目の前のお客様よりも、明日のお客様を大切にする姿勢について。

2016年1月13日
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昨年流行った言葉のひとつに『爆買い』があります。


主として日本を訪れるアジア系団体客の有様を言うものでしたが、まとめ買いをする場合に、普通に用いられるようになってきたようです。

爆買いは、ひとつの経済となり、例えば爆買いをするお客様目当ての商売が、生まれてもおります。地方空港に外国の航空会社のチャーター機を受け入れ、そこから貸切バスを出して量販店を巡るツアー等、活用されているようです。

大量のまとめ買いは、別の形態で古くから存在していました。いわゆるダブ屋による買い占めと転売です。チケット入手が困難なアーチストのコンサート会場等には、「チケット買うよ」とか、「チケットあるよ」の声を出しているお兄さんの姿を見ることがあります。


アレを見ると、何と無く嫌だなのイメージがあると思われますが、転売して利鞘を稼ぐこと自体がダメと言うわけではなく、公共の場所で人を呼びかけ、つきまとい、ビラ等を配ることが公共の迷惑だとして、各自治体の条例で取り締まるに届まります。

いっぼうでは、どうしても、高くても良いからチケットが欲しい人はいるもので、何らかの事情で購入したチケットを利用できず、無駄になってしまうのは、社会的経済的にももったいないとの考えもあり、一律に法律で違法とはできないのです。条例で問題になるのは、転売目的での買い占めと、現実の売り買いです。

最近では、いわゆるネットオークションが流行っており、チケット等が出されることがあります。もともとは、所有する不要物を処分するにあたって、幾らかの対価を得ようとすることから始まり、ある人には不要となった物でも、また別の人には意義がある物もありると思います。

私は数年前、ある破産事件で、生活保護を受給するにあたり、なんでも換価できるものは処分しなさいと自治体に言われて、なけなしの金額を得るのと引き換えに、オークションに出品された方の事例を経験しました。

しかし、ネット上で、転売による利鞘稼ぎが露骨に見受けられるようになって、主催または管理会社より、出品禁止例が出されたり、チケットそのものに、転売はできない仕組みや約定を設けるケースも増えています。

私たち夫婦は、『コブクロ』のコンサートに行きますが、数年前に、絶対に購入者本人以外には渡らないようシステムが構築され、慣れない人がたくさんいて、混乱が生じたことを覚えています。結果、周囲にインターネットを操作できる人がいない方は対応困難になり、ファンが増えているとは思えない状況です。

大量購入された物は転売禁止すべきかどうかについては、一律にこうだ!と言い切ることには躊躇します。さらに進んで、転売目的でのまとめ買い、要するに『爆買い』については、さまざまな意見があると思います。


さて、新年の名物『福袋』を巡って、ネット上で議論されている『事件』があります。それは、全国展開するあるコーヒー喫茶業の店舗が、福袋108袋を用意したところ、開店前に簡易椅子を並べて場所取りしていた5名のグループが、開店と同時に車の中から現れて、用意された108袋全部を買い占めたと言う事件がこれです。

ネット上では、この『爆買い』?したグループへの非難はもとより、この店舗の対応を問題視する意見が多く寄せられているようです。店とすれば、誰に売っても同額であり、早くさばけたのかもしれないが、長い時間待たされた挙句、福袋を買えなかったお客さんに対してあんまりだと言うわけです。確かに経済的には同じであり、誰に売る売らないは店舗と客の契約の自由だとは言えるでしょう。


でも、店舗にとってのお客様は、この買い占め5人組だけではないはず、こんな経験をした店舗には、もう行きたくないと考えるお客様予備軍がいたとしてもおかしくありません。この日、店舗前に並んだ人、そしてこの情報を知った人は、この店舗に対して、肯定的な評価はしないと思います。実際、この業者の福袋は、ネットで購入額以上の価額で落札されているとのことで、買い占め5人組と思われる人物が、得意気にポーズする写メも出ていたそうです。

私が言いたいのは、この店舗は、お客さんを逃したと言うことです。この店舗を運営する会社は、マニュアル化が進んでいるとも、また、店員ひとりひとりの対応が素晴らしいとも評されたことがあると聞きます。実際今回の福袋の販売にあたっても、ひとりあたりの購入数を制限した店舗もあるのです。


要は、店側は、転売目的かどうかを判断するのではなく、並んだ、購入しようとした人全てが、明日のお客様だと思って対応できたかどうかだと思います。

きさらぎ法律事務所では、事務所内での初回相談は、無料です。相談時間の制限も設けておりません。


よく、「採算合うの?」と聞かれます。本来有償である法律相談を無償としているのですから、その相談者との関係で言えは、採算なんてあるわけないことは、数字上明らかです。てすが、私は、もちろん来ていただいた方に、充分満足していただくことが、ブロとしての対価には変えられない自己満足の部分もありますが、こうして事務所に来て、福本悟を知った方が、『明日のお客様』を連れて来られることを期待しているのです。


目の前にあるもの、そこにいる人だけが全てではないと思うことを、このひとりごとのまとめといたします。