高倉健さんに続いて、菅原文太さんが逝去されました。巨星相次いで落ちる感があります。
ご両名の作品はあまたありますが、なぜか私は、北海道のイメージが強いのです。
高倉健さんは、『幸福の黄色いハンカチ』であります。夕張まで行った折に、見事に繋がった黄色いハンカチを見ました。網走市にも行きましたが、『網走番外地』は経験しておりません。
菅原文太さんが、「なんで北海道?」という向きもあろうかと思います。実は、『北の国から92巣立ち』のイメージが強烈だったからです。
北の国からは、私が大学を卒業した翌年昭和56年にフジテレビで放映されたドラマで、予定した24回が終了した後も、平成14年まで何回か特番がもたれた名作です。その中で、菅原文太さんは、主人公黒板五郎(田中邦衛さん)の子黒板純(吉岡秀隆さん)の交際相手の叔父役で出演されました。
五郎さんが、純の不始末を詫びるため、富良野からかぼちゃをたくさん持って上京した折、『誠意って何かね』と答えたシーンがなんともーーある意味、菅原文太さんらしくなくてーー素晴らしい。
富良野地方では、かぼちゃを模したものが『男の誠意』の名で土産物になっておりましたが、果たして誠意とは何なのでしょう?因みに、ドラマでは、後日五郎さんが送ってきた現金100万円は、純を介して五郎さんに、戻されました。
私たち法律家の世界では、男女関係の調停などで、しばしば誠意を見せろとか、誠意がないとかの言葉が出されます。または、「謝れ!」と言われることも多いですね。
苦しんだ人の心をわかるように、しっかり話を聞いて差し上げること、葛藤を取り除いて、ガス抜きして差し上げること、気持ちを落ち着かせて、『その次』に進むことができるようにサポートすること、法律相談にいらっしゃた方には、こんなお話をします。
でも、この世界では、お金を支払ったことが謝罪であり、いくばくかの誠意なのだと言ってしまうこともまた事実であります。形としては、これで示すしかないとも言えましょう。でも、お金で解決できるケースはまだ救われると思うことも事実です。
こんな日常を送っており、この歳になっても全てを包含するようなズバリの解決策は、見出せない無力感に苛まれることがございます。
そんなとき、いつも菅原文太さんのセリフ「誠意って何かね」が思い出されるのです。
高倉健さん菅原文太さんのご冥福をお祈りいたします。