を基本に据え、赤い円が心臓の鼓動を伝えるデザインになっているとの説明でありました。ところが、これが発表された直後に、ベルギーの劇場のロゴに酷似しているとして、デザイナーオリビエドビ氏が、佐野氏らが、これの盗用疑惑を否定したことにより、差し止めを求める訴訟を提起しておりました。その後も、日本国内では、佐野氏のデザインは、あちらこちらに似た物があるとネット上の騒ぎとなり、ある企業の販売促進キャンペーンには、自分の事務所のスタッフが、デザインを写していたことを佐野氏自らが認め、さらに『似た物探し』が流行って、疑惑解消のため組織委員会が示した『原案』が、さらにそっくりなデザインがあったことが判明、ここに組織委員会も庇いきれないと判断したようです。
組織委員会が、使用中止に舵を切った決定的な事情は、佐野氏が、エンブレム盗用疑惑を否定する場などで使用したエンブレムのイメージ画像の活用例が、インターネット上に公開されている他人のサイトから無断転用したのではないかとの疑惑まで出てきたからだと推測されています。このイメージ画像は、羽田空港や渋谷駅等で、いずれも観光等で日本を訪れた外国人のサイトに出ていたとされるものでした。
デザインや美術には門外漢の私は、似ていると判断されるべきか、盗用かどうかはわかりかねます。でも、たまたま日本を訪れた観光客の写メを使ったのだとしたら、情けないですね。五輪エンブレムとは、日本を東京を、日本からおもてなしの気持ちで各国に案内するのものではないのですか。そして、盗用かどうかはともかく、ここまで五輪エンブレムの使用撤回をしなかった組織委員会の責任は大きいと言わざるを得ません。『原案』を発表したときの誇らしげな顔といったら……。
さらに気に入らないご発言があります。安倍晋三内閣総理大臣は、「組織委員会が、さまざまな状況を判断したと思う。国民から祝福される五輪でなければならない」と述べたと伝えられています。あの東京誘致の最終メッセージを贈ったのは、安倍晋三氏です。原発収拾を表明してまで。なんか他人事のように聞こえます。舛添要一東京都知事に至っては、「佐野氏に裏切られた気持ち」と述べたそうです。
佐野氏が盗用したと決まったのでしょうか。盗用であろうがなかろうが、国民から散々疑問が提起されているのに、組織委員会の森喜朗会長、遠藤利明五輪相、舛添要一東京都知事らは、これまでいったい何をしていたのでしょうか。結局誰も責任を取らない、「佐野氏に裏切られた」で終わりの模様です。ここまで引っ張ってきて、随分無駄な経費がかかったのではと思います。
東京オリンピックパラリンピック、大丈夫でしょうか。以前この『ひとりごと』で不安を申したように、『東京都民として3度泣く』は嫌ですよ。それこそ非国民!と言われるかもしれませんが、東京オリンピックパラリンピックを、そうまでして東京で、日本で行う必要性があるのでしょうか?アスリートは、何処で行われても努力を惜しまず、国民は、一生懸命応援するはずですから。
古い自民党=中選挙区制、今の自民党=小選挙区制に思うこと。
2015年9月9日
自民党が野党に転落したのは、細川護煕氏率いる日本新党ブームに湧いた1993年(平成5年)の衆議院議員総選挙でした。ただこのときは、『古い自民党』が支持を失い、内部から離反分離して、反自民の野党連合が出来たのであり、二大政党制による政権交代ではありませんでした。こうして成立した細川政権は、野党間の政策不一致は避けられず、これを承継した羽田孜氏の内閣が総辞職したため、再び自民党が政権に返り咲いたものでした。自民党に対抗する政党として『新進党』が出来ましたが、あっという間に消滅しております。
野党連立政権が瓦解して、『自社さ』政権が出来たこと、その後社会党がなくなったこと等、細川連立政権が齎した影響は大きいですが、私が当時から疑問に思っていて、今まさにとんでもないことをしてくれたと考える大きな制度改革がありました。それは、選挙制度の改革、すなわち、小選挙区制になったことであります。
『政治改革』を旗印にして政権に着いた細川内閣は、自民党をして金権腐敗政治と言い、その温床になっているのは、同じ政党の候補者同志が、同じ選挙区で闘うため、候補者は、派閥のボスにお金をもらって選挙戦に臨むことにあると言います。お金を貰って当選すれば、派閥のボスに頭が上がらず、ボスは、お金を集めて結束を高める、これが、中選挙区制の欠陥だと言うのです。
それは現実そうかもしれません。でも、悪いのは金権腐敗政治、あるいは金で縛りをかけるやり方なのであって、中選挙区制が悪いと言うのは話が逆だと思いました。アメリカ、イギリスのように、国民また民族間の闘いにより、民主主義を掴んだ歴史がない日本では、小選挙区制は、政策を選び、そして政党選択の選挙となると言う実感が伴わず、結果大政党のみ当選して、死票が積み重なる『危険』が大きいと思ったからです。
さて、小選挙区制の結果どうなったかは、もはや言うまでもありません。得票率過半数にも満たない政党が、絶対安定多数の議席を確保できるのですから。そして、小選挙区制は、この巨大与党内をも、劇的に変えてしまいました。すなわち、政党内に、ボスは必要無くなったのです。この政党の候補者にならなければ当選出来ない仕組みである以上、『この政党』の顔、これを牛耳っている人には、逆らえない仕組みです。
ひとりで仕事をし、ひとりで責任を負う立場の私も、派閥と言う言葉には、アレルギーはあります。でも、ボスが子分にいろいろ教えることは、悪いものではありません。かつて自民党には、安保外交には、タカ派とハト派があり、経済政策には、成長か財政か等それぞれ特徴がありました。大勲位中曽根康弘元首相も、党内には護憲派が居たからこそ、自民党は、バランスを保って国民から嫌われなかったと仰るのです。『三角大福中』、各人は、その後内閣総理大臣になりました。派閥の勉強会で、政策が提言されてもおりました。
さて、9月に行われる自民党総裁選は、安倍晋三候補の無投票当選が確定したようであります。ボスではなく、この政党の絶対的君臨者に異を唱えるなんて、党内で、冷や飯を食わせられるくらいならまだしも、国政選挙で公認されず、また、この政党にいられなくなるかもしれないと考えるのでしょう。今は、内閣の一員である有力対抗馬と目されていた閣僚は、「内閣を支えるのが自分の仕事」と上手いこと言って、総裁選の立候補をいたしません。
そんな中で、唯一かつて自民党の総務会長を歴任した女性議員が、このままでは、自民党は活性せず、国民から見放される?として、総裁選の立候補を模索していると報じられています。もっとも、総裁選立候補には、議員20名の推薦を要するので、そんな度胸のある方、『今の自民党』におられるのでしょうか。先の来日したドイツのメルケル首相をして、『ナチスドイツと日本を混同』なんて記事を掲載する大手マスコミに囲まれる自民党の先生方から、そんな度胸ある人出てこないでしょうね。でも、この女性議員、『女は度胸』を見せただけでも、ご立派だと思いました。
60年安保と安全保障関連法案に対する抗議運動は、同じではないです。
2015年9月8日
『大きな態度の安倍総理。おじいちゃんと同じ…。』なんて歌があることを知りました。
それまでは、『大きなノッポの古時計。おじいちゃんの時計…。』しか知りませんでしたが。安倍晋三内閣総理大臣のおじいちゃん、すなわち祖父は、岸信介元内閣総理大臣です。
こちらも、山口県ご出身です。ちなみに、内閣総理大臣の数は、山口県出身がいちばん多いことは、私が子どものころから言われておりました。もっとも、この中に、菅直人氏が含まれていることはあまり知られておりませんし、意外にも?日本共産党の野坂参三氏や宮本顕治氏も、岸信介氏らと同郷なのです。
安倍晋三氏がおじいちゃんと同じなのは、国の安全保障に関する法案を強行採決し、その後国会前で、国民の多くが安保法案に関する抗議活動を行っていることです。岸信介元内閣総理大臣は、いわゆるA級戦犯ですが、内閣総理大臣を務めました。この岸信介氏が首相のとき、『60年安保』が起きたのです。 1960年(昭和35年)1月、当時の自民党代表であり、内閣総理大臣であった岸信介氏は、アメリカ合衆国との間で、改定された新しい安保条約に調印しました。これがいわゆる新安保条約です。
そして、同年5月、自民党は、衆議院で、この条約を承認する強行採決をしました。憲法73条で、条約の締結は内閣の権限ですが、事前に国会の承認を受けなければならないからです。
ただし、憲法は、国会の承認は、やむを得ないときは、事後でも良いと規定されております。 新安保条約は、日本にある米軍基地が攻撃でもされた場合には、日本の自衛隊も『出動』する内容等が盛り込まれていたため、『戦争に巻き込まれる』として、国会周辺では、大規模な抗議運動が展開されたのです。このころは、国際的には東西冷戦、国内的には対米従順と『逆コース』への危惧があって、これが学生運動と合間って、激しいデモと抗議活動に発展したのでした。
そんな中で、国会に入り込んだデモ隊が、警察隊と衝突し、当時東京大学に在学中の女子学生が亡くなったのでした。結果、強行採決された新安保条約は、自然承認となりましたが、岸信介内閣は、総辞職したのでした。 新安保闘争の当時、国会を取り囲んだデモ隊は、警察署の発表では約13万人とのことでした。このときは、ヘルメットや棒を持った学生や、労働組合関係者等が中心であったことが、今回の安全保障関連法案に対して抗議するため集まった人たちと違うところです。でも、何と無く、『60年安保』と似て来た様相を示しております。
安倍晋三内閣総理大臣は、この法案が国会で審議される前に、アメリカ合衆国に赴いて、アメリカ合衆国国民に対して、「夏までに法律とする」と約束して来ました。そして、衆議院では強行採決されました。その後も、国会前での抗議運動、反対活動は大きくなり、遂に8月最後の日曜日には、主催者側の発表では、デモ参加者は12万人にもおよび、反対のうねりは、全国100箇所以上にも波及したそうです。
さて、政府与党は、国民の反対なんて何とも思っていないようで、9月に行われる自民党総裁選は、無投票当選にて、安倍晋三氏が、再選される模様です。安倍晋三内閣総理大臣は、かつて新安保条約を結び、国会前のデモ活動に見舞われて退陣した『おじいちゃんと同じ』には、ならないようであります。この方、おじいちゃんを超えましたね。