『北斗』は、北海道だけではありません。

2015年12月17日
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きさらぎ法律事務所にいらしたご相談者、依頼者からお話を伺うとき、私は、よく「どのような字を書くのですか?」とお尋ねすることがあります。

もちろん、聞き違いをしてはなりませんが、文書にするとき、間違ったら失礼でもあるし、恥ずかしい以上に、ときに別の意味に取られることがあるからです。最近は、ネット社会になり、字を知る、字を書く習慣が薄れてもいます。 まず、依頼者の相手方の氏名を正しく書けるかが入り口です。

 

弁護士は、依頼者のため、まず相手方となる側に対して、依頼を受けたことを明らかにした上で、このような権利主張や要求をする文書を送ることが第一歩です。山田さん、鈴木さんは、ほぼ類似の漢字はありませんが、下の名は、『あきこ』『けいこ』『ひろし』等、これを表す漢字はいくらでもあります。また、発音が似ていて、聞き違いをすることもあり得ます。

 

例えば、横浜市の都筑区と鶴見区は、似ています。この両区に例えば『東町』があったとしたら、ここに住む人の住民票を請求する際、都筑区東町か鶴見区東町か、しっかり確認しなけれれば、空振りになる可能性があります。

 

この関係でいちばん感じるのは、日本には同じ地名が多いと言うことです。歴史や伝説から、『富士』や『春日』がつく地名、『五日市』『八日市』等が各地にあることはわかります。以前トラベルミステリーで、『郡山』がキーポイントになったドラマがありました。京都に居た人間が、『郡山』を通って青森駅に行ったアリバイらしき証拠が出てきました。

 

しかし、その日は、新幹線にトラブルがあって、『郡山』を通ってその時間に青森に到着することは不可能だったことから、実際青森県警の捜査官が『郡山駅』に行ったところ、『郡山駅』は、福島県と奈良県にあることがわかったと言うものです。犯人は、京都から奈良県の『郡山駅』で写真を撮ってあたかも福島県の『郡山』に居たかにアリバイ工作して、当時大阪駅から京都を通って湖西線、北陸本線、羽越本線、奥羽本線を経由して青森駅まで運行されていた『特急白鳥』に乗車していたことが判明したと言うストーリーでした。 『福岡県』が、黒田52万石の初代藩主黒田長政の曽祖父の出身地備前『福岡』から来たことはよく知られています。

『府中』『山田』大野』など全国にありますね。

郵便番号は、この区別を事務処理するために生まれた面があるとも言われていました。その土地で暮らす人は、同じ地名が他所にあるとの認識がないのに、これまで『東京都府中市』とわざわざ書く面倒が、郵便番号により回避されたとも言われます。 ある北海道物産展での話です。私は、地理や鉄道にはかなり明るいほうだといつも申します。

 

この『ひとりごと』でも取り上げた北海道北斗市から海産物を出していた店舗で塩辛を買った後、北海道新幹線の話をしたら、「よく、北斗市をご存知で…。」と感嘆され、これに続けて、「そう言えばあるお客さんが、『別のほくとしがあるのを初めて知った』と言われました」と話題にしたのです。私から「山梨県の北杜市でしょ」と応じますと、また「よくご存知で…。」となったわけです。

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山梨県の北杜市は、八ヶ岳の入り口須玉、白州、長坂等を構成する山紫水明の地と言われます。でも、今の私は、この北杜市小淵沢町にある帝京第三高等学校を卒業したアビスパ福岡サイドバック、亀川まさし選手の印象が残ります。

 

そして、『北斗!』と言えば、アビスパ福岡中村北斗選手ですね。J1昇格プレーオフ決勝戦後半42分にゴールを決めた長崎県国見高校出身のアビスパサポーターから愛され続けて7年ぶりにアビスパ福岡に戻って来て、大きな本当に大きな仕事をした北斗!です。

 

北斗のゴールは、同じサイドバックとして駆け上がったカメッシーからのパスでした。そんな『北斗』に思いを巡らせて、また依頼者との打ち合わせに入る日時に戻りました。

 

「隣の人のために、そして周りの人のために…。」アビスパ福岡城後寿選手の言葉から。

2015年12月16日

2015年12月6日、大阪長居の夜の歓喜は、忘れることはないでしょう。

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アビスパ福岡井原正巳監督は、かつてサッカー日本代表のDFとして、国際Aマッチ出場回数は歴代2位、W杯アメリカ大会へのアジア最終予選での『ドーハーの悲劇』、4年後日本代表主将として臨んだW杯フランス代表へのアジア最後の切符をかけた『ジョホールバルの歓喜』を経験した方です。

 

その井原正巳監督が、『長居の歓喜』が訪れたその瞬間、微かに涙を見せました。

 

寡黙で真面目な井原正巳監督、これまでの思いが込み上げて来たのでしょう。 サッカーJリーグJ1昇格プレーオフには様々な意見がありました。特にアビスパ福岡が初出場となった今年は、勝ち点差や会場の件では、Jリーグへの批判的意見が多く、その分アビスパ福岡を応援する方々がいらしたことは事実だと思います。

 

上位チームのアドバンテージと言われる同点の場合は、年間上位チームを進出と認めると言う規定も、上位チームには戦い方を難しくして、これまで過去3回、決勝戦では全て下位チームが勝利する結果となっておりました。

 

ところが、アビスパ福岡は、このジンクス?も打破しました。アビスパ福岡対セレッソ大阪の対戦は、1対1の同点でした。アビスパは、試合に勝ったわけではありません。 いつもとおりやれば良い、謙虚に戦うことを信念とする井原正巳監督のもと、城後寿主将は、ホーム最終戦の後こう言いました。「自分を信じ、仲間を信じ、これまでやってきた、関わった全てを信じ奇跡を起こす」と……。奇跡は起きたのです。彼らは起こしたのです。

 

結果的に、Jリーグがプレーオフを行うにあたり決めたルールにより、同点で昇格できました。これは2015年の公式戦を謙虚に戦ったご褒美のような気がします。勝ち点差15は伊達じゃなかったと言うことです。井原正巳監督以下アビスパ福岡の関係者は、決勝戦は『中立地』で行うとのJリーグの規定を云々することなく、規定とおり、自分たちのいつもとおりに試合をしたわけです。アドバンテージまで味方にした素晴らしい1年の締めくくりでした。

 

井原正巳氏とは、ワールドカップフランス大会をともにしたジュビロ磐田の名波浩監督は、プレーオフ決勝戦の後、こんな秘話を明かしました。ジュビロ磐田とアビスパ福岡は、リーグ戦最後まで競い合ったライバルでありました。

 

最終戦でともに勝利し、同じ勝ち点ながら、得失点差によりジュビロ磐田がJ2の年間2位となって自動昇格を決めて、磐田に帰ったころ、誰よりも早く井原正巳氏から「おめでとう」の電話が入ったのだそうです。名波浩監督は、「あの状態で電話される器の大きさに感動した」と言いました。その井原正巳監督、アビスパ福岡が昇格を決めた長居での後半42分に起きた同点ゴールについて、「チームの力、サポーターの力が乗り移った」と評しました。

 

中村北斗選手の同点ゴール、私の目の前に飛び込んできました。試合後評論家?からは、10回に1回(あるいは100回に1回と言ったか?)あるかないかのゴールだと論評していました。 試合後嬉しかったのは、アビスパ福岡のサポーター席から、「セレッソ大阪!」コールがなされたことです。相手チームが居たからこそ、このような歓喜の瞬間に身を置くことができました。もちろん、この結果は、相手チームサポーターは、直ぐに受け入れることはできないと思います。

 

ただ、項垂れて挨拶に来た選手たちに向けて、心無い横断幕が示されたことは、『チームアビスパ』とは対照的でした。あんなもの、試合前から準備していたことに驚きました。途中交代したもと日本代表で、ワールドカップでも得点したセレッソの選手が、仲間たちがいるベンチに戻らず、コーナーブラック近くに座って、スパイクをいじっている姿も??でした。 少し落ち着いたころ、城後寿主将は、インタビューでこんなことを言っていました。

 

「隣の人のために、そして周りの人のために、それがチームのために繋がった」。

 

ひとりひとりがみんなのために、自分ができることを謙虚に行うことの大切さだと思いました。人がついてくるには、まず自分に謙虚で自分を信じること、そして仲間たちと一体となって事を成す、これは2015年井原アビスパから学んだ大きな本当に大きな感動と財産でした。 この年になって、涙が止まらない経験をするとは思いもよらないことでした。

 

城後主将は、続けて、「福岡の街をもっと知ってもらいたい」と述べたそうです。彼は、福岡県でサッカーをすることに意味があるといつも言っていました。福岡県出身アビスパ福岡一筋『ミスターアビスパ』城後寿選手の言葉を受けて、私もあちらこちらで、さらに福岡の話をしていくことになるでしょう。

 

そんな思いで帰京しましたら、知り合いから早速お祝い?のメッセージが入りました。曰く、「テレビに映っていましたよ!笑」

 

アビスパ福岡奇跡の物語は完成しました!

2015年12月15日

2015年12月6日、私は、きさらぎ法律事務所が法人後援会に登録されいるサッカーJリーグディビジョン2に属するアビスパ福岡のJ1昇格をかけた一戦を応援するため、大阪市にあるヤンマースタジアム長居に向かいました。

 

先にご説明したとおり、J1昇格プレーオフと言うルールがあるので、今年J2では2位と同じ勝ち点を納めながら3位となったアビスパ福岡は、昇格プレーオフに出場することになりました。

 

4位との勝ち点差15で、プレーオフ決勝戦の会場が、公式戦年間4位でプレーオフ決勝戦に出場することになったセレッソ大阪のホームグランドヤンマースタジアム長居で行われることから、サッカーファンからは『同情票?』をもらい、また、最後までJ2の公式戦を闘い、先にJ1への自動昇格を決めた大宮アルディージャ、ジュビロ磐田や、ともにプレーオフを闘った愛媛と長崎からは、特にエールを受けての最終節に向かったものでした。

 

まず、決戦の地大阪には、福岡県に本社を置くスターフライヤーの航空機で、関西空港に入りました。機内のビデオでみるNHKニュースでは、バックに福岡市はもとより、筑後、筑豊、宗像等の県内の天気予報がアップされていて、福岡に思いを馳せました。私と同じように、アビスパ福岡のチームカラーであるブルーを身に纏ったサポーターが、羽田から関空に向う機内に何人もおりました。
大阪市内に入ってからは、『九州勝つ!』の縁起を担いで串カツとビールで気持ちを高め、開門時刻のとなる試合開始時刻の2時間半前に、ヤンマースタジアム長居に着けました。福岡からだけではなく、全国各地からのアビスパ福岡サポーターが集まっております。

 

怪我でもされたのか、足を引き摺って行列に並ぶ人、大きな旅行鞄を持つ人、スーツ姿の人、他チームのレプリカを着用して、その上にあえてブルーの服を引っ掛けている人等等、チームサポーター、そしてアビスパ福岡を応援する全ての人がひとつに纏まって、もう試合開始前から感動しっぱなしでした。

ヤンマースタジアム長居では、アビスパ福岡サポーターは、アウェイとなります。早くからコアサポさんがいろいろ準備し、また、選手に気持ちを届ける応援の一体化等を説明し、ときは流れました。そして、アビスパ福岡川森社長がいらして、大阪まで来たサポーターに対してお礼を言われ、ともに闘うメッセージを発せられました。

 

なお、この人が来るとアビスパは負けない!と言うジンクスがある芸人さんには、地下鉄長居駅で会い、『お願い』してきました。マスコットアビーくんも、福岡から?来て、ハイタッチしてくれました。チャントと言われる応援の歌を繰り返し歌い続けました。後で聞いたところ、この日のヤンマースタジアム長居の観客は約2万9000人で、そのうち3分の1が福岡の応援だったようです。
さて、午後3時35分にキックオフとなった試合のほうは、前半は0対0でハーフタイムに入りました。今年のアビスパ福岡対セレッソ大阪の公式戦は、ホームアウェイとも、アビスパが1対0で勝利しています。しかし、この日のセレッソは強かった。元日本代表、現日本代表等のタレントが大量にいるセレッソは、個の力でアビスパを圧倒してきました。

 

でも、全員で守り攻めるアビスパは、この日も普段とおりの試合をしたと思います。圧倒的多数派のサポーターの前で負けられないのはせレッソ大阪も同じ、まして年間順位が下でありながら、Jリーグの決定によりホームグランドで試合できる『アドバンテージ』がありながら昇格を逃せば、何を言われるかわからないとの危機感もあったでしょう。

 

 

そんなそれぞれの思いがピッチで錯綜する中、後半15分に、いわば個人技で、セレッソ大阪が先制したのです。
アビスパは、今年先制した試合では負けたことはありません。1対0のスコアで勝ったことも多いです。しかし大切な最後の試合で先制点を奪われました。焦らないわけがありません。

 

でも、井原正巳監督は冷静でした。この展開を予想して練習してきたのだそうです。勝負はこれから、順次選手交代をして、全員守備から全員攻撃の視点を失わず、後半42分にアビスパ福岡は、同点に追いつくことができたものです。

 
これまで何回かアビスパ福岡の試合は観戦しました。ホームグランドレベルファイブスタジアムをほぼ満員にした2015年ホーム最終戦、そして過去2回J1への昇格を決めた11月23日に行われた本年度リーグ戦最終試合となった長良川競技場での試合、それぞれ熱の籠った観客席でした。でも、このときは、まだサッカーを見ている観はありました。

 

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この日、ヤンマースタジアム長居でのこの試合、サッカーを見ているのではなく、このグランド、観客席と一体となり、ただ、ここに居る仲間たちとひとつのことに夢中になる、そして同じ気持ちを持って成し遂げる、ただそれだけだったように思いました。来て良かったと思った瞬間でした。ただ涙が止まりませんでした。
アビスパ福岡のサポーターの一部、コアサポと言われるグルーブは、過去何回か『事件』を起こしたことがあります。かなりの批判を受け、アビスパを応援する人たちからも、未だ批判的意見は多いです。

 

そんな彼らも学んだのだと思います。フロント経営陣が、監督が、そして選手が今年変わりました。井原正巳監督になり、選手たち皆が言う謙虚さが大切と知りました。先日対戦したVファーレン長崎サポーターからいただいたエール、こうしてアビスパとは関係ない方たちもスタジアムに来て応援してくれる、井原アビスパになってこれまでサッカーに関心がなかった人も観戦してくれる、まさに『チームアビスパ』となった感があります。

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隣にいる人を大切にする姿勢を感じ取れました。スポーツっていいなを実感した日でありました。

 

関西空港に向かう時間を気にしながらも、いつまでもこの仲間たちと感動の余韻に浸っていたかった師走の大阪長居の夜でした。

 

アビスパ福岡ありがとう!

2015年アビスパ福岡奇跡の物語最終章へ

2015年12月14日

日本のプロサッカー界で、その年度でいちばん長い間試合をしているのはどんな立場、状況にあるチームでしょうか?

 

それは、サッカーJリーグディビジョン1で、今年から始まったチャンピオンシップに出場し、その決勝戦に進出した2チーム、そして3年前から続いているJリーグディビジョン2に所属し、公式戦年間順位が3位から6位までには入って、翌年J1に所属するライセンスを保持するチーム間で行うトーナメント方式のいわゆるプレーオフで決勝戦に進出した2チームです。今年について言えば、J1は3月7日から12月5日まで、J2は3月6日から12月6日まで闘いが続いたものです。
先に行われたJ1のチャンピオンシップでは、年間総勝ち点が1位のサンフレッチェ広島が勝ち抜いて年間王者となりました。今年復活した2シーズン制に加えてこのチャンピオンシップを行うことは、過密日程もさることながら、これでは年間勝ち点を積み重ねたことが意味がないなどの批判が多いことは、あるいはこの『ひとりごと』でも述べたかもしれません。

 

私は、アビスパ福岡以外のチームの勝ち負けには利害関係はありませんが、やはり年間1位がチャンピオンになって良かったと思います。もっとも、ガンバ大阪の奮闘には、心打たれました。

さて、J2で最も長く試合をすることになったのは、年間3位のアビスパ福岡と年間4位のセレッソ大阪でした。J2では、年間勝ち点1位と2位のチームが翌年J1へ自動的に昇格し、残りの1枠を巡って昇格プレーオフが行われます。

 

 

2010年に年間3位でJ1へ昇格したアビスパ福岡が、翌年J1で、当時記録的と言われた○連敗したことから、簡単に3チーム昇格させるべきではないとの議論になったわけですが、私は、Jリーグの興行的側面が強いと思っています。プレーオフのお金はJリーグに入ります。これは、弱小チームアビスパサポーターの僻みでしょうね。
そんなアビスパ福岡は、これまでこの『ひとりごと』で何回もお話したとおり、今年井原正巳監督を迎え、開幕三連敗の最下位スタートをしたものの、その後順位を上げ、9月以降負けはなく、8連勝で公式戦を終え、2位のジュビロ磐田と同じ勝ち点82を確保、プレーオフの出場記録を塗り替えました。

 

4位のセレッソ大阪との勝ち点差15を付けてプレーオフとなったことには、いろいろ外野の意見は聞かれましたが、井原監督や選手は、まだ試合ができることを素直に喜び、いつもとおりの姿勢、プレースタイルを変えません。

きさらぎ法律事務所は、アビスパ福岡の法人後援会に登録されているわけですが、アビスパからは、雲の上の試合?のようなJ1チャンピオンシップについて、否定的な意見を表明する私は、やはり今年アビスパ福岡が残した結果から、まだ気持ちの整理が着いていなかったのでしょう。しつこいとは思いますが、今年に関しては、プレーオフが設けられた趣旨と合うのだろうかの思いはありました。
でも、プレーオフ制度は、2015年の公式戦が始まるときには決定されていたので、文句言う方がおかしいとはわかっています。しかも、アビスパ福岡は、この制度があったからこそ、年間2位になったジュビロ磐田と高いところで競い合い、ともに良い結果を残したのですから。

 

ただ、このプレーオフ決勝戦の会場については、ほとんどの人から、Jリーグの決定はおかしいと疑義が出されていました。私もそう思います。『中立地』で行うとされているところ、年間4位のセレッソ大阪のホームグランド『ヤンマースタジアム長居』で行われたからです。

 

しかも、このことは3月時点で決まっていたと後になって言ったこと、すなわち、これを発表したのはアビスパ福岡が3位、セレッソ大阪が4位につけた9月だったこともおかしいです。
ヤンマースタジアム長居で行うことが実際に決まった段階で、Jリーグは、その経緯や理由を明らかにしました。3点ほどあるのですが、ここでは省略します。ただ、結果論だとしても、ヤンマースタジアム長居は、『中立地』ではないですね。プレーオフ制度を良しとする立場の人は、年間上位チームのホームグランドで開催すべきと言います。

 

これは、日本のプロ野球の『クライマックスシリーズ』でもとられています。サッカー通の方々からは、サッカーの場合、圧倒的にホームチームが有利であり、実際欧州リーグ等歴史ある強豪チームが犇めくリーグでは、そのとおりの結果となっています。それが今回は、年間上位チームのホームではないどころか、年間下位チームのホームグランドで行われことには、なんの合理性もないと言うものであります。
このこと自体は、Jリーグが決めたことで、セレッソ大阪にはいかんともし難いことです。ですから、多くのサッカーファンが、年間2位チームと同じ勝ち点を確保したアビスパ福岡が、プレーオフに回ってヤンマースタジアム長居で試合することになって、アビスパを応援する気持ちを持っていただいたことは本当に嬉しいのですが、セレッソ大阪には、ホームの利はあっても、サッカーファンからの『逆風』を受けて、お気の毒思いがいたします。

 

アビスパ福岡井原正巳監督は、『常に謙虚であらねばならない』ことを仰っております。この井原監督が、プレーオフ決勝戦を前に、『サポーターの力が必要。みなさん長居に来てください。』と言われました。行かねばなりません。
いっぽう数週間前に就任したセレッソ大阪の監督さんは、このJリーグの決定には、素直にラッキーと言ったと伝えられます。もちろんアビスパは優勝したわけでも、J1へ昇格したわけでもなく、単に15ポイント多い勝ち点を得たに過ぎませんから、敬意を表せとは言いません。

 

ですが、日曜日夕刻の大阪での試合になり、福岡の子供たちは見に来れないし、福岡から駆けつけるサポーターだって、電車賃数百円ってわけありません。

 

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この開催地問題では、せめて福岡や井原監督に対する思いやりの言葉を言えないのかと思いました。試合前には、自らを鼓舞するためでょうが、セレッソの一部選手から、公式戦最終戦から3試合続けてホームグランドでできて、移動が不要だったから、充分調整できたかの発言がありました。

コレってアビスパ福岡の選手が聞いたらどう思うのか考えなかったのでしょうか。

 

こんな思いの中、アビスパ福岡に関係する全てに感謝の気持ちを持って、私は、2015年12月6日、決戦の地大阪ヤンマースタジアム長居に向かいました。『2015年アビスパ福岡の奇跡の物語』にお付き合いください。

きさらぎ法律事務所の依頼者は、報復を潔しとしない方ばかりです。

2015年12月11日
明治安田生命Jリーグチャンピオンシップ第1戦サンフレッチェ広島対ガンバ大阪の試合は、ガンバ大阪のホーム万博記念競技場で行われました。チャンピオンシップ、略してCSは、今年から2シーズン制となったJ1で、年間勝ち点最高のチーム、ファーストおよびセカンドで1位となったチームなど最大5チームが参加して基本的にトーナメントを戦い、勝ち抜いたチームを年間王者とするものです。

J1を2シーズン制にすること、ましてそれぞれの1位もしくは年間1位を日本一とするのではなく、最大5チームをレギュラーシーズン終了後にトーナメントで競わせてチャンピオンを決めるやり方には、サッカーファンやスポーツコメンテーター等からは、かなり批判的意見が出されていました。

新制度初の今年は、結果として参加したのは3チームでしたが、私も、なんでこんなことする必要あるの?と否定派です。それは、たとえ2シーズン制であるにしても、年間1位がなんで1位ではないの?の疑問は消えませんし、各トーナメントにより一発勝負であったり、アウェイゴールとか複雑な上に、過密日程で選手の健康体調を無視して、興業主義に走り過ぎている感が否めないからなのです。

こうして始まったCSですが、初戦を年間3位のガンバ大阪が、ファーストステージ1位の浦和レッズを延長戦の末下して決勝に進んで、年間1位で、セカンドステージ1位でもあるサンフレッチェ広島と対戦したのが、冒頭挙げた万博記念競技場でのホーム&アウェイ方式の一戦でありました。

この試合、久しぶりに民間地上波で放送され、平日であったのに、多くのファンが見たようです。そして、素晴らしい試合、こんな試合が見たかった、日本代表戦より見応えがあった、これでJリーグ人気が出る、両チームの選手たちに拍手等等、好評だったようです。

前半0対0の試合が後半途中から動き出し、後半アディショナルタイムに2点取った広島が、3対2で勝利しました。

この結果に至ったのは、勝っていたガンバ大阪の選手が、いわゆるレッドカードを受けて退場となり、1人少なくなった大阪は、広島の波状攻撃を受け続け、流れが変わったからだと言われるのです。サッカーで、一発レッドは、ゴールキーパーとの1対1のような決定的得点チャンスを潰したケース以外では、故意の乱暴行為や審判等に対する暴言がなされた極めて悪質なケースとされます。

この試合でのレッドカードは、いわゆる報復行為とされるもので、プレー中に倒された相手を、プレーとは関係ないところで突き飛ばしたことだったのです。

確かに報復行為は、一発レッドが当然だと思います。ただ、聞いたところではこのケースもそうだったようですが、報復行為と言われるごとく、結果レッドカードを受けた選手を挑発するような伏線が、いくらかあることが通常です。

これに乗ってしまってはダメですが、挑発する側もどうかと思います。非紳士的行為と言うやつです。フェアプレーは当然です。胸(背中?)を押されたのに、倒れて顔を覆う行為って何?と思います。

よく、審判を騙す行為、これをシミュレーションと言いますが、例えば、わざとペナルティエリア内で相手に倒されたかにアピールするプレーなどは汚いプレーだとして、カードが出されます。

これに似たようなプレーとして、『マリーシア』と言われる選手が選手を騙す例の是非が論じられることがあります。もともとの意味はずる賢いであり、別な言い方をすれば、賢くうまく振る舞うことであって、マイナスイメージではなかったようです。

しかし、フェアプレーが信条の日本では、先の挑発行為なども含めて使われることがあるようです。

ずる賢いとアンフェアとは違うと思います。この万博記念競技場での『レッドカード事件』は、もし、必死の攻防の過程で、結果的にラフと思われるプレーをして、それを報復するのは許されません。もちろん、わざと挑発されても、報復するのはアウトです。

しかし、本当にフェアプレーに徹していたのに、勘違いあるいはカツとなって『報復行為』をされたのであれば、なんで当たってもいない場所、痛くもない場所を抱えて倒れこむ必要があるでしょうか?

私は、きさらぎ法律事務所を訪れる方に、嫌いな言葉は、『競争』『勝ち負け』であることを言うのですが、権利侵害を受けた、相手に酷い目に合わされたとしてその法的対処を求められるとき、必ず申し上げることがあります。

それは絶対に相手に報復する気持ちを持ってはならないと言うことです。また、相手からの仕返し、報復を恐れてこれの対処を求められる方に対しては、ーー逆恨みは別としてーーなんでそのような行為に至らせたのか、心するよう申し上げます。報復とは応報でもあります。自分がやってしまった行為を真摯に振り返ることなくして、『報復』からの危険を背負う可能性があるからです。

私は、報復した側も、挑発した側も、スポーツマンシップ、フェアプレーの観点からは、『どっちもどっち』と考えます。残された1試合、サンフレッチェ広島のホームグランドエディオンスタジアム広島で行われる対戦では、フェアプレーに徹して、雌雄を決していただきたいと思います。

『大阪』には、これまで、そしてアビスパ福岡の『12月6日』を思うといろいろあるのですが、今回のガンバ大阪については、なんとしてもガンバって欲しいと願うものです。

 

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