きさらぎ法律事務所の依頼者は、報復を潔しとしない方ばかりです。

2015年12月11日
明治安田生命Jリーグチャンピオンシップ第1戦サンフレッチェ広島対ガンバ大阪の試合は、ガンバ大阪のホーム万博記念競技場で行われました。チャンピオンシップ、略してCSは、今年から2シーズン制となったJ1で、年間勝ち点最高のチーム、ファーストおよびセカンドで1位となったチームなど最大5チームが参加して基本的にトーナメントを戦い、勝ち抜いたチームを年間王者とするものです。

J1を2シーズン制にすること、ましてそれぞれの1位もしくは年間1位を日本一とするのではなく、最大5チームをレギュラーシーズン終了後にトーナメントで競わせてチャンピオンを決めるやり方には、サッカーファンやスポーツコメンテーター等からは、かなり批判的意見が出されていました。

新制度初の今年は、結果として参加したのは3チームでしたが、私も、なんでこんなことする必要あるの?と否定派です。それは、たとえ2シーズン制であるにしても、年間1位がなんで1位ではないの?の疑問は消えませんし、各トーナメントにより一発勝負であったり、アウェイゴールとか複雑な上に、過密日程で選手の健康体調を無視して、興業主義に走り過ぎている感が否めないからなのです。

こうして始まったCSですが、初戦を年間3位のガンバ大阪が、ファーストステージ1位の浦和レッズを延長戦の末下して決勝に進んで、年間1位で、セカンドステージ1位でもあるサンフレッチェ広島と対戦したのが、冒頭挙げた万博記念競技場でのホーム&アウェイ方式の一戦でありました。

この試合、久しぶりに民間地上波で放送され、平日であったのに、多くのファンが見たようです。そして、素晴らしい試合、こんな試合が見たかった、日本代表戦より見応えがあった、これでJリーグ人気が出る、両チームの選手たちに拍手等等、好評だったようです。

前半0対0の試合が後半途中から動き出し、後半アディショナルタイムに2点取った広島が、3対2で勝利しました。

この結果に至ったのは、勝っていたガンバ大阪の選手が、いわゆるレッドカードを受けて退場となり、1人少なくなった大阪は、広島の波状攻撃を受け続け、流れが変わったからだと言われるのです。サッカーで、一発レッドは、ゴールキーパーとの1対1のような決定的得点チャンスを潰したケース以外では、故意の乱暴行為や審判等に対する暴言がなされた極めて悪質なケースとされます。

この試合でのレッドカードは、いわゆる報復行為とされるもので、プレー中に倒された相手を、プレーとは関係ないところで突き飛ばしたことだったのです。

確かに報復行為は、一発レッドが当然だと思います。ただ、聞いたところではこのケースもそうだったようですが、報復行為と言われるごとく、結果レッドカードを受けた選手を挑発するような伏線が、いくらかあることが通常です。

これに乗ってしまってはダメですが、挑発する側もどうかと思います。非紳士的行為と言うやつです。フェアプレーは当然です。胸(背中?)を押されたのに、倒れて顔を覆う行為って何?と思います。

よく、審判を騙す行為、これをシミュレーションと言いますが、例えば、わざとペナルティエリア内で相手に倒されたかにアピールするプレーなどは汚いプレーだとして、カードが出されます。

これに似たようなプレーとして、『マリーシア』と言われる選手が選手を騙す例の是非が論じられることがあります。もともとの意味はずる賢いであり、別な言い方をすれば、賢くうまく振る舞うことであって、マイナスイメージではなかったようです。

しかし、フェアプレーが信条の日本では、先の挑発行為なども含めて使われることがあるようです。

ずる賢いとアンフェアとは違うと思います。この万博記念競技場での『レッドカード事件』は、もし、必死の攻防の過程で、結果的にラフと思われるプレーをして、それを報復するのは許されません。もちろん、わざと挑発されても、報復するのはアウトです。

しかし、本当にフェアプレーに徹していたのに、勘違いあるいはカツとなって『報復行為』をされたのであれば、なんで当たってもいない場所、痛くもない場所を抱えて倒れこむ必要があるでしょうか?

私は、きさらぎ法律事務所を訪れる方に、嫌いな言葉は、『競争』『勝ち負け』であることを言うのですが、権利侵害を受けた、相手に酷い目に合わされたとしてその法的対処を求められるとき、必ず申し上げることがあります。

それは絶対に相手に報復する気持ちを持ってはならないと言うことです。また、相手からの仕返し、報復を恐れてこれの対処を求められる方に対しては、ーー逆恨みは別としてーーなんでそのような行為に至らせたのか、心するよう申し上げます。報復とは応報でもあります。自分がやってしまった行為を真摯に振り返ることなくして、『報復』からの危険を背負う可能性があるからです。

私は、報復した側も、挑発した側も、スポーツマンシップ、フェアプレーの観点からは、『どっちもどっち』と考えます。残された1試合、サンフレッチェ広島のホームグランドエディオンスタジアム広島で行われる対戦では、フェアプレーに徹して、雌雄を決していただきたいと思います。

『大阪』には、これまで、そしてアビスパ福岡の『12月6日』を思うといろいろあるのですが、今回のガンバ大阪については、なんとしてもガンバって欲しいと願うものです。