日本のプロサッカー界で、その年度でいちばん長い間試合をしているのはどんな立場、状況にあるチームでしょうか?
それは、サッカーJリーグディビジョン1で、今年から始まったチャンピオンシップに出場し、その決勝戦に進出した2チーム、そして3年前から続いているJリーグディビジョン2に所属し、公式戦年間順位が3位から6位までには入って、翌年J1に所属するライセンスを保持するチーム間で行うトーナメント方式のいわゆるプレーオフで決勝戦に進出した2チームです。今年について言えば、J1は3月7日から12月5日まで、J2は3月6日から12月6日まで闘いが続いたものです。
先に行われたJ1のチャンピオンシップでは、年間総勝ち点が1位のサンフレッチェ広島が勝ち抜いて年間王者となりました。今年復活した2シーズン制に加えてこのチャンピオンシップを行うことは、過密日程もさることながら、これでは年間勝ち点を積み重ねたことが意味がないなどの批判が多いことは、あるいはこの『ひとりごと』でも述べたかもしれません。
私は、アビスパ福岡以外のチームの勝ち負けには利害関係はありませんが、やはり年間1位がチャンピオンになって良かったと思います。もっとも、ガンバ大阪の奮闘には、心打たれました。
さて、J2で最も長く試合をすることになったのは、年間3位のアビスパ福岡と年間4位のセレッソ大阪でした。J2では、年間勝ち点1位と2位のチームが翌年J1へ自動的に昇格し、残りの1枠を巡って昇格プレーオフが行われます。
2010年に年間3位でJ1へ昇格したアビスパ福岡が、翌年J1で、当時記録的と言われた○連敗したことから、簡単に3チーム昇格させるべきではないとの議論になったわけですが、私は、Jリーグの興行的側面が強いと思っています。プレーオフのお金はJリーグに入ります。これは、弱小チームアビスパサポーターの僻みでしょうね。
そんなアビスパ福岡は、これまでこの『ひとりごと』で何回もお話したとおり、今年井原正巳監督を迎え、開幕三連敗の最下位スタートをしたものの、その後順位を上げ、9月以降負けはなく、8連勝で公式戦を終え、2位のジュビロ磐田と同じ勝ち点82を確保、プレーオフの出場記録を塗り替えました。
4位のセレッソ大阪との勝ち点差15を付けてプレーオフとなったことには、いろいろ外野の意見は聞かれましたが、井原監督や選手は、まだ試合ができることを素直に喜び、いつもとおりの姿勢、プレースタイルを変えません。
きさらぎ法律事務所は、アビスパ福岡の法人後援会に登録されているわけですが、アビスパからは、雲の上の試合?のようなJ1チャンピオンシップについて、否定的な意見を表明する私は、やはり今年アビスパ福岡が残した結果から、まだ気持ちの整理が着いていなかったのでしょう。しつこいとは思いますが、今年に関しては、プレーオフが設けられた趣旨と合うのだろうかの思いはありました。
でも、プレーオフ制度は、2015年の公式戦が始まるときには決定されていたので、文句言う方がおかしいとはわかっています。しかも、アビスパ福岡は、この制度があったからこそ、年間2位になったジュビロ磐田と高いところで競い合い、ともに良い結果を残したのですから。
ただ、このプレーオフ決勝戦の会場については、ほとんどの人から、Jリーグの決定はおかしいと疑義が出されていました。私もそう思います。『中立地』で行うとされているところ、年間4位のセレッソ大阪のホームグランド『ヤンマースタジアム長居』で行われたからです。
しかも、このことは3月時点で決まっていたと後になって言ったこと、すなわち、これを発表したのはアビスパ福岡が3位、セレッソ大阪が4位につけた9月だったこともおかしいです。
ヤンマースタジアム長居で行うことが実際に決まった段階で、Jリーグは、その経緯や理由を明らかにしました。3点ほどあるのですが、ここでは省略します。ただ、結果論だとしても、ヤンマースタジアム長居は、『中立地』ではないですね。プレーオフ制度を良しとする立場の人は、年間上位チームのホームグランドで開催すべきと言います。
これは、日本のプロ野球の『クライマックスシリーズ』でもとられています。サッカー通の方々からは、サッカーの場合、圧倒的にホームチームが有利であり、実際欧州リーグ等歴史ある強豪チームが犇めくリーグでは、そのとおりの結果となっています。それが今回は、年間上位チームのホームではないどころか、年間下位チームのホームグランドで行われことには、なんの合理性もないと言うものであります。
このこと自体は、Jリーグが決めたことで、セレッソ大阪にはいかんともし難いことです。ですから、多くのサッカーファンが、年間2位チームと同じ勝ち点を確保したアビスパ福岡が、プレーオフに回ってヤンマースタジアム長居で試合することになって、アビスパを応援する気持ちを持っていただいたことは本当に嬉しいのですが、セレッソ大阪には、ホームの利はあっても、サッカーファンからの『逆風』を受けて、お気の毒思いがいたします。
アビスパ福岡井原正巳監督は、『常に謙虚であらねばならない』ことを仰っております。この井原監督が、プレーオフ決勝戦を前に、『サポーターの力が必要。みなさん長居に来てください。』と言われました。行かねばなりません。
いっぽう数週間前に就任したセレッソ大阪の監督さんは、このJリーグの決定には、素直にラッキーと言ったと伝えられます。もちろんアビスパは優勝したわけでも、J1へ昇格したわけでもなく、単に15ポイント多い勝ち点を得たに過ぎませんから、敬意を表せとは言いません。
ですが、日曜日夕刻の大阪での試合になり、福岡の子供たちは見に来れないし、福岡から駆けつけるサポーターだって、電車賃数百円ってわけありません。
この開催地問題では、せめて福岡や井原監督に対する思いやりの言葉を言えないのかと思いました。試合前には、自らを鼓舞するためでょうが、セレッソの一部選手から、公式戦最終戦から3試合続けてホームグランドでできて、移動が不要だったから、充分調整できたかの発言がありました。
コレってアビスパ福岡の選手が聞いたらどう思うのか考えなかったのでしょうか。
こんな思いの中、アビスパ福岡に関係する全てに感謝の気持ちを持って、私は、2015年12月6日、決戦の地大阪ヤンマースタジアム長居に向かいました。『2015年アビスパ福岡の奇跡の物語』にお付き合いください。