藻岩山よりラーメン横丁ーー福本悟の札幌の夜景

2016年3月2日
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北海道で夜景と言えば函館です。

 

でも、いつ、誰が決めたのか言い出したのか、調べたことはありません。私が物心ついたころから、『100万ドルの夜景』としての神戸、北海道の玄関口は函館、函館山からの夜景は北海道のシンボルなんて言われていました。

 

ただ、このところ長崎市の夜景が、多くの夜景ファンから支持されていることはよくわかっていました。それは、2012年に長崎市で開催された『夜景サミット』で、香港、ナポリと並んで長崎の夜景が、新世界三大夜景として、広く世界に発信されることになったからです。しかし、昔は函館でした。 もともと世界三大夜景としての香港、ナポリ、そして函館は、50年くらい前から言われていて、時間が経てば街の様子も変わるはずです。

 

日本では、社団法人夜景観光コンベンションビューローなる民間団体が、厳しい試験の結果、夜景鑑定士の資格を得た人3.500人より、新しい基準?感覚で、新しい夜景の美しさの順位を選定することに進んだと聞いております。 長崎市は、長崎港を中心にして、起伏に富んだ地形が立体的な夜景をもたらすとともに、市内には、イルミネーションやライトアップされた建物、施設があって、これが幻想的な雰囲気を醸し出しているとの評価です。代表的なのは、標高333mの稲佐山展望台からの夜景ですが、鍋冠山公園やグラバー園からの夜景も美しいようです。

 

私は、稲佐山からの夜景を、31年前に経験しました。そのときは、たまたま宿泊先があの辺りだったので、立ち寄った感じです。まだ見ていない神戸、そして函館こそ夜景が美しいと思っていたので、長崎の夜景は、あまり覚えておりません。

 

神戸、そして函館の夜景は、平成になってから、経験しました。既に日本三大夜景であるとの先入観があったので、「これが夜景か」と感じました。 その日本夜景観光コンベンションビューローが、昨年10月、夜景鑑定士4.500人にアンケートを行い、『日本新三大夜景』が発表されました。神戸市で開催されたこの『夜景サミット』は、私も報道で知っています。決定の仕方は、鑑定士に5票与え、得票数の多い順に決める方法です。

 

この民間団体は、夜景を観光資源として活用し、地域の活性化や観光産業の発展を目指す取り組みをする目的のもと設立されましたから、その趣旨に沿った投票と結果になることは予想されます。でも、さすが夜景鑑定士ですね。地理に明るく、日本中を行き来する私は、この選考結果は、妥当と考えます。 1位長崎、2位札幌、3位神戸でした。函館は4位、そして北九州が5位にランクされました。北九州は、昔から北九州市内を一望できる皿倉山からの夜景は有名でしたし、門司港レトロや関門海峡、そして神戸と同じように、海からの夜景もオススメであることは知られておりました。

 

最近は、川崎市でも同じような試みがなされているのですが、工業地帯の夜景は、新しい観光資源、人の呼び込みにもなって、上位へ食い込んだものと思われます。 北海道の方々は、嬉しいような残念のような、函館が『三大』に入らなかったこと、これに代わって札幌が、2位にランクインしました。こんなこと言ったら甚だ失礼ですが、函館山からの夜景は、「函館って、これしかないの?」と言われてしまいかねないほど、これのポスターや観光パンフレットを、あちらこちらで見る機会があります。北海道新幹線は開通しますが、新幹線は函館市内には入らず、将来は札幌が終点になりまりますから、函館市にとっては、嬉しい結果ではないと思います。

写真 1

そして、ここでまた、なんでも札幌のムードが加速するでしょう。 札幌の夜景は、藻岩山から市内を臨む風景が、宝石箱を散りばめたようだとたとえられた美しさを言うのです。藻岩山には、市電とロープウェイを乗り継いで、比較的簡単に行くことができます。私が初めて藻岩山から夜景を見たのは、もう20年は経っていると思います。まだ年に何回かの札幌出張が起きる前でしたから、地元の人から、「ちょっと話題創りに」と誘われて行ったのが最初です。

 

藻岩山ではスキーもしましたし、アイドルタレントの記念碑?も見ています。それから札幌に行き来するうになって、夜景観光ツアーが出ていること、東京あたりからの観光客のオプショナルツアーにも、セットされていることに気づいておりました。

 

藻岩山は、標高531mで、手稲山等に比べればさほど高い山ではありませんが、市街地を一望し、雄大な石狩平野や日本海まで見渡せるスケールの大きさが売りです。ただ私は、宝石箱を散りばめたのたとえがあるとおり、夕暮れの時間帯から、街にポツポツと灯りが輝いていく有様が好きです。誰かがこの様子を、『光の絨毯が敷かれていく』と表現しました。正に活動する札幌の1日を表わすものでしょう。

 

私がその後、何回も札幌に行き来し、宿泊することもままある中、藻岩山からの夜景には、とんと無頓着になったのは、不謹慎な動機があるからです。

魚は九州ではありますが、やはり北の中心札幌の楽しみは、夜飲み食いすることだからです。すすきのに宿泊して、わざわざ藻岩山まで行きますか?と言うわけです。日本で冬唯一国産の『うに』が入るのは、道東根室あたりのうにです。また、地元の方が、『たち』と言われるタラの白子は、この時期札幌市内のごく一部の店で食べられます。

 

なんと言っても、サッポロクラシックですね。

写真 2

ですから、夜景は、ホテルの窓から眺めるだけで充分なのです。私にとって札幌の夜景は、たらふく飲んで、福岡なら屋台となるように、やはりシメはラーメンであるがゆえに、『ラーメン横丁』の風景こそ、福本悟の札幌の夜景なのです。