冬の味覚と言えば何を挙げますか?
冬しか採れないもの、旬が冬季のものです。魚で言えば、北海道はタラ、ドンコ、カレイ、九州はあら、フグ、そして鯖でしょう。
牡蠣は、広島県や宮城県が知名度全国区ですが、北海道はサロマ湖、厚岸湾、九州は博多湾、九十九島等いろいろあります。そんな中で、九州贔屓の私は、『さば』『ぶり』ですね。 年末になると、博多の台所『柳橋連合市場』をはじめ、福岡市内の鮮魚店には、軒並みぶりが並びます。
玄界灘で獲れたものがほとんどですが、ときに大分県や鹿児島県産も入ります。寒ブリとして、北陸地方が有名ですが、こちらのブリも、形と言い、大きさと言い、そして美味しさと言い、全く負けていないと思っています。福岡博多で、この時期ブリが多く見られるのは、福岡では、正月のお雑煮にぶりを入れるからです。
すなわち、『アゴ』『かつお菜』『ぶり』に、丸餅を入れたすまし汁のお雑煮なのです。アゴとは、とびうおを干したもので、良い出汁となります。 私は、子どものころ正月が好きではありませんでした。それは、どうにもお雑煮と言うものがイヤだったからです。いつも東京にはふるさとはないと言っていますが、あるのかどうかわかりませんが、『東京のお雑煮』なるものを食したことがなかったです。
でも、やはり母は、お正月だとして、お雑煮もどきをだします。これをおふくろの味と思えば良いのかしれませんが、『お雑煮』と言われたら、正月のしるし、おめでたいものと言われたら、勘弁願いたいものでした。『決まり』なんかなく、毎年お椀に餅は入るものの、他はごった煮みたいで、どんな味がしたか、何が入っていたか覚えておりません。
学生でしたし、お雑煮に期待もなかったです。 それが福岡のお雑煮を知って、もうやみつきになりました。我が家では、正月は、『アゴ』『かつお菜』そして『ぶり』のお雑煮です。ぶりは、柳橋連合市場から31日に送っていただき、干しアゴとかつお菜は、2月の節分に、櫛田神社に詣でた機会に、岩田屋さん等市内で仕入れて持ち帰り、すぐに冷凍して1年間寝かせます。かつお菜も、12月から2月ころまでの野菜で、まさにかつおのにおいがし、かつおのような出汁が取れれます。今年も買ってきました。
さばは、どうかと言えば、福岡博多では、『ごまざは』を年中食べるので、冬のイメージはないかもしれません。昨年の今ころ、この『ひとりごと』にご紹介しましたが、『ごまざは』とは、福岡博多では、鯖の種類を言うのではなく、生の『真鯖』にごまを混ぜて食べることを意味します。そうです。福岡市内と言うか、九州では、ざはは生で食べるのです。おきうと、がめに、明太子と並んで、博多の朝食とされています。
私が、冬の福岡で楽しみにしている『さば』は、これではありません。秋から冬に玄界灘で獲れる『さば』です。
『さば』、特にこの時期最高なのは、玄界沖でも九州からかなり離れた五島、対馬、済州島の間あたりで獲れるさばです。見た目も大きく、脂のノリも良く、素晴らしいとしか言いようがない美味しさです。ちなみに、この海域は、魚の宝庫で、『あかむつ』も、ここの物が最高だと思っています。
五島や対馬の新鮮なさばを生で食べるべく刺身にした後、炙って食べた感動は、言葉では言い表せません。さばの素晴らしさを知る機会ともなります。 先日福岡で、さばを楽しみました。これも行きつけの店になりつつある『天神あらんどろん』です。ここは、年中五島の鯖を出していますが、春夏秋冬この店で『五島の鯖。刺身とごまさばで』を注文している私からすると、やはり時期によって脂ののり具合はわかります。
2月のさばは、最高ですね。おまけ?と言っては失礼ですが、天神あらんどろんには、『白子ポンス』がありました。福岡だからと言って、トラフグ白子ではありません。
タラの白子です。道内でも、新鮮な白子ポンスにありつける機会はそれほどあるわけではありません。店主の説明では、アラスカやロシアから入るので、結局どこの魚市場に船が入るかが重要だと言われました。国外の品物が、直に福岡漁港に入るのだから、北海道で食べるのと、さほど違いがないと言う意味なのでしょう。