誰だってプレゼントは欲しいものです。
2015年6月9日
もうすぐ父の日です。
と言っても、私は、いつなのか知りません。
知らないと言うことは、自分が父に何かプレゼントしたことはないし、父親になってからこのかた、子どもから何かプレゼントされたことがないことを自白したことを意味します。
因みに、母の日が、5月の第2日曜日であることは知っております。なぜなら、かつて司法試験の短答式試験、すなわち択一試験が、毎年5月の第2日曜日に実施されるので、この業界の先輩方から、「母の日に、いつまでも試験を受けている世界一の親不孝者」と言われて来た伝統が、綿々と踏襲されているからです。
この父の日を前にして、株式会社ロッテが、30~50代のお父さん500人を対象に調査したところ、4割近くのお父さんが、「父の日を楽しみにしている」と答え、さらに6割が、家族からの何らかのプレゼントを期待しているとの結果が出たと言うことです。
これを聞いて、「平和だな。平和って家庭からだ」と思いました。また、お父さんって、可愛いなとも思いました。繰り返しますが、私は、いまだかつてプレゼントを貰ったことがありません。
この日、別の報道で、『パパといつまで一緒にお風呂を』と言う記事がありました。
東京ガスが事務局をする『風呂文化研究会』のまとめでは、父と娘の場合、9歳で半数、11歳だと1割が、一緒にお風呂に入るのだそうです。我が家は、男子でしたから、意識ありませんが、母親と息子の場合は、少し増える傾向にあるようで、それが草食系男子を生み出す要因だとの意見が、紹介されておりました。
果たして子どもはいつから子どもを卒業し、『パパママ』の卒業はいつなのでしょうか。少年法を学んだとき、乳幼児期の親子、特に母親との繋がりの重要性は、誠に残念ながら、各統計にも現れていることを知りました。最近では、無理やり断乳することに、様々な意見が寄せられているようです。
現代社会では、生まれながらにして母親に抱かれ、一緒に暮らすことができない子どもが存在します。
そんな事情のもと、必死に生きていく親子からすると、例えマザコンだの草食系と言われても、ずっと一緒に過ごせる時間がある親子は、恵まれていると感じるはずです。
かつては少年事件を、近時は、子どもの親権、引渡、面接等の事案に関わる私からいたしますと、親と子は、いつになっても単に物質的だけてわはなく、心理的情緒的にも、ずっと繋がりを保って欲しいと思うのです。
別に何歳になったらお風呂やめると言わなくても良いのでは。
だってお父さんは、子どもからプレゼントを貰いたいと密かに願っている可愛い子どもなのですから。サンタクロースはいないと知った子どもたち、一日くらいサンタクロースになってあげましょうか?
このところの地震報道に接して
2015年6月8日
小笠原諸島西方沖を震源とするマグニチュード8.5の地震が起きました。私は、そのとき外にいて、全然地震に気づかなかったのですが、電車の遅れなどで、東京にもいくらか影響した地震があったことはわかりました。
帰宅してニュースを見ましたら、『東京、神奈川震度5強の地震』とテロップが出ていて少し驚きました。詳しく見ると、神奈川県二宮町と小笠原諸島母島で震度5強だと言うことでした。埼玉県内3箇所で、震度5弱を観測したようですが、その他都内首都圏では、震度5以上の場所はないようです。
震源が深いことや、規模が大きいことで、広範囲の地域で長く揺れを観測したとのことです。
大きな人身への被害はなかったと聞いており、安堵いたしました。
『東京、神奈川震度5』のアナウンスを考えてみました。そのとき都内にいて、地震を知らなかった(感じなかった)私のような者もいれば、遠くにいて、「大変だ!」とばかり、電話などかけまくって、肉親の安全の確認に必死だった方もおられたと思います。
これは、『東京、神奈川』と出た所以でしょう。因みに、小笠原諸島と『東京』との間に位置する伊豆諸島は、どうだったのでしょうか。地震発生当日は、震度の発表はなかったようですが、揺れなかったのでしょうか?
確かに、先のアナウンスは、誤報ではありません。こんなことを言うと、小笠原諸島や二宮町をバカにするのか!と言われそうです。
私は、失礼なことを仕出かした過去があります。それはもう20年以上も前になりますが、東京都内の唯一の村として『檜原村』があるのですが、そこに所用があり、地域の方に、目的地の場所を尋ねたときの経験です。
あちらも、なんか珍しい奴が来たとでも思われたのでしょう、「どこから来たの?」と問われたのです。私は、「東京です」と答えました。これで、会話が繋がらなくなりました。
同じような経験は、5年前にもありました。東京にある3つの弁護士会は、同じ東京でありながら、弁護士が定住していないいわゆる島嶼部に、1ヶ月に1回出張相談を実施しており、その担当として、伊豆七島のある島へ赴任したときことです。
現地でお世話いただいた役所の方が、魚に煩い私との会話の中で謙遜され、この島では実はあまり魚に期待はしないでと仰られた後、ご自身の経験として、「東京に行ったら、まず回転寿しに行きます」と仰ったのです。
この島に来た目的を忘れ、あまりにも魚魚といつもの悪い癖を出しまくっていた私と、会話を合わせるため、無理を言われたのだと反省しました。これは、都内に住む人間の思い上がりですね。
世間一般と言うか、東京以外の地域の皆さんが、『東京』を思い浮かべるとき、伊豆七島も小笠原諸島も東京だとあえて意識していただく必要はないと思います。
しかし、同じ都民税で生活する仲間のはず、常日頃共生だの共存だの言っている私は、先のアナウンスを聞いて、『東京?どうってことないじゃん』と咄嗟に反応してしまったことを、心より反省した次第です。
「ソーリ、ソーリーはもう言わない」
2015年6月5日
いわゆる安全保障関連法案に関する実質審議が行われるべき衆議院平和安全法制特別委員会で、機雷掃海の危険性に関する指摘をし、この件に関して防衛大臣に対して質問をしようとした野党議員に対し、安倍晋三内閣総理大臣が、「早く質問しろよ!」とヤジを飛ばしたことが、あちらこちらで議論を呼んでいます。
言うまでもなく内閣は、国会から指名を受けた内閣総理大臣が組織し、国会に対して責任を負う立場にあります。これは議院内閣制ですが、国会は、国民のために法律の制定等を行う国民の代表が選出された場です。
内閣は、国会に求められて法案の説明等を行うため出席しているのであって、国会議員に対してヤジを飛ばすなんて、国民を愚弄したに等しいことであります。安倍首相のあのヤジに関しては、流石に自由民主党副総裁や公明党委員長からも、苦言が呈されておりました。
それから、野党にも言いたいことがあります。それは、その翌日、形の上では、安倍晋三内閣総理大臣は、審議の妨害ともなるヤジを飛ばしたことの非を認めて、遺憾の意を表明したのですから、真剣に質疑を行うべきであります。
それが、今度は、外務大臣が曖昧な答弁に終始したとして、委員会を退席して審議を拒否、結局この日の委員会は、散会となってしまったことであります。ある新聞社によると、この日は、委員会のテレビ中継がないので、野党は、始めからボイコットする作戦だったなんて皮肉られていました。こんなこと、『不偏不党』のマスコミに言われて、『弱小野党』の先生方は、悔しくないのでしょうか?
野党が問題にしたのは、安倍晋三内閣総理大臣が、「唯一自衛隊の集団的自衛権行使例として考えられる」としたホルムズ海峡機雷掃海に絡む質問でした。例えば、ホルムズ海峡が何らかの理由により閉鎖され、日本に石油が入らなくなった場合でも、これまでの政府答弁を踏襲する限り、それは『軍事的波及のない事態』に過ぎず、集団的自衛権の行使の対象にはならないのだと言う当たり前のことを問うたわけで、これに対して外務大臣の答弁が明確ではないなんて、おかしなことを言うものだと思います。
野党議員曰く、「平成10年の『軍事的な波及のない事態は、周辺事態に該当しない』と言う外務省局長の答弁でよろしいでしょうか?」これに対して外務大臣は、「平成11年に、政府見解が示され、それを今日まで維持していると言うご説明をさせていただきます」と繰り返し答弁しました。
野党が言う平成10年の政府見解を踏襲していないとは、外務大臣は、一言も言っておりません。私は、大臣が言われる平成11年の政府見解とやらは知りませんが、もし、それが前年平成10年の政府見解とは、真っ向から異なる見解だったのであれば、16年間も、こんな大事な事柄が、国会で取り上げられることがなかったはずはなく、ダメ出ししなくても良いのにと思います。
まして、審議拒否とは。野党は、自信を持って、「ただいま外務大臣から、単に石油が国内に入らなくなって困窮したからと言って、ホルムズ海峡に機雷が置かれてもいない場合には、自衛隊は派遣されないとの平成10年以来の政府見解は、当然維持されておりますのと確認を得られました」と声高々に言ってやればよかったのです。
アメリカ合衆国では、大統領演説や連邦議会では、ヤジは聞かれないと言われますね。これは民主主義の先進国と言われるアメリカでは、これらに対するヤジは、国民を愚弄したものとの考えがあるからだとされます。このあたりこそ、アメリカのマネをして欲しいですね。
内閣、その長たる内閣総理大臣はもとより、国会議員もまた、国民から選ばれた、国内のために仕事をしていると言う自覚を持っていただきたいものです。
刑務所も、幼稚園保育園も近くにあると困りますと言われたら。
2015年6月4日
司法修習生のとき、刑務所を見学しました。検察庁のマイクロバスで行きましたが、市街地を抜け、山を登ったいちばん高い場所にありました。刑務所の前にバス停があり、ここが街への始発停留所となると聞きました。刑期を終えた元服役囚の方々は、ここからバスで街に向かいます。まさに、社会復帰に出発するバスであります。
なんで刑務所の前にバス停があるかと言えば、もともと人里離れた小高い山の上、『何もない場所』だったところ、市街化の波が押し寄せ、どんどん山を切り開いてニュータウンさながら住宅地になっていったからなのだそうです。確かに、ここは静かで眺望も良いでしょう。バスは、毎日の通勤通学の貴重な足であります。
でも、刑務所職員の方が、コソッと教えてくれたことがあります。刑務所と周辺住宅地の方々とは、『あまり良い関係』ではないそうです。要するに、家の近くに『こんなもの』があるのはイヤだと言うことのようなのです。ですから、刑務所職員の家族が、バスを利用しても、なんか良い空気ではないと感じられるそうです。まさしく、あの塀の中は別世界と思われているのでしょう。
最近、保育園幼稚園と地域住民の関係が、よく取り上げられます。住宅地に幼稚園保育園ができると「うるさい」と言うのです。そのように言われる方々は、ようやく余生?を静かに送れると思って永住の地を確したのに騒がしい……と感じられるのでしょう。中には、周りに『騒音』があると、資産価値が下がると言った声もありました。
私の家から徒歩1分ともかからない場所に、認可保育園があります。幸い、ほとんど待機児童問題は発生していないとのことです。いつも園児の元気な声が聞かれます。まず、子どもが伸び伸びすくすく元気いっぱいが大切ですね。誰もが子ども時代があり、やがて大人になり、『高齢者』になるのです。
地域との関係は、子どもの成育にとっても大切です。まして、地域住民と軋轢なんかあるのは辛いことです。園側も、いろいろ工夫しています。例えば、自宅近くの件の保育園では、施設を増築して、この場所に地域の方々を招いてお茶の会など始めました。この機会に、子どもたちの様子などお話し、みんなで子どもを育てよう!の考えがあるのかもしれません。
この保育園だけではありませんが、このような地域住民と触れ合う機会にお手伝いする『ボランティア』を求めているとの情報を受けました。
確かに時間内は、保育士の皆さんは、子ども相手で精一杯でしょう。そこで、それこそ地域住民にボランティアを募るわけです。このようなボランティアに応募される方は、理屈も計算もなく、ただ地域のために役に立ちたいとお考えなのでしょう。でも、これを『ボランティア』と園側が呼称するのはなんか変だなと感じます。園がボランティア活動をすると言われるのは収まりますが、園のためにーーひいては地域のためですがーーボランティアをしてくださいと言う形態は違うように思います。
もちろん、主体となる園を批判するのではありません。園と地域の良好な関係を確保すること、これは、子どもの健全な成長と高齢化する住民の平穏を確保すべき自治体の責務なのではないでしょうか?⚪️⚪️市が、認可保育園で、これこれのお手伝いをする方を募集するとのシステムが正論と思います。
なんでこんなことを申すかと言いますと、私が暮らす自治体は、都内でもまだ人口増加が見込まれる街であると市自体が言っているにも関わらず、この10年間で、特別養護老人ホームも、認可保育園も、ひとつも新規開設されていないからです。次々にマンション戸建が建設され、市には住民税固定資産税が入るのに、またしても予算は減りました。いったいどこにお金を回しているのでしょう。
国民の命を守るのは国の責任、住民の暮らしを守るのは自治体の責任です。土地を造成開発して、人を招く政策をするのであれば、地域住民どおし仲良く共存共生できる政策が採られてしかるべきでありましょう。地域の皆さんと上手くやってよと保育園に任せ、保育園は、ボランティアと称して地域住民のサポートを得て、住民サービスと言うか、地域住民との軋轢を無くす努力をすると言うのは、ちょっとやり方が違うのではと思いました。
この時期、自宅近くの小川あたりにホタルの姿が見られます。人と自然の共存も難しいですが、人と人の共存はさらに難しくなったようです。人に優しい世の中が望まれます。
不貞行為と商行為――枕営業の判決に寄せて
2015年6月3日
きさらぎ法律事務所のホームページ『離婚、男女問題』のコーナーに、男女問題を担当する福本悟の基本的な考え方を記載してございます。
特に、取り扱わせていただくケースが少なくない『不貞行為と慰謝料』の箇所には、A.B.Cの事例で、具体的にご説明してあります。
これをお読みいただいた方は、先のA.B.Cのうち、いちばん悪いのは誰で、きさらぎ法律事務所の依頼者となられることが滅多にないのは誰か、想像できるかと思います。
さて、数日前、夫の不貞行為の相手となった女性に対して慰謝料請求した妻の請求を認めない判決が、東京地方裁判所で言い渡されていたことが明らかとされました。
まず前提として、夫婦は婚姻中互いに貞操保持義務があり、配偶者がいることを知ってこれと肉体関係を持った第三者は、その違反をしたその相手とともに、被害者となる配偶者に対して損害賠償をする義務がある(慰謝料を支払わなければならない)のです。ただし、その夫婦の婚姻関係が完全に破綻してもはや互いに貞操保持義務がなくなると評価されるような事態であれば、不法行為責任を負わないとされることもあります。
さて、東京地方裁判所が、妻の請求を棄却した理由は、この女性は、いわゆるまくら営業をしていたと認定されたからです。すなわち、枕営業とは、業務上付き合いのある者どおしが、性的な関係を持つことにより、取引を有利に行うことを言いますが、判決によると、この女性は、この男性に対して性的関係を維持することで、この男性が定期的に来店することになり、経営する店舗の売り上げを確保していたと言うものであります。いわば、性行為が商行為とされたわけで、妻の権利を侵害するものではないと言うわけです。
ちなみに、夫が風俗店で遊んで、そこで働く女性が気に入って、継続的に性行為を行ったとしても、その女性は、不貞をしたことにはなりません(夫側からもよく、あれは遊びであって、特定の女性と付き合っているのではないから不貞ではない!と抗弁されますが、この点については、機会を改めます)。
なんだか銀座マダムも、これに似た商売なのでしょうか?
結構判決に対しては、批判的な意見が目立ちます。枕営業と言われるような業態があることは公知の事実だそうですが、古い考えの私なんかからいたしますと、こんな業態取引自体が、公序良俗に違反しており、無効と言いたいです。
それはそれとして、この奥さん、何がしたかったのだろうと思いました。福本悟の立場からすると、この関係者3名のうち、いちばん悪いのは誰か、皆さんおわかりです。おそらく判決が言うような取引の実態があったのだとしたら、この夫は、女性の店舗に少なくないお金をつぎ込んでいるのです。奥さん、家庭からすると、それもまた困ったものではなかったでしょうか?
この判決のことか報道された時点では、『夫』と出ていましたから、この夫婦、未だ離婚していないのでしょう。この奥さん、こんなことをする夫を許していたのでしょうか?
女性と浮気はするは、その相手のために少なくないお金をつぎ込むやら、奥さんは、酷い仕打ちを受けたことになると思われるのですが。もちろん、これが不貞だと認められたら、夫も、その女性とともに、妻に対して慰謝料支払義務があります。
また、仮に、女性が不貞を理由に、奥さんに対して慰謝料の支払いを余儀無くされた場合には、この夫に対して求償できることは言うまでもありません。要は、お金の還流ですかね。このあたり、『離婚男女問題』に記載したとおりです。
銀座のクラブのママさんが、どれくらい資産を持っているのか、その世界とは全く無縁の私にはわかりません。ただし、枕営業を長く続けているような夫には、お金をがあったのです。この奥さん、もし、お金の請求をしたいのであれば、夫に対して行えば良いですね。なんで件の女性に訴訟を起こしたのでしょうか?
お金の問題ではなかったのでしょう。何が動機かわかりませんが。余計なお世話ですが、このご夫婦、この先仲良くやっているのでしょうか?
きさらぎ法律事務所では、依頼者は、本当は何をしたいのか、何に悩み、心を乱されているのかをじっくり一緒に考えます。
その結果、夫の不貞行為の相手方に対して慰謝料請求をしたことが、全くないわけではありません。本件の奥さんの立場のご相談者であれば、じっくりしっかりお話をお聞きして、真に悩んでいたところ、頭にきていたところをすっかり吐き出していただくことで、ほとんど『解決』となっていると、厚かましくもずっと信じております。ですから、枕営業の是非に関する裁判などには、遭遇することはあいのです。