アビスパ福岡井原正巳監督に、最大級の感謝の気持ちを捧げます。

2015年12月2日
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『名将』と言う言葉があります。辞書を引くと、優れた武将と出てきます。戦国一の名将は誰かとか、名将の戦術を知ろうとか、優れた先人に学ぼうとする人や企業は、いつの世でもいるのです。だだ、最近は、『名将』は、勝負事の指揮を取る人に当てはめることが多く聞かれます。例えばスポーツ界の監督です。これは、自分に勝ち、相手と闘うからでしょう。

名将の意味や定義もいろいろです。例えば、勝負事に勝ち続けることが名将なのか、あっと言わせるやり方で一矢報いることだとか、また、弱いチームを強くすることも、近頃『名将』として論じられています。名将は、どうして作られるのか、どのようにすれば名将になれるのか、いろいろ言われています。ただ、自分で自分を名将だと思う人はいないと思われ、名将がどうかは、他人の評価によるものでありましょう。

かつてプロ野球読売巨人軍を9連覇に導いた川上哲治元監督は、結果を見れば名将でしょう。また、今年圧倒的な強さで連覇した福岡ソフトバンクホークスの工藤公康監督も、監督としては初年度で、大きなプレッシャーがかかる中、結果を出されたのですからその器と評価されるかもしれません。ただ、あれだけの戦力、勝って当たり前との意見もあると思います。

この観点から言えば、名将とは、弱い、あまり結果が出ていない、あるいは充分な戦力はないチームや個人について、予想を超える結果をもたらす手腕を意味することになりましょうか。期待されていない、誰もがまさか?なのにこの結果はなんだ!コレでしょう。私の身近にそんな人がおります。ネット社会では、もう『名将』の名がつけられています。この『ひとりごと』で何回も登場したアビスパ福岡の井原正巳監督です。

アビスパ福岡は、サッカーJリーグディビジョン2に所属し、2012年にJ1から降格して18位、14位、16位で過去3年のシーズンを終え、今年の開幕前でも、J1への昇格プレーオフに出場できる6位以内に順位を予想した専門家は、1人もおりませんでした。井原監督の胸の内はわかりませんが、おそらくアビスパ福岡関係者でも、J1への自動昇格した2位チームと同じ勝ち点82を挙げて3位になるとは思っていなかったのではないでしょうか。高校までサッカーをやっていた息子たちが、口を揃えて言っているサッカーは監督で決まる』がわかる気がしました。

井原正巳氏は、元日本代表の主将ですが、現役引退後は、それこそ『名将』とうたわれたネルシーニョ監督のもと、長年にわたってコーチとして下積みと研鑽を続け、初めての監督就任が、今年のアビスパ福岡でありました。まさに満を持した登板であります。ともすれば、熱いだの気持ちだとかが持て囃されるスポーツ界の指導者として、その内面の思いは別として、井原監督は、終始冷静で、また、紳士なのです。いつか『男は顔!』なんて言ったことがあるかもしれませんが、サッカーに関心がなかった人たちも、井原アビスパに魅せられているようです。今年アビスパ福岡は、Jリーグ中前年度比観客数の増加率トップでありました。

もちろん、チームが強くなり、観客数が増加するのは、資金面を含めた経営努力が必要です。川森社長、野見山前社長は、関東のアウェイゲームにもいらっしゃいます。まさに現場フロントサポーター一体となった『チームアビスパ』です。それも井原正巳氏の人柄手腕だと言えます。井原イズムが選手に浸透しており、今年チームに加入した選手は皆力を発揮しており、怪我人の代わりに出場する選手も、しっかり結果を出しています。サポーターも、いらいらすることは少なく、皆井原アビスパを信じております。

井原正巳氏が、どのようにして1年立たないうちにも名将と言われるようになったのか、それはわかりません。だだ、組織を率いる人は、それに関わる全ての人を思い、そこからの信頼を得ることが不可欠だと知らされます。この先の結末はどうでも良いとは言いませんが、アビスパ福岡を取り巻く全ての人が、井原監督を信じ、結果を受け入れることは間違いありません。そこで福本悟流の『名将』とは、寡黙の中にも芯をとおし、関わる全ての人から信頼を得ること、結果は後からついてくることだとなりましょうか。

かつて日本代表として、始めてワールドカップに出場した主将井原正巳氏を懐かしむ方々、どうぞアビスパ福岡の試合をご覧ください。この『ひとりごと』がアップされるころには、井原アビスパの2015年は全て終了しているかしれまんが、今年の集大成の試合をあと2つ行う権利を井原正巳氏が、アビスパ福岡にもたらしてくれました。名将にありがとうを言いたいです。