NHK朝ドラ『あさがきた』は、いよいよ佳境に入っています。
3月25日の放送では、主人公あさの姉眉山はつの夫、惣兵衛さんが生涯を終えました。
惣兵衛さん、家族を枕元に集めて、「よい人生やった」と伝えました。大切な人がいなくなるとき、この朝ドラ、砂時計が映し出されます。このところあさの夫新次郎さんの登場場面でも、砂時計が出ています。 人は何のために生きるのか、これは哲学、宗教学の範囲に留まらず、人それぞれの思想、人生観により、いかようにも考えられると思います。
きさらぎ法律事務所に起こしになる方の中には、災難に逢い、不運な出来事が続いている方がおられます。ときに、何のために生きているのかと仰る方もおられます。私は、人生論を語るような資質も責任も持ち合わせておりませんが、ただ辛かったこれまでのお話を黙ってお聞きします。そして現在存在する法律問題に関して、ベストと判断した方法をもって、この方の今後において、ベターな選択だったと思っていただけるような収めところを求め、法律実務家としてお手伝いさせていただくのです。
こんな私の日常でも、自分はもとよりこの世に生を受けた人々は、みな「よい人生だった」と述懐できる生き方、人生の軌跡を残せたとは、ずっと思っています。人生は、文字とおりその人の総まとめ、良いときもあれば辛いときもある、人は『そのとき』総合して振り返るのだろうなと思っています。朝ドラ『あさがきた』の眉山惣兵衛さんの人生は、そんな感じがいたします。七転び八起き、九転び十起きなんて言われますが、元大阪一の両替商の跡取りとして生を受けた惣兵衛さんが、そんな考えで人生を送られたかどうかは別として、柄本拓さんの演技も光り、本当によい人生だったのだろうなと思えました。とてもきれいなシーンでした。
さりげなく年輪を踏む妻はつを演じる宮崎あおいさんも、流石ですね。 この日の放送では、あさの夫新次郎さんが、大切な人がいなくなることの辛さを、日本女子大の創立者成瀬仁蔵をモデルにした日の出女子大校長成澤泉に話しかけるシーンがありました。成澤先生は、こう言いました。人生生があるから死がある、死があるから生がある、決して終わりではなく、悲しむべきことでもない、死は恐ろしいものではないと。これに似た説明は、魂は残る、人の生死は繋がっているようなたたえがありますね。
こんな説明は、悲しむ人を慰めるために使われる印象が強かったですが。 人は、よい人生だったと思えるよう、日々努力を重ねていくのでしょう。ただ、あさがきたを見ると、本人の努力に加え、周囲の理解協力が不可欠と思えます。協力したくなる、入れ込みたくなるのも、その人の努力あってのことだと思います。
主人公あさは、いろいろな人と関わり、人の輪に飛び込みます。少し人付き合いが上手ではないと思える惣兵衛さんは、はつさんを愛し、はつさんが笑うことを生き甲斐にして生きてきたようでした。大切な人に喜んでもらえるのもまた人生の宝、生き抜いた証ですね。人生に悔いなし、大切な人を悲しませることはしない、ずっと生きている、魂は残したと映りました。
さて、なんでこんなことを気にかけるかと申しますと、私も来年は60歳となります。人生後半です。よい人生だったとするための努力の必要性、これは人を理解し理解され、社会に受け入れられ、同化していくことだと思えます。
そのため仕事に関わりなく、多くの人の中に入れてもらおう、そして溶け込み、理解し理解されたいために、『お友だち』を作りたい!と願い、Facebookを始めたからであります。大切な人をたくさん増やし、また、少しでも大切に思っていただける方が現れれば、何年経っても生き続けることができ、魂は残せると思えるのです。
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毎日のように、男女に関する案件と向かい合う私からすると、不倫不貞はしょっちゅう遭遇するので、このところの日本国内の騒ぎ?はなんだろうと感じます。
週刊文春の活躍に影響されたのか、今週は週刊新潮が、大々的に報じているようです。そんなことを記事にするのが週刊誌の役割なのでしょうから、日頃私が捉える『不貞問題』とは視点は異なります。どーでもいいと言いながら、今回私がこの『騒動』に言及するのは、話題の主のお立場や社会的な影響から見て、本質は、コレ不倫問題ではないと思えたからです。
今回ターゲット?にされたのは、大学在学中に450万部のベストセラーの著作を世に出し、東京都の教育委員や教員を歴任された文筆家の男性です。なんでも婚姻後5人の女性と不倫していたとかで、スポーツライターをされるなど、その爽快なイメージとはあまりに掛け離れているとして、かなり批判されておりました。
ちなみに、法律家の世界では、『不倫』とは言わず、婚姻している人が、配偶者以外の異性と肉体関係を持った場合に、『不貞』と言います。この爽やか男性、記事になった途端、『不貞』を認めたそうです。
あるいは、この『ひとりごと』で何かを喋った折、少し口を滑らしたかもしれませんが、私は、この人が、この夏に行われる参議院議員通常選挙に、自由民主党公認で立候補することに驚いたのです。この方の雰囲気、そしてときに出演された報道番組でのご発言からして、この人のご主張、望まれる社会は、どー考えても自民党の政策、現実の社会、そしてこれから描かれる未来に合致するものとは思えなかったのです。
特に、このところの次々に露わとなる自民党議員のレベルの低さ、ヤジや失言はまあ可愛いほうで、委員会で答弁する大臣の横でメールや読書をし、果ては居眠りをする、アメリカ合衆国オバマ大統領は、あたかも祖先が奴隷だった、そしてイクメンを標榜しながら、議員である妻が出産入院中に、自宅に女性を引き入れて不倫して議員辞職した等々、そんなお歴々と、この爽やか男性が同僚になるとは、どうしても思えなかったからです。
議員でありながら不倫したら辞職となるとして、議員になる前の不倫は、別に構わないのかもしれません。そうだとすると、この人の不倫報道がなされると知った途端の素早い行動は納得ですね。
すぐに謝罪文を出しました。
まず、支えてくれた妻に対する謝罪、そして、慕ってくれた人への裏切り行為をしたとして、謝罪がなされています。私は、不貞とは個人的問題、個人の資質によるものですから、社会人として失格であっても、社会に謝るべき性質のものではないと思っています。不倫は、社会的影響が大きい人だけがやってはならないと言うものでもないからです。夫婦間の問題、配偶者に謝るべき筋合いです。
ところがこのお方の奥様、裏切り行為をした夫から打ち明けられ、よく話し合ってやり直すことにしたのだそうです。そして、(こうなった)責任の一端は、妻である自分にあると感じているとメッセージを出しました。
今、この『妻の謝罪』が、マスコミ界で話題になっている様相です。当然、奥さん悪くない、謝る必要なんかないの論調です。キット良くできた方なのでしょうね。私の周りには、まして、依頼事件の相手方には、こんな人、おりませんね。
あるいは本当に、このご夫婦、夫が不倫に走る、逃げるような空気の悪い、葛藤を抱える婚姻関係だったのかもしれません。奥さんは、それを反省?自責の念をお持ちで、責任の一端と仰られたのかもしれません。そうであっても、そうであればこそ、もともと夫婦の問題であり、社会に謝る筋合いではないですね。
誠に残念なことに、私は仕事柄、夫婦の婚姻関係としては、喧嘩が絶えない、別居している等正常を欠いていて、そこから逃げる、あるいはもう配偶者とは他人、離婚しているとでも勘違して、不貞行為に至る方の案件を担当することは少なくありません。私は、たとえ婚姻関係の修復は困難と思えても、婚姻関係を解消、すなわち離婚していない、少なくとも調停等その手続きに進んでいないのに、不貞をしたらアウト!と申します。
こんなとき、年中行事になっているのは、『婚姻関係破綻後の不貞だから、不法行為にはならない』との抗弁ですが、これはダメです。それなら離婚すべきなのであって、これをしないのは、しないなりのメリットがあったからです。メリットとは、「自分はもうパートナーのところには戻らない、だけどパートナーは離婚しないと言っている、これを切り出すと面倒だ」を当然に含みます。それよりも、こんなご夫婦であっても、パートナーが不貞をすると、絶対に許しません。返って離婚しないとか、不貞の相手となった人に対して慰謝料だとか騒ぎます。パートナーだけが楽しそうに、しあわせになるのは許せないのですね。
話がかなり逸れました。このご夫婦、本当にうまくいってなかったとしても、奥さん、自分に責任があるなんてよく仰ったと思います。私なんかからすると、私の依頼者が不貞に至ったのは、本当に、責任の一端はパートナーにあると言いたいことは、しばしばです。でも、言いません。不貞をされたパートナーが、自分も悪かったなんて述べられたケースは、1回もございません。
他人の夫婦関係は、他人にはわかりかねるものです。件のご夫婦、本当は、奥さんは全く悪くなかった、不貞した裏切り者の夫が100%悪かったのだとしたら、なんで自分にも責任の一端なんて言って、世間に謝ったのでしょう。マスコミ界では、このご夫婦の実態がどうだったかなんて検討するまでもなく、「奥さん悪くない!」でほぼ一致しています。
奥さん気の毒、良くできた人、人格者、優しすぎる!等等賛辞が続々でしょう。特に、世の中の女性からは、相当注目されますね。浮気した夫を許せたのですから。
女性に好かれる、人気があるとどうなるか、これ、選挙には最大の武器ですね。あるいはこのご夫婦、夫婦の『その先』を見据えたのかもしれません。奥さんと並んだ選挙カーで、誰が『不倫!』って、ヤジ飛ばせますか?そうでなくても、選挙戦の時期には、この候補者が、かつて不倫していたことよりも、この方の奥さんが、出来すぎた対応をされたことが、記憶に残っているでしょう。もし、同情票なるものがあるとしたら、誰に同情したことになりましょうか?
3月26日に新青森駅から新函館北斗駅間が開業した北海道新幹線、開業初日1番列車指定席は、発売30秒で完売となりましたが、開業直前に、初日から9日間の平均乗車率が25%に留まることが、JR北海道から明らかにされました。あまり人気を博さないことについては、各方面から、いろいろな理由が挙げられています。料金が高い、新函館北斗駅が函館駅から離れている、『4時間の壁』が破れていない等等です。
今回開通した区間、首都圏にいる人は、あまりピンと来ないかもしれません。昔青函連絡船が運航されていた津軽海峡をほぼ挟んだあたりと思ってください。以前この『ひとりごと』でも書きましたが、青森駅は本州の、函館駅は北海道の始発駅でもあり終着駅なのです。つまり、地形上新幹線を入れることはできないので、方や新青森駅、方や新函館北斗駅となったのです。
そして新函館北斗駅からは、将来札幌駅までつながることが決定しています。新青森駅と新函館北斗駅間は、148.8kmです。この区間の新幹線自由席料金、そして所用時間が、利用客の増加を見込めない要因とされている様相です。
新青森駅新函館北斗駅間の新幹線自由席料金は3.930円で、他の新幹線に比べて極めて高いです。例えば、東京から福島、長岡より高く、新大阪広島間とほぼ同じです。『4時間の壁』とは、航空機と新幹線の利用客が逆転するラインと言われるものです。東京から新函館北斗駅まで、4時間を切ることができていません。
それは、青函トンネル内は、時速140kmで運行されることが、かなり影響しているのだと思います。羽田空港から函館空港までは、離陸後飛行時間は1時間かかりません。時刻表上も、1時間20分くらいです。しかも、函館空港は、市内湯の川にあり、比較的観光にも便利な位置にあるのです。新函館北斗駅から函館駅まで、『函館ライナー』なる電車に乗り換えなければならないことは、かなりJR北海道には痛いことではないでしょうか。
私は、福岡に行くとき、新幹線は利用しません。司法修習生のときは、ブルートレインやときには新幹線も利用しました。旧国鉄時代、ブルートレインと新幹線ひかり号のグリーン車が利用できる『グリーンきっぷ』なるものがあって、盆正月でも確か3万円台で使えたからです。それから航空会社も、割引きっぷを売り出すようになりました。羽田福岡間は、使い方によっては、かなり安く行き来できます。片道1万円台前半なんてザラです。
さて、羽田函館間は、うまくすると12.000円くらいだそうです。JR東日本の最安売り商品とされる東京都内から新函館北斗までのスーバーモバイルSuica特急券を使っても、航空料金より高い設定です。なんか北海道新幹線は、初めから東京あたりの人は、利用しない前提で運行されているようです。それと、北海道新幹線は、航空機と勝負するつもりがないことが見て取れます。この点、北陸新幹線とは違うようです。
『4時間の壁』で言えば、東京駅から新幹線のぞみ号で、広島駅までが、だいたい4時間です。のぞみ号が頻発する前の時代は、東京からだと、岡山でほぼ拮抗、広島で新幹線より航空機になると言われていました。
しかし、新幹線のスピード化と合間って、広島までは新幹線が有利の感があります。現在は、山口宇部で逆転、福岡は、まず航空機だと言われます。
JR北海道によれば、北海道新幹線新青森新函館北斗間は、1日の乗客数約5.0000人、乗車率26%と見込んでいると発表されました。そうすると、特急料金が3.930円だとすると、年間71億7225万円の収入です。これだけ高い!と文句が出る特急料金ですが、JR北海道が、国土交通省に申請した資料によると、開業3年時の特急料金収入は、70億9500万円と記載されていたことが明らかとされました。
すると、初めから北海道新幹線は、乗車率26%程度の収入しか見込めないとして、運行計画を設定したことを意味します。これは、立派なインフラ、公共事業なんでしょうね。航空機を意識せず、また、他の新幹線との『料金比べ』を気にする必要もなかったと言うわけです。
昔国鉄の分割が民営化持ち上がったとき、推進する側から、特に北海道の実情が、槍玉に上がりました。カラの列車を走らしている、1日たった数本の運行のために、駅係員がいる等です。
過疎もいち早く進んだのでしょう。
私は、北海道新幹線が、ガラガラで過疎路線となるとは申しませんが、ブルートレインを廃止してまで運行されたのですから、意義のあるみんなに愛される鉄道であって欲しいと思います。
北海道は、札幌一極化が進むいっぽうだと感じますので、北海道新幹線が、まずは道内に人を呼び込む、送り込むきっかけを作ってくれたらと願います。ただ、そのために何が良いのか、先のJR北海道の出した数字を知ると、もう開業9日間で、水をさされた感じがしないではないのです。
頑張れ北海道新幹線!
踏んだり蹴ったりの言葉があります。3月のある日、鹿児島空港に居た人の思いです。その前日の午後、鹿児島空港に着陸しようとした小型機が、前のめりで着陸して前部が破損、滑走路上で動けなくなった『重大インシデント』が起きました。
インシデントと認定されたとおり、さいわい怪我をされた方はおられませんでしたが、これがために滑走路が4時間以上閉鎖され、鹿児島空港を離発着する航空便に、欠航遅延が発生しました。ちなみに、昨年も、鹿児島空港では、小型機が、管制からの指示を聞き間違えて、民間旅客機の着陸進路を妨げ、重大インシデントとされる事態が起きています。
鹿児島空港での重大インシデントの翌日、ANAホールディングスの全日空空輸で、朝8時20分ころ、航空便の発券システムに不都合が発生し、予約、販売、搭乗手続きができなくなり、この日日本中の空港で、全日空146便が欠航、多くの遅延が発生し、この日の全日空国内線の半数以上が影響を受け、数万人に影響が出たと報道されていました。
最終的には、12時間経過した同日午後8時を過ぎたころに、完全に正常に戻ったことが確認されたようでした。なんでも複数のデーターベースのサーバー間で、情報を共有する機能に不都合が起きていた可能性が高いとのことです。この影響で、前日鹿児島空港で足止めを食らって『宿泊』を余儀なくされた北海道に帰ろうとする方が、この日も搭乗できず、結果鹿児島に2泊する事態になったと嘆いていた姿が、報道されたていたのです。
私は、全日空便にも搭乗しますから、決してANAホールディングスに、他意を持つものではありません。しかし、今回のシステムダウン?に関しては、全日空には多いに反省していただきたいと思います。特に私は、このところ、ANAには、気になる2つの出来事があったから、そう思うのです。これのうちひとつは、今回のシステムダウン?が発覚して、「少しだけ」記事にされている事柄です。
私は、今年の2月24日午後、鹿児島空港におりました。さて、搭乗前に、鹿児島最後の焼酎をと思ったそのとき、全日空からアナウンスがありました。「搭乗手続きを中止します。コンピュータシステムが故障したので、復旧までしばらくお待ちください」とのこと。そして30分くらい待ったでしょうか。システムが回復したので、搭乗手続きを再開しますとアナウンスがあったのです。
こんなことを言ったら失礼ですが、鹿児島空港から各地に向かうANAは、頻発しているわけではありませんから、鹿児島空港では、欠航遅延は起きなかったようで、ここに居合わせた方は、『影響』を感じられなかったと思います。
トラブルの原因は、説明ありませんし、私はこのとき、当初鹿児島空港だけのトラブルと思ったのです。要は、トラブルによる実害がなければ、どうでも良かったのです。ただ、羽田空港に到着したら、この日のアクシデントは、ANAグループが関わる全国の空港で起きていたことを知りました。コレってしっかり原因を突き止め、責任の所在を把握しなければ、同じことが起きるなと思ったことを覚えています。
今月21日、経済誌に、ANA元会長が、リーマンショック後、会社一丸となってどん底を脱するまでと題して、公的支援を受けるに至ったJAL日本航空と対比しながら述懐する記事が載っておりました。JALを批判する意図に出たものではないと思いますし、苦境を脱するために会長はじめ、ANAグループ一丸となって努力したことには敬意を評したいとは思います。
ただ、全体の論調が、『競争』であり、随所にコストダウンなる言葉が出ていました。『競争』は、福本悟が大嫌いな言葉です。会長は、社員一丸となって頑張ったと仰りたいのでしょうが、露骨に労働時間を増やしたなんて言われると、やはり利益のため、生き残るためたは、人件費なんだなと思わざるを得ませんでした。競争と安全は、どうやって調整するのでしょう。このコンピュータシステムの不都合が起きる前日、春の陽気に囲まれた三連休の最終日に発表された全日空元会長の談話、あまり好きにはなれませんでした。
さて、この日の『不都合』は、不都合で済めば、いずれ人々の記憶から抜けるでしょう。それにしてもコンピュータシステムって脆いですね。便とお客さんが少ない鳥取空港では、『手書き』で搭乗手続きを行うことができ、影響はなかったと報じられていました。航空機は、魔の15分と言われる離発着の時間以外は、計器飛行です。
いわゆるコンピュータ管理されて、運航されているのです。9.11同時多発テロでは、このコンピュータシステムが、犯人にハイジャックされたと言われております。
人件費を落とし、長時間労働については、社員一丸となってと捉える企業経営者からすると、コンピュータ管理されることは、時代がもたらすものなのでしょう。でも、離発着は手動で、ひとたび故障したコンピュータは、人の手を借りなければ復旧しない現実が未だ存在する以上、やはり人を大切にしなければならないでしょう。
2月24日のコンピュータシステムの不都合の教訓は、活かされなかったのでしょうか?公共交通機関の経営者が、『競争』や『コストダウン』を誇示するような論調を露わにしたとき、たまたま発生したこのアクシデントに、真摯に向き合って、空の安全を守り抜いていただきたいと思いました。
上野発の夜行列車降りたときから……。今月、ある航空会社の機内オーディオのあるチャンネルで、最初に流れてきた昭和の名曲です。今月21日、上野発の夜行列車は、21日上野駅に到着した札幌駅発『カシオペア』をもって、全ての運行を終えました。そして、国内最後の急行列車であり、ブルートレイン札幌駅と青森駅を結ぶ『はまなす』も、運行を終了しました。昔鉄道少年だった私は、ひとつの時代が終わったなと思いました。
上野発の夜行列車が役目を終えたのは、新幹線が、青函トンネルを通過して北海道に繋がったことによるものです。東京駅から九州に向うブルートレインが廃止されたのも、新幹線そして航空機に取って代わられたことが大きいです。ブルートレインと言えば『夜』の駅がテーマですね。ところで、有る意味ブルートレインに取って変わった航空機も、その出発地である空港、これは夜のイメージがあるように思います。そして、空港のイメージ、コレって私は『雨』が似合うと思います。
この『ひとりごと』でも書きましたが、私がいちばん好きな空港、それは新千歳空港です。ここには、『北空港の記念碑』があります。「夜の札幌…」で始まるこのデュエットの名曲、やはり空港は夜が映えるようです。それは、別れと合うからでしょうか。空港を歌った曲は、たいてい夜ですね。
古くは、フランク永井さんの『羽田発7時50分』青江三奈さんの『国際線待合室』、私の司法修習生時代によく聞いた中森明菜さんの『北ウイング』もそうでした。それと、空港は、雨が似合うようです。なぜでしょう。
私が好きな歌手として、アジアの歌姫こと、テレサテンさんがおりました。このテレサテンさんが、日本レコード大賞新人賞を受賞した曲が、『空港』でした。「何も知らずにあなたは言ったわ。たまには、ひとりの旅もいいよと。雨の空港……。」また、テレサテンさんと同じ台湾出身の先輩歌手、欧陽菲菲さんの『雨のエアポート』は、名前そのものですね。雨は、別れに似合うのでしょうか?涙雨なんて言われますね。
昔鉄道少年だった私は、今では、毎月羽田空港から、何処かに行きます。テレサテンさんは、たまにはひとりの旅もいいよと歌われましたが、私は毎回ひとりで機内の人となります。そして、私が旅立つ?のは、夜ではなく、だいたい早朝です。そして、出張先から帰って来るのは夜です。ただ、なぜか雨の日が多い気がします。それは、私の仕事上、あまり嬉々とした場面はないからなのかもしれません。
空港では、特に羽田空港は、ありとあらゆる方面に向かう人が集まります。そして機内には、さまざまな事情を抱えた人が搭乗しています。以前新宿駅から、箱根に向かう小田急ロマンスカーの車内について、この『ひとりごと』でも書いたことがあります。
航空機の 中には、今、空港で、大切な人と別れたばかりの人もいるでしょう。また、これから大切な人との最後の別れの場に行くため、搭乗した人もいるでしょう。もちろん航空機を利用する人は、楽しい旅行のためが少なくないでしょう。でも、やはりブルートレインで、のんびりとはいかない人生模様がそこには有るのだと思います。
演歌は、涙そして別れが付き物です。空港をテーマにした歌は、自ずから明るいものではないのでしょう。この日私は、雨のエアポートを行き来しました。日頃仕事に追われて、空港は、別れと雨が似合うなんて、あまり意識したことはなかったです。夜羽田空港に戻り、1日行き来した事情を振り返り、空港は、人生の縮図、やはり演歌が似合うと思った次第です。