きさらぎ法律事務所は、明治安田生命Jリーグ第2デイビジョンに所属するアビスパ福岡の法人後援会に登録されております。これまでスポーツでは、子ども2人がやっていたサッカーを観戦することがあったことや、単に福岡のチームを応援したい気持ちから、少しでも役立ちたいとの思いで、法人後援会『ソシオ』に入れていただいたものでした。しかし今年は違います。もう、アビスパ福岡が気になって仕方ないのです。 今年井原正巳監督を迎えたアビスパ福岡は、結局J2公式戦は3位となり、J1への昇格プレーオフに進むことになりました。公式戦最後は8連勝を飾り、2位のチームに勝ち点では並びながらも、得失点差により3位となったアビスパ福岡の夢、そして奇跡は終わっていないのです。 ホーム最終戦、そして公式戦最終戦を観戦して、もう充分ありがとう!の思いでありました。でも、こんなにもアビスパ福岡がJ1へ昇格することを願う人がいるのだと知って、私もまた、最後までアビスパ福岡を応援することは止められなくなりました。今年最後の試合、すなわち、J1昇格プレーオフ決勝戦が行われる『ヤンマースタジアム長居』に行くことに決めたのです。 J1への昇格プレーオフとは、J2で年間総勝ち点数が3位から6位となったチームが、トーナメントを戦って勝ち抜いた1チームが翌年J1に所属するシステムです。2012年から過去3回のプレーオフでは、6位チームが2回、4位チームが1回プレーオフを制していて、年間3位のチームは勝ち抜いたことがないどころか、まだこのプレーオフで『1勝』したことがないのです。 これは、年間勝ち点が上位チーム対下位チームで引き分けだった場合には、年間勝ち点が上位のチームを選択すると言うルールが、反対に上位チームは試合をやりにくくしているとか、下位チームは失うものはない大きなチャンスゆえに、モチベーションが高いからだとか言われているのです。 ただ、これまで3年間は、3位から6位までの勝ち点差は4、3位と4位の勝ち点差は1でした。 つまり、数字上それほど力の差はなかったのです。ところが今年アビスパ福岡は、勝ち点82と言う過去の3位の記録を更新し、4位とは15、6位とは22の勝ち点差を付けてのプレーオフ参加であります。このことに関しては、決まったこととは言え、あちらこちらでいろいろな議論が出ていました。でもアビスパ福岡の井原監督スタッフ選手たちは、もう2試合できるとこれまでの姿勢を失わず、この闘いに入ったのです。 そしてプレーオフ第1戦は、同じ九州で、過去プレーオフに進出したことがあるV・ファーレン長崎でした。引き分けでも良いとの姿勢はなく、勝ちに行ったアビスパ福岡ですが、熱戦が繰り広げられ、かろうじてアビスパが勝利することができました。 その後です。感動のシーンが起きたのは。福岡の選手が長崎のサポーターの前に挨拶に行ったとき、長崎側から、「アビスパ福岡!」のコールが起き、「J1へ行っちゃえ!」の横断幕が出たのです。会場に居たほとんどの観客が涙したと伝えられております。アビスパ福岡は、長崎そして九州の願いを背負って、決戦の地大阪ヤンマースタジアム長居に向かいます。「スポーツっていいな」と実感する瞬間でありました。 その決勝戦が行われる場所が、Jリーグの開催規約では、『中立地』とされているのに、アビスパ福岡より下位となる年間順位4位で、プレーオフ決勝戦に進出したセレッソ大阪のホームグランドとなっていることには、かなりの疑義が出されています。 聖地国立競技場は現在ありませんし、昨年決勝戦が東京調布市にある味の素スタジアムで行われたことから、今回は関東圏を外したとか、J1ではチャンピオンシップが、J2ではJ3との入れ替え戦が行われるので、4万人規模の収容が可能な競技場は限られてくるのはわかります。 しかし、ヤンマースタジアム長居に決まった9月ないし10月の段階で、ここをホームグランドとするセレッソ大阪は、プレーオフ圏内の順位に居たのですから、なんとかならなかったかと思います。 セレッソ大阪と言えばJ2屈指の資金力を持ち、元日本代表が複数、また、現在のハリルジャパンにも、代表選手を送り込んでいるタレント揃いのチームで、先日元協会幹部を務めた日本人が、監督になったばかりです。「協会は、どうしてもセレッソに昇格してもらはないと困るのだ」とのやっかみまで聞かれます。 そんな環境の中、大阪で決勝戦を行うアビスパ福岡に対しては、全国のサッカーファンから、激励の声が続々届いております。特に共に戦ったジュビロ磐田等J2関係者からは、「福岡が昇格しなければおかしい」と強い後押しの声が聞こえてきます。大分、長崎等九州チームのサポーターも、アビスパ福岡を応援するために、「12月6日ヤンマースタジアム長居に集まろう!」の声が上がっているのです。 アビスパ福岡が、多くのサッカーファンから支援を受けたのは、これが初めてではありません。一昨年の今ころ、債務超過で選手に対する給与さえ遅配となって、Jリーグから退会の勧告を受けるような事態となったとき、地元の老舗『ふくや』さんが、販売した明太子の代金を、全額アビスパに寄付したことから、全国のサッカーファンが挙ってふくやの明太子を買い、また、存続運動に動いていただきました。 そのおかげで、アパマングループのシステムソフトさんがスボンサーとなり、1年前78社だったスポンサーは、なんと今年ホーム最終戦を迎えた時点てまは、1,000社を超えるまでになり、井原正巳監督を迎え、2015年新生アビスパ福岡がスタートすることができたのです。 数年前から、アビスパ福岡の法人後援会に登録されているきさらぎ法律事務所は、この間の事実経過を知っておりながら、特段の力になることができず、情けない思いでした。 でも、今となってはこんな程度の後援者であっても、ホームレベルファイブスタジアムで、アビスパ福岡の主催ゲームが行われるときには、掲示板に『きさらぎ法律事務所』の名が刻まれるのは、あの苦しい時代があったからこそ、それぞれのかたちで応援された過去を忘れてはならないとの初心と、報恩感謝の念があるのでしょう。 でも、私は、今回の開催地の件では、セレッソ大阪さんに同情する気持ちがあります。協会が決めたことであり、セレッソ大阪のチームや選手にはなんの関係もないことです。しかし実際は、大きなプレッシャーがかかるでしょう。勝って当たり前、誠に遺憾ではありますが、負けたらボロクソ言われるのは想像できます。しかも、今年のアビスパ福岡には、昇格プレーオフはおかしい等の意見が後押ししてもいるからです。選手たちには、臆することなく、また、気負うことなく試合できる環境が与えられるべきです。その意味で、私は、やはりヤンマースタジアム長居での開催には、疑問があるのです。 アビスパ福岡の今年最終戦は、12月6日、大阪市にあるセレッソ大阪のホームグランド『ヤンマースタジアム長居』で行われます。『アビスパ福岡の奇跡の物語最終節』に立ち会うため、私も大阪に行ってきます。 そして、そのご報告が、今年1年長きに渡ったアビスパ福岡に関する福本悟の『ひとりごと』の締めとなるでしょう。「博多の男なら、気持ちを見せろ!恐るものはない。さあ、行こうぜ。」