車窓から思う母と子

2014年12月7日
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出張で、長野に行きました。

 

首都圏から長野方面に行くとき、碓氷峠を通りました。長野新幹線が開通する前は、信越本線横川駅と軽井沢駅の間の急勾配を登るため、横川駅で機関車を連結する必要がありました。この停車時間を利用して、乗客は『峠の釜めし』を買うのでした。今は、横川駅と軽井沢駅の間には、在来線はありません。

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この横川駅近くに、『霧積温泉』があります。江戸時代に犬が発見したと言い伝えられるこの秘湯は、幸田露伴や与謝野晶子が逗留したことでも知られております

が、一躍脚光を浴びたのは、森村誠一氏の『人間の証明』でありましょう。

 

 

 

 

『母さん。ぼくのあの麦わら帽子、どうしたでしょうね。ええ、夏、碓氷から霧積に行く途中、渓谷に落としたあの麦わら帽子ですよ。』で始まる西条八十の詩集は、タイムスリップしたように、私たちの心を捉えました。

 

『人間の証明』では、森村誠一氏は、何を言いたかったのか、当時多感な?大学生だった私たちの間では、真剣に?議論されたものでした。作中、母に捨てられた棟居刑事が、怒りをぶつけた犯人に対し最後、「人間でよかった」と言って終わったことがやはり印象に残ります。

お母さんと言えば、今日乗車した東京駅から始まる『東京だよおっかさん』という島倉千代子さんの名曲があります。こちらは、東京に出て来た母親の手をひいて、二重橋、九段坂、浅草へとは母への感謝の思いを歌っているのです。今でこそ東京駅は、東海道山陽新幹線のみならず、東北秋田山形新幹線、上越長野新幹線の始発駅となって発展を続けますが、かつてはいろいろなドラマがあったのでしょうね。

 

年月を超え、社会は変わっても、親子の情は、今も昔も変わらないはずです。