今年も首都圏に降雪があり、例によって交通機関は乱れました。 羽田空港は、除雪と点検のために、使用可能な滑走路を減らすので、欠航遅延が発生します。前日にはこの降雪の予報が出ていて、通勤通学は余裕を持って、また、スノータイヤ、チェーンなしの自動車の運転は見合わせるよう案内されておりました。それでも雪は、通勤時間帯には雨に変わっていたのに、交通機関の乱れを防ぐことはできなかったようです。 首都圏が雪に弱いことは、60年近く東京に暮らしていると、もう慣れっこです。でも、それだけ学習していないと言うか、諦めか開き直りのようにも思えます。でも、少しは努力のあとは見られました。確か17、18年くらい前に、東京都内が1月に2回、かなりの降雪に見舞われた年がありました。 その年の『2度目』の雪の日、京王電鉄だけは、ほとんど影響なく運行されていたのでした。それは、1度目のときの経験から、雪の予報が出たら、前夜は、終日線路に回送電車を走らせて、点検を兼ねて、レールの凍結等を防ぐ措置をしたからです。 京王電鉄は、東京新宿と八王子を結ぶ本線と、相模原市橋本を結ぶ相模原線があります。高尾山の入り口や、トンネル区間が存在する多摩地区から、神奈川県県北を繋いでいる路線ですから、雪との付き合いは当たり前、レールの幅も広く、もともと雪や風には強いとは言われておりました。先にご説明した件の大雪の日の対策は、その後多くの鉄道会社が参考にして取り入れていると聞きおよびます。 首都圏の交通網にも、多くの影響が出た東日本大震災が発生した平成23年3月11日、地下鉄以外の首都圏の鉄道では、最初に運転が再開されたのも京王線でした。 ところが、今年1月18日の降雪により、最も深刻な影響が出たのは京王線だろうと言われます。案内では、『雪のため』と発表されていましたが、時間が経つにつれ、利用者からは、降雪が直接の原因ではないとの指摘がなされているのです。朝6時ころに、風雪のためであろうと言われる線路内への倒木が起きました。 そして、その場所が、京王線最大の車両基地に近い場所だったことから、車両基地内の架線にも影響し、上り新宿方面を塞ぐかたちで倒木が横たわって、結果車両基地、すなわち電車の車庫から新宿方面には、電車を出すことができなくなってしまったのです。 朝早い時間でしたから、車両基地を出て、運行されている車両は少ないのです。京王電鉄では、通常の3割程度のダイヤだとしていましたが、京王線利用者からは、京王線本線内には、3両しか電車は出ていないなんて、ツイートされていました。本当にそれが3両だけなのかわかりませんが、既に車両基地を出ていた車両だけをやり繰りして、運行せざるを得ない事態ではあったのです。実際2時間は待たされるくらいの運転間隔だったようです。京王線の各駅では、入場規制がなされ、ようやくやってきた電車には、満員で乗車できません。乗客の苦情や体調不良等で、てんやわんやだったようです。 ツイートの多くにありましたが、3両かどうかは別として、ほとんど電車を走られせることができないのですから、車両基地から電車が出てこられる見通しが容易につかないのであれば、京王線は、運休にすべきではなかったでしょうか?待てども電車は来ない、来ても乗れないのでは、お客様のストレスは、相当なものでしょう。 何処かのテーマパークの⚪️⚪️分待ちではあるまいし、440時間遅れなんて、乗客は、こんな電車利用ができるものではなく、運転していないほうがまだ、スッキリできるのではと思います。 要するに、今回の京王線は、降雪のために間引き運転していたのではなく、実際車両基地から出て、路線内を運転中のわずか数両で、やり繰りするしか無く、倒木等のために、車両基地から、カラの車両を出すことができなかったことが、列車遅延を生じさせた原因なのです。それを、『雪のため遅延』とするのは、相当な違和感があります。 そして、復旧作業が完了し、車両基地から電車が出られるまでの間、なんで全線運転見合わせにしなかったのでしょう。車両基地がやられた!とは露わにしたくなかったのでしょうか。今回のアクシデントは、車両基地と言う本丸がやられたら、公共交通機関が脆いのだと知る契機となった点で、皆さん「お疲れ様」と言うことにしておきましょう。