民主党の野田佳彦元内閣総理大臣は、怒っているそうです。
2年前全国民注視なの中で、こんなやりとりがありました。
野田佳彦元内閣総理大臣 「国民に消費税率を上げるご負担をお願いする以上、国会議員も身を切る努力をしなければなりません。議員定数削減、直ぐにやりましょう。◯◯党総裁として、この場で国民に約束されるなら、私は衆議院を解散します。」
◯◯党総裁 「するんですね。選挙するんですね。」
現在弁護士グループが、衆議院議員総選挙の差止の裁判を起こしています。これは、一票の格差を問題にするものです。この2年前、繰り返し裁判所から、格差是正をしない現行選挙制度の憲法違反を指摘されながら国会はこれを是正しないので、このまでは法の下の平等に反する選挙が行われるから事前に権利侵害を差し止める趣旨であります。すなわち、議員定数削減は、先の選挙で約束されたから、司法の場に持ち込むまでもないのでしょう。
ところで、一票の格差や定数削減より重要な論点があると思います。
それは、日本では、あるときから小選挙区制が用いられたからです。
これは、選挙区内ではたったひとりしか当選せず、あとは全部死票になってしまうからです。2年前の衆議院議員総選挙では、過半数どころか30%台の得票率であるのに、巨大与党が誕生しました。すなわち、小選挙区制のもとで選挙戦は、いわゆる『一騎討ち』なのです。
『一騎討ち』は、戦国時代永禄4年の川中島の合戦で、上杉謙信が、馬に跨りたって、ひとりで武田信玄目掛けて切り込み、咄嗟に武田信玄が軍配で防いだという歴史の事実が起源になったと言われます。
川中島の合戦の一騎討ちでは、上杉謙信も武田信玄も命長らえました。その後このふたりは、越後、甲斐それぞれの領民に慕われ、数多くの功績を残されました。
どうにも死票ができる小選挙区制には賛成しかねるので、一騎討ちの起源、川中島に行って来ました。
このときの川中島の合戦では7000人を超える戦死者が出たそうです。死票は民主主義に反するなどと言うことに、ハッとしました。亡くなった方は、そのまま放置されたのでしょうか。
いえ、違います。
川中島の合戦跡地に、首塚と言う祠がありました。武田方武将高坂弾正昌信が、後に敵味方関わりなく、名もなき死者を丁寧に埋葬して、戦国時代の終結を願い、無念の霊を供らったのだそうです。
このことに感激した上杉謙信は、後に駿河の国からの塩の供給を停止された甲斐の人々のために、日本海越後で採れる塩を送ったのでした。いわゆる『敵に塩を送る』の故事がこれです。
実際川中島に行って見て、歴史を知り、感動いたしました。亡くなった方は、決して無駄死にではありません。
さて、今回の衆議院議員総選挙、仮に死票が出たとしても、これら一票は、先人の努力によって得られた人類普遍の原理である民主主義を守るため、決して無駄にされないのだと信じることにいたしたした。
民主主義とは、この道しかありません。