NHK大河ドラマ『花燃ゆ』の低視聴率に思う

2015年5月21日
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NHK大河ドラマ『花燃ゆ』は、先日5月16日の放送で、視聴率9.4%となったと報じられました。

統一地方選挙第一弾が行われた日に続く10%切れとのことです。

 

このところ、何かと話題となっているNHKですが、数日前籾井会長が、花燃ゆの視聴率は、「低すぎる」と発言したばかりでした。

 

『花燃ゆ』の主人公は、吉田松陰先生の妹で、松下村塾四天王のひとり久坂玄瑞の妻となった杉文で、兄夫を亡くしながら、幕末維新を力強く生き抜いた主人公の姿と、主人公を取り巻く家族愛友情や、松下村塾出身者の生き様などが画かれているものです。

5月17日の放映では、久坂らの主張が、長州藩の藩論となり、高杉晋作や久坂玄瑞、伊藤利輔らが、建設中の品川御殿山の英国公使館を焼き討ちする場面などが画かれました。

 

高杉曰く、「どでかいことしようや」。

視聴率が伸びないのは、主人公が、いわゆる歴史的人物ではないこと、松陰先生、後に主人公が再婚する小田村伊之助、そして松下村塾門下生それぞれの活動や生き様が現れて、いささか散漫であることなどが原因ではないかと言われます。

歴史好きの私は、子どものころは、よくNHK大河ドラマを見ていました。最初にしっかり見たのは、上杉謙信公を描いた『天と地と』だったと思います。

しばらくお暇しましたが、やはり女性が主人公だった『天璋院篤姫』あたりからは、ほとんど見るようになりました。 私が一時大河ドラマから離れたのは、あまりに史実を無視して非現実的、イケメン俳優やアイドル、さらには話題性あるタレント等を起用して、とにかく視聴率ありきの感が強かったからであります。

 

篤姫を見たのは、薩摩藩出身でありながら、将軍に嫁いだ篤姫は、明治になっても鹿児島を臨むことなく、幕府徳川家の一員として生涯を終えたことをどのように描くのかと思ったからです。

これがきっかけで、以後ほとんど大河ドラマに戻りました。

 

歴史好きの私も、大人になったと言うことです。 最近思うのは、ドラマであってノンフィクションではない、まして歴史検証番組でもないと割り切れば、リラックスして見れるのだと言うことです。

 

花燃ゆで言えば、杉文と言う人物を世に出す、広く世間に知ってもらう必要なんてないのだと思います。

面白い場面は単純に笑い、腹が立つ場面には、怒れば良いのです。また、松陰先生のみならず、登場人物それぞれの発言セリフには、学び取るものがあります。 これは大河ドラマ、テレビだから受け手が自由に感じ取り、また、放映する側は、ある意味『受け』を狙えば良いのです。

 

しかし、歴史の真実はそうではありません。

 

たとえ評価が人それぞれであったとしても、事実は変えられません。かつて日本が、日本の領土ではないアジア太平洋地域に武器を持って『進出』した事実そのものは、否定できないのです。

 

それが自衛のためか、はたまた侵略行為だったかは、議論しても良いですが。 きさらぎ法律事務所にいらっしゃる方に、必ず申し上げることがあります。それは『事実は変えられない』と言うことです。

 

証拠なんて関係ありません。

事実を事実として受け入れない、事実を隠すことをやれば、必ず何処かに無理が来るのです。

 

ひとつの事実を隠すために、さらに別の事実を隠すことが行われます。事実を隠す、認めない者は、焦り落ち着かず、隠すこと自体に躍起になり、本来やるべきこと、期待されることができなくなります。そんな心理状態の者を信頼して、自分のしあわせ、人生を託すことはできないでしょう。

大河ドラマは、大河ドラマだから安心して見ていられるのだと思いました。

 

吉田松陰先生を尊敬される山口県ご出身の安倍晋三内閣総理大臣は、『花燃ゆ』の低視聴率を、どんなふうに感じられたでしょうか。