大阪都構想の可否を巡る住民投票が行われ、僅差で、反対が賛成を上回り、結果、大阪府と大阪市は存続することが決まりました。 東京に居て、現実感が伴わない部分もあったことは否定できませんが、投票率66%超えの中での僅差であったことに、久しぶりに民主主義のパワーを見せられた思いがいたします。大阪市民に敬意を表したいと思います。 大阪都構想は、主に府と市の二重行政の無駄を省くことを目的に、現大阪市長橋下徹氏が提唱したもので、反対派は、大阪都となれば、住民サービスが行き届かなくなるなどと主張していたと思います。 決戦を終えて、テレビ局の前に現れた橋下徹市長の表情、発言が印象に残りました。橋下氏からは、何度も民主主義の素晴らしさ、権力は使い捨ての言葉が発せられました。 橋下徹と言う人物、政治家としての政策に関する評価は止めましょう。私は、あのインタビューの席で、ーーあれが本当の姿であり、国民に対する政治家としてのメッセージであるならーー実に見事な退き際だと関心いたしました。これまでのマスコミに露出する橋下徹氏とは、別人に映りました。 橋下氏は、税金と時間を使い、また、市職員の協力を得て、8年越しの彼の政治家としての原点であり到達点であるこの『決戦』を行うことができた礼を言いました。 そして、国政ではあり得ない自民党から共産党まで団結した橋下包囲網に、僅差で敗れたにも関わらず、「やっぱり間違っていたんでしょうね」と認め、任期までは市長を全うし、その後は、政界を引退すると言われました。 たった一つ、大阪市を無くすかどうかの明確な判断を市民に求めて、その結果は、民主主義が実現されたとし、潔く受け入れると言うことです。私は、改めて民主主義ってなんだろうと考えさせられました。 今、国会では、閣議決定された集団的自衛権を海外で実行可能とする『国際平和支援法』審議がなされようとしています。 先の衆議院議員総選挙で、50%そこそこの投票率で、巨大与党が誕生しました。 あのとき、安倍晋三内閣総理大臣率いる自由民主党は、「アベノミクスを進めるか、ーー民主党政権時代のような社会にーー後戻りするのか」が争点だとして、結果、アベノミクスは受け入れられたと宣言したものでした。 今政治は、経済景気に関する政策に留まらず、国民生活のために行うべき事柄は山積しているのに、集団的自衛権を閣議決定し、その関連法案を急ぎ成立させようとすることに対し、安倍首相は、先の選挙で、自民党は、マニュフェストにおいて国民に約束したと発言されました。 すなわち、自民党作成のマニュフェストの中に 、たった一行、『国の安全保障政策を早急に整備する』と書いてあって、国民に約束し、その信任を得たのだと言うのであります。 さて、先の選挙で自民党に投票された方、安倍晋三氏に反論できますか?かねてより、橋下徹氏は、安倍晋三氏と蜜月関係だと取り沙汰されておりました。 橋下徹氏は、政界を引退されるようですが、安倍晋三氏のパワーは、底なしの感があります。 橋下徹氏は、いくさを仕掛けて命を奪われない民主主義の有り難さを言われました。 ご自分ひとりが政界を去り、大阪市民は、道連れにされません。 先の選挙で自民党に投票された方はもちろん、安倍晋三氏とともに進まれるのでしょうが、民主主義である以上、集団的自衛権反対、国際平和支援法は戦争法案なんて言っている人もまた、安倍内閣、巨大与党の決め事通りに拘束されるのでしょう。 道連れ民主主義なんて言葉が妥当でしょうか?