節分は、季節を分ける節目の日ですが、節分の豆撒きで知られる2月3日は、立春の前の日に当たり、1年の厄を払う特別の日とされています。節分の豆撒きについては、昨年この『ひとりごと』に書きました。今日は、『恵方巻き』についてお話ししたいです。地域によっては、豆撒きよりも、恵方巻きを食べる家庭の割合が高いとも言われるようです。 『恵方巻き』とは、太巻き寿司のことで、七福神にちなんで7つの具材を入れて巻くのが伝統で、7個の幸福を巻き込む意味があり、 大阪がルーツだとされています。それは江戸時代、大阪商人が、商売繁盛と厄払いの願いを込めて、立春の前の日に、幸運巻寿司と名付けた太巻きを、『丸かぶり』して食べたことが始まりとの説が有力なのです。節分の夜に、その年の恵の方向に、無言で向かって願い事を思い浮かべながら丸かじりする習わしであります。私が子どもころは、そんな習慣はなかったように思います。いつからか定着したのでしょう。 江戸時代の大阪がルーツだとすると、最近盛り上がっているように思えるのはなぜでしょう。それは、相次ぐ販売促進運動によるものだと思われます。何かめでたいこと、おもろいことをしたい大阪商人は、土用の丑の日にうなぎを食べることに対抗して、節分には、丸かぶり寿司という太巻きを食べる運動を、戦後すぐに展開しました。 最近では、コンビニにも恵方巻きが並べられますが、そのきっかけは、平成10年にセブンイレブンが、全国販売するに当たって、恵方巻きと言う商品名を用いたからだとされています。折からのロールケーキのような丸いものの売れ行き上昇に乗ったことも、影響があるようです。 恵方巻きは、恵方を向いて食べると福が来ると伝わっています。恵方とは、その年の福徳が司る神様のいる方向を意味します。その神様のいる方向は、毎年変わるので、今年は⚪️⚪️なんて宣伝されるのです。恵方の決め方は、古来中国からもたらされた『四方と十干の組み合わせ』なのだそうですが、私はよくわかりませんので、毎年の結論だけ覚えます。2016年の恵方は、南南東でした。 でも、東京から南南東の方角は、ごく限られています。東京からですと、北北東や西南西あたりは、随分先まで日本列島が続きます。でも例えば、沖縄県与那国島では、『西』はもうありませんね。そういう意味で、恵方が毎年変わるのは、福徳が日本国広くもたらされるわけで、良いことだと思います。ただ、私もそうですが、恵方巻きを食べることに夢中になり、恵方を見て願い事をすることは、すっかり忘れておりました。 博報堂生活総合研究所が、5年前に『節分で何か行事をしたか』首都圏、名古屋圏、阪神圏で調査したところ、恵方巻きを食べたが48%、豆撒きをしたが44%だったと報告されています。相対的に関東よりも関西のほうが、恵方巻きを食べる文化が根強いと思われますが、それでも豆撒きの割合を超えたのは驚きです。 かく言う私も、毎年節分の豆撒きはしますが、今年初めて恵方巻きを食べました。恵方巻きを食べる習慣は定着したようです。子どものころ、「鬼は外福は内」をやった経験からすると、これも少子高齢化社会の影響でありましょうか。 もうひとつ、福本悟の節分の過ごし方があります。毎年2月に入ると、節分の3日までに、福岡博多の総鎮守『櫛田神社』に初詣に参いることがそれです。昨年の『ひとりごと』でもご案内しましたが、櫛田神社には、『日本一のおたふく面』が登場します。『おたふく』とは、『お多福』と書きますので、このおたふく面の口の中を通ってお参りすると、多くの福がもたらされると言われるのです。 櫛田神社と言えば、7月15日早朝4時59分から始まる『博多祇園山笠』の出発地点です。こうして1年に2回、私は櫛田神社に詣でるのです。博多祇園山笠が終わると福岡博多に暑い夏がやってきます。節分が過ぎると春はそこまでと感じられます。皆さんは、どのような節分を過ごされ、何を感じられたでしょうか?