トランプ大統領に対し、日本政府は、アメリカがTPPを離脱しないよう説得するらしいです。

2016年11月14日
テーマ 
衆議院で、環太平洋パートナーシップ協定、いわゆるTPP発効に向けた承認決議が、与党と維新の党の賛成で可決されました。維新の党は、民進党が決議の前に退席したことを非難していますが、そのことは取り上げません。折しもアメリカ合衆国の次期大統領にドナルドトランプ氏が就任することが決まったばかりです。貿易保護主義者のトランプ氏は、当選が決まった直後に、TPPには絶対反対、離脱を表明しました。私は、これまで聞知するトランプ氏の主張、言動を支持するものではありません。しかし、日本がTPPを急ぐことは賛成できません。トランプ氏の主張からも、論拠を拾ってみたいと思います。

第二次世界大戦後の世界の経済は、自由貿易を主導したアメリカ中心に動きました。自由貿易は、関税の撤廃・削減により輸出が拡大する、輸出産業の拡大は国内の雇用を促進し、景気を好転させる、輸入国の消費者は家電や農作物まで安く買える、経済のグローバル化は、世界規模での成長戦略でもあります。日本の高度経済成長も、その潮流に乗った側面はあるのです。

今年の9月、主要20か国・地域(G20)首脳会議は、保護主義に批判的な共同声明を出しました。これは、これまで自由貿易で利益を得ていたアメリカを牽制する狙いもあったと思います。オバマ大統領は、TPPにより、アジア太平洋地域への輸出を拡大することが、アメリカの成長に繋がるとの考えですが、アメリカ共和党は、基本的にTPPには反対であり、議会の関係、オバマ政権がいわゆるレームダック状態にあって、これまで儲けていた?アメリカが逃げるのではの観測はありました。ヒラリークリントン氏も、TPPには、慎重な姿勢を見せていました。そしてトランプ氏は……。

しかしTPPは、まさに成長戦略のひとつ、経済のグローバル化を進めるものであります。そこには、国民の年齢・産業構造等に合致するものなのか、よく見極める必要があります。自由化が進んで、『安かろう悪かろう』が蔓延し、競争力に押し潰された国内の産業は廃れるでしょう。そもそも資源に乏しく、国の自給率が低い場合には、国内の市場が荒らされた後、もうこの国・地域には用はないとして、自由競争の相手にされなくなるると、草刈り場にされて廃れていくだけです。その国内には、行き場を失った老人だらけとなる様子が見えます。

アメリカ大統領選挙戦では、特に初期のころ、トランプ氏の過激な発言が話題の中心でした。あれはもしかすると、注目を浴びるための戦術だったのではの見方もありました。やがてどのような人たちが、トランプ氏を支持するのかに関心が移り、なんとなくわかってきたことがあります。移民に仕事を取られた云々がよく聞かれました。アメリカの歴史を振り返れば、様々な人種民族により構成されることで、アメリカがアメリカたる所以がある、合衆国として巨大な力を持ち続けたことが認められます。これは移民の問題ではなく、経済のグローバル化が齎した負の遺産、日本的に言えば、格差問題と言うべきです。

トランプ氏は、鉄鋼業が廃れたアメリカ中西部等で多くの支持を受けました。トランプ氏は、アメリカ経済は日本と中国にやられっ放し、日本からの輸出がアメリカの製造業を弱らせたなんて言っています。同じことは、TPPにより日本にも齎されます。多国籍企業が関税撤廃等により国内になだれ込み、各規制を取っ払って利益追求する仕組みがTPPであり、まさに経済主権を売り渡すようなものだと私は思っています。トランプ氏が指摘する職を失った人たちは、実は経済のグローバル化に飲み込まれ、取り残された人々であります。これらは、移民のために仕事を失ったのではなく、最低限度の生活を保証されることなく、過度な自由経済により追い出されたと見るべきです。これを移民のせいだとして支持を取り付けるのは、ナチスのユダヤ人排撃と似ています。確かにトランプ氏は、排外主義者のようです。でも、それは選挙戦術であって、本当は、新自由主義の行き過ぎに、警鐘を鳴らしたと見れないでしょうか。

新自由主義の進むところは格差社会です。福祉国家の概念と相いれません。それは小泉改革以来、日本の医療・福祉・教育、特にこれに要する予算がどうなったかを見ればわかります。徹底した経済の自由化で喜んでいるのは金持ちです。ア◯ノミクスは、デフレ脱却政策として、『3本の矢』があると言われます。金融緩和や公共投資は、政権がやれ!と言えば日銀は逆らえませんから簡単なことで、誰でも出来ます。実際円安と株価が上がりました。それは投資家の期待値があるからです。しかし、円安の間に第3の矢を放たなければ、金持ちや大企業だって持ちません。いつも言うように、少子高齢化社会に『成長戦略』は合わないのです。

トランプ氏の思惑と私たちのTPP反対は、根は同じではないようです。ただトランプ氏が挙げた経済格差を継続する政治を行うべきかはとても大切な視点です。安倍晋三内閣総理大臣は、TPPを成長戦略の切り札と使いたいのでしょう。企業がいちばん活躍できる国つくりをすると言っており、国内の大企業が空前の利益を得た、つまり格差は広がった上に、今度は多国籍企業が活躍する場として、日本を提供するのですから。

しかし、トランプ氏は、強いアメリカ、昔のアメリカにしようと考えています。それは安倍晋三氏の新自由主義とは違い、極端な保護主義、そして排外思想です。トランプ大統領となれば、日本との貿易を閉ざす方向に進むので、円高になるでしょう。TPPが発効した場合、輸出を主力とする企業は儲かるかもしれませんが、海外から入った企業的農業により、戦後日本が世界に誇った家庭農業は維持困難になって、国内では食料自給率が下がるでしょ。

また、食品安全基準は緩和されますから、食の安全は疎かになります。健康保険制度が異なる海外の製薬大企業の登場により、安価なジェネリックの普及は遅れ、医療の現場にも影響がでます。そんな危機にあったところ、思わぬところから『救世主』が出てきたもんです。もちろんトランプ氏は、私が挙げたところを問題視してTPP反対を言うのではありません。結果オーライです。

トランプ氏を支持したとされる人たちは、リベラルとされたアメリカ民主党政権こそ、彼らの生活を苦しくさせた元凶と考えたのかもしれません。その象徴が、ヒラリークリントンです。新自由主義により生じた格差の是正こそ、政治家がやるべきことであり、国を閉ざす、他国他民族を排除するのは違うのですが。ともあれトランプ大統領が登場することになり、オバマ大統領は、任期中のTPP発効に向けた承認手続きを行うことは断念したと報道されています。

アメリカ、日本のいずれかでも調印しなければ、TPPは発効しません。アメリカが承認する見込みがらないことが明らかとなった現時点で、なんで日本の国会は、承認決議を急ぐんでしょう。強行採決で世界に恥を晒したのみならず、発効見込みがない協定のために国会を開いて決議するなんて、間抜けそのものですね。でも仕方ないですね。与党議員は、総裁の言うことは聞かなければなりませんから。そのご機嫌をとることが生きる道であると『一強』の中から学んだ処世術ですから。

 

福岡市博多駅前通り道路陥没事故とその復旧に向けた動向から福本悟のひとりごとです。

2016年11月11日
テーマ 

11月8日早朝、福岡市博多区の博多駅前二丁目の道路が突然陥没しました。ここは、通称博多駅前通りと言い、JR博多駅から、祇園町キャナルシティ博多方面に真っ直ぐ伸びている計5車線の道で、周囲は多くのビルに囲まれます。

 

会社事業所、ホテル、各種店舗が並び、日中は、相当な人通りがある地域です。そこが当初深さ約15m、幅約20m、長さ約10mの大穴ができたのですから驚きです。 午前5時15分ころに最初に二ヶ所陥没し、徐々に崩落範囲が広がって、午前7時30分ころには、二ヶ所の穴が一つに繋がり、さらに土砂等が崩れて、水分を含んだ大穴となったのでした。この映像を見た人たちの中には、これが別の国のことかと思ったなんて驚きを表現していました。

 

早朝の時間帯とは言え、この事故に巻き込まれた死傷者がいないことは奇跡に近いことだと、初期の安全管理に賞賛の声が出てもいました。この場所では、福岡市営地下鉄七隈線の伸長工事が行われていて、工事関係者から、地下水の漏出等で危険な状態にあることがわかってすぐに警察に通報するとともに、現場周辺を工事関係者が自主的に立ち入り禁止の措置にしていたそうです。その5分後に、陥没が起きたとのことであります。 まず人的な被害がなかったことは、危機管理が徹底されていたわけで、日頃の訓練等の成果でしょう。

 

この事故が発生した直後に、高島宗一郎福岡市長は、直ぐFacebook?tweet?で市民に知らせ、その後も随時現場の状態を発信されました。

 

熊本地震のときも、発生直後から市民に情報を発信し、また、被災者救援活動の状況も知らせたそうです。そして本件陥没事故については、直ぐに福岡市長として、福岡市に責任があることを認めて、謝罪されたのです。それから先は、素早く復旧工事に取り組み、その仕方や完成時期等についても、各部署の専門チームからの報告を交えて、市民に知らせております。 コレって、築地市場豊洲移転問題を発生させた東京都とは、かなり違う対応と進行です。新知事になって、ひとまず豊洲移転は延期され、地下水土壌問題など改めて検討検証しているようですが、結局数名の東京都の幹部を処分しただけで、誰が、いつ、何のためにこんなことしたのか、今後この市場はどうなるのか、いつ解決するのか、どんな市場になるのかなど、全く先が予想できない有様です。

 

新知事の人気取りの一時的パフォーマンスで終わらないよう願いたいものです。さて福岡市、補償問題はこれからですが、まず謝罪し、市民の安全確保と不便解消を最優先とし、復旧に向けた経過を、その都度市民に報告するのは、市民から信頼を得られるでしょう。 高島宗一郎市長、九州朝日放送のアナウンサー時代から、『高島くん』と慕われていて、良し悪しは別として、高島式政策を次々に出してきます。このような事故が起こると、復旧作業や補償問題が出る都度、市民の税金が……を言い訳にして、なかなか動こうとしない自治体が多い中、現場に飛び込んで、『オール福岡』を求める姿勢は、概ね好感を持たれるでしょう。

 

陥没現場では、土の上に水が溢れていたわけですが、セメントを含んだ土砂を注入する作業を行って、1日半が経過したころには、ほぼ埋め込みが完了、ライフラインの復旧作業が可能な高さまで埋め戻し、土日を挟んでほぼライフラインは復旧するとのことです。さらに道路も週明けには完全通行が可能になり、10日時点での避難勧告対象建物は、3軒になったと報じられています。この『ひとりごと』がアップされるころには、『全面復旧』となっているでしょう。 『オール福岡』の呼びかけがありました。今回は、急ぎ特殊なコンクリート注入を行う必要もあって、ミキサー車等建設、特にセメント業者の手配協力は不可欠でした。ある業者曰く、他の仕事は断って、こっちに駆けつけたと。

 

もちろん業者にとっては、お客様はすべて大切なはずです。今回は、工事を発注した客側も、この博多駅前通り大陥没からの復旧を最優先することを認めるまさにオール福岡なのでしょう。高島市長の後見人とされる県内のセメント業界のドン?はおられます。こちらの影響があったのかどうか知りませんが、これも政治力としておきましょう。そして10日夜、博多駅前に、冬の風物詩イルミネーションが点灯して、『光の街・博多』が始まりました。

 

『雨ニモマケズ、陥没事故ニモマケズ、博多は元気に輝いています!』とのこと。明るくなると良いですね。東京からとても気になりつつも、福岡博多がひとつになって復旧していく姿を遠くから見て、素晴らしいとら思いました。

『ラニーニャ現象』による今年の冬の大雪を予感させる一足早い北海道の積雪量です。

2016年11月9日
テーマ 
11月7日は、二十四節気のひとつ『立冬』です。暦の上では今日から冬となり、本州各地では、今年一番の冷え込みとなったと報じられています。また、北海道では、軒並み氷点下、このところの寒さはちょっと驚かされます。以前この『ひとりごと』でも書きましたが、猛暑が続いたこの夏に、2016年の晩秋から2017年にかけては、『ラニーニャ現象』により寒さが厳しく、日本海側では大雪となると予報されていました。どうやらそのとおりの冬となる気配です。

私の記憶、経験だと、札幌市内の初雪は、例年11月中旬あたりで、当然すぐに溶けて根雪にはなりません。ある年は、ちょうど札幌市にいた11月18日が、その年の市内『初雪』と言われたことがありました。ところが11月の声を聞いた途端?北海道内は、かなりの降雪となり、ふだん雪が多くないと言われる十勝地方でも、相当の積雪となりました。

そして札幌市も、予想外の降雪となったようであります。特に最初の日曜日となった6日は、冬型の気圧配置が強まった影響で、札幌市中央区でも、朝から降雪となり、午前中で積雪量20cm超となったそうです。札幌管区気象台によると、観測が始まった1953年以降、11月初旬としては、最高の降雪量となったと発表されています。

この時ならぬ大雪?で、札幌市電の軌道を除雪する『ササラ電車』が初出動しました。これは札幌市の冬の風物詩とされますが、昨年より18日早い出勤だそうです。夜には40cm超えとなった地域もあるようで、千歳市の隣、恵庭市でも25cmの積雪量のようでした。北海道への出張族の気がかりは、交通機関への影響です。

滅多に積雪がない東京では、ベタついた湿った雪ですが、北海道は、サラサラの粉雪です。しかし、雪のシーズンの初期と終期は、水分を多く含んだ雪となりますので、除雪に難儀するようです。実は道内の交通機関の乱れは、これが大きいと聞いたことがあります。

この時期の降雪量が、恵庭市で25cmと聞けば、当然気になるのは、新千歳空港の様子です。新千歳空港は、千歳市と太平洋に面する苫小牧市にまたがっていて、道内では比較的積雪量の少ない場所に位置しています。国内最大の除雪設備を擁しているものの、冬季に数回、滑走路を閉鎖せざるを得ない事態が起きて、降雪による欠航は発生します。特に雪質が湿っている12月と2月後半から3月初旬が、欠航率が高くなる傾向があり、私も2月下旬の出張の際、着陸不能による行き先変更へ、除雪の作業による大幅な遅延に、何回か当たったことがあります。

しかしまだ11月上旬です。これは、関係者の予想されなかったことだと思われます。この日新千歳空港は、約50便が欠航となったと報道されていました。日曜日の上り便で影響を受けたのは、出張族だけではないでしょう。

降雪の時期は、道路に積もった雪を、路外に除雪する関係で、車線が狭まります。また、スリップを避けるため、車は、スピードを上げません。それでバスは自然と遅くなりますが、鉄道とて同じなのです。線路の上に雪が積もって、しかも水分が多い雪だと凍結して、車輪の動きを鈍くします。スリップや脱線の危険があります。新千歳空港駅と札幌駅を結ぶ『快速エアポート』は、この間36分ですが、積雪が多いときは、40分から1時間近くかかって、安全運行に努めているのです。JR北海道の線路の脇には、寒さの中、よく作業服を着た人が立っておられます。安全のためであります。今からこんな状態では、自治体の除雪費の計上も、気になります。そろそろ冬の準備にとりかかろうかの話題の矢先の季節外れの大雪だったと言われます。

この日、道内の鉄道も、遅れや運休が発生したそうです。また、札幌市電の狸小路とすすきの間で、街路樹の枝が、雪の重みで架線につきそうになったことから、その除去作業のために、外回り電車にダイヤ乱れが起きたそうです。昨年の今ころ、この『ひとりごと』で、なぜ札幌市の市電はいびつなかたちをしているのかお話したと思います。もともと市内あちらこちらに網羅されていた市電の線路が、自動車が増えて順次無くなり、最後に残ったのが現存1路線なのですが、これが昨年12月より『ループ化』すると言うニュースです。

すなわち、『西四丁目』と『すすきの』間に軌道を敷くことで、市電は、東京の山手線のようにつながるのです。と言うよりも、かつての路線が、『復活』するのでした。


今回11月の降雪により、枝が垂れ下がった街路樹とは、昨年12月に開通した区間にあります。そういう意味では、11月の雪は、初めての経験だったわけです。この市電ループ化により、昨年日本三大夜景の第2位にランクインした藻岩山への行き来も、市内どこからでも可能となり、利用者数は増えているそうです。


ササラ電車に藻岩山夜景。凍てつく北の大都会の冬の彩りかと思いますが、それは雪の苦労を知らず、年に数回たった1cmの積雪でも、右往左往する首都圏の人間の勝手な思い込みなのかもしれません。北の大都会に訪れた例年より早い白い風景を想像して、この冬も出張予定の今の札幌市を想像してみました。急激な温度の変化にも注意してください。

 

冗談言ったらクビになりそうになったと言う人あれば、冗談言われて、審議決議を知らなかった人あり。

2016年11月8日
テーマ 
本当に酷いもんです。環太平洋パートナーシップ協定、いわゆるTPP承認、関連法案は、11月4日TPP特別委員会で、強行採決されました。安倍晋三内閣総理大臣は、自民党総裁でもありますが、こんなことを言っていました。『我が党は、結党以来強行採決しようと考えたことは一度もない』。本当にそう思っているらしいので、この点についてはもう論及いたしません。おそらく総裁の真意を誤解した?部下たちが、提灯待ちに徹した結果なのでしょう。

私はTPP参加に反対ですが、そのことは置いておきます。今に始まったことではないでしょうが、この国の議会制民主主義ってなんだろうと思うのです。この国会で、ここに至るまでの事実経過を復習してみましょう。発端は、山本有二農林大臣のこんな発言からでした。『TPPを強行採決するかどうかは、佐藤勉自民党衆議院議院運営委員会が決める』であります。佐藤議員のパーティ?に招かれた山本大臣の『祝辞?』です。

法案を提出し、条約を批准する職務を有する内閣は、国会の決議、承認を要します。議院内閣制のもと、内閣は、国民の代表、国権の最高機関である国会に対して責任を負っています。それが内閣の一員、しかも担当大臣が、国会では強行採決が行われる、それを自党の委員長に期待しているかに述べるのですから、資質以前の問題です。さすがに安倍晋三内閣総理大臣の意を汲んだ菅義偉内閣官房長官から、『注意』を受けました。

この発言の影響を回避したい与党は、野党側からの辞任要求を突っぱねます。安倍晋三内閣総理大臣によれば、アメリカに先立ち、国内をTPP参加でまとめることが重要だからです。任期満了前のオバマ大統領が、これに賛成する可能性は低い上に、クリントン・トランプ両氏も、反対を表明しています。なんとかアメリカに影響をとお考えなのです。ここでは、やっても無駄かどうかは論じません。

さて、地球温暖化対策の新たな枠組みとなる『パリ協定』は、11月4日発効しました。温暖化を引き起こす化石燃料から脱却し、脱炭素社会を目指す国際的試みですが、今世紀後半には、世界の温室効果ガスを実質0にし、産業革命前からの気温上昇を2%に抑える目的です。これは先進国、途上国を含めた190か国以上が参加する大きな取り組みとされます。しかし、日本は、アメリカ等の動向を見誤り、また、例のTPP国会の混乱から、国会の承認手続きをとることなく、これが発効してしまったのです。これでは京都議定書以来の日本、地球温暖化対策に熱心ではないーー要するに、自国のことのみ夢中だーーと捉えられても仕方ない失態です。

それでも大島理森衆議院議長らは、パリ協定の発効日である11月4日に、国会本会議場で、この条約の承認決議を行う予定でした。これには、山本大臣から名指しされたからなのか、佐藤議院運営委員会委員長も同意したとされます。私からすると、どーせ何日になろうとも、強行採決になるのは明らかではありますが。
とは言え、そんな経過で進んでいた先週、またしても山本大臣が、発言しました。『冗談言ったら、大臣をクビになりそうになった』と。

これは相当低レベルの発言ですね。冗談で仕事しているんでかね。国会の審議・決議をなんと心得ているのでしょう。当然大臣の資質なし、野党側は、こんな大臣の主管するTPPは審議するに値せず、即刻辞任を求めて特別委員会開催を反対していたのです。

それで大島議長らの取りなしで、来週7日以降の決議日程がほぼ決まって、金曜日4日は、パリ協定の承認決議かと思いきや、自民党の特別委員会委員らは、特別委員会を開催して、ほとんど審議なきまま、『強行採決』したのでした。これには、当の佐藤議院運営委員会も相当お怒りでした。だって委員長が知らないところで委員会が開催され、かつて山本大臣が冗談?で言った佐藤氏が決めるではなく、佐藤氏を除外して、採決したのですから。この特別委員会は、佐藤氏や大島氏に連絡していない事実を認めました。これでパリ協定は、如何にしても発効前の国会承認は、不能と着したのです。

強行採決と言う世界に恥を晒したのみならず、外交上の失態に加えて、パリ協定発効日ギリギリでの国会承認さえできず、重ねて世界に恥を晒しました。野党民進党は、佐藤氏がTPP採決を知らなかったことについて、関東軍の暴走を政府が抑えられなかった例にたとえ、現場の暴走と強く非難し、佐藤氏も、不手際を陳謝したそうです。

なんでこんなことになるのか。数の奢りと言えばそれまでです。私は、一強時代が続いて、与党議員に、なんとか総裁のお気に召していただくために躍起になっている空気が蔓延しているからだと思います。本当に提灯持ちですね。アメリカ大統領選挙前に、日本がアメリカに先んじて、国会で承認されたとの結果を残したい総裁の意図に沿うことが全てなのです。

結論は決まっていて、審議は必要ないのです。

本当に情けない連中です。結論が決まっているのですから、数で勝るのですから、確かに結論は変わりません。強行採決すれば、全部与党の思惑通り進みます。ただし、今回のパリ協定とTPP承認の件、これは与党の思惑と言うよりも、総裁にオベンチャラを使うことが、この国の政治の根幹、いかに安倍晋三氏のご機嫌をとるかに、この国の政治は決めれることがハッキリしたと言うこと事実が明らかになったことを、国民は認識する必要があります。安倍晋三氏、きっと世界に名を残す宰相となるでしょう。

火中の栗を拾った方々に対する感謝の気持ちを持ち続けたいと思ったサッカーJリーグアビスパ福岡の2016年でした。

2016年11月7日
テーマ 
2016年サッカーJリーグJ1の最終戦が、11月3日文化の日に催行されました。今年J1に所属するアビスパ福岡は、既にJ2への降格と、年間最下位が決定していました。J2に所属していた昨年の今ごろは、全く負ける気がしないと言うか、ワクワクする試合を続けていて、随分観戦に行ったものです。きさらぎ法律事務所は、『アビスパ福岡後援会』に登録されているので、本年最終戦に参戦いたしました。

ホームレベルファイブスタジアムでは、アビスパ福岡後援会、『ソシオ』のテントを訪問しました。今年いたただいた招待券を使い切らなかったお詫びを言い、来年もお願いしてまいりました。降格が決まってからも、ホームゲームは毎回10.000人以上の観客が訪れるとのこと、やはりJ1へ所属した効果でしゎうか。
この日の相手は、柏レイソルです。昨年1年間アビスパにレンタルされて、この時期神懸かり的にゴールマウスを守護した中村航輔選手が登場しました。あれから1年、不思議な縁です。中村航輔選手、柏レイソルの中心選手に成長し、世代別代表でも、素晴らしいパフォーマンスを見せています。この日は、チョット暇そうでした。
IMG_1607 IMG_1610

そうなのです。アビスパ福岡と柏レイソルとの力の差は歴然としていて、中村選手が守る柏レイソルのゴールの枠内目掛けて飛んだシュートは、0本でした。対して柏レイソル、そんな凄さはないのかもしれませんが、終わってみれば4点を取り、ホーム最終戦は、0対4でアビスパは敗れました。今年は、34試合闘って4勝しかしていないのですから、残念ながら、負けはもう驚かなくなりました。

試合終了後のセレモニーで、井原正巳監督は、ひとえに自分1人の責任を強調しておられました。周囲からは、『1年でJ1復帰』とか希望的観測のもと、勝手な発言が出る中、井原正巳監督からは、遂に『来年』に向けての言葉はありませんでした。確かに勝負の世界、誰かが責任を問われる、最高責任者は監督であるのは、組織としてのルールではあります。

でも、敗軍の将兵を語らずではありませんが、ホントに監督だけの責任なのでしょうか。この日久しぶりにアビスパの試合を見て、なんか覇気がない、チーム一体感がない、何をしたいのかはっきり見えないもどかしさを感じました。これは昨年感じなかったことです。どうしてこうなったのでしょう。

チームも会社関係者も、サポーターも、また、サッカー関係者も、就任1年目で、昇格プレーオフを勝ち抜いてJ1に復帰させた井原正巳監督の手腕任せきり、井原さんがやっている限り大丈夫たと思い込んでいたのではないでしょうか。これは監督にとつては、相当な重しになります。アビスパ福岡の会社としても、川森社長になって、百数社だったスポンサーの数が、1.500社になりました。地道に、『謙のみそれをなす』の姿勢で、スポンサーを集めた社長以下会社関係者の努力には頭が下がります。でも、どこか、だからこそ安心もしくはこんなはずじゃないの焦りはなかったでしょうか。

最終戦が行われた日、1人の元アビスパ戦士が引退を発表しました。ジュビロ磐田からアビスパ福岡に期限付き移籍していた岡田隆選手です。2012年のシーズンに、J1へ降格したアビスパ福岡に期限付き移籍されました。その年ボロボロになったアビスパ。でも、岡田選手は、自ら志願して磐田にも戻らなかったと言われます。
そして2013年シーズンは、アビスパに籍がない状態で、チームキャプテンを引き受けられました。その年でしたか、アビスパ福岡が連続債務超過で、ライセンス剥奪の危機に陥ったとき、チームの存続のため、率先して諸々の活動をされました。こうしてアビスパ福岡がJリーグに残ることを見届けた岡田隆選手、翌年J2に降格した古巣のジュビロ磐田に、戻られたのでした。

岡田選手は、とにかく走っていた印象です。怪我で十分な動きができないときでも、ボールに食らいついていました。試合後は、サポーターに歩み寄り、いつも感謝の言葉を述べておられました。その岡田隆選手、名門ジュビロ磐田が、1年でJ1へ戻れなかったことからか、翌年2015年のシーズンは、ジュビロ磐田のキャプテンとなりました。
しかし、怪我に悩まされ、その後公式戦に出場する機会がないまま、今年2016年のシーズンで、引退を発表されたのです。まだ32歳です。

岡田隆選手は、ある意味苦労を買った、火中の栗を拾った人でした。ご自身は、そのためボロボロになっても、チームのため、サッカー界のため、そして未来の子どもたちのために、ただ走ってきた方なのではないでしょうか。アビスパ福岡ライセンス剥奪の危機、あのとき岡田隆さんがおられなかったら、今のアビスパ福岡はありませんでした。また、ジュビロ磐田に復帰し、試合に出られないキャプテンとして、選手チームを鼓舞することがなければ、果たしてジュビロ磐田は、J1へ復帰できたでしょうか。

その岡田隆選手、引退を表明された折、アビスパ福岡にも、言葉を寄せられました。アビスパ福岡でプレーできたこと、キャプテンとして支えてもらったこと等を仰って、アビスパ福岡に対しても、感謝を述べておられるのです。昨年のシーズン、ジュビロ磐田とアビスパ福岡が、最後まで相譲らず、ともにJ1昇格を果たしたことを、本当に喜んでいただきました。

井原正巳監督も、かつてジュビロ磐田に所属しました。長年名将ネルシーニョ監督のもとで、ヘッドコーチを務められた柏レイソルを退団して、中村航輔選手と言う素晴らしい若手選手を連れて、アビスパ福岡の監督になられました。おそらく周囲からは、なんでアビスパ?って意見されたのではないでしょうか。井原監督は、巡り合わせ、縁であったと言われますが。火中の栗を拾うどころではなかったと想像します。そして2年目の今年、アビスパ福岡は、全くJ1では歯が立たず、惨憺たる結果となりました。シーズン終了の挨拶では、来季に向けた餞け?の言葉はありませんでした。井原正巳氏、おそらく退団する決意なのだと思われます。アビスパ福岡の川森社長は『続投』をお願いしたと明かしましたが。

井原正巳監督に対しては、感謝しかありません。だからこそ、私たちは、もう恩返しすべきでしょう。日本サッカー界にとっては、とても大切な方です。いつまでもアビスパに引き込み、ボロボロになることは、アビスパ福岡を愛する者として、見ることはできません。ご本人が、思うところあって、ゼロからスタートされるとのお気持ちを持たれたならともかく、素晴らしい夢を見させていただけだことでもう、井原正巳監督、『解放』して差し上げることではダメでしょうか。

岡田隆選手と言い、井原正巳監督と言い、私たちアビスパ福岡を愛する者は、永遠にそのご恩を忘れません。そんな思いに至った2016年サッカーJリーグ最終日の福岡でした。頑張れアビスパ福岡!