「武力行使と武器の使用、この違いがわかりませんか?わからないなら、議論できませんよ。」
このような発言をする人は、論理的に、「武器の使用と武力行使の違い」が分かっているわけです。
しかし、発言者自らは、この違いの説明はありませんでした。その手には、原稿がありましたが。 このやりとりを見て、ハッとさせられました。それは、日頃私たち司法に携わる者は、さも当然と思っていた言葉でも、一般市民の皆様には、おわかりいただけないことがあるのだと言う反省です。
きさらぎ法律事務所では、初回の相談は無料で、相談時間の制限はございません。
じっくりお話を聞いて、相談者にとって解決となる方途を考えます。その過程で、私はしばしば、「おわかりいただけましたか?」と確認します。 その際、「わからない」とハッキリと仰っていただくこともあります。
でも、そんな問い掛けをしますと、ほとんどの方が、「わかります」と答えられます。そのときの私は、理解していただけたのだと解釈して、先に進みます。しかし、実はそうではなかったのでは?の感を持ちました。
初めて法律相談に弁護士事務所に来られる方は、幾つもの階段を登って、勇気を持って一歩を踏み出したのだと思っております。
そんな相談者は、相談に来た、弁護士と会って話をしたただけで精一杯だったでしょう。そんなとき、「わかりましたか?」と問われて、「わかりません」とは、言いにくい心理状態だと思われます。
わかりましたを我々専門家は、真に受けてはまりません。
それは、力関係を無視した自惚れではないか……と思うので、私は、初回無料相談を受けられた方には、必ず持ち帰っていただきます。
わかった、弁護士福本悟に任せる!と、その場では、決めないよう求めます。 冒頭のやりとりは、最近の国会での担当大臣と野党議員とのやり取りでした。
言うまでもなく、国会から内閣総理大臣が指名され、内閣は、国民の代表である国会に対して責任を持つ関係にあります。
内閣府の大臣から、「そんなこと、わからないのか?」と問われたら、国民はどうしましょうか? もっとも、先の設問は、何も『偉い人』から、わからないのか!と問われてわかりませんは言えないと言うのではなく、私自身は、『武器の使用と武力行使の違い』は、本当にわかりません。
大臣ともなれば、そんなことーー当たり前のことーーいちいち説明するまでもないのでしょうが、国民の代表である国会議員が、違いがわからないと認めて説明を求めたのですから、わからない人間とは「議論できませんよ!」なんて冷たいことを仰らなくても………。と感じるのは、やはりバカな人間となりましょうか?