安全保障法案の成立を急ぐネックを排除するかも?

2015年6月19日
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先日国会の憲法審査会で、自由民主党が推薦した憲法学者、さらに自身が改憲論者であることを公言されてきた憲法学者を含む参考人として出席した憲法学者全員が、現在衆議院の平和安全特別委員会で審議されている集団的自衛権の行使を認める安全保障関連法案について、『違憲』であると表明されました。

 

これを受けて開かれた同委員会で、野党議員から、「政府はいちど法案を撤回したらどうか」と質問された中谷元防衛大臣は、こんな答弁をしたのです。

 

「現在の憲法をいかにこの法案に適用させれば良いのかという議論を踏まえて閣議決定を行なった」 これには驚きました。憲法を(政府が決定した)法案に適応させるのだそうです。

憲法と法律どちらが上か、考えたことはないのでしょうか。

 

また、憲法は、ときの政治権力を縛るもの、政府(内閣)が、与党が絶対多数を占める国会に、『憲法を合わせろ!』の意図のもと、法案を提出するなんて。

法律によって憲法を変えるなんて、憲法に違反する政治が行われていることを自認したに等しい。

先日の憲法審査会での憲法学者の違憲発言に驚いた与党は、所属議員に対して、憲法に違反するかどうかは最高裁判所が決めることなんてペーパーを配布したと報じられています。

これまた憲法を理解していないと言わざるを得ませんね。

最高裁が違憲を言うまでは、どんな法律や政策も違憲ではないと言っているわけです。

誰がそう言っているのでしょう。

それは、憲法上憲法尊重擁護義務が明文で課せられている国会議員、国務大臣等ではありませんか。であるがゆえに、これまでは、現憲法に縛られるのがイヤな見解をお持ちの方々は、憲法改正を訴えてきました。

この憲法では、個人がいかなる思想信条を持ち、それを表現する自由が認められているのです。 先の総選挙で、『早急な安全保障体制を整備する』とマニュフェストに明記して、国民の圧倒的多数から支持を受けたと言う政府与党は、最高裁が憲法違反と判決する前に法律を変え、これにより憲法も変えてしまうようです。

 

しかして、そんな本音を言ってしまった中谷大臣は、ある意味真面目な方だと思います。

中谷元氏は、もと自衛官ですが、加藤紘一氏や、宮沢喜一氏ら自民党の中でも『リベラル』とされる政治家の秘書を歴任し、現在は、ーーかつてはか?ーーもっともリベラルと思われていた谷垣禎一自由民主党幹事長の勢力に属しておられますから。 思わす与党政治家として本音を言ってしまった中谷元氏は、過日の沖縄那覇空港の自衛隊機による管制無視による『あわや大惨事か』の責任を取って、更迭なんてならないでしょうか。

 

そう言えば、年金に関連した個人情報の流出に関連して、中谷大臣は、防衛省は大丈夫との答弁をしていましたが、こんな時期に『そんなこと』をしているのは、なんかこの際防衛大臣をなんとかしろ……!の声が、何処かから出ているのでは?の見方をする人もいるのではないでしょうか?

 

『武力行使と武器の使用の違いがわからないんですか!』と発言して謝罪した中谷氏ですが、こんどは、立憲主義、憲法尊重擁護義務に関して適切を欠く発言があったとして、なんとかのなんとか切りによって、またしても謝罪する羽目になったとして辞任なんてならないか、真面目な中谷大臣に代わる大臣のもと、安全保障法案が審議されるのではないか、『心配』しております。