パートナーを愛すると言うことは、思いやる心を持つことです。

2016年1月29日
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きさらぎ法律事務所弁護士福本悟は、家庭裁判所に関わる事案が多いことは、この『ひとりごと』でもよく書いております。

 

家庭家族に関する問題と言えば、相続や遺産分割、離婚、婚姻外男女関係等です。昨年末からこのところ、『マイナンバーカード』の取り扱いで、数多くの依頼者の相手方とやりとりする機会があり、別居中で、まだ離婚に至っていないご 夫婦は、随分いらっしゃると改めて感じた次第です。

 

こんなことを申せば、ご依頼者から、「何を呑気なことを言って!しっかり仕事しろ!」とお叱りを受けるでしょう。ここでこんな話をするのは、この『ひとりごと』を愛読される方に、『愛するってなんだろう』『夫婦ってなんだろう』としばし考えていただきたいからです。

 

きさらぎ法律事務所にお越しいただいた段階では、離婚を希望しない方はおられます。

 

理由はいろいろです。自分は悪くない、離婚される理由はない、配偶者を愛している、相手のほうが悪い、突然離婚や別居を言い出すのは納得できない等等。きさらぎ法律事務所内での初回の相談は無料で、時間制限はありません。

 

じっくりお話を伺います。そしてご相談者が抱える悩みやトラブルに関して、何が問題か、どうすれば良いか、着地点収めどころはどこか、私の見たて考えを申します。そして、離婚を求められた、しかし先に挙げたような理由を述べられて離婚したくないを言われた方ほとんどが、ご自身が気づかなかった、あるいは気づくことを恐れた、認めたくなかった『離婚をしたくない本当の理由』『離婚を拒絶しなければ ならない事情』が露わとなり、離婚を前提にどうするか、要するに、ご自分がしあわせになるにはどうすればよいのかを、弁護士福本と一緒に考えていく選択をなされます。

 

離婚を拒絶することだけでしあわせになれるのか、じっくりゆっくり考えていくのです。 これまたよく言う言葉があります。『パートナーを愛せなくなったら離婚。パートナーから愛されなくなったら離婚』です。離婚を拒絶される方は、本当にこれほど自分を嫌いだ!と表明したパートナーを、心の底から愛しているいると本心から言えますか?恋愛とは違い、家族であり、ひとつの社会•組織を形成します。

 

そこには相手に対して、また社会に対して、責任が伴うはずです。社会に対する責任?全然福本悟らしくないじゃんと指摘されそうです。

 

社会の中で生きていく相互の責任とでも言っておきましょう。ふたりが同じ方向を見なければ、ひずみが露わになるだけだと思います。絶対自分は正しい(それはそうかもしれまそんが)、だからと言って、パートナーが嫌がることをするとどうなるでしょう。

 

元には戻れません。 最近良いことを言うな、これだなと思える記事を見つけました。

 

ある経済誌に掲載されていた家庭問題相談•人生相談のコーナーでのあるカウンセラー?の解説です。それは、夫婦の場合、『愛している』が根本、ただしこの『愛している』は、パートナーに対する『思いやる心』なのだと言うことです。結婚生活で最も大切なことは、相手を思いやる心、お互いに居心地良い家庭であるためには、相手が何を望み、何を不満とするかを知ることが、結婚生活の基本と書かれておりました。 この話に引き込まれました。

 

さらに例は続きます。夫婦相互が衝突する場合は、そのほとんどが、あうんの呼吸で歩み寄ったり、話し合いで支えあったり、納得して犠牲を払いながら家庭を築いていく。それは納得の上で、より良い家庭を作るためであるから犠牲とは思わない。その思いやり、すなわち愛は、以心伝心か言葉や行為で伝わっていなければならないと言うことなのだと言われます。 すなわち、離婚を求める人、それは数年間悩み続けて判断し、行動します。

 

それは全く予想しなかった側にとっては不意打ちであり、勝手であり、理不尽だとなります。でも、そのパートナーは、ずっと悩んでいたわけです。

 

『側にいる人に心が通じないのは、ひとりでいる孤独よりもっと辛い』。

 

 

これはまさに当職が、どうしでも離婚に応じていただけない相手方に、しばしば申し上げることでもあります。それは気づかない相手方を責めるのではありません。ただ、『思いやる心』があれば、それぞれの思いが通じないことはない、それは、離婚を拒絶しているあなたも実は当時、心が離れていたのです。

 

何も言われない、何も変わらないことに慣れていただけです。それは、パートナーに対する思いやりではなかったのです。 もちろん、離婚を強いられることについては、相応の手厚い保護を受ける必要はあります。離婚を拒絶される方のほとんどは、本当は、ここまでの生活に慣れてしまい、困っていなかったので、これが変わることによる不安ゆえに、『離婚したくない』と言われるのが現実です。

 

厳しい言い方をしますが、それは愛している、すなわちパートナーを思いやる心はある、と言うのではありません。単に離婚後の不安、端的に言えば、これまでーーパートナーの苦悩に気づないでーー当たり前のように生活していたところが一挙に変わる、これが受け入れられないと言うことだと思います。

 

不安はわかります。

 

でも、正直になりましょう。

 

 

もはや愛し愛される関係にはないと言うことを。 弁護士の仕事の中で、私がいちばん大切だといつも申し上げるのは、依頼者を説得することであります。何時間も何回もお話を続けた末、説得されること、痛いことを指摘されるのがイヤだとされる方は、弁護士福本悟のご依頼者にはおられません。

 

そんなとき、ご依頼者から、「先生が相手方の代理人だったら、より良い解決がーー相手方のためにもーーできたのに…、と言われることがあります。これは、相手方には説得する弁護士、首に鈴を付ける弁護士はいなかったと言いたいのだと思います。

 

離婚を拒絶し続ける方こそ、どうぞ福本悟に、あなたのしあわせのため、お仕事をさせて欲しいと思う今日このごろです。