九州のある市が、人口減少、市外への流出を防ぐ方法として、年間5000万円の予算を組んで、
市内に唯一存在する公立高等学校を支援する施策を始めたと報じられました。
具体的には、この高校に在学して、世間で言うところの有名大学に合格した生徒には、
現金50万円とか、30万円を贈呈すると言うものです。
マスコミのインタビューに応じた市長によると、この高校は、三年生が100人少々、
二年生が80人くらい、一年生は70人と年々生徒が減り続けており、教員も削減されて、
教育の質の低下も懸念されると言う現実から、なんとか子どもが市内に残るよう、
高校の進学実績を上げて、魅力ある公立高等学校、魅力あるまちづくりを目指すのそうです。
そのため、この高校に在学して東京大学などの『有名大学』に合格した生徒には、
市からお金を渡してお祝いする(その偉業を讃える?)のだそうです。これを見た子どもたちが、
挙って?市外ではなく、市内のこの高等学校に進学するだろうと、目論んだものと思われます。
これが報じられた途端、あちらこちらで論議が起きています。
おぎママこと、教育評論家の尾木直樹氏は、早速?反対の狼煙を挙げました。
昔子どもたちは、お母さんから、「100円あげるから勉強しなさい」と言われて、
100円欲しさに、その目的のためだけに、とりあえずお母さん言いつけを守った。
でも、100円なんか要らない子どもは、勉強しないのだ。これは教育ではないと言われました。
また、過疎化対策、地域活性化のためには、市長や行政やることはあるだろう。
教育界ではなく、行政指導であることに、違和感を持つ評論家もおられました。
私も、何かすることの恩典やこれの引き換えに、お金を出すやり方ば、感覚的に「違うだろう」と思います。
東京大学は、50万円.どこどこの大学は30万円、あの大学に合格してもゼロと言うのは‥‥‥。
近頃、『東大からの人、東大までの人』なんて言葉が飛び交っておりますね。
東京大学出身の方にしてみれば、私なんかが、この議論しようものなら、負け惜しみに聞こえるのでしょう。
何を目的にするかは人それぞれ、尾木直樹氏の言うとおりだと思います。
ところで、私が所属する弁護士会では、十年くらい前に、
『公的業務』として、会員は、国選弁護、法律援助事件等を担当し、委員会活動等の会務のひとつはしなければならないと決まりました。
そして、万が一にも1年間で、これら公的業務を1件も行わなかった会員は、5万円もペナルティーとして会に対して支払うという内容であります。
私個人としては、賛成しかねる決定でした。
法律援助事業に協力すること等、例示された業務に携わることは、弁護士として当然のことであり、
なんでお金が絡むのでしょう。尾木直樹氏の話ではあらませんが、5万円なんてなんでもないと考える弁護士は、
公的業務をしないことになるのかもしれません。
実は、弁護士の業界も、『格差』が発生しているのです。
国選弁護なんて、なかなか順番が回って来ないため、毎日早い時刻から事件の配点話、受けたくて、弁護士が並ぶ例です。
もう歳であり、バイタリティのカケラもない私は、並ぶ気力もありません。
なんとか5万円の『罰金』の支払いを免れるベく、『公的業務』探しに奔走するものであります。