企業向けの政策減税の合計額が、2014年度、少なくとも約1兆2千億円に登ることが、財務省が公表している調査報告書をもとに、ある新聞社の分析でわかりました。
減税額は、民主党政権時から倍増し、減税の恩恵の約6割が、資本金100億円超の大企業が受けていたことになるそうです。 政策減税とは、国の政策目的などに沿って、法人税などに特例を設ける『租税特別措置』の一部ですが、2014年度は、法人税を安くする措置だけで87項目あったそうです。
特定の業界や地域が対象となるものが多く、原則期限付きではあるものの、『延長』が繰り返される減税も、少なくないとされます。某新聞社の分析によると、国税の減収額が明らかな項目を合計すると1兆1954億円で、民主党政権時にはなかった1兆円台に初めて突入したのであって、これが消費税なら約0.4%分の税収に相当します。
民主党政権時に比べ、2.3倍に増えたものです。 減税額が最も大きいのは、企業の研究開発投資に応じて、税金を安くする『研究開発減税』ですが、これだけでほぼ倍増し、2013年度の税制改革で、控除すなわち税金を安くしてあげる上限を大幅に引き下げたことで、減税額は膨らんだ模様です。『研究開発減税』と言えば聞こえは良いですが、その恩恵は、大企業に集中しています。
すなわち、企業数では全体の0.1%にも満たない資本金100億円超の企業への減税額が、全体の8割と言うことです。 これは、いわゆる法人税の引き下げではありません。法人税の引き下げに加え、大企業が、税制改革なる見えにくい恩恵、より端的に言えば、公表されていない、国民にバレにくい税金を、政権から負けてもらっていることを意味します。どんな企業が政権から税金を負けてもらっているのでしょう。
財務省の報告書では、企業名は非公開ですが、公表されている大手企業の有価証券報告書などを付け合わせたところ、『研究開発減税』の適用が多い上位5社は、トヨタ自動車、日産自動車、ホンダ、JR東海、キャノンと見られるとのことでした。最近『下町ロケット』なる現象が、世間に注目されましたが、トヨタ自動車等大手の自動車製造販売会社が、『研究開発減税』を受けていたとは…。
現政権は、企業全体にかかる法人実効税率を、2016年度には20%まで引き下げます。しかし専門家からは、実効税率を下げるなら、政策減税は縮小し、企業になるべく公平に課税していくべきと指摘されながら、政権では、政策減税の額はむしろ倍増し、恩恵は、大企業に隔たるようになりました。しかし、減税されたからと言って、必要以上に設備投資する企業はなく、大企業ばかり応援しても、実質賃金は、安倍政権となって4年連続で下がったのが事実です。
国民の家計の消費支出も低迷が続く中、経済が底上げされていない現実を誤魔化すこもなく、低所得者への税負担軽減こそ行うべき政治の緊急課題だと、私は考えてるものです。富の分配なくして、国民経済の立て直しはありません。 だいたいこれだけで大企業優先の経済政策を行っておりながら、この間、国の税収は10兆億円増えたと言うものの、実は税率を8%に上げた消費税の税収が、5.6%増であったのに、法人税収は、1.2兆円増に留まっています。要するに、それでも日本の税収は、庶民の家計の負担で賄われていることが明らかなのです。
増税や円安による輸入品の値上がりで、家計消費は低迷が続き、物価を加味した『実質賃金』は、4年連続で下がっているのです。アベノミクスなる政策で、主に大企業を支援した果実は、未だ家計に落ちてこないのです。しかし大企業は、きちんと政府与党に『御礼』しているのです。企業から、自民党への政治献金の額は、300万円以上の大口献金に限っても、民主党政権時の倍増となり、特に最大は、自動車業界の約2億7千万円で、全体の2割を占めるそうです。
本当に仲の良いお友達なんですね。 ダブル減税のごとき大企業優先の経済政策が行われています。でも、私たち庶民は、胸を張っていのかもしれません。だって、日本の税収は、どんなに政権が企業を応援しても、庶民の消費税で賄われているのですから…。でも、おかしいですね。だって、現内閣は、消費税は、全て社会保障に充てるのではなかったのですか?
私は、自分は普通の文章力と理解力を持っていると自認しているものですが、現政権に対する支持率が、優に50%を超えていることは、日本人って、余程忍耐力が強い民族か、はたまた諦めが早いのか、あるいは、大きな声は全て正しい信じてしまう謙虚な性格なのか、私の悩みは続きそうです。