北海道新幹線『新函館北斗駅』の名称決定を巡って思うこと。

2015年12月7日
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2016年3月26日、新青森駅と新函館北斗駅間が開通し、遂に北海道新幹線が、開業します。

 

東京あたりでは、これで函館が近くなると話題になり、JR北海道でも、『物語がはじまる、北海道新幹線』をキャッチフレーズに、開業PRポスターをはじめ、いろいろなプロモーション活動を開始したた報じられています。でも、ある報道によれば、地元?函館では、この北海道新幹線が開通しても、利用することはないだろうし、あまり歓迎感がないのだそうです。

 

昨年函館に行きましたが、確かに新幹線開業を待つ感じは受けません。むしろJR札幌駅のほうが、大々的にアピールしています。函館市内では、意外にも?冷静なのは、『新幹線は、函館を通らない』との認識があるからだと思います。これは、地図を見るとすぐにわかります。東北新幹線が、青森駅に入らず、『新青森駅』が終点になっていたのと同様、函館駅は、行き止まりの地形になっておりますから、将来札幌方面まで繋げる予定の北海道新幹線は、『函館駅』に行くことはできないのです。 それで、函館市から離れた北斗市に新駅を作り、しかし函館通過はマイナスイメージになると思ったのか、『新函館北斗駅』の名称になったわけです。

写真 5 H27.12.01 写真 6 H27.12.01

新青森駅からは、奥津軽いまべつ駅、木古内駅を通って終点が新函館北斗駅となります。東京新函館北斗間には、10往復の新幹線『はやぶさ』が運行されるそうです。ところで、新函館北斗駅は、函館市にはありません。函館ライナーと言う新幹線から函館駅までのアクセス列車を設けるようですが、新幹線だけでも、東京新函館北斗間は優に4時間を超えるので、函館に行く人は、東京から北海道へいちばん近い空路である羽田函館便を利用することは変わらないと予想されてもおります。

 

東京あたりでは、あまり報じられていませんが、時々北海道に行き来する私は、札幌市内で配布される経済誌などの情報で、北海道新幹線の開業を巡って、函館市と北斗市の『喧嘩』や、北海道と函館市との対立など経緯を知っております。新函館北斗駅となる北斗市の中心駅である函館本線『渡島大野駅』は、函館駅から17km離れた無人駅で、1日の乗降客は、2012年で108人でした。先に述べた地形の関係とは言え、新幹線に通過される函館市としては、この渡島大野駅を『新函館駅』とされるのは当然との思いがあったのでしょう。

 

北海道も、JRも、その意図だったと言われます。 ところが、『新函館駅』に決まりそうだとなった時点で、旧大野町から市となった北斗市の市長が、「北斗駅にすべきだ」と発言したことから函館市が即刻抗議、以来2年以上にわたって、北海道やJR北海道を巻き込んで喧々諤々の論争を繰り返して来ました。

 

函館商工会議所の会頭が、記者会見の際に、『新函館北斗駅』を双方に提案したいと述べたことがきっかけとなって、北海道が調整に乗り出すことを表明、しかし函館市と北斗市間での協議はいつも平行線で終わり、開業1年を切った2014年4月、双方ともJR北海道に一任することで合意、今度はJRと北海道との政治決定に進むことになったようです。

 

そしてもともとのJR北海道案であった『新函館駅』に、北斗を入れて欲しいとの北海道知事の要望で、『新函館北斗駅』と決まったものであります。 北海道新幹線が新函館北斗駅まで繋がると、現在函館駅と札幌駅を結ぶ特急列車は、新函館北斗駅に停車します。JR北海道によれば、新函館北斗駅から洞爺や登別、さらに札幌まで利用する乗降客が見込まれるとのことです。

 

新幹線の駅に特急列車が停車するのは、九州新幹線の新鳥栖駅と同じですが、私は、新函館北斗駅を経由して、札幌方面に行く乗降客は期待できないように思います。 今でも、道外から登別、洞爺すなわち函館方面に行くのは、新千歳空港から路線バスのほか、南千歳駅を経由して鉄道で行くことが当たり前です。

 

4時間を超えると、鉄道利用から航空機利用に一気に傾きます。新幹線も良いですが、JR北海道は、電化区間を増やして気動車減らすこと、それと、厳しい気候で仕方ない面もありますが、いつも冬季は時刻とおり運行できず、しょっちゅう遅れが出るところをなんとかしていただきたいと言うのが、そこで暮らすわけではなく、都合良く行き来する道外の人間の勝手であります。

 

 

そんなふうに、今日も羽田空路と新千歳空港を往復して、夜の新千歳空港を立つときに思いました。